2025-07-25 15:57

#1517. etymography 「語誌学」の妄想

▼緊急告知! 2025年6月18日に本が出ました


📙唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.


- ぜひ Amazon よりご予約ください:https://amzn.to/4mlxdnQ

- 詳しくは研究社のHPをご覧ください:https://www.kenkyusha.co.jp/book/b10135166.html

- 7月13日(土) に朝日カルチャーセンター新宿教室にて著者3名が記念出版記念講座をハイブリッド開講します.詳しくは https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=8388868 をどうぞ.


▼パーソナリティ,堀田隆一(ほったりゅういち)の詳しいプロフィールはこちらの note 記事よりどうぞ.


- https://note.com/chariderryu/n/na772fcace491


▼heldio のビデオポッドキャスト版を Spotify で始めていますので,そちらのフォローもよろしくお願いします.


https://open.spotify.com/show/0xOyOIXBUrIZbnwSLeJsSb?si=zH5V2CjkS0ekqNz5ro7caw


▼helwa リスナー有志による月刊誌「Helvillian」の9号が公開されています


- 第9号(2025年6月28日):https://note.com/helwa/n/n79623d921a95


▼2025年7月7日に『英語史新聞』第12号がウェブ発行されています.


khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』第12号がウェブ公開されています.こちらよりアクセスしてください


- 第12号:https://drive.google.com/file/d/1eQawDu2njFNMMVKDUr4JRZdIWTNHDdha/view?usp=drivesdk


第12号公開については,khelf 公式ツイッターアカウント @khelf_keio (https://x.com/khelf_keio) を通じても案内しています.

リツイートなどを通じて「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)にご協力いただけますと幸いです.


▼2025年第2四半期のリスナー投票が7月10日までオープンしています


- 投票会場:https://app.sli.do/event/weRify7g2SvDa89mZh7k1A


▼2024年9月8日(日)に12時間連続生放送の「英語史ライヴ2024」を開催しました.英語史界隈では前代未聞のイベントとなりました.詳細は以下の配信回,あるいは khelf の特設ページを! イベント後は,数ヶ月間かけて各番組をアーカイヴで通常配信していきました.


- heldio 「#1119. 9月8日(日)「英語史ライヴ2024」を開催します」 https://voicy.jp/channel/1950/1296042

- khelf 特設ページ: https://sites.google.com/view/khelf-hotta/英語史ライヴ2024特設ページ


▼X(旧Twitter)上で「heldio コミュニティ」が開設しています.


Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」のリスナーさんどうしの交流と情報発信の場です.heldio やそこで配信された話題を「待ち合わせ場所」として,英語史やその他の話題について自由にコメント・質問・議論していただければ.heldio が広く知られ「英語史をお茶の間に」届けることができればよいなと.今のところ承認制ですが,お気軽に申請してください.

https://twitter.com/i/communities/1679727671385915392


▼プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) も毎週火木土の午後6時に配信しています


「英語史の輪」にこめる想い


1. レギュラー放送は,これまで通り,最大限に良質な内容を毎朝お届けしていきます.プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」のための課金の余裕がない方々(例えば中高生や英語史を真剣に学びたい苦学生など)は,無料のレギュラー放送のみを聴き続けていただければと思います.レギュラー放送では,皆さんに最良の放送をお届けし続けます.


2. プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」で得た収益の一部は,レギュラー放送の質を保ち,毎日円滑にお届けするための原資とします.


3. また,収益の一部は,Voicy 以外でのhel活をさらに拡大・発展させるための原資とします.


4. ときに khelf(慶應英語史フォーラム)やプレミアムリスナーにも協力していただき,hel活の新機軸を打ち出していきたいと思っています.企画本部としての「英語史の輪」です.

5. ぜひとも「英語史の輪」のプレミアムリスナーになっていただきたい方


 ・ hel活を応援したい方(資金援助,広報支援,盛り上げ係りなど.研究者,学生,一般の社会人など職種や専門は問いません.)

