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2024-08-25 08:50

heldio #36. was と were - 過去形を2つもつ唯一の動詞


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おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、was と were 過去形を2つ持つ唯一の動詞、という話題です。
これはbe動詞ですよね。be動詞は、そもそも現在形からして複雑ですよね。is, am, areという3種類の異なる形が用いられるということですね。
そして過去形でも、was と were という2つの形が用いられます。
これ1つの動詞に対して、過去形というのは、普通唯一の形があるわけですよね。
ところが、be動詞に限っては、このようにwas と were というのが2つあるというわけですね。
この使い分けはというと、I was、you were、he was, she was, it was ということです。
これ単数形ですね。そして複数の系列ではすべてwereになりますが、we were, you were, they were というふうになります。
つまり、複数系列全体はwereですね。ただ単数でも2人称の場合、2人称単数、つまりあなた1人ですね。
この場合もyou wereというふうにwereとなる。
それ以外の主語が1人称単数、Iの時です。と、he, she, it、3人称の時、この場合にはwasという形になるということですね。
これですね、昨日取り上げた話題は、singの過去はsangかsongかという話をしたんですけれども、
そこで述べたように、実は古い英語では動詞に基本的に2つ形があったんですね。
第1過去、第2過去といったり、単数過去、複数過去といったりするんですけれども、
基本的には複数系列全体に使われる形、それから同じ形なんですけれども、単数でも2人称ですね。
あなた1人という場合には同型が使われる。これがまず1つですね。
もう1つは単数で1人称と3人称が使われると。この2つに分かれているということなんですが、
これ全くですね、現代のwas、wereというのと同じ分布というか使い分けですよね。
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つまり逆を言えばですね、なぜ現代英語でwasとwereがこんなふうな使い分けになっているかというと、
実はbe動詞に限らず、多くの動詞で古い英語ではですね、この2つの場所でですね、この活用法の場所で異なる過去形が使われていたということにもなるんですね。
それがどんどんですね、現代にかけて唯一の形の過去形を取るようになっていた。
最後に取り残されたのがこのbe動詞だったということなんです。
このwas、wereのちょっと複雑な使い分けですね。
主語が単数なのか複数なのか、そして何人称なのかということによってwasとwereが使い分けられるわけですが、
結局同じことが非常に多くの他の動詞にも当てはまった。2つ異なる形があったということなんですよね。
すべての動詞ではないんです。いわゆる不規則動詞と呼ばれている、機能扱っていうのはthingとかsengのような、
ああいう母音を変えることによってですね、過去形、過去文字形を作るっていうタイプの動詞です。
このbe動詞に限ってはですね、異なる2つの過去形があったと。
現代までそれを色濃く残しているのがbe動詞。
他の動詞はすべて唯一の過去形を取る形に修練していったってことなんです。
そうやって生きた化石みたいなもんですね。wasとwereというのは。
ちょっと厄介なわけですけれども、これが逆に言うと小英語の2つ過去があったということを理解するキー、鍵になりますよね。
さて、このbe動詞のwasとwereということなんですけれども、
当然ですね、同じ動詞の過去形ですから、何となく似てはいます。
少なくともwで始まりますね。
母音は少し変わるとしても、最後のこのwasの場合のずっていうことと、
wereという時はwereと綴りますが、実際にはwereっていう発音ですよね。
これどういう関係にあるかっていうと、これ音声的にはですね、実は非常に近い関係にあるんです。
現代の発音と綴り字を見るとですね、最初のw以外あっていないように思われますが、
小英語ではですね、これがwethっていう形だったんですね。
まず第一過去といいますか、いわゆるwasに相当するものがwethだったんです。
それに対して、現代のwereに相当するものはwereだったんです。
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つまりwethとwereっていうことですね。
似ていなくもないですが、ものすごく似てるでもないというふうに思われるかもしれませんが、
最初のwの後のこのeの母音ですね。
ここまで含めると一緒なんです。wethっていうのとwereっていうことです。
最も違うのは、なんでsに対してもう一個の形はrっていう、rの形なんだっていうことなんですね。
このsとrというのは普通こう結びつかないと思うんですけれども、実はですね、音声的にはものすごく離れてるわけでもないんです。
wethとsと聞くとそうでもないかもしれませんが、これ濁らせてですね。
実際、現代語でwasなわけでずっと濁ってますよね。
ずっとなるとですね、これ実はrの音にも近くなくもないんです。
rっていう。wasに対してwaseっていうふうにeの語尾をつけるとwase、wase、wase、wale、waleとちょっと強引かもしれませんが、
sの音とrの音というのは、実際、超音声、つまり発音する側から見ても、
それから聞いたこのイメージからしてもですね、音のイメージからしてもそんなに遠くないんですね。
これは英語であるとかゲルマン語に限らず、ラテン語なんかでも起こっているこのsという音がですね、rに近い音に化けていくっていう現象があるんですね。
専門的にはロータシズムとか呼んでるんですけれども、このsがrの音に化けるっていうのはよくある話で、これ関係するわけですね。
このwasとwaleっていう部分です。後ろにwaleのように母音が付くと、余計にですね、このsがrに化けやすいっていう状況がありまして、
従って語源的には全く同じwの部分だけじゃなくて、その後のs、rというこの部分もですね、実は近い関係にあるということがわかります。
結果としてですね、現代はwas、waleというふうにだいぶ発音も変わってしまったので、直接この語尾の部分ですね、関連付けるのが難しいかもしれませんが、
これはもうずっと一連の音変化の結果であって、大元をたどると、やはり一つの語源にたどり着くということになります。
それではまた。
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