2025-12-05 14:22

【再】#503. OED は歴史的原則にもとづく辞書

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サマリー

OEDは、歴史的な原則に基づいて編纂されたオックスフォード英語辞典であり、英語史研究に欠かせないツールです。また、その情報量や機能の豊富さから、現在ではリアルタイムでオンライン更新が行われ、辞書を超えたデータベースとされています。OEDは歴史的原則に基づいて作成された辞書であり、英単語の消失や変遷を収録しています。この辞書の背景には、各国の言葉の歴史を記録する競争があり、特に帝国主義的な影響も見られます。

OEDの基礎
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、 そして英語のなぜに答える初めての英語史の著者の堀田隆一です。
10月16日日曜日です。いかがお過ごしでしょうか。 英語の語源が身につくラジオheldio。本日の話題は、
OED は歴史的原則に基づく辞書、です。 どうぞよろしくお願いいたします。
今日お話しする OED というのは何かと言いますと、辞書なんですけれども、 The Oxford English Dictionary と言われるものですね。
略して OED と呼び習わせているんですけれども、 これがとんでもない英語辞書なんですね。
研究には欠かせない、特に英語史研究に本当に欠かせないツールということでですね、 私もおそらく引かない日はないですね。
引くと言いましても、今オンライン化しているのでアクセスしない日はないんじゃないかと思うんですね。
昨日も引きましたし、今日もすでに引いています。 有料ですので、個人の場合にはですね、結構長くお払わなければいけないんではないかと思いますが、
私は大学に所属していますので、大学がデータベースとしてですね、 この OED を入れてくれていますので、アクセスできるということになります。
その意味では、誰もがアクセスできるというものではないんですけれども、 このヘルディオでもあるいはブログでもですね、書いたり調べたりしたことをお話しするということになっているんですが、
その大元にあるのはですね、大体 OED ということが多いですね。 それくらいいなくてはならないツールということで、私も慣れ親しんではいるんですが、
実はオンライン化してからですね、非常に機能が豊富になって、 その何割も使いこなせていないんではないかなというふうに思っていて、
OED の使いこなし方をマスターしたり、掘っていくだけでですね、 時間がかかるんではないかと、じっくり一度腰を落ち着けてやってみたいなと思ってはいるんですけれども、
典型的な使い方とか、少し使って慣れているような機能ですね。 それぐらいしかあまり使っていないというのが現状ですね。
そんなことなんですが、今日この話題をお届けしようと思ったのは、 一度この OED についてしっかり話しておきたいと思っていたことはまず一つですね。
実際今までもですね、2022年3月の2日ですかね、半年以上前になりますが、第275回の配信で、
どれだけ長くかかっているのよ、OEDの変算と題して、 OED に関することはお話ししています。
またですね、他の様々な配信の内容のベースになっているのが OED からの情報だったりするので、 OED OED と言い続けてきたんですけれどもね。
ここら辺でですね、ざっとこの OED と何者かということを明らかにしておきたいと思ったということで、それが一点なんですが、
2つ目はですね、ちょうど昨日なんですけれども、15日土曜日ですね、青山英語史研究会という研究会、青山学院大学の寺沢淳先生、
OEDの進化
こちらのヘルディオにも一度対談という形で出演いただいているんですけれども、寺沢先生が主催する形で、
いわば OED 講習会のようなものが昨日午後開かれたんですね。演習のようなものも含めまして、3時間にわたる本格的な講習会だったんですけれども、
そこで OED の使い方の紹介をする講師陣というのがですね、たまたま私の大学院生4人、ケルフメンバーでもあります。
そのうちの1人はこのヘルディオにも何度も出演してもらっているマサニャンなんですけれども、講師となりまして、
短いリレー講義風のですね OED 紹介プレゼンみたいなものをしてもらったんですね。非常に具体的でわかりやすくて、
オーディエンスはほとんどが大学の学部生、2年生、3年生あたりが中心だったかなと思うんですけれども、大変ためになったんですね。
さまざまな OED の機能、私もそれほど使いこなしていないなっていう機能なんかも紹介してもらいまして、
そんな感じでですね OED について、このボイシーでもヘルディオでも少し紹介する内容をお話しようと、そんなふうに思い至ったということです。
この Oxford English Dictionary は、とにかく巨大なんです。情報量が半端ない辞書なんですね。
ですので、もう辞書の域を超えてですね、データベースと言ってもいいかもしれませんし、さらには例文が豊富ですので、そこに注目するとコーパスと言ってもいいと思うんですね。
歴史を遡りますと1857年になります。
その100年前にサミュエル・ジョンソンの有名な辞書が1755年に出版されているんですが、100年ぐらい経っているんですね。1857年。
そろそろ新しい辞書を作ろうということで、企画が持ち上がったんですね。それが OED に結実するわけなんですけれども、なかなか、
執筆開始であるとか、編集・編参がですね、手間取って、結局ですね、文札で出たんですが、最初の巻が出たのが1884年でしたかね。