 ・ 毎日もっともっと英語史に触れたい方,レギュラー放送では足りない方

 ・ 私(堀田隆一)の話をもっと聴いてみたい方

 ・ レギュラー放送のような一般向けの話題にとどまらず,もっと専門的な英語史の話題も聴いてみたいという方

 ・ レギュラー放送で言えない/配信できないような「低い」話題(対談のアフタートークや飲み会での雑談など)も聴きたいという方

 ・ パーソナリティおよびリスナーさんどうしで,もっと交流したい方


以上,よろしくお願いいたします.

サマリー

このエピソードでは、英語語源ハンドブックの著者たちが集まり、理想的な語源辞典についての妄想を語ります。新たに提案されたエティモグラフィーという学問概念により、語源辞書の記述方法やその文化的背景に対する理解が深まる試みが紹介されます。エティモグラフィーは語源辞典や語源の読み解きにおいて重要な役割を果たす可能性が示唆されています。また、OEDにおけるエティモグラフィーの意味との対比を通じて、語源に対する理解がより一層深まることが期待されています。

英語語源ハンドブックの発表
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、英語のなぜに答える初めての英語史の著者、そして6月18日に研究者から刊行された英語語源ハンドブックの著者のホッタリウイチです。
英語の語源が身につくラジオheldio、英語史をお茶の間にをもとに英語の歴史の面白さを伝え、裾野を広げるべく毎朝6時に配信しています。
本日は7月25日金曜日です。みなさんいかがお過ごしでしょうか。
連日、英語語源の話をしております。もちろんですね、このチャンネルタイトルが英語の語源が身につくラジオということで当然と言えば当然なんですけれども、実際には広く英語史の話題をお届けしているんですね。
なんですが、今週はですね、いろいろ考えるところがあって、ある意味では原点に戻ってと言いますか、
最近英語語源ハンドブックが刊行されたという、もちろんタイミングもあるわけなんですが、最大のポイントとしてはですね、先週末土曜日に
浅木カルチャーセンター新宿教室にて、英語語源ハンドブックの著者の3名ですね。立教大学、唐沢和智智さん、愛知教育大学小塚義孝さん、そして私、織田隆一と共に
英語語源ハンドブックを深掘りする会という講座をですね、開いたんですね。非常に盛り上がった会で対面で参加された方々からですね、最後の10分ぐらいのセッションでは活発な質疑応答、質問が出されましてね、非常に考えさせられるような質問が多かったですね。
そこで、昨日もですね、語源、本当の語源なんてものがあるのかということでお話ししたわけなんですが、さらにですね、そこからインスピレーションがどんどん湧いてきまして、今日のお題となった次第です。今日のお題はですね、
エティモグラフィー、語詞学の妄想と題してお話しします。こちらも先週の浅かる講座のですね、インスピレーションの賜物と言っていいと思うんですね。妄想というくらいなので、本当にですね、好き勝手に喋らせていただきますが、皆さんも一緒にですね、お考えいただければと思います。
それではどうぞよろしくお願いいたします。語源辞典というものに親しんできてですね、私ももう長いわけなんですね。このヘルディオでも英語語源辞典をですね、推してきました。
そして最近、英語語源ハンドブック。これはまあ辞書、辞典というわけではないんですが、それに準ずるものですね。掲載範囲もJACETの製品戦後ということですし、辞書とはちょっと呼びにくい代物かとは思いますが、語源記述がなされている本であることには変わりないんですね。
そこでですね、理想の語源辞典というのはどういうものだろうかというふうに妄想し始めたんですね。これは英語に限らない話なんですが、今日のところはですね、対象言語は英語ということで考えたいと思います。
さあ皆さん、理想の語源辞典、これどんなものだと思いますか。真の語源はない、あるいはアクセスできるものではないというふうに昨日述べたわけなんですが、もちろんですね、なるべくそこに近づきたいという思いはありますので、なるべく詳しい情報が載っているということがまず理想的な英語語源辞典に求められそうなことではありますよね。
一方で、詳しければいいというわけでもない、そういうシチュエーションもあると思うんですよね。これTPOなんですけれども、読んで楽しい語源辞典となりますと、これは最新刊の英語語源ハンドブックのような形に近づいていくのではないかと思います。
