2025-10-28 17:00

#1612. なぜ ic が I になったのか?

▼hel活のハブ The HEL Hub のホームページがオープンしました


- https://user.keio.ac.jp/~rhotta/helhub/

- heldio, helwa はもちろん hellog や YouTube 「いのほた言語学チャンネル」などの様々な媒体での英語史コンテンツの新着が日々集まってくるページです.


▼2025年10月15日に新刊書が出ました


📕井上 逸兵・堀田 隆一 『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』 ナツメ社,2025年.


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▼helwa リスナー有志による月刊誌「Helvillian」の12号が公開されています


- 第12号(2025年9月28日):https://note.com/helwa/n/n7754627fffb2


▼2025年6月18日に新刊書が出ました


📙唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.


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▼パーソナリティ,堀田隆一(ほったりゅういち)の詳しいプロフィールはこちらの note 記事よりどうぞ.


- https://note.com/chariderryu/n/na772fcace491


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▼2025年7月7日に『英語史新聞』第12号がウェブ発行されています.


khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』第12号がウェブ公開されています.こちらよりアクセスしてください


- 第12号:https://drive.google.com/file/d/1eQawDu2njFNMMVKDUr4JRZdIWTNHDdha/view?usp=drivesdk


第12号公開については,khelf 公式ツイッターアカウント @khelf_keio (https://x.com/khelf_keio) を通じても案内しています.

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1. レギュラー放送は,これまで通り,最大限に良質な内容を毎朝お届けしていきます.プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」のための課金の余裕がない方々(例えば中高生や英語史を真剣に学びたい苦学生など)は,無料のレギュラー放送のみを聴き続けていただければと思います.レギュラー放送では,皆さんに最良の放送をお届けし続けます.


2. プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」で得た収益の一部は,レギュラー放送の質を保ち,毎日円滑にお届けするための原資とします.


3. また,収益の一部は,Voicy 以外でのhel活をさらに拡大・発展させるための原資とします.


4. ときに khelf(慶應英語史フォーラム)やプレミアムリスナーにも協力していただき,hel活の新機軸を打ち出していきたいと思っています.企画本部としての「英語史の輪」です.

5. ぜひとも「英語史の輪」のプレミアムリスナーになっていただきたい方


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 ・ 私(堀田隆一)の話をもっと聴いてみたい方

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 ・ パーソナリティおよびリスナーさんどうしで,もっと交流したい方


以上,よろしくお願いいたします.

サマリー

このエピソードでは、一人称単数主格代名詞「私」を意味する古英語の「一致」が、現代英語の「i」へと変化した過程を探求しています。音声変化やバリエーションについて考察し、語形の進化に関する重要なポイントが紹介されています。また、英語における「i」の音変化についても詳しく解説されており、特に小英語から現代英語に至る過程やGreat Vowel Shiftの影響が取り上げられています。

