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2025-03-08 06:00

hellog-radio #3. なぜ q の後には必ず u がくるのですか?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #綴字
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サマリー

英語では、qの後に必ずuが続く理由を考察しています。この現象は、言語の歴史や文化的要因と深く関係しています。

q と u の関係
今回の英語に関する素朴な疑問は、なぜ q の後には必ず u がくるのですか、という質問です。
スペリングの問題ですね。確かに q の文字というのは非常に変わっていて、必ず、ほぼ必ずと言っておきますかね、次に u がきます。
確かに、ある文字の次にですね、ある別の文字が続くというパターン、ある種の傾向というものは英語のスペリングにもあります。
しかし、100%というものは、ほとんどないんですね。この q を除いてです。q u の繋がりは、ほぼ100%と言っていいでしょう。
queen, quick, quiet, quote, quality。 q の後には、ほぼ必ず u がくるということになります。
これはなぜかということですね。実際ですね、q が現れた瞬間に、次にくるのは u であるということが、ほぼ完全に予測可能なわけですよね。
そうしますと、理屈としてはですよ。情報理論的に言えば、 u の情報価値はゼロということになります。
q とくれば、必ず q u という繋がりでくるということは自明ですので、 u がなくたって、q だけでですね、
q u の働きを果たしている。その了解が互いの間にあればですね、一文字省略して q だけでいいんではないかと。
経済的、情報理論的にはそういうことになります。したがって queen は q u e e n ですが、そうではなく q e e n
こうすると、一文字減らせるじゃないかと。これ見慣れないだけで、慣れてしまえば楽と言えば楽ですね。書く時にも打つ時にも、そして読む時にも、一文字分
経済的になるわけです。で quick というのも q i c k と書けば良いことになる。これはこれでいいんじゃないかという考え方はあるかと思います。
言語の歴史的背景
しかし、英語ではそのような経済化の方向での変化は生じたことはありません。
一般論的に言えば、言語は必ずしも経済的な方向に進むわけでもないんですね。
で、合理的な方向に進むかという、また経済とは別に合理化という方向があるんですが、これについても考えてみましょう。
実はこの q u で今綴られるような単語は、基本的には小英語ではですね c w と綴ってました。
したがって queen というのは、小英語ではクエーンという発音だったんですが、これを忠実に表して c w e n と書いてたんですね。
同じように quick という単語は c w i c。
これはこれで発音記号のように読めて、それはそれでわかりやすいということになります。
cw というやり方が確立していたにもかかわらずですね、中英語記にこれがのきなみ q u に書き換えられます。
これ同じ二文字です。どちらかといえば cw の方が発音を忠実に表しているようにも見えますので、
むしろとりわけ合理化していないと。文字数は一緒ですし、どちらかといえば発音の表し方がより忠実でない方向に変化したかのようにも見えます。
これは当時フランス語あるいはラテン語、つまり大陸の言語ではこの q u という音を表すのに q u という通りを使うという慣習が確立していたからです。
そしてアングロサクソン人、英語話者たちはその大陸文化を憧れて、つまりフランス語やラテン語の式たりに憧れて、英語にもこれを導入した。
そして古来使っていた cw というものを捨てていったということですね。
このように通りの変化だけを見ていましても、言語は必ずしも経済的に変化するわけでもなく、さらには合理的に変化するわけでもないという可能性がここから示唆されるわけですね。
cw を q u でに変化したことで何のメリットがあったか。
あったかといえば大陸の進んだ文化、かっこよさ、知的な雰囲気、エレガントな匂い、それを q u で表すということにしたわけです。
ある意味では経済的、合理的とは反対の方向の無駄な、しかし重要なかっこよさというものを指向した結果なのかもしれません。
その結果といいますか、ずっとその干渉を引きずり、現代でも qw という発音は q u というスペリングで表すという干渉が定着したというわけです。
英語においては q の発音を表すのに c もあり得ますね。それから k もあります。
そして見たように q u というのもあります。少なくとも3種類の綴り字を使い分けて、句、下行音というのを表現しているわけですね。
この三つのものへの非常に厄介な関係は、実は英語史にとどまらず、さらに古いローマ時代、古代ローマのラテン語の時代、
さらに遡ってエトルリア語や古代ギリシャ語の時代にまで、この源は遡ります。非常に古い歴史があるということです。
この話題に関しましては、ヘログの3649番、2367番、1824番、これらの記事を参照いただければと思います。
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