詳しさは横に置いておいて、それよりも意味変化であるとか語形変化、そして現代にグッと引き付けてですね、その単語についてよりよく読んだ方がですね、わかったように納得するといいますかね、この単語を理解したというような読語感を得られるような、そういう面白い、読んでためになる語源辞典、これがあってもいいですよね。
これはまた一つの異なったタイプかとは思うんですが、一つの語源記述の方法だと思うんですよね。そのように考えますと、いろいろな目的に従って語源辞典というのはありようが、いろいろあるだろうと考えられるわけですね。
そしてそれに従って、じゃあどのような項目を立てて、どのような情報を記載して、どのようなノリで、どのような文体で字の文を書くかということも決まってきますので、これはある意味ではですね、非常に広い話題になってきますよね。
そこでですね、辞書、変算学、辞書をどう書くかという学問、これはレクシコグラフィーという分野で確立しているものがあるんですね。レクシコンというのが語とか語彙という意味ですね。ギリシャ語なんですけれども、そしてなんとかグラフィーというのが、これは何々を書くというグラフェインという動詞に由来するもので、
書き方、書く術ということですね。つまり辞書を書く方法ということで、辞書変算学とか辞書学というふうに読んでいるわけなんですけれども、それにあやかってですね、エティモロジー、語源という単語がありますね。
ということは、語源辞書をいかにして書くかを研究する学問分野、エティモグラフィーという単語を増語しても良いのではないかと。これは語源辞書学と言ってもいいですし、語詞記述法と言ってもいいですし、語詞記録術と言ってもいいかもしれません。
この辺りどういう訳語が適切なのかは分からないんですけれども、要するに広くですね、語源地点でどのような記載がなされていると理想的なんだろう、TPOによるとも言いましたが、そこも含めてですね、広く語源というものを考える学ですね。単に語源学であればエティモロジーでいいわけなんですけれども、
そうではなく一歩メタにですね、その語源をいかにして記述するかという学なりですね、少なくとも話題があってもいいなということで、これに私が付けた名前がエティモグラフィー。これを妄想していますということなんですね。
語詞学の探求
この英単語、ギリシャ語要素を組み合わせた新しい英単語としての造語をしたわけなんですが、先に実はこの英単語が頭にありまして、ではこれを日本語に訳すとどうなるだろうと。先ほど言った通り複数のですね、候補があるわけですよね。
いろいろ考えたんですけれども、これまだ私の中でも確定していませんが、先ほどいくつか挙げたのの他にですね、今日題名に挙げました。語詞学。語詞というのは単語の語に、詩はですね、歴史の詩っていう語詞もあるんですけれども、もう一個のですね、雑誌の詩の方ですね。
これまあ広く情報、雑誌の詩ですからね。情報、雑多な情報というような意味で、単語の詩ですね。知詩とか日詩というぐらいの意味で、語詞学。こんな用語を当ててはどうかというふうに考えたりしてるんですね。これもまだ候補の段階なんですけれども、実はこの語詞ですね、雑誌の詩を当てる方の語詞については、
1322回で話題にしてるんですね。ワードロール、語詞っていいですよね、という題でお届けしました。私どうもこの語詞、その時はワードロールという本来の英語をですね、組み合わせた複合語のタイトルで話したわけなんですが、
日本語のこの語詞という語感が、私どうも好きなんですよね。この詩というのは雑多な情報ということなので、もちろん歴史的な話、つまり語源ですね。起源と発達ということです。ある単語の起源と発達の歴史を最初からですね、まあ分かっている最初の段階から現代までたどるということ。
それからその背景にある文化的背景、歴史的背景ですね。それからその後の使い方という、一般の辞書に記載されていそうな語学的記述ってことですね。その他諸々、その後を取り巻く、そうですね、伝説とか民話とか、それこそ民俗史的な情報ですよね。
その単語についていろんなことが分かる百科事典みたいなものですね。1、単語に注目して細かく記事を書くこと。これがですね、私読みたいものなのかなと個人的に思うわけですね。
これをとりあえず語詞、単語の雑誌の詞ですね、と読んでおきまして、それを書く単語を書いたものを集めたものが、私にとってはですね、理想的なある意味語詞辞典と言いますか、語源辞典、語源がベースにはなると思うんですけれども、そんな感じで妄想しているんですね。