そして最後の Z までの文札が出版されて、A から Z まで全て揃った、つまり完成したというのが1828年なんですね。
ざっと70年近く、企画から数えてですね、それぐらい時間がかかった。最初は New English Dictionary なんて言ってたんですけれども、
後に出版社がオックスフォード大学出版となりまして、オックスフォード English Dictionary、今 OED と呼んでいるものができました。これが初版です。
その後、2版が出たり、さらにホイが出たりして、追加版です。追加版の辞書が出たり、第2版が編参されたり、そうしているうちにですね、電子時代、コンピュータ時代になりまして、1992年には CD-ROM 版が出ます。
これは第2版に基づいたもので、これに私は主に学生の頃、大学院生の頃、お世話になったということで、これが出ただけですね。
検索の利便性というのがものすごくアップしまして、本当に喜んだものなんですけれども、それから今もう30年ですよね。
その間にオンライン版ができ、そして今は第3版がオンラインで編参されている最中で、3ヶ月に1分、アップデートされた版がオンラインで更新されていくということで、リアルタイムで編参作業が進んでいることが分かる仕組みなんですけれどもね。
とんでもなく利便性といいますか、豊富な機能も付加されて、先ほど述べたように、なかなか全てを使い倒すことはできないというぐらい優れツールになっています。
さて、普通の辞書とOEDが何が違うかというところなんですが、まず決定的に一つ挙げるのであれば、歴史的原則に基づいて編参されているということなんです。
OEDの基本構造
これの意味は、例えば死語なんかも含まれています。あるいは単語のすでに廃記となっている語彙ですね。なくなっている語彙なんかも含まれています。つまり英語の歴史において、一度でも使われたことのある単語であれば、それが今生き残っていようが生き残っていまいがちゃんと収録されているということです。
もう少し厳密に言いますと、1150年というタイミングで存在していた英単語ですね。それ以降の英単語ということです。それ以前の、いわゆる古英語の時代にのみ使われて、古英語機に使われなくなってしまった、つまり1150年まで生き延びなかった単語については収録されていないんですけれども、
それは英語辞典でお願いしますという感じで、任せちゃっている感じではありますが、それ以降、生き延びたものを含め、すべての英単語が基本的には収録されているということなんです。
そして、これまでに文献上に現れてきた数々のスペリング、つづり、いじ、いつづりですね。これなんかもきちっと記載されていますし、各語彙もですね、普通の学習者用の英語辞書みたいなものって、ある単語のよく使われる語彙から1、2、3とある意味頻度順とか、そういう順で習得すべき順ということで並ぶんですが、
OEDの場合は歴史的に現れた順序が早い順ですね。早い順に語彙が出ているということなんですね。つまりこれは実用的な辞書ではないということを物語っています。
研究用、調査用の辞書と考えたほうがいいですね。ということで私もよく聞くわけです。エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございます。OED、ものすごい辞書だということが伝わったのではないかと思うんですね。
普通、歴史的原則に基づく辞書なんて、そんな変算法の辞書があるなんて思わないと思いますし、発想も出てこないと思うんですね。ところが近代の西洋列強ですね。各国がこれをやったんです。各国語について歴史的原則に基づく辞書ですね。これを変算したんです。
この意味は、いわば国が自分の国の歴史を書くのと通ずるところがあるんですね。言葉を集めて、単語を集めて、その単語の一つ一つの単語の歴史、過去に使われた時の意味であるとか例文とかをとにかく収集するということ。いわば自分の国の歴史を紡ぐのと同じように自分の国を代表する言葉の歴史を紡ぐという発想です。
ですので一種国意の発用ということになりますし、ライバル国がそういうことをやってたら必ず自分もやらなければいけないという流れになって、いわば辞書競争、歴史的原則に基づいた辞書の変算の競争が列強で起こるわけですね。
そんなムーブメントというのがありまして、イギリスでも比較的遅れたんですが、遅ればせながら始まった一大事業、これがオックスフォードイングリッシュデクショナリーとして実ったということなんです。
その意味ではこのような歴史的原則に基づいた辞書というのは、特にヨーロッパの場合、帝国主義的な側面がある。この点は抑えておく必要があると思うんですね。
今は英語史研究のために毎日アクセスしているということなんですが、これが出来上がった背景としては必ずしも高マイナー英語史研究とか学術研究みたいなものだけに突き動かされていたわけでもなかった。
それが100パーだったわけでもないという。他に別の要素もあって、そういったものが合わさってこの大事業が完成され、それを今私たちは、有料ということはありますけれども利用していると。
この点は忘れずに、日々このOEDが与えてくれる研究所の利便性を享受していきたいと。そしてその上に乗っかって、このHeldioの配信も行っているし、そしていきたいと。
そういう次第ですね。ですので、OEDそのものが出来上がってきた歴史、メイキングについてもよく意識しておく必要があるのかなと、そういうふうに思います。
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それでは、本日、日曜日、皆さんにとって良い休日となりますように。
堀田隆一がお届けしました。また明日。
14:22

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