英語語源ハンドブックの刊行
英語史つぶやきチャンネル ということで始まりました。
大変久しぶりです。 2025年の7月22日火曜日となるんですけれども、
1ヶ月ちょっと前、6月18日に研究者より 英語語源ハンドブックが刊行されました。
協調者の唐沢和智さん、小塚義隆さんとともに3人で書きまして、
さらに公越協力者としまして福田和隆さん、小川俊さん。
この5名がチームを作りまして、数年かけて この本が出たということなんですね。
大変ご好評いただいておりまして、 ただいま発売2週間にして10刊がかかっております。
現在刊元からは品切れということでですね、 本当に大好評という評判いただいております。
今月の末ですね。 あるいは来月に入ってしまうかもしれないんですが、
10刊の分も市場本屋さんに出回るということで、 今はですね、ちょっと手に入りにくい状態ではあるんですが、
それぐらいに本当に皆さんにですね、 ご愛読いただいております。
発売前からAmazonの新着ランキング、 英語部門で第1位を取っております。
そして発売後もですね、 新宿キノクニアの英語部門で売り上げ第1位をマークしております。
ということで本当にですね、ありがとうございます。 というより他ありませんね、皆さんにご支持いただいております。
語源の限界と変遷
先日はですね、著者3名で朝日カルチャーセンター新宿教室にて、
この英語語言ハンドブックを最大限に使いこなすための技といいますかね、
これについてお話ししようということで深堀会の講座をですね、開きまして、
そちらも多くの方にご参加いただきました。 ありがとうございました。
ということでこちら、英語語言の関係がですね、 界隈がちょっと盛り上がっているということで、
これ私もですね、英語詞をお茶の間にということを方々で歌っておりますので、
これをインセンティブにしてもどんどんですね、 英語詞の面白さを伝えていきたいと思っています。
こちらのスタンドFMの英語詞つぶやきチャンネルでもですね、
つぶやくだけにとどまらず広く英語詞、広がってほしいなということで、
このタイミングを逸することなくですね、
皆さんに続けてこの英語語言、英語詞の話題に関心を持ち続けていただければなということで、
久しぶりにですね、この収録ボタンをポチッとしたわけなんですね。
話したいことはいろいろあるんですけれども、
語源って皆さんどういう思いで見ていらっしゃいますかね?
というちょっとメタ的な質問なんですけれども、
特に英語語源ということで私はですね、いろいろ発信しているわけなんですけれども、
これ日本語でも他の言語でも同じですね。
語源っていうのは究極分からないんですよ。
どこまで遡っていってもですね、それ精度が高かったとしても、
行き着いた最終のところはありますよね、一番古い段階。
これより一個じゃ前の段階、さらに古い段階どうだったのって言うとですね、これ分からないんですね。
その意味では語源というのはですね、究極の語源というのは限界があるんです。
どこまで遡れるかということで、これが100年前だったり500年、1000年、
あるいは2000年、3000年だったりするんですけれども、
どこかでやっぱりですね、最終的には止まってしまうんですね。
それ以上の昔に遡ることができないということでは、
本当の意味での真の語源であるとか、本当の答えっていうのは分からないんです。
これがまず大前提としてあるのが語源学ということだと思うんですね。
なるべく古く遡りたい、ただですね、そこまで行き着いたらそれ以上は行けませんよという、
そもそも限界があるんですね。
さあ、その限界となるようなところに行き着いてから現代までですね、
どういう形の変化、あるいは意味の変化ですね。
単語ですから形と意味があります。形というのは発音であり、
そして歴史時代に入れば、これがですね、つづり字とか文字という形で書かれることになるんですが、それが形ですね。
一方で意味っていうのは文字通り意味ですね。
これがですね、どんどん変わってきて、今の状態にあるっていう、
その一単語の歴史をなるべく詳しく紡いでいくというのが語源なんですね。
ですが、歴史の常としてですね、歴史っていうのは本来は時間をですね、いわゆる時系列にずっとですね、連続的に続いていくものなんですが、
残っている資料というのは断続的なんですね。
時間そのものは連続的なのに、残っている資料は断続的ということなので、
ある時点、ある時点のファクトはわかります。