それを作るためにはどうすればいいか、何を書き込めばいいか、みたいなメタ的なことを考えていく学問分野と言っていいのかわかりませんが、一つの分野、話題として捉える場合にそれをエティモグラフィーと呼んではどうかと。これ非常に面白くないですか。
まさにですね、このヘルディオではエティモグラフィーみたいなことを実践しているということなのかもしれないわけですね。そしてですね、これグラフィーって言うと文字通りは書くということで、語源辞典を書く側の発想に至っているんですが、もちろん読み手側の発想にも応用してですね、辞書をいかにして読むか、語源をいかにして読み解くか、
というものにも適応できるのではないかと思うわけですね。実際このヘルディオでは英語語源辞典の読み方のようなシリーズを開いてきましたし、英語語源ハンドブックもですね、これからどんどんヘルディオでも使い倒していこう、読み倒していこうと思っていますので、私やろうとしていることなんですよね。
それによって皆さんの語源に対する感度とかですね、調べ方、広くリテラシーというものが高まっていくということであれば、これもですね、応用的な意味でのエティモグラフィーなんだろうと思うんですね。
いやーこれはなかなかですね、妄想から始まったんですが、楽しみですね。しかもこれまで結局こういうことをやってきたのかもしれないというふうにも思わされたんですね。
OEDと新しい語義
エティモグラフィー、これなかなかいい単語ではないですかね。というふうに熱に浸っていたんですね。大きい辞書を引いてもありません。私の造語だと思っていたところ、いや待てよと。
ちょっと嫌な予感がして、万が一にということもありますので、OED、オックスフォードイングリッシュディクショナリーを引いてみました。そしたらなんとあったんですよ。
いやー、私が造語者にはなれなかったということなんですが、エティモグラフィーですね、こちら1831年に初出しておりまして、今では主に歴史的、そして稀であるというふうに事実上使われていないくらいですという書き方なんですね。
しかもですね、与えられている語義や例文を見ますと、私が今日この妄想として語った語詞学なり語源記述学なりとはちょっと意味が違うんですね。どういう意味でOEDには載っていたかと言いますと、定義部分そのまま読み上げますと
The Study of the Historical Spelling or Representation of a Word or Graphemeということで、歴史的綴り、あるいはそれに関する学ということで記載されていました。
私、英語史の中でもですね、とりわけ綴り字の歴史に関心がありますので、このOEDの定義によりますと、私は最初からエティモグラファーだったんではないかということにも気づいてしまったんですね。
これまた二度驚きだったんですけれども、いやいや、今日ご提案しているのはですね、今日私が妄想して提案したのは新しい語義です。ですので、エティモグラフィー。これですね、この単語自体は私、造語者とはなれなかったんですが、新しい語義を付け加えた人みたいな形でですね、将来名前が残るかもしれませんが、まだ妄想段階です。
このエティモグラフィー、皆さんでぜひ育て上げていっていただければと思います。これからたまにですね、この単語、エティモグラフィー、使っていきたいと思うんですが、いい訳ありませんかね。皆さんもぜひお考えいただければと思います。ということで、今日は私の妄想のお話でした。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。エティモグラフィー、なかなか響きもいいですよね。とりあえず語詞学というふうに訳してみましたけれども、どうでしょうか。
語源を楽しみましょうという、一言で言うとその精神のことである、なんていうね、第三語義がOEDに乗ってくるかもしれません。このチャンネル、英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、あなたからのご意見、ご感想をお待ちしています。
ご意見のコメント機能を通じてお寄せいただけますと幸いです。SNSでのシェアもよろしくお願いいたします。それでは今日も皆さんにとって良い一日になりますように。英語子研究者のほったりうちがお届けしました。また明日!
15:57

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