戦争の影響と英語の語形成
おはようございます。 英語の語源が身につくラジオヘルディオのパーソナリティー、そして英語の歴史を研究しています。
堀田隆一です。8月15日、月曜日の朝です。 本日は終戦記念日ということで、77年目の夏ということになります。
先の戦争の歴史を思い出す、忘れずに続けるという意味での記念日というふうに理解していますが、今でも残念なことにウクライナでは戦争が繰り広げられています。
昨日14日なんですけれども、ボイシーの公式ツイッターで非常に面白いと言いますか、有意義な企画が展開されていまして、ボイシーで戦後77年の夏、8月14日、明日は77回目の終戦の日、戦争を考え未来につなげていくコンテンツを一気に紹介します。
今日は、今まさに起きているウクライナへの軍事進行についての放送を紹介します。
ということで、様々なパーソナリティが語るウクライナ戦争の初層、様々な側面から、これがまとまっていまして、私も昨日これを聞いたんですね。
非常に勉強になりまして、皆さんにもぜひ聞いていただければということで、この冒頭のチャプターにそのリンクですね、貼り付けておきます。
さて、今日の話題なんですけれども、終戦記念日ということで、やはり戦争に関する話題をお届けしたいと思うんですけれども、戦争と英語の語形性というちょっと変わった話題です。
それでは本日もよろしくお願いいたします。
戦争と言葉と言いますと、これは非常に大きいテーマですね。
戦争と文学という話題も関わっていきます。
それから戦争とレトリックなんていうのも非常に大きなテーマですよね。
ここでは言葉っていうのを言語学でいうところの言語っていうにかなり狭めてみたいんですけれども、それでも話題は実は豊富なんですね。
すぐに思い浮かぶのは語彙です。
大きい戦争が始まると新たな語彙ですね、が大抵生まれるものです。
信号ができたりですね、新たな例えば軍事的な武器であるとか、飛行機の名前であるとか、施設の名前であるとか、
普段平時には使わないような語彙っていうのが多く必要となるっていうことで作られる、造語されるっていうことですね。
これは想像できるかと思うんですけれども、あるいは完全な造語でなくとも、例えば軍隊であるとか、政治の世界では専門用語として使われていたかもしれませんが、平時には一般の人々に知られることはなく、
あくまで専門用語として使われていた。
それがですね、戦争になりますと、それがメディアを通じて一般の人々にまで降りてくると言いますかね、広がってくるっていうことがあります。
ですので、その単語自体はすでに英語なら英語、日本語なら日本語にあったとしてもですね、レジスターが変わるって言うんですかね。
いわば、軍隊のジャーゴンと言いますか、専門用語だったものが一般に知れ渡ってですね、広く理解されるようになるっていうような、このレジスターの変化っていうのも含めて、戦争と語彙というのは非常に深い関係にあるんですね。
実際には、戦争だけではなくて、いわゆる社会的大事件ですね、昨今のコロナ禍もそうですけれども、信号が追い正しく作られましたよね、コロナ関連ということでですね、このような社会的大事件ということと、語彙の増加であるとか意味の変化というのは密接の関係にありますね、このことは比較的わかりやすいんではないかと思うんですね。
今日お話しするのは、もう少しですね、もう一段階、抽象的と言いますか、単語そのものと言うよりも、単語の作り方ですね、これが戦争という社会的大事件の影響を受けて、新たな語の作り方が生まれるっていうことが、今から100年ほど前、第一次世界大戦前後に起こっているんですね。
アクロニムとイニシャリズムの歴史
何かと言いますと、当時語と呼ばれている語形成です。当時というのは、頭の字の語ということですね、英語ではacronym、acronymというふうに言います。
この用語自体は、ギリシャ語の要素を使った造語で、acroっていうのは、頭、てっぺんってことですね。
任務っていうのが名前ということですから、まさに当時語と訳すにふさわしいような関係なんですが、これはですね、皆さんもよくご存知だと思います。何のことかというと、例えばNATOですね。
これ英語ではNATOっていう発音ですけれども、これはNATOと書いて頭文字を取っているわけですよ。何の頭文字かというと、North Atlantic Treaty Organizationっていうことですよね。それからTOEIC、これ英語のテストですね。
これはTOEIC、Test of English for International Communicationということで、この頭文字を取って、合わせたものを一単語であるかのように読む、TOEICであるとかNATOということですね。
それに対して、同じように頭文字を取るんだけれども、一文字ずつ読むっていうケースですね。例えばUSA、これは例えばユーサと当時語、アクロニムで読めそうなんですけれども、そうせずにあえてUSAというふうに言ってますね。
こういうのはイニシャリズムと言って、一応区別します。ただ、結局は複数の語からなるフレーズの頭文字を取って並べて短くするっていう点では一緒ですね。これを一単語であるかのように読むのがアクロニム。それに対して、一文字ずつアルファベット読みにするUSAとかEUっていうタイプですね。
これはイニシャリズムというふうに区別するっていうことなんですけれどもね。
今日の話はどちらかというとアクロニムの話なんですけれども、イニシャリズムももちろん関係はしてくるので、合わせて考えていただいても結構です。この語形勢ですね。今となっては本当によく見る。この語形勢が実は戦争と深く関わっているっていう、そういう話題なんですね。