つまりですね、数直線で言えば流れはわからないんだけども、ある点、ある点というのはわかります。
つまり点がわかってるんですね。
その点をつないで、現代まで持っていくための物語というのを紡ぐのが語源学者の仕事なんですね。
連続体を示すことっていうのはどうしてもできないんです。
本当はそれがベストなんですけれども、そうではなく、途中の断片だけ事実が知らされていて、その間は空想、想像で埋めるんです。
その意味ではフィクションなんですね。物語なんですよ。
語源とか語源から現代に至るまでの歴史、これはフィクションです。
物語を紡ぐ語源学
これは単語の話だけではありません。
言語全体の話でもありますし、あるいは政治史であるとか文化史、軍事史といういわゆる歴史ですよね。
広く言う歴史も断片しかわかってないんです。
それをなるべくうまく、過不足なくつなぐにはどういう物語を紡いだら良いのかっていうのが歴史記述、ヒストリオグラフィーっていうことなんですね。
つまり点だけわかっているところにそれをつないでですね、物語を作るっていうのが歴史なんだと私は思ってるんですね。
語源も同じです。完全に紡ぐ物語なんですよ。
ただし真実のストーリーというわけではないかもしれません。
そこには人間の思いであるとかこうあってほしいというの希望も入り込みます。
語源学者一人一人の希望とかこうあってほしい、あるいはこうあった方が最も自然に説明できるというような
ある種の一人一人のですね、歴史記述に対する態度っていうのが入り込んでるんですね。
なので語源辞典なり辞書の語源談を見て、これが全て真実なのだと思い込まないでください。
だからといってリスペクトしないでくださいと言ってるわけではないんですね。
それやる人少ないわけなので、つまりですね、語源辞書編参者というのは非常に数が少ないですので、
かつ非常に専門的な領域ですので、その研究者の感性みたいなものをある意味受け入れるっていうことになるんですよ。
もちろんですね、全部か全部受け入れる必要はありません。
これはおかしい推論じゃないのとか、これはおかしい非物語の作り方なんじゃないのっていうのは、
それぞれ批判したりですね、ツッコミを入れていただいて良いと思うんですね。
むしろその方が健全だと思うんですね。
ただ一つ、提案するっていうことをやっているのが語源辞書の編参者だっていうことなんですね。
これ本当かどうかわからない、しかもツッコミも入るかもしれないという分かった上で、点々のファクトを紡いで一つの物語にするっていうことをやっているんです。
これは尊い作業だと思います。
これに対してさらに改善策があるんだという意味でのコメントあるいはツッコミというのは非常に重要なことだと思います。
語源は物語なんです。正解ではないんです。紡いだ物語ですね。
だからこそ前向きに紡ぎたいんですよ。
これ後ろ向きに紡ぐこともできると思うんですね。
これはですね、真実を紡ぐのが重要だっていうのはその通りなんですけれども、
その真実がわからないから、つまり点々だからこそ、それを線にしたいからこそ紡ぐという作業が発生するんですね。
他に色々と情報がない中で同じ紡ぐのであれば、皆さん前向きに紡ぎますか、後ろ向きに紡ぎますか、というようなことでもあるんですね。
これ皆さんの語源の考え方をもしかしたら変えるかもしれません。
正しい語源というものがあるというふうに思っていたかもしれません。
それはですね、専門の立場から言いますと、ないんです。
それは作ることができないんです。
なのでそこは紡ぐものなんですね。
ということで、英語語源ハンドブック出しましたが、英語語源辞典も含めてそのようなスタンスで見ていただけると多分ですね、読み方が変わるんではないかと思うんですね。
辞書編参者、辞書を紡ぐ側がこのような立場であるということを今日はお話しした次第ですね。
いや私自分で語源辞書の編参者なんていうつもりはありませんね。
一つの読みやすい英語語源ハンドブックを書いた、ちょろっと書いた1著者にすぎませんが、このように私は語源というものを考えていますということでお話しいたしました。
つぶやき以上にちょっとした議論になったかもしれません。
ということでまたですね、このスタンドFMの英語つぶやきチャンネルもですね、ちゃんと続けていこうかと思いますね。
なかなか機会がなく久しぶりになりましたが、ぜひですね、英語語源ハンドブック、これからもどうぞよろしくお願いいたします。