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2024-08-26 10:03

heldio #37. なぜ apple の a はアではなくエァなの?


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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる素朴な疑問は、なぜ apple の a は普通のアではなくエァなの、という発音に関する疑問です。
この英語の apple の a というのは、非常に独特な英語の発音というふうに理解されていると思うんですね。
日本語では、a ひとつなんですけれども、この日本語の a に対応する英語の音ですね。
これいろいろあって、例えば apple の a ってのはそうですよね。
それから a a a っていう曖昧母音、この a も普通日本語ではあというふうに認識されます。
それから love, son, uncle なんていう時のこの a a ですね。
少しおに近いんですけれども、これも普通あというふうに認識されます。
それから例えば class, dance なんていう時の a ちょっと伸びた音ですけれども、これもあというふうに認識されます。
つまり日本語ではひとつのあに聞こえるようでも、英語ではまったく別の音がいくつかあるわけですね。
これ意味を変えてしまうからちょっと厄介なんですね。
例えば my uncle といえばこれ私のおじですが、my ankle といえばこれ私のくるぶしという意味になって、意味を違えてしまうわけです。
したがって日本語のあをいくつか細分化した形で複数の音があるということなんですね、英語ではですね。
この二つのあるいは三つ四つですが、音を聞き分けられなかったり発音し分けられないと単語が変わってしまうので、それこそ誤解が生じるということに究極的にはなります。
実際には文脈というのがあるので、多少黙ってあを発音したところで大体通じるというところは本当なんですけれども、
ただ厳密に言えばですね、apple のえっていうのと love のろ、love のあですね、これは違うということになります。
いくつか違うあがあるということですね。
この典型的に文字では通り事情は a で書かれることが多いこの apple のえ、
これ a のような、あのような、なんとも微妙な音なわけですよね。
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なのでカタカナではよく a に小さいあって書くんですけれども、これちょっと正確ではないんですね。
あくまで近似的な表示で、え、あと二文字で書いてしまうとどうしてもやはり二音なんですね。
えの次に小さいあがくるという形。
ですが英語のこの apple のえっていうのはあくまで日本語のあとかえっていうのと同列に一音なんです。
決して二音ではないんです。
なのであでもえでもなく、え、え、え、という一音だということ。
この辺がまあ難しいところですね。
まあ apple のえという日本語の口、耳からするとですね、ちょっと決対な中途半端な音がですね、英語ではよく使われるということです。
他にまあ cat とか man とか非常によく現れる音ですよね。
今日はこのえという日本語的にはですね、ちょっと変な音について歴史をお話したいと思うんですね。
これはあとえの中間音といっていいと思うんですけれども、まずこの発音記号もですね、実際あとえの中間音ということを表して、
この活字体のですね、えといをドッキングさせたような発音記号というのがありますよね。
こんなのを使います。
これですね、おそらく発音記号で皆さん見知っていると思うんですけれども、これ実は小英語の正規に用いられた文字なんです。
小英語からこのえっていう音はありまして、この apple のあですね。
あでもなくえでもなくその中間音、えなんです。
これが発音記号としてではなくて、きっちりとした文字としてあったんです。
ですので実際あのりんごを表す apple という単語が小英語にちゃんとあります。
現在の apple の元の形ですね。
小英語の apple っていうのは、この a e を合わせたあの発音記号の文字に p p e l っていう風に書いて、
ash というんですけどね、この文字のこと。
ash p p e l と書いて apple と呼んだんです。
なので順序としてはですね、皆さんは普通発音記号としてこの ash っていう a と e を合わせた文字を多分見知っていると思うんですね。
そして今初めて、実は千年前の小英語では普通の文字として使われていたという風に、多くの人が初めて聞いたんじゃないかと思うんですが、
時代順に言えばですね、当たり前のことなんですが、まず小英語でこの文字があった。
そしてその後ですね、英語ではこの音が一時的になくなったので使われなくなったわけなんですけれども、
その後、今から数十年前に国際的な音声学会の場でですね、この n の文字をどうやって表記しようか、音声記号として。
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考えた時に、これは千年前の英語で使われていた文字だよね、これを使うのがいいんじゃないということで採用したということで、
つまり歴史的な順番としては、まず小英語にこのあの文字があって ash というですね、
その後発音記号として、久方ぶりに、もう何百年ぶりに採用されたという流れなんです。
さあ文字についてはこういうことなんですけれども、じゃあ小英語に結局この文字なり、この音なりがあったんだよねっていうことになりますけれども、
実はもう少し詳しく見るとですね、結構この音複雑なんです。
日本語の音的にはですね、普通のあであれば発音しやすいし聞きやすい。だからなんで英語はえなんていうあんなちょっと特徴のある音があるんだという疑問から始まったんですが、
ざっと今から2000年ほど遡りたいと思います。
これ英語が英語になる前のゲルマンソ語という時代に近いです。
この時代はですね、文型は残っていないんですが、いろいろな間接証拠からですね、いわゆる apple の air はですね、
普通の日本語的なあにむしろ近かっただろうとされてるんですね。
あだったんです。つまりこの時代だったら apple でよかったんですね。
apple なんて現代英語割に発音する必要はなくて、apple でよかったんです。
それが1000年ぐらい前、あるいはもう少し前ですかね、この古英語の時代までに、もともとあだったものが今風なえになったんですね。
少し下が前寄りになったと言いますか、上に上がったと言いますかね、このえに近い音になるんです。
ということはこのゲルマンソ語から古英語にかけてこんな音になってしまったのが、
じゃあ現代につながるこの apple の大元なのかというとですね、そう話は簡単でもなくて、古英語でこのえになりましたよね。
その後次の中英語時代にはですね、また戻ってですね、あになんです、普通の日本語的なあになんですね。
そして近代英語記から、そしてまさに現代英語記にかけて、これがまたまたですね、えになったんです。
つまりどうもですね、2000年前から順にですね、あ、え、あ、え、というふうに振り子が振れるようにですね、このあとえの間をですね、繰り返し動いてきた、移り変わってきたようなんです、この音は。
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apple を例にすれば、最初は apple だった。それが apple になり、中英語記に apple になり、そして近現代英語記になって apple となったと。
そうすると、もう数百年経てばですね、このまま振り子が続けば、また apple、つまり普通の日本語のあですから、我々にとってはとても発音しやすい、聞き取りやすいあになる可能性だってあるわけですね。
一体この音は、2000年の間、英語で何をしてきたのかということになりますね。これは何とも言えません。よくわからないんですが、とにかく振り子が振れるように、あ、え、あ、え、というふうに繰り返してきたということです。
これも、実際のところは全ての時代に、全ての両方の発音が常にあったと思うんです。より優勢の方を代表させて言うと、先ほどのように、あ、え、あ、え、と、移り変わってきたにすぎません。
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