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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
行列の英語の違い
今回取り上げる話題は、行列の queue と line という話題です。
行列を意味する単語として、皆さん何を思い浮かべますかね。
多くの人はですね、line これは非常にストレートで、列ですから、line ということが思い浮かぶわけなんですが、これは典型的にアメリカ英語における行列なんですね。
イギリスでは、この行列の意味では、普通 q を使います。
この q っていうのは、非常に変なスペリングなんですけれども、q u e u e というふうに綴って、これで q というふうに、アルファベットの q と同じ発音ですね。
ただ、5文字使って q と綴るわけなんですが、これを通常の行列という意味で使います。
通常を使うというよりもですね、ある種、これはイギリス人の修正、この行列を作るということですね。修正になっているんですね。
これ私、忘れもしませんが、中学生の時の英語の教科書にですね、イギリス人、イングランド人なんですが、の説明としてですね、
A Q Loving People というようなタイトルの一説があったんですね。
イギリス人、イングランド人は、行列を愛する人々だ、というわけですね。
行列なんていう面倒なものを愛する国民がいるのか、一種のこれはもちろんステレオタイプではあるんですけれども、イギリスに留学したことがある意味としてはですね、
ステレオタイプであるけれども、やっぱり本当だと思うわけですね。非常によく行列を作るということです。
もちろん他の国民もですね、やむを得ずに行列を作るということはいくらでもあるわけですよね。
中国でもインドでもそうですが、そして日本だってそうですね。現代人、現代の日本人はせっかちで、普通行列を作るというのは普通好きではないわけなんですが、
街角でラーメン屋であるとか寿司屋なんかに、よく列を作っているので、ある意味アキュー・ラビング・ピーポーではあると思うんですね。
こういう事情はあるわけなんですが、とりわけ一種のステレオタイプとして、そして必ずしもステレオタイプだけではなく本当のこととして、イングランド人はですね、アキュー・ラビング・ピーポーであるということで、
queueとlineの語源
このキューというのはイギリス英語ではですね、品質しますし、一つのキーワードと言っていいのかもしれません。
一種このステレオタイプをですね、霊性するべくですね、こんな言われ方があるというのを一つ紹介しておきたいと思うんですが、ジョージ・マイクスという人がですね、1946年のHow to be an Alienという本の中で、こんな風に言っています。
キューイング is the national pastime of an otherwise dispassionate race. The English are rather shy about it and deny that they adore it. なかなか面白い味わいのある引用だと思います。
さて、今日はこのキューという単語ですね、これについて考えてみたいと思うんですけれども、今述べたように、アメリカではLINEと言いますね。
イギリスではこのキューというのを使うということはですね、有意所正しいイギリスの英語としてですね、キューというのが伝統的有意所正しい単語なんではないか、行列を表すですね。
そしてLINEというのは、味も素っ気もないようなただの列ですから、これはいかにもアメリカで新しくできた単語のように見える。
こんな印象を抱いていだくんじゃないかと思うんですが、実は事実は逆なんです。
LINEの方が古くて、キューという方がむしろどうも新しいということが語源を調べるとわかるんですね。
では事実、LINEの方が古いということなんですが、これはですね、古英語から確認されます。
ゲルマン系の単語で、ゲルマン祖語ではLINEONなんて言ったんですが、これがですね、古英語でも紐という意味で表れてきます。
これは非常に古い語、ゲルマン祖語で、さらに遡ったところにある単語ですので、同根の単語がラテン語にあって、これがLINEAというんですね。
これがフランス語を経由して、改めて中英語記にフランス語を経由してLINEAというのが入ってきました。
つまり、もともと英語にあって紐を表したものですね、これ古英語からあったわけですが、と別途ですね、ラテン語、フランス語と経由して英語に入ってきたLINEAというもの。
これ両方は大元をたどれば同一の語源なんですが、これが列の意味を持ってですね、中英語以降に合流したということになりますね。
そして近代英語記ではですね、イギリスでこのLINEというのがですね、列の意味で普通に用いられたということです。
これがそのままアメリカ、北米に持ち込まれたということになります。
つまりずっとですね、イギリスでもアメリカでも、近代以降少なくともですね、行列を表す単語はLINEでやってたわけです。
ところがです、イギリス側で新しいことが起こりました。
これ近代になってから、近代も実は後期になってからですね、フランス語で列を意味した別の単語、これがQに相当するわけなんですが、これがですね、19世紀前半に英語に入ってきたんです。
つまりQというのはフランス語で、そこからのかなり遅い釈用語として英語が受け入れたということなんですね。
これカーライルのフレンチレボリューションにおいて初出します。英語ではですね、列の意味です。
そしてもともとあった列の意味として存在していたLINEを追いやって、Qというのが行列を表すものとしてイギリスで定着したということです。
この流れではもう別途ですね、アメリカではもうLINEが定着して現在まで来ていますから、これはイギリス独自の話なんですけれどもね。
イギリス英語の習慣
このQという単語なんですけれども、実はですね、中英語末期にこの単語はフランス語からですね、先に別の意味で英語に入ってきています。
一列の踊り子たちぐらいの意味ですね。フランス語のQという単語が入っています。
これ自体は何かというと、ラテン語のカウダという単語、これはオですね、獣のオ、オッポ、シッポのことです。
ということで、列という意味に繋がるわけなんですが、これが先に入ってきてた。
英語でも従って当初の意味はですね、オ、シッポの意味として使われていて、例えば今でもですね、関連語としてコーダオンというとオッポノ、シッポノという形容詞になりますし、それからスイユイと書いてですね。
通り字は変わるんですが、Qってありますね。これビリヤードの月棒、Qです。列といいますか棒ですよね。それから弁発って意味もあります。
このような意味が一時ですね、18世紀ぐらいまでに流行った後に、19世紀にフランス語を再び参照して、フランス語で当時この単語が持っていた意味である列という意味を獲得した、英語も獲得したということになります。
この意味での書類はですね、このカーライルの1837年のまさにフレンチレボルーションというタイトルの本の中で出てきているわけなんで、実はフランス語的な、フランス的な文脈で行列の意味で出てくるというのが面白いところですね。
つまり、Q loving people はイングランド人ではなくて、もともとフランス人だったのではないかとすら思われるわけです。
いずれにせよですね、この後イギリス英語の中にQというのが行列という意味で定着し、もともとのラインを追い出したということになります。
ですから、イギリスにいるとですね、これはもう品質単語ですね。
例えば、Are you in the queue? とか、How long were you in the queue? なんていう質問が飛び交ったりするわけですね。
ラインではなくて、Q。これは極めて優れてイギリス的な、イングランド的な単語だということがわかります。
しかし、必ずしもラインよりもこっちの方が、Qの方が古いというわけではない。むしろ逆で、かなり新しい単語だというふうに言えるわけですね。
なかなか驚きの事実ではないでしょうか。
それではまた。