2025-11-29 15:12

【再】#497. Which one do you like? 支柱語 one

#heldio #英語史 #英語教育 #英語学習 #hel活 #英語史をお茶の間に #支柱語 #数詞
---
stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。
https://stand.fm/channels/650f4aef0bc9d6e1d67d6767

サマリー

本エピソードでは、英語の不定代名詞「one」について詳しく解説されています。この「one」は、もともと数字「1」から発展し、さまざまな文法的役割を持つようになったことが説明されています。また、ポッドキャストでは支柱語としての「one」の歴史やその役割についても触れられています。特に、17世紀における「one」の使用の変化が示され、物と人を区別する感覚が英語にどのように現れたかが考察されています。

00:00
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、そして英語のなぜに答える初めての英語史の著者の堀田隆一です。
10月10日、月曜日です。いかがお過ごしでしょうか。
三連休の3日目ということになるんですかね。
ただ大学はですね、昨今、休日もですね、この祝日も普通に授業があったりしまして、今日も実はあったりするんですね。
なので、感覚がよくわからなくなってくることもあるんですけれども、世の中としては三連休の3日目ということになっているかと思います。
三連休でおくつろぎの方も多いんではないかと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。
支柱語の役割
英語の語源が身につくラジオヘルディオ。本日の話題はwhich one do you likeという時のoneの使い方についてです。
始中語、柱を支えると書いて始中語のoneと呼ばれるんですが、この起源についてお話ししたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は始中語、prop wordという風に英語では言うんですけれども、柱を支えると書いて始中語ですね。始中語のoneについてです。
これは、いわば不定代名詞と言われることが多いかと思うんですが、表題に挙げたような、例えばwhich one do you like、目の前にいくつかですね、ものがあるときに、どれにしますかというときに、which one do you likeという風に言ったりするわけですね。
それから例えば、比較形の文でthis pen is longer than that oneみたいな、あの最後のoneっていうのがありますよね。
それから例えば、my house is a large oneのような言い方をするときのあのoneでもあります。
さらに言うと、これはですね、every single one of the students passed the examであるとか、no one was to be seen in the streetといった場合のoneの使い方ですね。
これなんかも、実はこの始中語のoneの使い方に通ずるものがある。不定代名詞ということなんですね。
このように非常によく使われる、現代語では使われる語法としてのoneなんですけれども、もともとはですね、当然これ1というあの数字なわけですよね。
それがどうしてこんな風に使われるようになったのか。さらに1のはずなのに、これ複数形になったりするわけですよ。
these onesみたいな形ですね。非常に変な単語だなと思われるかもしれませんが、これについて考えたいと思います。
この問題について考えることになったきっかけはですね、実は先日の放送493回だったんですけれども、支持詞this, that, these, thoseの語源。
このお話をしたときにですね、リスナーの秋さんからいただいた質問コメントが元になっています。
oneというのは非常にいろいろな使い方がある。代名詞としての使い方もあるというのがまさにこの支柱語としての使い方だと思うんですが、それに触れられましたので、これについてお話ししておこうと思った次第なんですね。
oneの歴史と発展
さて、まずこのoneの話題といえば、もともと数字なわけです。
英語ではアーンという風に発音したわけですね。
劣気とした数字なわけです。そして数字の役割はもちろん今だって生き残っているっていうことなんですが、あまりに基本的な単語、数字であるためにその後様々に発展します。
まずですね、発音、形が弱まってアンになりますね。そしてさらに弱まってアになります。これが不定関詞としての使い方で今に続いています。
この話題はまさにですね、このヘルディオンの第一回の話題なんですね。
なぜa penなのにan appleなの?という不定関詞に関する話題でしたが、大元はoneなんだよというのが一つ答えだったんですね。
他にですね、第7回の放送だったんですけれども、なぜoneと書いてoneではなくてoneなの?という発音の話題にも触れました。
さらにその次の回、第8回だったんですけれども、one only anyは同語源って知ってました?と題してお話ししたんですけれども、まあ基本的な単語なだけにですね、いろいろな展開があったということになります。
歴史的にいろいろな展開がありました、実際に。
そしてですね、今回の詩中語もですね、やはりその様々な展開の一つだったんですね。
oneというただの数詞がそのままの形、oneという形ですが、これが不定代名詞という新たな役割。
ただの数詞、数詞っていうのは名詞だったり形容詞だったりするわけなんですが、ただの普通の単語が不定代名詞という一歩文法よりの単語になっていくわけですね。
ですので、これは一種の文法化、grammaticalizationと言っていますが、普通の単語が文法的な単語へと変化していくという流れですね。
これが言語を通じてですね、様々な言語を通じて非常によく見られる現象として注目されているんです。
なので文法化という名前がついていますが、今回の詩中語oneの発声も一種の文法化の例であるというふうに言うことができると思うんですね。
もともとoneは数詞、数の1ですから、一つのものとか一人の人ということを表す方向でですね、発展するっていうのはここまではわかると思うんですね。
実際この発声は実に早くて、例えばeveryoneみたいな言い方、これいきなり言ってもですね、everyとoneで各々の一つのものということで、何のことを言っているかわからないんですが、この場合のoneは人なわけですよ。
なので今でもeveryoneというとみんな、一人一人のことを数えながらみんなということになるわけですね。