英語の変化の過程
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語詩ブログの管理者、英語のなぜに答える初めての英語詩の著者、そして6月18日に研究者から刊行された英語語源ハンドブックの著者の堀田隆一です。
加えて10月15日に夏目社より新刊書が出ました。同僚の井上一平さんとお届けしている youtube チャンネル
井上言語学チャンネルから生まれた本です。井上一平堀田隆一長。言語学ですっきり解決英語のなぜ
ハッシュタグひらがな6文字で井上なぜとしてご意見やご感想をお寄せください。 特設ホームページも概要欄のリンクから訪れていただければと思います。
英語の語源が身につくラジオヘルディオ。英語詩をお茶の間にをモットーに英語の歴史の面白さを伝え、
裾野を広げるべく毎朝6時に配信しています。 本日は10月28日火曜日。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
昨日の話題の続きをお話ししたいんですね。 昨日は一人称単数主格代名詞の歴史的意見は丸々種類
ということでですね思いのほか多くの異形が現れるということなんですけれども 直接の続きというよりもですね
昨日 古英語ではこの私はを意味する単語は一致という形だった
スペリング的にはicと2文字で書くのが典型だったんですが一致と読ませたんですね これがどうしてiにまでなったのか
この音変化の謎に迫りたいと思います そして昨日の異形の話ともやはり関わってくるなぁと思うんですね
昨日触れなかったポイントにも触れつつですね この重要な単語、現代標準英語のiの
置いた地 そしてどんな形状の変化を遂げてきたかについてお話ししたいと思います
それではどうぞよろしくお願い致します 昨日の配信会お聞きいただけましたでしょうか
音変化のメカニズム
一人称単数主格代名詞の歴史的異形は丸々種類ということなんですね 今日はですね
古英語の一致がいかにしてiになったかという通じてき変化のお話をしていくんですが この変化を遂げる間にもですね
ある時代を一点に止めてもちょっと古い形がまだ残っていたり あるいは先進的な先取りしたような形がすでに使われていたりと
同じ時代の中でも神経、休憩というのが入り乱れているんですね さらに方言という事情もありますので
そうすると様々な異形があるのは当然というふうにも思えてくるわけですね このように異形が
同時代に存在するこの現象を変異と言いますね バリエーションと言いますね 一方
語形が変わっていくこれは通じてきな話で変化ですね バリエーションとチェンジというのは
同じように変化と訳すこともあるんですが これ全く捉え方が違うっていうのはわかりますかね
時代を止めて その時代の中で境地的なバリエーションを見るという そういう使い方がバリエーションですね
それに対して時間軸に沿って通じてきに変化を見る チェンジを見る こういう使い方をするのがチェンジだということで
それぞれ境地帯と通じた異なる次元に属した用語だということなんですね ただこれはですね なかなか不可分なところもありまして
今回のように愛の意形を眺めていると これは境地的変異でもあり通じてき変化でもあり
いずれによっても説明できる あるいは両方を合わせて説明すべきものなのかもしれないということになるんですね
さあ今日はですね その中でも主に通じてき変化 どうして古英語一致が現代英語標準英語の愛に変化してきたかという
音の変化の話題が基本になりますが もちろん変異の問題にも関わってくるということなんですね
まずですね 一致という形 ここをスタート地点としたいと思うんですね
古英語では最も典型的な形で綴り字はicと書くのがほとんどです このちゅの音がですね
中英語期ぐらいまで続いたんですけれども 既に中英語初期ぐらいからですね
ちゅの部分が落ちだしたんですね つまり初期中英語12,3世紀ぐらいのことなんですが
ちゅを未だ残している形とちゅが既に落ち始めた形 そしておそらくですね
iへの進化と解釈
そのちゅが限りなく弱まって 痕跡があるかないかわからないかのようなですね
例えばihと書いたりですね 何なんだろうこれはという発音ですね
ちゅが消えかかっている発音なのかもしれないわけなんですけれども いろんな現れ方が初期中英語期ぐらいにあったんですね
ところがですね 後期になりますと だんだんこのちゅが落ちた方の形の方が優勢になってきます
未だちゅの形も残ってはいたんですけれども 押され気味です
新しく出てきたといいますか ちゅが落ちた形ですね 現代英語につながるような形がですね
どんどん優勢になってきたっていうことが確認されています
とりわけですね 次の単語ですね つまりiなりの一致ですよね
一致の次に来る単語が母音の時には ちゅが残りやすいんですね
一方 次に来る単語の始まりの音がですね 詩音の場合 これちゅとその詩音がですね 連続するのを嫌ってということだと思うんですが
ちゅが落ちやすくなっているということなんですね
これは詩音連続を避けるべく ちゅが積極的に自らを脱落させていったというふうに見ることもできるかもしれません
これはですね ヘルディオお聞きの方はですね あれに似てるなとピンと来た方もいらっしゃるのではないでしょうか
そうです ヘルディオ第一回で取り上げた 不定漢詩あとあんの話ですね
もともとはあんだったわけです n がちゃんとついていたわけなんですが 後ろに詩音で始まる単語が来る場合には n は落ちやすかった
これは詩音連続を回避するためと見ても良いんではないかということなんですね
これとパラレルに今回の一致の地の落ち方もですね 考えることができるっていうことだと思います
ただ結局はですね後ろに来るものが詩音で始まるものであれ 母音で始まるものであれ構わずにちゅは落ちていくことには結果的にはなりました
さあ今やですね一致の地が落ちたんでいという形になりますね そしてこれがですね
おそらく伸びるんですね あるタイミングで
いいというふうに長文になります なぜ伸びるのかというのはこれいくつか
解釈説明があってですね おそらく一般的ですかね英語詩の教科書などに載っていることが多いかなというのは
大小延長という考え方ですねこれ何のことかというとは大小的に 長化する
あるいは延長する音が伸びるっていうことなんですけれども つまり同じ一語の中でですねある音がなくなったらその分の音の長さを埋め合わせるべく
