数字の不規則性
おはようございます。英語の語源が身につくラジオヘルディオのパーソナリティ、 そして英語の歴史を研究しています堀田隆一です。
8月14日、日曜日です。 今日は、非常によく寄せられる英語に関する素朴な疑問にお答えしたいと思います。
お題は、なぜ one teen, two teen ではなく eleven, twelve というの、という疑問です。 本日もどうぞよろしくお願いいたします。
数字の話題なんですけれども、これはですね、1年に1回か2回必ず寄せられる素朴な疑問なんですね。
11、12を英語で、11、12というわけなんですけれども、13以降は割と規則的に13、14、15というふうに、前半部分が1の位ですね。
少し語形が変わったりしますが、基本的に3、4、5、これが元になって、その後に10ですね。
という形をつけて、3たす10、4たす10、5たす10、みたいな言い方で表現していくと。これがですね、19まで続くということですので、作り方としてはですね、非常に分かりやすいと言いますか、一貫しているんですが、13から19までなんですよね。
なぜ、11、12もですね、同じ作り方で1teen、2teen、みたいな言い方をしないんだろうかと。これはですね、確かに英語を学び始めた時から突っ込みたくなるような現象としてですね、ずっと気になっていたっていう人も多いかと思うんですね。
これが他の単語の意味にも効いてきていまして、例えばteenagerと言いますね。いわゆるteenですけれども、これは10代の少年、少女ということなんですが、本来的にはこれ13歳から19歳までっていうことなんですね。
実際上の使い方は、そこからプラスマイナス12歳っていうことで、やはり緩く10代のと捉えても良いところなんですが、本来的にはやはり13以上なんですよ。teenと語尾につくのは13からなので、厳密に言えばそういうことになるわけですよね。
なので、日本語で10代と言った時には当然10歳、11歳入るんですが、英語で割と厳密な使い方をするteenagerという場合には13歳以上ということで理解しておいたほうが良いということですね。
緩く10代という言い方は英語だってしますので、それはそれでありなんですけれども、こんなところにも11、12っていうのがちょっとのけものであると。それ以降の13以降の規則的な作り方からは外れているメンバーだということが改めてわかるんですが。
じゃあなぜなのかっていうことですね。これは一つ有力な説としましては、本来英語が属するゲルマン系ですね。ゲルマン語派では12を基本とする数の体系、いわゆる十二進法ですね。十二進法というものが幅を聞かせていたという、これがまず背景にあるようなんですね。
ところがゲルマン語派ではないですね。他の大陸での言語の数え方の習慣っていうのは十進法だったと。我々が馴染んでいるあの十進法だった。ここで大陸の影響により、本来十二進法の考え方が染み付いていたところに十進法が入ってくる。
そうするとバッティングするわけです。いろんなところで。いろんなところでといっても一番バッティングするのは十一と十二ですよね。十二進法の本来の世界ではここまでが、つまり1から始まって12までが一つのグループだったのが、十進法の発想では1から10までであって、11からはまた次のグループ、11から20までのグループに入るっていうことで、
11と12は2つの進法考え方の中で、どうしても合い入れない食い違いが出てしまう。まず最初の箇所なんですね。これをいかにしてゲルマン語、英語も含めてですがは処理したかということになります。
十二進法の伝統の中に十進法の伝統を何とか入れ込もうとする様々な努力とか苦労というものの慣れの果てって言いますかね。結果として変なことが起こっているのが十一と十二なんだっていうのがまず基本的な背景ですね。
そしてどのように発想を切り替えたのかというと、11と12なんですが、これ語源はですね、11のえの部分っていうのがこれ言ってみれば1なんです。1が包まったものと考えていいんですね。
だから11っていうところはこれ実はleave、残すとか置き去りにするってあのleaveの過去分詞形leftと関係するんです。つまり1leftってことですね。12の方も同じですね。
英語史における考察
12のtoの部分はtoですよ。そしてlveと綴られるあの部分がやはりこれleave left leftのleft、過去分詞のleftに相当するわけなので、若干形は違いますが11と12っていうのは結局1left、2leftという言い方だったんですね。
ちなみに小英語での語形を挙げますと11はendleovonと言ったんですね。これがだんだん包まって今11になっている。12の方は割と古くからですね、現在に近いです。12という形だったんですね。これが今語尾は濁って12となっているんですが、1left、2leftという言い方に起源があるっていうことなんですね。
これどういう意味なのかと言いますと、例えば12個ある石を数えていくという際に取りながら1、2、3っていう風に石を取っていくわけですよ。
10までは数えられたと10としてですね、その後2つの受信法、12信法という2つの考え方がバッティングしたところでの言い方の工夫っていうか苦労の後が見られるんですが、10の後、受信法の考え方でここで1回終わりなんですね、グループとして。
なので、おそらくこの新しい受信法という考え方を受け入れたときにですね、11、12をどう考えるかというと、10個1グループ取り終わったんだけど、まだ取り終わらずに残ってしまっているものがあるっていう発想ですね。
1レフト、2レフトっていう風に置き去りにされた、残された1個、10を数え切った後にまだ1個残っている、まだ2個残っているっていうような言い方、これに起因するんだろうという風に考えられています。
この言い方で言えば、13だってですね、3つ残されているみたいな感じで、3レフトのようにいうことだってもちろんできるわけなんですが、ここはどう説明するのかなっていうのは、なかなか難しいところですね。
とにかく2つの信法でバッティングしてしまう、矛盾が起こってしまう最初の部分が11と12だったっていう、そのあたりに何か秘密、鍵があるんではないかということなんですが、これ以上はですね、深く説明されてはいないと思うんですね。
答えというよりもヒントぐらいで終わってしまいますけれども、この英語に残る12信法周りの話につきましては、今後もまたこのHeldioで取り上げていきたいと思うんですが、既に私自身が書いたものもあるんですね。
そちら紹介しておきたいと思うんですけれども、NHKラジオ講座中高生の基礎英語in Englishというですね、講座のテキストがありますが、この中でですね、昨年度から今年度にかけて英語史の連載を私書いています。
その今年の2月号ですね、2022年の2月号の中で、実はこの話題、なぜ11と12というのというズバリの問題を扱っています。今日お話した以外にも12信法周りのちょっとした話題、関連する近隣の話題ということで書いておりますので、そちらも参考にしていただければと思います。
さて、今日は数字の話題だったんですけれども、この7月末あたりにですね、一度リスナーの皆さんとの間で数字の話題で盛り上がって、何日かですね、数絡みの話をしてきたんです。
今日も少し日にちは飛びましたが、その流れとして捉えていただければと思うんですが、関連する放送ですね、ぜひ合わせて聞いてみてくださいということでご紹介いたします。最初にですね、この数絡みの話をしたのはですね、419回だったと思うんですね。
23が3&20、23ではなく3&20という言い方、これを見つけたということでですね、報告がありまして、これについて私が解説したっていうことです。
それからですね、422回、大きな数の象徴としての60という話もしました。424回、英語における二進法的発想、今日の話題に非常に関係してきますよね。
それから425回、英語には2が深く浸透しているということで、いろいろと数の話をしてきましたので、合わせてお聞きください。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
数字の話っていうのがですね、続いてきていて、一つのコーナーと言いますか、ジャンルと言いますか、このHeldioの中でもよく取り上げられる話題になりつつあるんですけれども、今後もですね、関連する話題を投入していきたいと思います。ご期待ください。
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それでは、今日も良い日曜日になりますように。ほったりうちがお届けしました。では、また明日。