2025-11-09 15:56

#477. 色彩語の言語学 ー 岡本広毅先生に生放送で『グリーン・ナイト』

#heldio #英語史 #英語教育 #英語学習 #hel活 #英語史をお茶の間に #SGGK #色彩語
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サマリー

岡本広毅先生との生放送では、色彩語の言語学に焦点を当て、映画『グリーン・ナイト』についても話題にします。色彩語の基本的なルールや文化的な表現の違いについて深く掘り下げ、人間の色の認識に関する理解を探ります。このエピソードで岡本博紀先生は、言語における色彩語の発展について解説しています。特に、色の順序や新しい色彩語の出現に関する歴史的な傾向にも触れています。

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おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、 そして英語のなぜに答える初めての英語史の著者の堀田隆一です。
9月20日火曜日です。皆さんいかがお過ごしでしょうか。 日本列島は台風14号に見舞われていますが、皆さんご無事であれば良いなと思っております。
色彩語の紹介
さて、本日の英語の語源が身につくラジオヘルディオですけれども、 取り上げる話題は、色彩語の言語学。
岡本広毅先生に生放送で、グリーン・ナイトについて尋ねる前に考えておきたいトピック、 という長いタイトルなんですけれども、色彩語、色を表す言葉の言語学を紹介したいと思うんですね。
本日午後2時50分から3時50分という1時間の枠で、 このボイシーにて生放送を配信する予定です。
タイトルはですね、英語バナキュラ談義と題しまして、 立命館大学の岡本広毅先生と私堀田が1時間、この英語バナキュラについて雑談するということなんですけれども、
岡本広毅先生は今年の、これからですが11月25日に公開予定の映画、 グリーン・ナイトの字幕監修を務めていらっしゃいます。
このグリーン・ナイトという作品は、元の作品はですね、 中英語文学14世紀末の写本に残っている、
ガウェイン教と緑の騎士という作品なんですね。 これの本格的本案作品ということで、この11月25日に公開される予定なんですが、 そのあたりの話もいろいろ聞きたいと思うんですね。
この主人公と言いますか、主人公のライバルと言いますか、 グリーン・ナイト、緑の騎士が出てくるんですが、
この作品はですね、元の中英語の作品でもですね、 非常に色鮮やかな作品なんです。
詩なんですけれどもね、文章なので色は見えてこないんですが、 色彩語であるというか、色を歓喜させるような表現というのが非常に多い作品なんです。
ここで今日の生放送に先立ちまして、 今朝の放送はですね、色、色彩語について考えておきたいということで、 この話題を選んだ、そういう次第です。
それでは色彩語の言語学、いってみたいと思います。 本日もどうぞよろしくお願いいたします。
基本色彩語の研究
古今東西の言語の色彩語、色を表す言葉ですね。 赤とか黒とか白とかいうことです。
これ日本語でも英語でもたくさんあるわけなんですが、 これを通言語学的に、つまり様々な世界の言語ですね、 古今東西の言語を調べますと、ある一定の法則があるということになっているんですね。
その本格的な話を始める前にですね、一言述べておきますと、 この色の話題ってとっても人気があるんです。
私の大学の卒論、英米文学専攻というところなので、 英語で卒論を書くのが必須になっているんですね。
そしてほぼ毎年、一人は色彩語、英語の単語ですけれどもね、色彩語に関心を持って、 それをテーマにして卒業論文を書くということがですね、続いてます。
この数年ですね、たまに切れることあってもほぼ平均すると、 毎年1件、場合によっては2件というふうに出てきます。
それぐらい色の話って、比較言語的にも対象言語的にも、 どうもですね、関心を持たれやすいということなんですね。
ただですね、正直これぐらい関心があるので、 もう既にさまざまなことが研究され尽くされているという感がありまして、
新しい話題、オリジナルな話題を見つけるというのは、 なかなか難しい話ではあるんですけどもね。
ただ一方で認知言語学であるとか、最新の言語学の知見から、 この世界の言語における色、色彩語ですね、これに関する研究はどんどん進んでいるということもまた事実でして、
