2025-12-08 20:15

#1653. Take an umb. with you. もう1つの役割

【今日のひとこと】
「意味限定機能」とも関係する「空間関係明示機能」

【ハッシュタグ】
#heldio #hel活 #共起表現 #アスペクト #意味論

【参照URL】
https://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2025-12-04-1.html


▼hel活のハブ The HEL Hub のホームページが2025年10月18日よりオープンしています

- https://user.keio.ac.jp/~rhotta/helhub/
- heldio, helwa はもちろん hellog や YouTube 「いのほた言語学チャンネル」などの様々な媒体での英語史コンテンツの新着が日々集まってくるページです.毎日複数回更新されています.

▼2025年10月15日に新刊書が出ました(電子書籍版も11月25日に出ました)

📕井上 逸兵・堀田 隆一 『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』 ナツメ社,2025年.

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- Amazon 新着ランキングの英語部門で第2位を記録

▼12月18日(木)より,大阪梅田のライヴハウス「梅田 Lateral」にて新刊書「いのほたなぜ」の刊行記念トークイベントを開催します(後日アーカイヴ視聴も可)

- 詳細・チケット入手:https://lateral-osaka.com/schedule/2025-12-18-17606/
- 井上&堀田(堀田はリモート出演)が新刊書について語り尽くします
- お題は「「いのほた言語学チャンネル」のスナック言語学 〜呑める!言語学の話〜」です

▼helwa リスナー有志による月刊誌「Helvillian」の第14号が公開されています

- 第14号(2025年11月28日):https://note.com/helwa/n/n128c1a0253e2?magazine_key=m82eb39986f24

▼2025年6月18日に新刊書が出ました

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▼パーソナリティ,堀田隆一(ほったりゅういち)の詳しいプロフィールはこちらの note 記事よりどうぞ.

- https://note.com/chariderryu/n/na772fcace491

▼2025年7月7日に『英語史新聞』第12号がウェブ発行されています.

khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』第12号がウェブ公開されています.こちらよりアクセスしてください

- 第12号:https://drive.google.com/file/d/1eQawDu2njFNMMVKDUr4JRZdIWTNHDdha/view?usp=drivesdk

第12号公開については,khelf 公式ツイッターアカウント @khelf_keio (https://x.com/khelf_keio) を通じても案内しています.
リツイートなどを通じて「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)にご協力いただけますと幸いです.

▼プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) も毎週火木土の午後6時に配信しています

- https://voicy.jp/channel/1950/premium

以上,よろしくお願いいたします.
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https://stand.fm/channels/650f4aef0bc9d6e1d67d6767

サマリー

ポッドキャストでは、英語表現「Take an umbrella with you」における「with you」の役割を探求しています。その意味の限定機能と空間関係の明示機能について扱っています。特に、この表現が動詞の意味をどのように絞り込むかを考察し、実例を用いて説明しています。また、英語の前置詞の役割についても考察されており、特に「Take an umbrella with you」を通じて、空間関係や時間関係の明示機能を通じて前置詞の意味がどのように限定されるかが詳しく説明されています。

