2025-05-05 07:53

hellog-radio #61. なぜ island には s があるの?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #綴字と発音の乖離 #語源的綴字
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サマリー

英単語「island」に含まれる「s」の由来とその発音の不一致について探ります。このラテン語と古い英語の混同が、どのように綴りに影響を与えているかを解説します。

island の綴り字の謎
英語に関する素朴な疑問。なぜ island の綴り字には s が入っているのですか。
これは非常によく聞かれる質問なんですね。非常に初歩的な単語である island 島を表す英単語です。 island には s の発音など入っていないにも関わらず、
綴り字上は island と綴りますので s が入っているんですね。このままだったら、普通だったらアイスランドと読みたくなるんですが、そうではない。これはアイランドと読むんだというふうに習います。
なぜこの island の綴り字には読まない s が入っているのでしょうか。英単語にはこのような単語は実は非常にたくさんあります。
文字としては書かれているのに、発音上は実現されないというようなものです。これは黙る字と書いて目字というふうに呼ばれます。
英語で言うと silent letter っていうんですね。 例えばですね doubt なんていうのが典型例です。
doubt と書きますが、この b 綴り字には含まれていますが決して読まれません。doubt ですね。他には receipt なんてのもありますね。
receipt というように p が含まれるんですが、発音上は決してこの p っていうのは発音されませんね。receipt です。
このような非常に多くあるこの目字の例の中でも、ある意味最も初級英語で表れそうな単語としてこの island があるわけですね。
なぜ s が入っているのかということですね。 これも英語詞の観点から見ますときれいに説明することができます。
小英語に遡ります。 島を意味する小英語の単語、つまり island の語源形ですよね。
これは小英語では複合語で ea land であるとか ea land と言ったんですね。
これは複合語で ea とか ea という第一要素に land という第二要素が付け足されたものですね。
この第一要素はどういう意味かというと、これは水とか川って意味なんですね。 ea とか ea ってことです。
これ語源的にさらに遡りますとインドヨーロッパソコの形がありまして、そこから実はラテン語の aqua ですね。
水をあらす aqua なんかと実は同語源なんです。つまりまあ言ってみればですね water land 水の上に浮かぶ陸地ぐらいの意味なんですね。
非常にわかりやすい島という意味になるわけですね。 ということでもともと小英語ではですね ea land ですから s なんて発音上もありませんでしたし通り以上ももちろんありませんでした。
そもそも s なんてなかったっていうところを待つポイントですね。 さあ次の時代中英語期です。中英語になりますと
フランス語、当時のフランス語で島を意味する il という単語ですね。これが釈用されてきたんです。
il という単語です。これは先ほどの小英語のですね ea land とは全く関係がない語源なんですね。
フランス語の il 自体はラテン語の insula に由来します。この insula というのは例えばまあ現代語でも実はラテン語から借りてきて
insulate であるとか、さらには isolate ってありますよね。孤立させるっていうあの
isolate ですね。これなんかと実は近くて s がもともとあったわけですよね。
isolate ですから isolated land ぐらいの意味ですね。つまり孤立した
絶海の孤島なんて言いますけども、島を表す表現としてこの insula というものがフランス語化した形、これが il
っていうことなんですね。すでに s は消えていましたが、ラテン語で実は s があったっていうそういうことなんです。
英単語の先ほどの ea land とは全くもって別語源です。
ところがですね、中英語で
小英語で ea land だったものが、中英語ではですね、少し第一要素の母音が変わって eland になります。
iland ですね。つまり I L A N D ということですね。
そうすると先ほどのフランス語の il というのと、まあ似てると言えば似てますね。
eland と il ですから、ここで iland っていうのはもともとは ea land という小英語に由来するものなんですが、
前半部分がどうも小英語、小フランス語の il に似ているので、小フランス語の il たす land のことで再解釈されるわけですね。
まあ誤った解釈なんですが、 il プラス land これで島である、まあ陸地、島というような意味で解釈されたんですね。
つまり語源的に関係があるかのように、このもともとの小英語由来のものと、小フランス語由来のものが合流するといいますか、混同されてしまったわけですね。
さあこの混同状態がずっと続き、いよいよ16世紀になります。初期近代語です。
この時期は英国ルネサンス期です。古典が大好きという時代ですね。ラテン語であるとかギリサ語、古典の言語が大好きということですね。
そしてなるべく英単語をですね、ラテン語に似た綴りで綴りたいと。ラテン語に似た風に綴り直したいというような憧れと言いますか、風潮が出てくるんですね。
そこで本来、イーランドですね。これはイーエイランドという小英語から来てますので、本来ラテン語とかフランス語とかの無関係にもかかわらず、
前半部分はラテン語のインスラに語源するものだろうという一種の勘違いがですね、作用して、元々インスラ、SがあったんだからここにSを復活しようということになったんですね。
ラテン語の知識人、ラテン語を知っている当時の知識人たちがSをですね、ラテン語に似せて復活させようとしたわけです。
そして不幸なことに、このSが実際復活された形、挿入された形で綴り字が確定してしまったということですね。英語のアイランドです。
しかし発音そのものの方は、小英語からずっとSなしでずっとやってきました。イーエイランドとかイーランド。この発音習慣までを変えることは彼らもできなかった。
ということで、不幸なことに綴り字と発音が不一致を生じることになってしまったということですね。発音上は今まで通り、小英語以来のSのない発音。
一方で、綴り字に関しては、ラテン語への憧れから強引に、勘違いなんですがSを挿入した形。これが定着してしまったということですね。
このようなルネサンス記の知識人による、ラテン語を参照しての余計な文字の挿入というのは非常に多くの英単語に確認されます。
冒頭で述べたDoubtのBやReceiptのPも同じ理由なんです。これを語源的綴り字というふうに呼んでいます。
これに関心を持った方は、ぜひ580番、そして116番の記事をご覧ください。
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