これからお話しすることはですね、私も最新の言語学を追っかけているわけではありませんので、
もしかしたら割と古い古典的なことをお話しすることになるのかもしれませんが、 基本的な色彩語の言語学、これをお話ししていきたいと思います。
まずですね、Basic Color Terms、基本色彩語と訳してもいいようなものですね。
BCTなんていう頭文字を取って言うことも多いんですが、 このBasic Color Termsという分野の研究があります。
これはですね、非常に面白いんですけれども、 世界の言語、7000くらいあると言われていますが、
見渡すとですね、さらに古今東西ですね、昔の言語も含めて見渡しますと、 どうも一定の規則があると。
基本色彩語について、ある種の規則であるとか傾向というものが見られるということなんですね。
これは何かと言いますと、まずですね、色というのはスペクトルなんですね。連続体です。
プリズムを考えるとわかると思うんですけれども、 白から黒という両極の間に無数の色が存在するわけですね。
これを人間はですね、便宜上をいくつかの段階に分けて、 数えられる、手に負えるぐらいの数に小分けにしているということなんですよ。
その際にいくつに分けるか、そしてそれぞれにどういう名前をつけるかっていうのが、 言語的な話題なわけですね。
これはちなみに、人間である以上、同じ人類である以上、 光を受け取る、受容する能力と言いますか、いわゆる網膜ですよね。
網膜の反応っていうのは基本的に同じと考えられますので、 まず目に飛び込んでくる色の刺激っていうのは、事実上同じと考えていいですね。
どの民族、人種ととってもですね、同じはずです。
ただそれを各言語とか各文化でいくつに分析するのか、これはですね、様々であるはずなんですね。
そして最も少なく分析する言語は、2つのbasic color termsですね。
2つの色彩語に分ける、いわゆる白と黒、つまり白っぽい側半分と黒っぽい側半分ぐらいの意味を持つ大きな2つの単語があると、色彩語があるっていうことですね。
これを言うとですね、じゃあ赤はどう表現するんだというような人がいるんですが、
これはですね、ベーシックな色彩語ということで、白と黒に相当するものしかないっていうだけで、
例えば赤を指したかったら血の色というような言い方は、塩と思えばできるし、いくらでもできるわけですよ。
葉っぱの色といえば緑だし、できるわけです。
ただ、basic color termsとして通常を一番基本的に使うものが2種類しかないっていうだけで、
その中間段階の無数の色合いについては、表現する方法はいくらでも備わってはいるわけです。
basic color termsとして備わっているのが2語っていうことですね。
これ、勘違いしないでください。
このbasic color termsが、例えば極端な話、何順もあるっていう言語があったとして、
そちらの方が2語しか分けないその言語よりも優れているとか、
あるいはそれを喋る人々の色に関する認知能力がものすごく優れているということには必ずしもならないっていうことですね。
あくまで無数に分割できるところ、いくつに分割するかという、分節するかという話です。
これは文化依存、言語依存っていうことになります。
我々からすると2個にしか分けない、2つの色にしか分けないっていうのは非常に大雑把だなというふうに思われるかもしれませんが、
逆に言うと数十に分けるっていう言語があったら、それ細かいなっていう感じがするわけですね。
この多いとか少ないっていう感覚も母語である、多くのリスナーの皆さん日本語母語だと思うんですが、
日本語では例えば10個とかそれぐらいのものが基本色彩語としてあるので、
これより少ないとちょっと少なめかなと感じたり、多いと多めだなって感じるのはそれは自然なことではあるんですけれども、
多くの言語を集めて整理すると、やはり多い少ないっていういくつか言語がある一方で、
その中での規則といいますか傾向みたいなものがあるっていうのも分かってきて、それがとても面白いわけです。
そして言語学の知見によりますと、さらには心理言語学なんかの知見も含むんですが、
大まかに100パーの絶対的規則ではないんですが、かなり有効な傾向があるっていうことが分かってきたんですね。