アクロニムを見かけない日、聞かない日っていうのは、もう今ないんではないかっていうぐらいありふれたものなんですけれども、この歴史はですね、本格的な歴史はと言っておきましょう。これ100年ぐらいのものなんです。そして戦争に関わりがあるっていうことで、いわば20世紀の語形勢、造語法なんですね。
実際にアメリカンダイレクトソサイアティっていうところが、毎年の英語の流行語っていうのを公表しているんですね。もう22年も前の話ですけれども、2000年というのは特別な年だったので、ワードオブザイヤーだけじゃなくてワードオブザセンチュリーみたいなものも発表したんですけれども、これがですね、このワードオブザセンチュリー、つまり20世紀のワードオブザセンチュリーは何かということで、
対象には輝かなかったんですけれども、ノミネートされたものの一つが、実はこのアクロニムなんです。それぐらい20世紀を代表する語の作り方というふうに認知されていたっていうことなんですね。
さて、その歴史なんですけれども、このイニシャリズムとかアクロニムという発想、一種の言葉遊びみたいなもので、古くからないわけではなかったんですが、本格的にこれが語形勢として利用されるっていうのは、実は第一次世界大戦の時期なんです。
この時期に様々な軍事関係の用語ができたんですね。複数の単語を組み合わせて長い表現を作るわけですよ。あまりに長すぎるっていうんで縮めるというこのモチベーションでできたのが、まずはですね、AWOLって言うんですかね。
語形性の起源
これはアブセントウィダートオフィシャルリーフということで、無断欠勤ですね。これ軍隊用語だったんですよ。この頭文字を取ってAWOLということですね。AWOLなんて読ませたんだと思うんですが、それから、そしてこれは有名ですけれどもANZACSっていうのがありますね。
これは第一次世界大戦の時のオーストラリアニュージーランド連合軍のことですね。Australian and New Zealand Army Corpsということで頭文字を取ってANZACSということですね。1915年に出ていますかね。
ただ、まだ散発的ではあったんです。そんなに多くはなかった。ところがですね、1929年に世界恐慌が起きまして、1930年代、ローズベルト大統領によるニューディール政策ですね。
かのニューディール政策を遂行するためにアメリカに無数の部局が生まれたんですね。そしてその部局名って日本語でも長いですよね。漢字十何文字とかなることが多いんですが、その名称として様々なものができてきた。
例えばNIRAって言うんですかね。NIRAっていうことでNational Industrial Recovery ActであるとかTVA。これはイニシャリズムですけどもTVA。Tennessee Valley Authorityのような表現ですね。これが多用されて、特に報道英語、ジャーナリズムで好まれたっていうことですね。
ジャーナリズムでこうした造語っていうのが流行ってきたと。そして第二次世界大戦です。軍事部局が無数に作られて、やはり同じような略語が生まれました。もうこれ何と発音していいんだかわからないんですが、Aideboerbuとでも読ませるんでしょうかね。
EIDEBOWABEW。長いですね。これ何かというとEconomic Intelligence Division of the Enemy Branch of the Office of Economic Warfare Analysis of the Board of Economic Warfareです。
これはジュゲムみたいなもので言ってらんないので、Aideboerbuとかそんな発音だったのかわかんないんですが、こういうふうに一息で言えるくらいのものに縮めたっていうことですよね。
それからMEWでこれはミューと読ませるんでしょうかね。Ministry of Economic WarfareであるとかWAVESでWomen's Appointed Volunteer Emergency Service。現在引っ張りだこの語形勢であるアクロニムの厳選は戦争だったっていうことです。
戦後は軍事的政治的なものだけではなくて様々な部局組織であるとかあるいは科学技術の名前なんかにも応用されるようになって、短いのでやはりジャーナリズムなんかとは非常に相性が良かったということだと思いますね。略語です。
ということで、今大流行りしているということなんですけれども、あまりに溢れすぎていて、例えば新聞なんかを見ていても何の略語かわからないっていうことも増えてきましたね。これ英語だけではなくて日本語の新聞なんか開いても相当にあります。紙面の中にすでにこのアクロニムが英語のアルファベットいくつか並んでいるものですけれども、これよく見ますね。
わからないのでアクロニム辞典っていうのが専門で出ているくらいになってますよね。それくらい20世紀によく作られた。そして21世紀にかけてもさらに爆発っていう感じですよね。今をときめく英語の語形性と言っていいんではないかと思います。
短いスペースに情報をひたすら詰め込みたいっていう現代のニーズですね。情報化社会のニーズに適合しているって言いますかね。答える形の語形性ということで大流行りしているんだというふうに私は見ています。
ただそのスタートがまさか第一次世界大戦だったということはですね。これ知らないとまた知らないというちょっと驚きの出来事だと思うんですよね。戦争と言葉というと語彙ですね。新しい語彙ができるっていうところまでは想像できそうなんですが、新しい語形性の方法が生まれる。
対応されるようになるっていうのはあまり考えついたことがなかったのではないかと思うんですね。こんなところにまで戦争は影響を及ぼしているということになります。
今日は終戦記念日ということで慎んで戦争と言葉に関する話題をお届けしました。
現代の語形性の潮流
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