表現の背景と発端
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、 英語のなぜに答える初めての英語史の著者、そして6月18日に研究者から刊行された
英語語源ハンドブックの著者の堀田隆一です。 加えて10月15日に夏目社より新刊書が出ました。
同僚の井上一平さんとお届けしているyoutubeチャンネル 井のほた言語学チャンネルから生まれた本です。
井上一平堀田隆一著言語学ですっきり解決英語のなぜ。 11月25日には電子書籍版も出ました。
ハッシュタグひらがな6文字で井のほたなぜとしてご意見やご感想をお寄せください。 また来る12月18日には大阪梅田ラテラルにて
井のほたなぜの観光記念トークイベントを開催いたします。 概要欄のリンクより特設ホームページをご覧ください。
英語の語源が身につくラジオヘルディオ。 英語史をお茶の間にをモットーに英語の歴史の面白さを伝え
裾野を広げるべく毎朝6時に配信しています。 本日は12月8日月曜日新しい1週間の始まりです。
みなさんいかがお過ごしでしょうか
本日はですね昨日もお届けしましたこの1週間ちょっとですね 何度もこの話題でお届けしております
Take an umbrella with you のwith you この謎についてということなんですね
先々週の金曜日ですね 10日ほど前になりますかねに問答に投げた回答がですね多くの反響を呼びまして
みなさんにこの問題を考えていただいたということなんですね その時にですね
基本的には意味限定機能という観点でですね お答えしたんですね
ただ皆さんからのいろいろ反応を受けて改めて考え直したりですね 調べたりするとですねこの機能に尽きるわけではないなということがわかっていきまして
もう一つのwith you の役割 これあるんじゃないかなということでですねお話ししたいと思います
ズバリ空間関係明示機能というふうに名付けてみましたが こちらについて今日はお話いたします
どうぞよろしくお願い致します Take an umbrella with you のwith you これ何で必要なのかという中学生から寄せられた素朴な疑問を出発点としまして
それに回答をしましたところモンドという媒体で回答したんですけれどもね その公開公表自体はですね
x の方からお知らせしたところその x 投稿が今までですね329万インプレッション
という私の x 市場 最大の数となりましてびっくりしたということでこの後追いフォローアップの配信会をこの
ヘルディをでも何度かお届けしてきました その時の回答ではですねこの with you っていうのはテイクという動詞基本動詞ですがが
あまりに多義的いろんな意味があるということで with you をつけることによって持っていくという意味ですね
ただ取るではなく持っていくという動きのある方の意味ですね こちらの意味に限定されるのであるとつまり with you があることで
テイクの様々な意味の中からこれというふうに 持っていくの意味が選ばれるという
公文全体としてテイクの意味が浮かび上がるような 仕組みになっているんだということですね
コロケーションの役割の一つというのがこの意味限定機能ということがあると思うん ですよね
それでまああのグイグイ押して説明していったというそんな回答だったんですよね その後いろいろ私自身も考え直してみました
他に何かですねアイディアがないかなぁであるとか あるいは昨日の配信会でたくさんご紹介したリプライですね
他にもたくさん来ておりましてそちらを読みながらですね皆さんのご意見等も伺った上で 改めてですね腰を据えて考えてみたんですね
そして類例を集めてみたりしてですねまあ分析というほどではないんですが こんな意味もあるんじゃないかなというふうに考えましたのでそちらお話ししたいと思います
数日前にですねへログ英語種ブログというブログの方でもそちら書きましたのでぜひ お読みいただければと思います今回はですねあのその腰をコートで
お話ししたいと思います ペイカーアンブレラー with you というこのいうというのはですね
この分命令文なんで主語としていうが前提とされているんですね 表出はしていないんですがいうですよね
なのでこれ最期的に使われている with you のいうだということになります 最期的というのは主語と同じ人物を指しているっていうことです
このように主に分末にですね前置詞プラス認証代名詞 しかもそれが最期的に使われることが多いっていうそういうパターンですねこれをですね
他にどんな例があるかなっていうのを調べてみました これクワークエットオールという参照英文法の中からですね
この類で集めてみましてね7例ぐらいありますので ちょっと読んでみたいと思います
he looked about him それから she pushed the cart in front of her
she liked having her grandchildren around her
they carried some food with them have you any money on you
we have the whole day before us she had her fiancé beside her いかがですかね