残っているものが伸びるなりしてですね全体の単語全体としての長さは 保持されるというような理屈ですね
いろんな単語に起こっていて比較言語学などではですね これはかなり重要な原理とみなされているんですね
これを今回のケースに当てはめますと一致の地が消えたと あるいは消えかかったとすると大小延長ですね
これcompensatory lengtheningというふうに 用語がありますが 地が消えかかった
つまりなくなって短くなりかけたところで残ったiの母音の方はちょっと長くなる そして中が完全に失われた場合にはやはりその分ですね
iが伸びて結局二重母音にiとなる そういう説明です
iの時とiの時 あるいはですね長さがその中間的なものとか いろんな現れ方が実際にはあったのではないかと思われるんですが
全体としてはiという二重母音になったということなんですね 一つこれはあの説得力があると言いますか 他にあの類例がたくさんあるということで
有力視されているわけなんですが もう一つはですね 大小延長という理屈で伸びたんではないという考え方でですね
何かと言いますと このiをはじめとした代名詞であるとか 他に前置詞 接続詞なども含みますかね
いわゆる機能語 ファンクションワーズと呼ばれている 文法的な語に関しては
これはですね強く読む発音と弱く読む発音 つまり強敬と弱敬というのが大体あるもんだという観察に基づくものなんですね
例えばですね 何がありますかね
uというのもですね これ弱く読めばですね ユッユッユッってなるわけですよ
uというふうにしっかりと二重母音で発音しないわけですよね それからイズとかアーにしても
ヒーズとかヨーのように前に来るuの文字と単語とですね 融合してb動詞の部分イズとかアーの部分はですね
短くなるっていうことはよくありますよね これがまあいわば弱敬です
音の収縮と強化
短縮形と言われることが多いと思いますが 音が弱くなって長さも短くなるというものはですね たくさんあるんですね
&という接続詞も&で強めに発音するときありますが 普通は&ですし
ロックンロールのような場合にはnだけが残るという弱点になりますよね これは機能語というのは非常に日常的で
かつ内容語に比べれば定義上内容がない あくまで文法的な語ということで発音が常に弱くなりがちだということなんですね
ただ弱くなりすぎて0に近くなってしまうとこれは意味をなさないということで 再び強化する音を強くするというモチベーションが生まれるんですね
つまりこの収縮運動を続けていて 基本は弱まろうとする ただ弱まりすぎるとわからなくなるのでもう1回強める
そしてまた弱まる強まるっていうことが この機能語という語類は繰り返してきたんですね
今のuの形もそれで説明できると思いますし そして今回のiもですね 結局eという中間段階ですが
なぜiがeになるのかって言ったときに この強め 強めというのは典型的には音を伸ばすっていうやり方がありますね
これなんじゃないかという見方です いずれにせよ
どちらの理由かわかりませんがiがeになったんです ここまでのところをおさらいしますとまず一致だった
このちが消えて そして大小延長なり あるいは発音の強化なりでですね
残ったiという短母音が長母音になります eになります ここまでくればあとはもう15世紀以降始まった大母音推移
Great Vowel Shiftを持ち出せば一発ですね eという長母音は
二重母音にまずなるんですね 最初の音はですね ちょっと弱めの曖昧母音のaになって
a、aになったんですね eからa、a そしてこの第一の曖昧母音がもう少し鮮明に
しっかりと発音されるようになってiとなったのが おそらく後期近代後期ぐらいですかね
もう現代が間近というタイミングで今の形 iになったということです
今回つずりん地の問題にはそれほど触れませんでしたが この同時代に常に強形と弱形があるという観察ですね
これは当然異形が増えることになります どの時代にも少なくとも2種類 強形と弱形2種類あるっていうことになるんで
昨日お話ししたiの異形98種類 これにこの強形弱形という対立もですね貢献しているはずなんですよね
というところで昨日の補足でもあり そして小英語ichがなぜ現代のiになったかというお話をしました
最後の最後に 音変化まとめます小英語から現代語に行きます
いっち い
いい えい
あい ということである意味偶然の産物でこの一人称
単数主格代名詞は今 i になっているんだと これもですね奇跡と言わずまでもですね偶然の側面がかなり大きいんですね
強形が取られたか弱形が取られたか 大小延長が起こったのか起こらないのか
とうとういろいろなことがあって今この形になっているんだ そしてこれはこの単語のみならず全ての単語
そして全ての言語の全ての単語についてこういうことが起こっているんですよね エンディングです
今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました いかがでしたでしょうか
i という一語からですねどんどん展開できますね なので先日土曜日の朝かる講座はですねなかなか時間が足りなかったというところでですね
このヘルディオでも補足的追加的なこのiに関する話題 またお届けしていきたいと思います
とりわけですねこのiのような基本語に関しては 英語語源ハンドブック6月18日に出たあの本ですけれどもこれがおすすめです
特に認証代名詞は緩末にまとまっています 認証代名詞の歴史というのは
昨日今日述べた通りこのiに関するだけでもですね いろいろと語ることがありますということで本文本編の中に
普通に扱うんではなくて後ろにまとめて扱おうということで緩末にテーマ別という セクションの一つとしてですね
i とその周辺の語もまとめてあります ここはもう一つの読み物と言っていいものになっておりますのでぜひですね
英語語源ハンドブックのテーマ別セクションの認証代名詞 こちらじっくりお読みいただければと思います
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それでは今日も皆さんにとって良い1日になりますように 英語子研究者のほったり打ちがお届けしました
また明日
17:00

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