言語学の基本構成部門の紹介
おはようございます。英語の歴史の研究者、そして英語のなぜ?に答える初めての英語史の著者の堀田隆一です。
8月22日、月曜日です。 新しい週間の始まりですけれども、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
英語の語源が身につくラジオヘルディオ。本日お届けする話題は、言語学の6つの基本構成部門についてです。
本日もよろしくお願い致します。今日月曜日なんですけれども、今週1週間はですね、私自身が
慶応義塾大学で英語学という講座ですね。 これを集中講義するんですね。
慶応大学には通信教育課程というのがあるんですね。通常の通学課程に対して通信教育部というのがありまして、そちらのスクーリングと言いますかね。
普段なかなか会えない通信の学生の皆さんと夏休みを利用して1週間、いわば集中講義という形でスクーリングって言いますけど、いわゆる対面の授業っていうことです。
これを集中的に行うということで、朝2コマですかね。 1コマが105分という長丁場ですので、2コマって言うと210分ですか。
これを午前中に2コマを終えて、これが月から末末、金、銅まで6日あるので、全12コマっていうことですかね。
かなりインテンシブで、例年先生も終わるとぐったり、そして履修している皆さんもぐったりというような感じになる、本当にエネルギーがグッと集中している機会なんですけれども、そこで今日からということですが、英語学という講座コースをスタートすることになるんですね。
これ、普段私、英語史をやる年も多いんですけれども、一緒にYouTubeをやっています。同僚の井上一平先生、英語学ご専門ですが、変わる変わる英語学も担当するという年があって、今年その年に当たっているということで、英語史プロパーというよりは、より広く英語を言語学するという、英語学。
これを担当することになっています。ですので、今週のVoicyもその勢いといいますか、スクリーングの余韻みたいのを漂わせながらの話題、関連する話題ですね。英語学に関連する話題っていうのに傾いてくるかなという気がするんですけれども、どうぞよろしくお付き合いください。
音部門の詳細
このチャンネルで扱っている英語史というのは、英語学の中の通じ部門といいますか、歴史部門という感じなんですね。もちろん、英語学の一種というふうに考えることができるわけなんですけれども、その点では、このチャンネルを聞き続けていただくためにも、英語学の基本的な考え方みたいなものですね。
これが分かっていると、いろいろ聞きやすくなるといいますか、用語なんかも分かりよくなるんではないかなと思いまして、今日は英語学とか、広くは言語学なんですけれども、を構成する基本構成部門6つ、これを紹介したいと思うんですね。
少し大学の授業っぽく、いつもよりもなってしまうと思いますけれども、重要な言語学を構成するコアな6部門ということで、こちらを導入したいと思います。
6部門ということなんですけれども、もっと大雑把に3部門に分けますと、まず、音、形、意味、この3つなんですよ。これがそれぞれ、少し細かく2種類に分かれるということで、3×2で6という、そういう区分ということをまず押さえておいていただいて、
音、形、意味ということなんですが、音から言ってみたいと思うんですね。音っていうのは、もちろん発音のことです。発音を扱うのにですね、2つ言語学ではアプローチがありまして、1つは音声学、もう1つは音韻論と呼んでいるものです。音声と音韻という違いなんですけれども、これ実はだいぶ違うことなんです。
音声学っていうのは英語でphoneticsって言いますね。phoneっていうのが元々ギリシャ語で音って意味なんです。なので、だいたいこれが入ってるんですけどね。音韻論もやっぱり音なんでphoneが入ってます。ただ、phoneticsに対してphonologyという言い方をしますね。これを日本語では音声学、音韻論と訳し分けているんですが、両方とも音の学であるということは間違いありません。
ただ、この2つどう違うのかっていうことですね。実はこの2部門の違いっていうのはですね、簡単そうでかなり難しいんです。最初に導入されるのがだいたい英語学とか言語学の教科書では音声学、音韻論ということがですね、伝統的にここから始まるんですが、実はこの区分であるとか音の話って一番難しいと言えば難しいんです。
なので、ある程度学んでから戻るとそういうことだったのねってわかる感じがしてですね、ただ伝統的にはこれ最初に挙げるんで、今回も最初に挙げてしまいましたが、これ説明する方法をずっと私も考え続けていまして、いろんなところで発表してるんですけれども、とりあえずこの場ではですね、こういう説明にしておきたいと思います。
音声学っていうのは、自然科学的です。理系的と言ってもいいですかね。同じ言語音、言葉の音というのを扱うんですね。母音とか子音とかなんですが、それをかなりですね、メカニカルにと言いますかね、機械にかけて音波を測定したりっていう、極めて理系的要素の強いところから始まって、それから発音するには口の中のどの部分をどう動かせばいいのかっていう。
これ聴音音声学って言うんですけども、これ言わば口の中の生理学ですよね。ということでやはり医学とかそういう方面に近いということで、ざっくり言うと自然科学に近い観点から言葉の音っていうのを研究すると。
一方で音韻論っていうのは、グッと文系よりと言いますか、各言語に引き付けた形で、英語の音韻論とか日本語の音韻論という形で、個別言語に引き付けた形で、その言語ではどういう音の構成になっているかということで、グッとですね。