分末にですね前置詞プラス 主語自身に帰っていく認証代名詞というこの例文パターンですね
いろいろあるなぁということがわかるかと思うんですね この中で前回の問答で取り上げた時にも似たような文参照しましたねこれが
5番目に読み上げた have you any money on you っていうこれですね
これお金を今肌身につけて持っている ポケット財布に持っているって意味ですよね
あなたはお金持ちかどうかっていうことを聞いてるんではなく 今所持金ありますかという点で on you ということですね
have というのも非常に広い意味を持ちますので 一般的に持っているつまり貯蓄しているぐらいの意味なのか
それとも今手に持っているっていうことですね 家に持ってるとか銀行に持ってるんではなく今持っているという
この2つの大きな違い意味わかりますかね 一般的な意味と今どうなのかっていう意味
同じ今持っていると言ってもだいぶ異なる語彙に相当すると思うんですよね これを on you とつけることによって今どうなのかという
have の語彙の方に限定するということですね なので前回のですね意味限定機能というのはここでも発言されている
発動されていると言っていいと思うんですね ただ他の例文を見ますと必ずしもですねその語彙を限定しているっていうことではなく
ある意味そのままストレートなんですけれども 全知事っていうのは典型的に空間を表す
空間関係を表すっていうのがうまいわけですね 委員とか音とかうまいというよりもこれがまあ存在維持と言ってもいいと思います
そして空間関係から派生する形で時間にも使えるようになったというのが まあ一般にですね認知言語学などでも考えられているその前知事の
発達の方向あるいは多義化の方向というふうに考えているわけなんですが なのでまあ空間も入るんですけどね
いや時間も実際には考慮に入るんですけれども今回はですね 空間というまあ一点で考えた方がわかりやすいということで
空間関係明示機能と 考えてみればそのままなんですが全知事の役割がですね
そのままフルに発揮されている例というふうに捉えられるんじゃないかというふうに 思うんですね
空間関係の明示
例えばですね一番目のhe looked about him これ周りをキョロキョロ見渡した見回したっていう感じですよね
これないとですねhe lookedだけだと見たになって何をどう見たのかわからないので 相当なコンテクストがないとですね
これどんな見方をしたのかっていうのが想像できないわけなのでその後に about him ってやったわけです
でこれがですね例えば above him とかですね behind him というとまた違った見方になりますよね
そうした他にもあり得る above him とか behind him とかその他諸々ではなく about him なんだと
周りをなんだというふうにこの見方を限定している
別の言い方で言うと彼というその主語にとってですね
彼自身の立場から見てどういう方向に目をやったかっていうことを示しているのが about him ということなんですね
全知事のそのものの意味がフルに発動されているっていうケースだと思うんですよ
この場合ですね look の意味を限定するという捉え方よりも空間関係を明示していると
彼とのその見ている目のやり場って言いますかね
それの位置関係といった感覚です
次に she pushed the cart in front of her というのも
後ろにではなく前にカートを押したということがはっきりするわけですよね
she liked having her grandchildren around her
周りに孫たちがいる状態が好きっていうこの周りにっていうことですよね
away from ではないっていうことですよね
around her ということなんですよね
つまり対比がですね意識されるっていうことです
次 they carried some food with them
前置詞の意味の考察
これは take an umbrella with you と似たような漢字なのかなと思いますね
これは意味限定機能とも言えますし
この場合はですね常に携帯している
携行しているというようなwithの携行
携帯の意味がフルに発動されている例かなというふうに思いますね
そして5番目が先ほど読み上げた
have you any money on you ということですね
次時間への応用ってことで
we have the whole day before us
目の前に丸一日横たわっているっていう感じで
つまり今日丸一日使えるぞっていうことなんですよね
この丸の意味はthe whole day の whole で確かに出ているんだけれども
全都に広がっているっていうイメージで
before us がつくわけですよね
これ確かにいなくても十分に通じるんだけれども
広々と丸一日が広がっているっていう雰囲気が出るわけですよね
時間の話ではありますが
この目の前に海があるいは青空が広々と広がっている
空間みたいなものになぞらえることができるっていう意味で
メタファーですよね
空間から始まって時間へ及んだメタファーということができると思います
そして最後
she had her fiancé beside her
これもhaveが他義だということで
