2025-04-24 09:49

heldio #278. 中英語の人名のトレンド

#英語史 #英語教育 #英語学習 #人名 #中英語 #名前学
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サマリー

中英語期の人名のトレンドについて探求しています。1066年のノルマン征服以降、フランス語の名前が流入し、アングロサクソン系の名前からフランス系の名前に変化していったことが語られています。

人名の流行とその背景
おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、中英語の人名のトレンド、という話題です。
人名、人の名前というのはトレンドがありますね。
時代によって、英語でも日本語でも同じですけれども、流行りの名前、よくある名前というのが生まれてくるわけですよね。
人名というのは、親が子につけるケースが多いわけですので、どういう子になってほしいか。
誰々のような人間になってほしいという、さまざまな好みであるとか、その時代の流行りを映し出しやすい、反映しやすいということだと思うんですね。
基本的に人間は、人の名前というものに関心を抱く、そういう生き物なんだろうと思います。
今年の私の大学でのゼミの話になって恐縮なんですが、いつものように卒業論文というのが13件、今年は出されてきたんですが、
その中に2つ、英語史絡み、英語学絡みで人名、名前について扱う卒論が2本出てきたんですね。
これはたまたまにしても珍しい。
ノルマン征服と名前の変化
何か今年に偏った理由があるというよりは、これはたまたまなんだろうなと思いますね。
やはりたまに人名であるとか、固有名に関する話題を取り上げて、卒論のテーマに選ぶという学生がいるんですが、
今年はたまたま2件、面白い研究がありまして、
1つは19世紀の英語人名、特に女性名を分析した考察がありました。
もう1つはユニークで、ポケモンのキャラクターの英語名、英訳に、どのような語源的要素が用いられているかという分析で、
語彙論的に、これもなかなかユニークな研究だったんですが、こういったふうに人名であるとか、物の名前ですね、固有名への関心というのは常に一定の関心を持たれるようなんですね。
そこで今回のVoicyでの話題も、人名にしてみようと思い立ったわけなんですけれども、
中英語の人名、現代についてはだいたい英語名といっても聞き知っているものが多いと思うんですね。
中英語の時代、ノルマン政府の1066年からおよそ1500年ぐらいという枠ですが、この中英語期にはどういった人名のトレンドがあったんだろうかと、ざっと見てみたいと思いますね。
まずこの中英語期のスタートというのは、だいたい1066年ぐらいのことなんですね。
例のノルマン政府ということです。
これ以前の小英語期には、基本的には純粋なアングロサクソン名が用いられていた、それしかないぐらいの状況だったんですね。
ところがノルマン政府によって、一気に本来のアングロサクソン人名というものが衰退していきます。
それに代わってフランス語支配の時代ですから、フランス語の名前が一気に流入してきたということなんですね。
過労死で生き残った純粋なアングロサクソン名としては、現代まで残っているものはそんなにたくさんない。
例えば純粋アングロサクソン名としては、エドワードとかエドガール、エドマンド、エドウィンのようなものが多いんですが、
現在いずれも、エドワードは多少いるかもしれませんが、いずれも古めかしい感じがして、流行っているとは言えないわけですよね。
このように1066年を境にして、一気に英語での人名が、本来のアングロサクソン的なものからフランス語的なものに変わったということです。
一気にフランスかぶれした人名を人々を帯びるようになってきたということなんですね。
ただ、フランス語由来とかフランスかぶれという言い方をしましたが、厳密に正確に言いますと、それ自体がフランス語の要素で作られた名前というよりは、
すでに当時のフランス語の中で一般的に人名として定着していたものが英語にもイングランドにも入ってきたということで、語源を遡ると、実際にはフランス語でないものの方が多いんです。
なので、フランス語的な人名というのは、当時のフランスでフランス人名として一般的だったというぐらいに捉えておいてください。
実際に一番多いタイプは、語源を探ると、実は西ゲルマン語、つまり英語と同じ仲間に由来して、それがフランス語に一旦入り定着し、それが英語に再び入ってきたという言い方ですかね、1066年以降に。
ということで、ルーツとしては実はゲルマン語、特に西ゲルマン語であるものというのも結構多いんですね。
現代への影響
ですが、典型的には、言い方としてはフランス人名だと言われるわけですが、例えばです。
中英語記に非常によく見られた名前としては、ウィリアンですね。
大体王の名前なんかを考えるとわかると思うんですが、ウィリアン、ロバート、リチャード、ギルバートのような名前ですね。
女性名としては、アリス、エレナー、ローズ、モードのような名前が挙がってきます。
このローズという人名については、以前にもこのVoicyで取り上げたことがあったりするんですけれども、これもいかにもフランス語っぽい香りがするかもしれませんが、実は元々は西ゲルマン語に由来する人名だということですね。
このタイプがかなり多いです。
もう一つは、いわゆる聖書に現れる人物、聖人名ですね。
人気のある聖人というのがありまして、今で言えば人気俳優とか女優とか芸能人というような位置づけですね。
これがフランス語経由で入ってきた、フランス経由で入ってきたということで、大元は特にフランス語が語源なわけではないというもので、もちろんこれアダムから始まりますね。
アダムから始まって、マッヒュー、バーサロミュー、ジェイムス、トマス、アンドリュー、スティーヴン、ニコラス、ピーター、ジョンのような男性名がありますし、女性名としてはジョーン、エン、マーガレット、マージェリーなどの名前が挙げられますね。
最もよくある女性名、英語女性名の一つであるメーリーですね。これは12世紀後半から入ってきてますね。それから14世紀くらいからクリストファーのような名前も入ってきています。
これが2大ジャンルですかね。いわゆる本来西ゲルマンだったものがフランス語を経由して英語に入ってきたという第一のタイプと、今挙げた聖人、聖書に現れる人物の名前ですね。これが2大グループということです。
その他ですね、それほど目立たないんですが、第3のグループとしてアーサー王伝説の登場人物の名前ですね。それからアーサー、それ自体もありますし、それからその妻の名前であるグエネヴィエルであるとか、その愛人でもあったランフロットという名前ですね。
他にはブルトン語からエランのような名前もあったんですが、それ以外はさほど目立たないかなということで、当時の人気の名前のみを挙げてみました。そうじゃない名前というのももちろんですね、いくらでもあったことはあったわけなんですが、今挙げた名前の多くは現在でも普通に英語名として使われているものがかなり多いと思うんですね。
しかも現代でもそこそこ流行っているというものもあって、現代にまで至る典型的な英語名の始まりはやはり1066年、あのノルマン征服だと言ってもいいと思うんですね。
逆に言うとそれ以前の純粋なアングロサクソン名に関しては一部生き残ったものはありますが、現代までに伝わっているものは本当に少なくて、そして残っているものも21世紀の現在ですね、それほどすごく流行っているというものはなさそうということで、英語史における英語人名の大きなトレンドを言うんであれば、
アングロサクソン系からそして1066年を社会にしてフランス系と言っておきますが、広くフランス系と呼ばれるものに大体置き換わったとまとめて良いかと思います。それではまた。
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