文系よりって言い方も変ですけれども、その言語、特有の現象を扱うっていうことが多いのかなっていうことですね。これ聞いても抽象的でわからないかと思うんですが、思い切って具体的に言いますと。
ち、日本語のちというのをローマ字書きするのに、ヘボン式だとchiと書きますね。ところが訓練式だとtiと書きますね。このchiのように書くのが思い切って言うとこれが音声学っぽい話で、tiと書くのが音韻論っぽい話っていうことになります。
どちらが正しい間違いってことではなくて、音を見る見方がだいぶ異なるっていうことです。chiで書いても当たり、tiで書いても当たり、何が違うかというとアプローチが違うっていうようなそういう言い方になりますね。この2つが音部門っていうことです。
形部門の説明
次、形部門なんですが、形っていうのは単語の語形であるとかですね、あるいは文の形っていう言い方もできますし、いわゆる次に出てくる意味に対して形ということですね。語形であるとか文法の問題っていうのはだいたいこの形の問題です。
その中で2つに分かれまして、1つは形態論といっています。モーフォロジーですね。それに対して統合論というのがもう1つの方で、これシンタックスと英語で言いますけれども、形態論と統合論っていう2つが分かれているんです。何を基準に分かれているかっていうと、基本的に単位の大きさです。形態論っていうのは語の単位、単語の単位、あるいは単語より小さい単位ですね。
説当時とか設備時とか、ああいうものです。一方、統合論っていうのは1語以上の単位、典型的には2語以上、3語以上っていうのは語と語の組み合わせ方とか語順みたいな話題ですね。これを扱う、いわゆるざっくりと文法って言ってるのはこの形の話です。形態論。
服付けのSつけたり、3単元のSつけたりっていうのは形態論ですし、さらに疑問文を作るときにDoが出るとか、URがRUに変わるとかいう、ああいう文法の話っていうのは今度は統合論になりますが、合わせて文法と広く括られてますよね。これ形の話題なんです。
最後に意味です。形には対応する意味があります。例えば単語、単語には意味がありますね。さらに単語を組み合わせた1文、文、センテンスにも文の意味があります。この意味を扱うということなんですけれども、その中でも意味論、セマンティックスっていうものと語用論、プラグマティックスというものが分かれています。
ざっくり言うと意味論っていうのは辞書的な意味ということです。それに対して語用論というのは辞書的な意味ではなくて、その使っている現場で立ち現れてくる意味ということです。
皮肉の意味でYou are kindって言った場合ありますね。意味論的な意味はkindですから親切ななんですが、その場で特有に現れてくる意地悪ねという意味、これが語用論的な意味ということになります。
今日は私自身がスクーリングの初日ということで、英語学についてしゃべり始める初日ということで教科書的なと言いますか、やや堅苦しい話題になりましたが、
この英語学、言語学を構成する基本的な6部門ということで、音声学、音韻論、形態論、統合論、意味論、語用論、この6つ覚えておいていただければと思います。
言葉というのは一つの体系なんですけれども、あまりに複雑なので、こういった6つの単位に分けて研究するということが行われているんですね。もちろん相互関係というのは非常にそれ自体も大事ですし、それ自体も複雑ということなんですが、とりあえずdivide and conquerということですよね。
分野別に分けて、各分野について詳しく調べたり研究して、最後にいろんなことが分かったらまとめて大きく言葉とは何かと知りたいということで、戦略的に分けているというところがありますね。なので本来的には分かれていないんです。
言葉というのは、こうした6つの分野が根前一体となって、すべてが関わり合って機能して、言語の機能を果たしている、目的を果たしているということなんですけれども、研究するにはあまりに複雑なんで、とりあえず分けておこうという、あくまで戦略的に分けているということは重要ですね。
各分野が自立しているわけではないということです。他との関わり合いの中で言葉の機能を実現しているということなんですね。
英語史とチャンネルの紹介
このチャンネル、英語史に関する話題、主に単語ですね。単語の発音の変化であるとか、通りの変化ももちろんそうですね。使い方の変化、文法上の使い方とか、それから当然意味の変化ということも扱っていますので、まさに今日紹介した6部門にわたって単語一つとっても変わってきているんです。
変化という側面に焦点を当てた英語学が、いわゆる英語史ということになって、それをこのチャンネルでは主に取り上げているということです。ですので、今日の基本6部門の名前であるとか、それぞれの役割というのを少し意識していただけると、今後のこのチャンネル内でもたまに出てくるラベルですので、役に立つと思うんですね。
さて、このチャンネル英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、あなたのご意見ご感想ご質問をお待ちしています。チャンネルで取り上げてほしいトピックなども歓迎です。
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それではですね、スクールリングは9時からスタートなんですけれども、受講する方でこのチャンネルも聞いていただいているという方もいるかと思いますね。その際には9時に初めてお会いしましょう。それから他のリスナーさんにとっても良い1日になりますよ。良い1週間になりますよ。
ほったりうちがお届けしました。では、また明日。