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2025-03-08 10:03

heldio #231. なぜ親指は thumb なの?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #語彙論 #親指
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サマリー

今回のエピソードでは、親指が英語で「thumb」と呼ばれる理由と、日本語との違いを探求しています。英語では親指と他の指が明確に区別されており、言語的な物の呼び方の違いが文化にどう反映されているかが説明されています。

親指の特別な扱い
おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、なぜ親指は thumb なの、という話題です。
親指。これは親の指というふうに日本語では言うわけなんですけれども、英語では何とかの指、何とかフィンガー、例えば big finger なんて言いそうなんですが、言わないんですね。
全く語源の違う thumb, t-h-u-m-b というものを使う。そして残る4本の指が finger なんだ、ということで thumb と finger を明確に分けるというのが英語の発想なんですよね。
で、これ何でなのと、日本語の発想からすると当然そう思うわけです。この謎を含め、 thumb の不思議にいろいろと迫ってみたいと思います。
日本語では、5本の指、手の5本の指はすべて指は指なんですよね。
で、言い方として、今一番大きいので親の指っていう形で親指。
それから人差し指、中指、薬指、小指というわけですよね。
それぞれ英語ではこういうふうに呼ぶわけですね。
まず thumb, index finger, middle finger, ring finger, little finger。
英語では他にもそれぞれの指、言い方が違うものがあったりするんですが、一般的な言い方として今挙げたような表現が使われます。
親指だけが独立して thumb という表現なんですね。
では何で thumb だけ特別扱いするのかということなんですね。
日本語ではそういう発想はないわけですから。
一般的に言いますと、こういう物の呼び方ですね。物の故障というのは世界をどのように区切るかということで、
これは言語学ではサピア・ウォーフの仮説といってよく知られている現象なんですが、
この切り方、世界の分節の仕方、そしてそれぞれに名前を与えるやり方ですね。
これは言語ごとに違うというのはよくある話ですね。
親指を特別視するのが英語であるとか、その他の言語も結構あるわけなんですが、そういった言語。
それに対してあくまで他の4本と同列に考えるというのが日本語的な発想なわけですよね。
これはどちらが良い悪いということではなくて、どういう見方をするかということで、言語文化ごとに違っているということなんですね。
こういう現象は非常に多く存在すると思うんですね。
言語文化の違い
身近なところでは日本語では兄・弟というふうに年上・年下というのを分けるわけですよね。
姉・妹も一緒ですが、これが英語ではそこは分けずに、
brother・sisterというふうに、もちろん言おうと思えばelder brother・sisterとかyounger brother・sisterというふうに言い分けられるわけなんですが、
一般的にそれほどそこが重要でないという場合には、あえて言わずにbrother・sisterというわけですよね。
実はこのサム・フィンガー問題というのも同じようなことなんですね。
英語の語彙感覚としては普通は分けると、デフォルトではサムとフィンガーを分けておこうという発想なわけです。
ではですね。
このAA辞典でフィンガーを引いてみますと、こういうふうにあるんですね。
というふうに、これ明確ですね。
4本の指のことを指すのがフィンガーであって、サム、親指のことは含まないんだという言い方をしています。
ただですね、これまともにそのまま受け取ってはいけなくてですね。
通常はこういうふうに親指を別のものとして考えるんですが、
特にこの親指が他の指と比べて特別な存在ではないという趣旨で言うときですね、言及するとき。
例えば人間の手には5本の指があるなんていうときはですね、フィンガーでいいんです。
つまりサムも広い意味ではフィンガーなんです。
その証拠にですね、別の辞書ですが、
ちょっと古いやつですが、これを引いてみますとこうあります。
つまりデフォルトでは4本のことを普通指というわけなんですが、
必要とあらばですね、親指も含めて5本の指ということはあるということなんですね。
例えばですから、
これ非常に正確な言い方なんですけれども、
あまりに逆に正確すぎてですね、ちょっと区別がうるさい感じですね。
なので英語だって、
という言い方はちゃんとできるわけですよね。
なのでデフォルトとしてはフィンガーに対して親指サム。
だけれども全体をひっくるめて指と言いたいときは、
やはり日本語のようにですね、サムだってフィンガーの仲間なんだということですね。
こういうのはレクシカルブロッキングなんて言ってますね。
語彙的なブロックということで、
通常は英語の発想としては4本の指対1本の親指という見方をしている。
ただその区別がとりわけ重要ではないという文脈において、
例えば人間の手には5本の指があるという場合には、
thumbの関連表現
広い意味でサムを含んだフィンガー。
こういうフィンガーの使い方というか意味もあるんだということですね。
親指が人間にとって特別な指であるということは、
英語だって日本語だって考えてみればわかることなんですね。
明らかに圧倒的に強い指ですし、他の4本と対抗する。
これ重要なんですよね。枝を掴むという樹上生活。
サルにとってはとても重要な指つきなわけで、
当然言われてみれば際立った役割を果たすのが親指である。
だから異なる名前を与えるという英語タイプの言語と、
だけども手の先についているという意味では一緒じゃないかと捉えて、
あくまで指と同列に考えるかという違いだけで、
考えてみれば理屈はどっちもわかるというようなところなんですね。
大きい問題ではないような気もします。
ちなみに語源を探ると、このサムっていうのは、
たとえばサウザンドなんかのTHの部分と近いんですね。
語根としては大きいとか膨れ上がったって意味なんです。
実はサウザンドっていうのは膨れ上がった大きい100って意味なんです。
つまり100×10ってことですね。
他にサインなんてのもありますね、太もも。
これも膨れ上がって太いですね。
ということでサムのこのTHの部分って言いますかね、
その後ろの母音も含めてなんですけれども、
陰陽祖母、鬼坂登ると大きい、膨れ上がったってことなんですね。
なのでサムっていうのは膨れ上がった指、大きい指っていうことで、
まさにわかりやすい意味ですね。
一方、フィンガーっていうのは、実はこのフィンの部分は5と同号弦なんです。
やはりフィンガーもやはり5本指なんじゃないかということに言われるわけですね。
さて、語源を確認したところで、
これからはですね、現代英語におけるサムを使ったいくつかのフレーズと言いますかね、
それいくつか挙げてみたいと思うんですけれども、
まずあるのは、
The all fingers and thumbsという言い方ですね。
あるいはアメリカ英語では、
The all thumbsとだけ言いますかね。
これ、手が不器用だっていうことなんですね。
指が不器用だっていうことで、
例えばシャツのボタンを止めるのにやたらと時間がかかってしまうような日ってありますよね。
そういう時、I'm all thumbs todayなんて言い方をしますね。
それから、昨今はSNSなんかでも非常に禁止する表現になってますが、
Thumbs up、thumbs downって言い方しますよね。
Theがつくことが多いんですが、
これは賛成する、反対するというぐらいで、
giveと一緒に使うことが多いですかね。
例えば、
The project was finally given the thumbs up。
なんていう風に、その計画は最終的に、
賛成、つまり合賛意を出されたというような表現ですね。
Thumbs downっていうのは逆で、
No、反対意見を出すっていうことで、
The performance got the thumbs down from the critics。
なんて言い方があります。
それからですね、
Be under one's thumb。
誰々の親指の元にあるっていう言い方なんですが、
これ、誰々にコントロールされている。
誰々に影響を受けて、そのコントロール下にあるというぐらいの意味ですね。
例えば、He was still under his father's thumbのような言い方です。
たくさんありますね、thumbの関連表現。
それではまた。
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