2025-09-03 09:23

heldio #410. 「腕」 arm と「武器」 arms の関係

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サマリー

「腕」を意味する "arm" と「武器」を意味する "arms" の語源の関係は、同じ引用語根に遡りますが、直接的な関係は薄いことが明らかになっています。最終的には、これらはそれぞれ異なる意味を持つ語として理解されています。

腕の語源と意義
おはようございます。英語の歴史を研究しています、堀田隆一です。 7月15日、金曜日です。
今日取り上げる話題は、「腕」を意味する arm と、「武器」を意味する arms の関係についてです。
この2つ、どんな関係にあるとお考えでしょうか。 おそらく直感的にですね、多くの方は arm、腕ですね。これが複数形になって arms っていうことなんですが、
腕が2本ですね。腕武士、腕力、戦い、武器、こんな意味の発展なんではないかと考えるのではないでしょうか。
私も最初そう考えていたんですが、調べてみてびっくりです。 そういうことではどうもないらしいんですね。
もっとつまらないと言いますか、あんまりですね、密接な関係にあるわけではない。 ただ、究極的には
引用語根、同じ引用語根に遡るという意味では、やっぱり関係はあるということなんですね。
このあたりを説明してみたいと思います。 引用祖語の段階では
あるとかあらという形ですね。 この語根に遡るとされていまして、
原義としましては、はまっている、装着している、 くっついているという、こんな感じなんですね。
これが古英語に伝わったのがエアルムという形でですね、伝わったんですけれども、 これが腕ということになるわけです。
エアルム、これが現在のアームになるんですね。 意味的には肩にはまっているものぐらいの、
さほど面白くもない語源と言えるかもしれませんが、 そんな感じでアームというのができてきたと。
一方、ラテン語の方に流れ着いたものはアルマという形で複数形ですね。 これがフランス語に入りましてアルメスのような形になり、
英語にはアームズとして入ってきたわけなんですけれども、 原義としては体に装着するものっていうことですよね。
防具であれ武具であれですね、複数のものをつけるっていうことで、 おそらく全体として複数形で武器武具ということになるんだと思います。
なので最初からですね、複数形で使われ、 そして英語にもアームズという形で13世紀くらいですかね、
早めに入ってきたんですけれども、 これすでに武器とか武装、甲冑という意味になっていました。
ですので究極的には引用語根アラに遡るんですけれども、 直接ゲルマン系英語に入ってきたものと、
一度ラテン語、フランス語とそちらのルートを取って、 そして中英語系に借りられてきたという2つの異なる経路を辿ってですね、
最終的に英語の中で合流したということになります。 型や型にくっついているもの、
そしてもう一つは体に装着するものぐらいの意味の繋がりはありますが、 辿ってきたルートを考えてもですね、
基本的には別語と考えてもいいぐらいの関係だなというところなんですね。
武器の語源と派生語
さて武器の方のArms、大抵そのまま複数形で使われるArms、武器の方ですけれども、 武器というのは当然戦い、戦争の象徴ということで、
そのような意味も持ちますね。戦争、戦闘ということですね。 それからCoat of Armsというように紋章ですよね。
紋章という意味にもなります。これは典型的に盾に紋章を描いたということで、 武器と一体になっているものという発想があります。
派生語もいくつかあります。まず最もわかりやすいのはArmy、軍隊ですよね。 これ完全に武装化されたものというラテン語の過去分詞形に由来する表現です。
それからイングランドが破ったスペイン無敵艦隊、あれをThe Armadaと言いますね。 The Spanish Armadaと言いますね。このArmadaというのも同じ
武装化されたものということですね。ですのでArmyとArmadaというのは二重語ということになります。
それからArmorというと鎧兜ということですけれども、これも武具の一種ということで当然ですね。 そしてArmament、これ武装化という、それこそ仏装な単語ですけれども、
17世紀末に英語としては初出しています。 さらにそれに対するThisをつけてDisarmament、非武装化、軍粛ということですね。
これは1世紀ほど遅く18世紀末に初出しています。 このArmamentに関しても、それからDisarmamentに関してもですね、近代記に出ている
近代の国際情勢と言いますか、軍事情勢を映し出す鏡のような造語ということができると思います。 そして20世紀軍閣競争ですね。
これはArms Raceと言いますが、これも両大戦艦に作られた造語ということで、だいたい不穏な時代に不穏な語が生まれる、こういうことなんだと思います。
さて改めて引用語根のArに遡ってみますと、 はまっている、装着しているって意味だったわけでしょうね。
これが、小英語ではAirarm、肩にはまっているものくらいの意味で、腕というわけなんですけれども、同じく小英語の単語としてはですね、
どうもReader、これReadです、読むです。 この単語とも関係しているらしいんですね、語源的に。
ピタッとはまっている、あるいはピタッとはめる、合わせるということから、言い当てるであるとか予想するであるとか、読み解くという意味がどうも出てくるんですね。
これがReadなんではないかと、そういうことです。 さらに意味が一般化して数えるとか考えるといった、この系統に発展していくんですね。
このように意味がどんどん抽象化していってですね、性質、状態などを表す名詞語尾としても定着します。
これがRedという語尾で、今はあまり出てこないんですが、例えばHateに対してHatredであるとかKindred、親類って意味ですね。
それからほとんどもう意味をなさないHundredのRedの部分ですね。 こんなのがどうも関連してくるというんですね。
もともとのハマっている、装着しているからは、相当程度に抽象化して、もう直接の関係が意味的にもないように思われるかもしれませんが、
比較言語学的にはこのような広がりを持つ語根ということがわかるようなんですね。 ということで、今日の話をまとめましょう。
腕Armと武器Armsの関係はと言いますと、確かに同一の引用語根には遡るらしい。
しかし一方は直接ゲルマン系から小英語の方に流れ込んだArm、腕です。 他方はラテン語経由でフランス語に入り、
そして英語に入ってきた、そして複数形として入ってきたという意味での武器。 ということで直接の関係はない、限りなく薄い親類ぐらいの関係だということができると思います。
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