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おはようございます。英語の歴史を研究しています堀田隆一です。 このチャンネル英語の語源が身につくラジオheldioでは、英語に関する素朴な疑問に英語史の観点からお答えしていきます。
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またコメントやシェアの方もよろしくお願いいたします。 本日の話題は、
講座の概要
朝カルで世界英語入門を開講しました。 と題して一昨日6月11日に開きました朝日カルチャーセンターでの
世界英語入門講座の振り返りをしたいと思います。 一昨日6月11日の土曜日の午後に朝日カルチャーセンター新宿教室にて予告していました通り
講座、英語の歴史と世界英語、世界英語入門というタイトルでお話しさせていただきました。
こちらは4回のシリーズで、その第1回、初回がですね この間の回だったということなんですけれども、世界英語
World Englishesという今非常に話題の 英語に関する
トピックに注目した講座ということになります。 その4回のうちの初回ということで、World Englishes
世界英語というもののこの概念そのものの入門ということで、 3時間にわたってお話しする機会をいただきました。
この2年間ほどですね、コロナ禍によって朝日カルチャーセンターの方もですね 今まで対面オンリーだったわけなんですけれども、そこに
ハイブリッド形式と言いますかね、 オンラインリアルタイムでの参加、そしてその時間に出られない方はですね
オンデマンドという形で、向こう1週間は視聴できるという形で、 さまざまな形で参加できるというようなスタイルになっているんですけれども、
やはりなかなか時代は変わりましたね。 対面で出ている方が3分の1ぐらいで、オンラインで参加する方が3分の2
ということで、その中でも半分ぐらいはその時間にリアルタイムで視聴して参加していただいているんですけれども、 半分ぐらいはオンデマンド、その時間には出られないということで、その後に
録画してあるものを見ていただくという形でですね、 参加の仕方のオプションは広がったようなんですけれども、
その分インタラクションといいますかね、参加者の方々との交流であるとか質疑応答みたいなものは、教室にいる場合には直接できるんですけれども、
そうでない場合には少し方法はあるとは言ってもですね、やはりなかなか簡単ではないというような、 そんな感じの印象を受けたんですけれども、
世界英語という現象ですね、この世界の様々な英語を細かく見るということになりますと日が暮れてしまいますので、
そうではなくて、世界英語ワールドイングリッシュという21世紀的な現象を捉えて、それを私たち日本人ですね、
日本語母語話者として主に英語を外国語として勉強している者の立場から、この英語の世界で起こっていることをどのように理解したらいいのか、
そしてこのような状況に対してどのように今後向かい合っていけばいいのかということを主眼にして、いろいろと議論したい、考えたいという趣旨で行っている講座です。
一通り3時間の講座ですね、初回の講座を行いまして、様々な議論をしたんですね、その中でも、世界英語とは一体何なのかということですね。
現在、ワールドイングリッシュという形で様々な英語が世界各地で生まれている。
それは、いわゆる英米のスタンダードイングリッシュとは違う形ですね、いわば方言の形でどんどんと新しいものが生まれ続けている。
そして場合によってはその各地各地でですね、その国の政府であるとか、いわゆる権威を持っている人々がですね、この現地での英語、その生まれた英語ですね、非標準的な英語を容認するという形で、いわば複数の標準英語みたいなものが各地で生まれているという状態なんですね。
一方で、我々が英語に求めているものは何かと言いますと、当然国際語としての英語、国際的に最も重要なお互いのコミュニケーションを確保するための英語というふうにですね、英語の役割をだいたい我々見ているわけですよ。
ですので、いろいろ様々な標準ができてしまうというのは困るという考え方になるわけですね。
一つのABA標準、これはですね、歴史的に培われた一種のブランドですよね。これをベースにみんなが通じる、みんなが合意するような標準英語というもの、世界標準、これを作ってこれにみんなが向かう、遵守するということであれば、
国際コミュニケーションのツールとしての英語の役割が保たれるということですね。これが主に日本語を母語とする我々のような人間にとってはですね、こここそが英語の役割だろうと思っているわけです。