それから、no oneというのもそうですよね。誰も何々ないということで人を表すものとして、oneが不定代名詞として使われてきた歴史っていうのは、これ自体は非常に古いんです。小英語からすでにあります。
そして中英語の初期なんかでもですね、このeveryoneみたいな言い方として定着していたんですが、このようなフレーズと言いますか定形文句以外の使い方でoneが今につながる主中語的な役割を得たというのはどうも中英語後期あたりなんですね。
このヘルディオでも何度も出ています。ジェフリ調査、カンタベリ物語を書きましたジェフリ調査あたりで使われ出しています。ちょうど14世紀後半あたりですかね。
そのあたりに今に始まる主中語あたりがどうもですね、用法として出てきているっていうことがわかるんですね。
ですが今ほどよく使われるわけではなくて、ある程度確立してきたっていうのは近代英語期になってからなんですね。1500年以降近代英語期と言いますが、その中でも17世紀ですかね、1600年代に入ってから少しずつ確立してきて今風の使い方、普通の使い方が出てきたということらしいんです。
ですので、大元は後英語からeveryoneみたいな形で種ですね。種はあったんですけれども、それが芽生え出したのはどうも中英語期、とりわけ後期にかけてで、しかもそれが確立したのは近代英語期になってからで、およそ17世紀ぐらいのことだというふうにぐっと現代寄りになってきてるんですね。
つまりそんなに古いものではない。種としては古いんだけれども、現代に直結するような使い方、それから頻度ということではですね、やはり近代の現象であるということがわかってくるんです。
いわば、わりとゆっくりとした文法化の過程を経て近代英語期に確立したと、このように考えればいいと思うんですね。では、なんでこんなものができてきたんだろうか。それまではなかったということは必要なかった。別の方法で、例えばthis oneに相当するような言い方ですね。
あったということですし、必要なかった。だからなかったというふうに考えられるわけなんですが、では、なんで必要となったのかであるとか、どういう過程を経てoneがこのような主中語の役割を得るに至ったのかという問題はいろいろと議論することができると思うんですね。
この議論については英語史の専門的な知識が必要となってきますので、ごくかいつまんで述べますと、この主中語のoneっていうのは必ずその前に形容詞を伴うんですね。
This one, everyone, which oneのような形です。例えば、a tall oneとかa pretty oneみたいな言い方をするわけなんですね。ここでoneがないとa prettyで終わっちゃうので、現代語的には文法的にダメと言われるわけなんですが、小英語中英語ではこれが完全にokだったんです。
なぜかというと、prettyそのもの、形容詞そのものが語尾を変化させて屈折したからなんですね。それによって、例えば男性名詞、女性名詞、女性名詞、例えば仮の話ですけれども、このprettyが女性の形容詞屈折語尾を持っていたとしたら、小英語中英語では可能だったんですが、a prettyだけで、プラス女性語尾だけでa pretty girlほどの意味になるわけです。
つまり、oneというものが必要なかった。それがこの形容詞の屈折というのがなくなってしまったために、サポートとしての、まさに支柱としてのoneみたいなものが何か必要になったと。そのような流れなんではないかということです。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
支柱語としてのoneの歴史
先日のリスナーあきさんからのコメント、質問を受けた形で、支柱語としてのoneの歴史をざっと振り返ってみました。
他にもいろいろ面白い話はあって、最も古い用法はeveryoneのような言い方で、これは人ですよね。everyoneという時のoneは人なわけです。
そして17世紀あたりから、このone支柱語としてのoneが勢力を持ち出したスタートはやっぱり人だったんです。ところがこの17世紀中にどんどんものを指すように変化してきた。
確かに現代ではthis oneとかwhich oneといった時に人を指すわけではないんですね。だいたいものだと思うんですよ。
人を指すところから始まって、17世紀中にものを表すという現代風な用法に変わっていったというところも一つ見どころなんですね。なぜこんなことが起こったのかということです。
ものと人との区別っていうのは英語では割といろんなところに出てきまして、例えば関係代名詞のwhichとwhoなんていうのもそうですし、そもそも認証代名詞he、sheはもちろん人なんですけどもitっていうのはものであるとか、それからwhoとwhatっていうのも当然分かれてますね。
この辺の感覚は日本語でも分かりそうな気はするんですけれども、英語ではそれ以前は割とですけれども比較的ということですが、ものと人との区別というのはそんなにガチガチではなかったんですね。
関係代名詞のwhich、whoにしても先行詞によってwhichかwhoか使い分けるというのはまさにこの17世紀以降の話ですし、さらに男性代名詞と中性代名詞heとitですけれども、この所有格は長らく両方ともひずだったんです。
つまり分けてなかったんです。それが17世紀ぐらいになって、男性の場合はhis、そして中性ものですね。ものの場合はitsという新しい形が出だしたというのもこの17世紀なんで、どうもこのプロップワード、市中語のoneの話もそうなんですけれども、
17世紀あたりに人なのかものなのか何を指しているのかはっきりせよ、人とものとは違うんだ的な発想が英語に芽生えてきたと言いますか、もともと種はあったわけなんですが、強化されてきたっていうようなそんな感じがするんですね、この世紀、17世紀。
ちょうど市中語oneも同じような感じですね。もともと人に使われることが多かったものがものに限定されるようになり、そして今に至るということなんで、このあたりもいろいろと突き詰めていくと、さらに調べていくと面白そうだなというふうに思っています。
詳しくはまだ私もわかっていないんですけれどもね。こんな非常に魅力的な話題ですけれども、導入いたしました。
さて、このチャンネル、英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、あなたからのご質問、ご意見、ご感想をお待ちしています。Voicyのコメント機能を通じてお寄せいただければ幸いです。
それでは、本日10月10日ということで休日となっていますが、皆さんにとって良い1日になりますように。ほったるいちがお届けしました。また明日。
15:12

コメント

スクロール