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2024-10-31 10:01

heldio 「#103. なぜfolkは l なし、milkは l あり?」

#英語史 #英語学習 #英語教育 #綴字と発音の乖離 #流音
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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応技術大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしてきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる素朴な疑問は、
なぜfolkは l なしで、milkは l ありなの?という発音に関する問題です。
folk、人々ですね。これ、f-o-l-kっていう風にlの綴り字があるわけなんですけれども、発音上これ発音しないでですね。folkという風に発音します。
一方ですね、milk、これは m-i-l-k っていうことで l の綴り字がありますが、これはちゃんと l として発音して milk という風になりますね。
このようなケースで l が、綴り字上はあるんだけれども、発音されない場合とか、発音される場合とか、一貫していないっていうことがありますね。
これは、綴り字と発音の関係の不一致っていうことなんですけれども、単語を覚える際にちょっと面倒ですよね。
この単語に関しては l は発音する。だけどこっちは発音しない、みたいに場合分けでですね、一つ一つ覚えなきゃいけないってことになるからです。
ルールはあるかというとですね、なかなかこれは難しいですね。傾向みたいなものは探るとあるのかもしれませんが、結局は一つ一つ覚えなければいけないっていうことになっているんですね。
なんでこんな状況になっているかっていうことなんですけれども、これは歴史的に調べていきたいと思います。
この l という音はですね、流れるような音っていうことで流音という風に音声学で言われていまして、これ仲間は r ですね。
日本語では r と l の区別っていうのをラ行音としてつけないわけなんですが、これは音声学的にもですね、やっぱり似てる音だということなんです。
流音としてまとめられていますが、英語でもですね、この l と r はしっかり分けるっていうことにはもちろんなっているんですけれども、似ている側面も当然あってですね、よく落ちるんです。
つまり本来 l r 発音があったところがですね、消えてしまう。もうちょっと正確に言うとボイン化しやすいんですね。この流音っていうシーンなんですけれども、この流音としてまとめられるシーンはボイン化しやすい。
最終的に前後のポイントを融合してしまってですね、結果としてなくなったかのように見えるということがよく起こっているんです。
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例えばですね、今からは想像できないかもしれませんが、例えば witch, each, much このたまたま mach っていう音で終わる3つの単語を挙げましたが、小英語ではこの前後にですね l の音があったんです。
filch, elch, michel のようにですね。ところがこの l が消えてしまった、ボイン化するなり消えるなりした結果ですね、今 witch, each, much というふうに l なんか出てこないっていうことなんですね。
こういうふうによく l は消えてるんです。もともとあったけれども消えるっていうものが多いんですね。このもともとあったという証拠としてですね、l の綴り字が今述べた witch, each, much には全く綴り字上も l 残ってないわけなんですが、綴り字上、昔の発音を表すこの l がそのまま残った状態で現在に伝わっている。
そういう綴り字もあるんです。単語もあるんですね。ただし、今となってはその l は発音しないっていう。それが最初に挙げた folk であったり、他にいろいろありますね。例えば half なんてもそうですね。
half なんですが half というふうに l なしで発音されます。それからですね、例えば should とか would なんてもそうですよね。should であるとか would っていうことですが、実際にこの l はもともとあったんですよ。
だけれども、これが母音化して結果としてなくなったので、今となっては should, would という発音をする。ただ、昔の綴り字を色濃く残していてですね、現代でも l の綴り字は見えるということです。
いろいろなパターンがありますが、例えばですね、as なんていうのもそうなんですね。この前置詞、接続詞のこの as なんですけれども、もともとこれはですね、 elser というね、el があったんです。で、sr、これ何のことかというと all, so っていうことなんです。
so を強めて all で強めて all, so ってことなんです。で、この単語がありますね、実際 all, so です。これとは全く起源は一緒で、ここから l が落ちてしまって、さらに最後の all が落ちてしまったのが as っていうことです。
なので、これは落ちていないバージョンの all, so と落ちてしまったバージョンの as が並行してですね、現在存在しているという面白い例なわけなんですが、もともと l があったところが、発音上なくなったというようなケースなわけですね。
で、通り字上 l が残ったり残らなかったりという、いろんな組み合わせですね、発音と通り字のこの l に関してはありまして、パターンがですね、なかなか複雑になっているというのが現状なんです。
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じゃあ、この soak のようなですね、もともと l があったんだけれども、 l が発音されなくなってボイン化するということが、なぜ起こったのかということで言いますと、これはなかなか難しいんですけれども、まず一般的に音声学的にですね、流音、流れる音ということで l、 r もそうなんですけれども、 l もボイン化しやすいという、まずもともとの性質はあります。
ただ、なぜこの単語では l が落ちて、こっちでは落ちないのかというような問題があって、これを解くのはですね、なかなか難しい話なんですけれども、一つヒントになるのは、これある種ユニバーサルな現象です。
l の音がボイン化しやすいというのは。ですので、英語のみならずですね、例えば隣のフランス語でも同じようなことが起こっているんですね。
例えば、手のひらを表す palm ですね。これも palm と綴ります。これもともとラテン語起源で l がちゃんと発音されていたのが、英語にももたらされて、本来 palm というふうに l で発音されていたんですが、これがなくなったと。
ところが、同じ単語がフランス語にもラテン語由来で伝わっていまして、ここでもボイン化して l が消えているんです。
ということは、フランス語と英語で大体同じようなことが起こっている。 l の消失ということですね。これは音声学的に l は消えやすいということになっているので、独立してたまたま両方の言語で起こったということももちろん十分にありえますが、
一方で、この2つの言語というのは英語とフランス語ですね。中英語以降、非常に密接な関係になって、釈用語ですね。特に英語側がフランス語から大量に釈用しているというケースがあります。
このような場合、 palm ですね。この l が消えたバージョンというのがフランス語から伝わったりするということもあったりして、割と関係が密接である。
なので、独立して l がそれぞれの言語で消えたんだよっていう説明は一つありえますよね。もう一つは、密接なこの2つの言語、英普通の言語ですね。
これ、特に英語側がフランス語から影響を受けたことが非常に多いわけですよね。例としてはね。そうすると、フランス語で先に始まっていた l の消失みたいなものを英語がそのまま借りたと言いますかね。
消失も含めた状態で借りたっていう、そういう解釈もあり得るのかもしれません。このようなことは、だいたい中英語期から近代語期にかけて起こったことと考えられまして、現代とは関係ないと言えばないような気がしますが、一つ面白いのは、現代でもこの l の消失っていうのは起こり続けているんですね。
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フォークの暗示として挙げたミルクなんですが、これ l をちゃんとスペリング上もあって、しかも発音するっていう例として挙げたんですが、実はこれも怪しい話で、最近イギリスではロンドンとか南東部ですね。
この辺を中心にしてですね、この l が母音化して、つまり消えかかっています。ミルクではなくてミュークのような発音に近づいてきているってことなんですね。そうするとこの l の消失っていうのは6世紀ぐらい続いている長い変化だということになりますよね。ではまた。
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