まず、2つしか基本色彩語を分けない言語っていうのを調べてみると、
色彩語の基本構造
基本的には白と黒、白っぽいものと黒っぽいものっていうこの2つに分ける、つまり両極ですね。
スペクトル、プリズムの両極っていうことですね。これはそうだろうなと思うんですね。
そして、3つの色彩語に分けるっていう言語を見ると、この白と黒っていうのはしっかり両端は抑えておきつつ、
真ん中ぐらいの赤、これが入ってくるんです。この3つを持つ言語っていうのがあるんですね。
そして、5つの色彩語を持つ言語というのを調べてみると、この白、黒、そして赤っていうこの3点はきっちり抑えつつ、
さらに2つ、緑と黄色が分化される形で合わせて5個ということなんですね。
そして6つの色彩語を持つ言語は、今までの5つに加えて青っていうのが追加される。
このように順番をたどると、次に来るのは茶色なんですよ。
そして最後はですね、いろんなパターンがあるんですが、紫、ピンク、オレンジ、灰色あたりが来るっていうふうに、
少し決定的ではなくぼやけては来るんですが、全体として傾向があるっていうことが見えてくるんですね。
逆に言いますと、一番最後の方に現れた、例えばオレンジという色の色彩語を持っている言語があったとしたら、
それはそれ以前の7つの色彩語はあるはずだという予想が立つわけです。
つまり、白、黒、赤、緑、黄色、青、茶色、オレンジ色があるんであれば、それ以前の7つの色彩語もあるはずだという予想が立つんですね。
そしてこの予想が基本的に当たっている。これが確認されたんですね。
そしてこれはですね、面白いことに通常的に色彩語が少なかったのがどんどん増えてくるというような歴史的通常的変化をたどった言語を見ると、やっぱりこの順番なんですよ。
もともと少なかった、例えば3色しかなかったとすると、その3色っていうのは白、黒、赤だったりするんですね。
そして歴史の過程で新しい色が分化して現れてくる場合、やはり先ほど見たようなある種の順番をだいたいたどるんです。
そして英語もなんとですね、英語史を見るとおよそ今述べたような順番で色彩語が発展して加えられてきたっていうことなんですね。びっくり!
生放送の概要
エンディングです。本日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
今日は午後2時50分から3時50分という枠で生放送をお届けする予定なんですね。
立命館大学の岡本博紀先生と私、ホッタドで英語バナキュラー談義というお話をします。
冒頭にも述べましたように、岡本博紀先生は映画グリーンナイト、これから公開、11月25日に公開なんですが、こちらの字幕監修を務めていらっしゃいまして、中世英文学の傑作の一つです。
いわゆるアーサー大物のロマンスなんですけれども、画面境と緑の騎士、この作品が元となって、本案された映画作品ということなんですね。
この作品は非常に色鮮やかな作品で、映画となりますとまさにビジュアルですので、今から楽しみなんですが、この話題に引っ掛ける形で、
言葉において色彩語というのは何なのかという言語学上の話題について、今日はお届けしました。
今日の午後2時50分からの生放送で皆さんご都合がつきましたら、ぜひライブでリアルタイムでお聞きいただければと思います。
都合がつかないという方も、後日アーカイブの形で放送したものを収録して、それを残す予定ですので、そちらをお聞きいただければと思います。
生放送に参加される方は、ライブでの投げ込み質問というのも、Voicyアプリから可能ですので、そちらもできる限り受け付けたいなというふうに思っています。
事前に寄せられてきた質問もありますので、優先的に取り上げられるかは分からないんですけれども、ぜひご関心がありましたら、ライブ中に質問とコメントと投げていただければと思います。
そして、このVoicyでも事前に呼びかけて、リスナーの皆さんに質問を投げていただいていました。お寄せいただいた方には感謝いたします。ありがとうございました。
私も生放送、非常に楽しみなんですけれどもね。もしかしたらこの色の話も取り上げることになるかもしれませんので、ぜひ楽しみにお聞きいただければと思います。
それでは台風の心配はありますけれども、皆さんにとって今日も良い1日になりますように、ほったりうちがお届けしました。また明日。
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