ですから、なんでいろんな様々な英語が発生してしまうんだ。これは悪でしかない。社会的には悪いことである。そうではなくて、やはり一つの英語、それはABA標準というブランドのあるものにみんなが従うということになれば、国際的なコミュニケーションのツールとしての英語、この役割が確保されるということで、
このために日本人は英語を勉強しているんですよっていうのが非常にわかりやすい論理なんですね。
ところが、いろいろとですね、英語をめぐる状況を見ますと、この考え方、日本人としては当然の考え方が決して世界では当たり前の考え方、当然の考え方ではないということがだんだとわかってくるんですね。
そうすると、別のファクターを考える必要があって、この英語をめぐる問題って言いますかね、このワールドイングリッシュズをめぐる問題にも別の角度からの考察っていうのが必要になってくるっていうことがわかるんです。
それは何かと言いますと、ただ伝え合いと言いますかね、言葉で伝え合ってお互いにわかることができる、そのための言葉なんだということだけではなくてですね、アイデンティティを示すっていう効果。
つまり、例えばインド英語っていうのがありますけれども、インドの人々、インド人にとってはイギリス英語をそのまま使うということは、ある種の、もちろんステータスシンボルにはなります、国際的な、しかしそれはある種イギリスにあるいはイギリス英語に魂を売ったということになるんですね。
インド人としてのプライドがあります。自分はインド人である。インドの人間である。そうしますと、国際的にはさすがにヒンディー語であるとか、現地の言語を使うことはできないので、英語をしゃべることになるんですが、その国際的に英語ですらイギリス英語、いわゆる標準英語を使っているようでは、インド人としてのアイデンティティを示すことができない。
その一種プライドであるとか、アイデンティティを示すために、インドなまりの英語、いわゆるインディアン英語をあえて選んで使う。国際的な場でもですね。というような可能性があるわけですよ。
つまり、国際的に標準的である、いわゆるイギリス英語、アメリカ英語の標準的なものですね。これとは少し違うことをあえて使うというモチベーションが、世界の英語話者の中にはあるということなんですね。
伝え合うことが大事、通じ合うことが大事ということであれば、一つの標準に修練すること。これがとても大事なんですけれども、世の中、それだけの方向で進んでいるわけではない。むしろですね、標準とは違う方向で、自らの独自性を示す、独自の方言を使いたいという欲求も常にあるんですね。
今後の講座について
この標準とは逆の方向ですね。逆向きの力というのは常に働いている。そしてこれが決して小さい力ではないということです。むしろお互いに一つの言語にして、結びつき合おう、理解し合おうという力と同じぐらい強い力で反対向きの力、独自性を発揮しようという力が、世界の各地で起きている。
というところが、英語をめぐる、いわば、急伸力と遠伸力という非常に大きな問題につながっています。21世紀の世界における言葉の問題、私はここに尽きるんではないかと思っています。言葉の急伸力、そして遠伸力という話題です。
今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。ご意見、ご感想、ご質問、チャンネルで取り上げてほしいトピックなどがありましたら、Voicのコメント機能、あるいはチャンネルプロフィールにリンクを貼っています専用フォームを通じてお寄せください。
昨日、朝かるに参加していただきました多くの方々に、この場を借りて御礼申し上げます。様々な質問をいただきまして、これからのシリーズの残り3回にフィードバックを生かしたいと思うんですね。このワールドイングリッシュズ、これってそもそも何なんだろうか、ということですね。21世紀において、世界において様々な英語が話されている。
標準英語ではなくてですね、標準英語とはかなりかけ離れた様々な英語が話されているっていうことは何なんだろうか。このことを今後のシリーズの第2回、3回、4回でも考え続けていきたいと思います。
第2回は8月6日の土曜日の午後になります。3時半から6時45分ということで、次回は近代英語記における英語の世界的拡大。いかにしてイングランドの言語が世界的に用いられる世界語ですね。
文字通りに地球上に分布する言語、地球上で理解される言語に発展していったのかという最もダイナミックな時代。この時代にスポットライトを当てて、現代のワールドイングリッシュズとは何か、この問題に迫っていきたいと思います。2ヶ月ほど先の話ではありますが、お申し込みのほどよろしくお願いいたします。