それを限定する働きだという意味で言えば
意味限定機能と言えるんですが
もっとビジュアル的にですね
あるいはvividにすぐ横にフィアンスがいる状態だという
このイメージが湧くわけですよね
そうするとこれは空間関係明示機能といっていいんではないかということですね
このように類似する文例というのをいくつか見てきましたが
共通して言えるのはですね
実は読み方、発音上ですね
この前置詞の部分にアクセントが置かれるんですよ
普通前置詞というのは矯正を伴わないっていうのが一般的なんですが
この公文においては前置詞にアクセントが置かれる
つまり
take an umbrella with you
have you any money on you
これは前回の意味限定機能についても
それから今日ご紹介した空間関係明示機能についても
親和性はありますよね
こっちの意味じゃないよ
あっちの意味だよっていう限定する働き
あるいは空間関係として
aboveではないよ
aboutなんだよという風に
何か対比強調の気持ちが入っているっていうこともあって
この前置詞自体を浮き立たせたいっていうことなんですよね
そもそも代名詞もやはり弱く読まれることが多いですし
関係性の分析
しかも主語と支持対象が一緒ということもありますので
こちらの方は相対的に弱く読まれるっていうことだと思うんですよね
なので場合によってはですね
この代名詞に相当する部分が省略されて
前置詞の形だけ残るという使い方
例えば
Pat felt a sinking sensation inside her
とも言えますし
Pat felt a sinking sensation inside
とも言えるっていうことで
この最後のherというのはオプションであると
つまりinsideがそれだけで
独り立ちして副詞的にも使えるっていうことですね
ここからも分かる通り
やはりinsideっていうこの前置詞に強制が置かれる
次に来る二小代名詞の方はですね
オプションとなるぐらいに弱いんだということになります
前置詞が前面に出てくる構文と考えて差し支えないですね
ということで今回は
Take an umbrella with youのwith you
これは意味限定機能なんだと
前回の問答回答では回答したわけなんですが
その後考えてですね
類似の構文にはまた別の役割があるのではないか
これは前置詞の意味がフルに開花しているような
そんな例文が多いわけで
そこから考えるとですね
空間関係名字機能あるいは比喩的に
時間関係名字機能ということにもなるかと思うんですが
そんなものがあるのではないかなと考えた次第です
ただですね
これ二つ別個の機能というふうに
説明の便宜上したんですけれども
多分ですね
繋がっているんだろうと思うんですね
意味限定機能と空間関係名字機能
これはですね
根っこのところでは多分繋がっているんだろうなと思うんですね
というのは意味限定機能もですね
Take an umbrella with youの例を取りますと
Takeが取るなのか
それとも取った後にちゃんと携帯までするという意味なのか
これは動詞Takeの意味のアスペクトの問題なんですね
意味を限定するというよりも
もっと言うとですね
Takeという動詞のアスペクト
いろいろありうる中のアスペクトの一つに限定するっていう
機能と言い換えることができるのではないか
もしかしたらそちらの方が厳密な言い方なのかもしれないっていうぐらいなんですね
そして動詞のアスペクトっていうのは
動詞っていうのは動きがあるもので
典型的には物理的動きがあるものですね
Takeは本当に典型だと思うんですけれども
物理的動き運動となりますと
これは空間の話なんですよね
どこからどこへ移動するとかですね
これ完全に移動
物理的移動運動の話題なので
そうするとですね
空間関係明示機能
当然関わってくるだろうという
これ感覚があるんですよね
なので二つの独立した機能というよりは
多分連続体でどこかで繋がっているような機能の
二つの側面を切り出して
前回と今回でお話したと
そういうふうに捉えていただく方が
多分正解なのかなというふうに思っております
エンディングです
今日も最後まで放送を聞いていただきまして
ありがとうございました
いかがでしたでしょうか
Take an umbrella with youの問題ですね
まだまだ考えることありそうですが
この手の構文本当にいろいろあるんですね
前知事プラス死後に戻っていくような
最期的代名詞
ただセルフはついていない形ということですね
面白い関連表現がありましたら
ぜひですね
お教えいただければと思います
サンプルが多いとですね
色々分析対象というか
議論の対象になっていくと思いますので
ぜひコメント欄等でお寄せいただければ幸いです
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英語の語源が身につくラジオヘルディオでは
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それでは今日も
皆さんにとって良い一日になりますように
英語史研究者のほったりうちがお届けしました
また明日
20:15

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