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2024-08-03 10:00

heldio #14. なぜアメリカ英語では R の発音があ〜るの?


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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回の話題は、なぜアメリカ英語では R の発音があ〜るの、という話題です。
英語の二大変種といえば、アメリカ英語とイギリス英語ということですが、いろいろな違いがあるということはよく知られています。
今日は使うのは発音、この R の発音についてなんですが、他にも例えば文法の話題であるとか、つづり字の違いであるとか、その他の語法の話題であるとか、英米差、英語の英米差というのは色々と指摘されてきています。
その中でも、やはり聞けば一発で違いがわかるという点で、発音の違いというのは非常に注目されます。
実際ですね、1センテンスか2センテンスですね、これ発音してもらえば、基本的にアメリカ英語系なのか、イギリス英語系なのかというのはだいたいわかります。
その理由はですね、R の発音にやはりあると思うんですね。
この R というのは意外とよく出る音で、1、2センテンス話していればですね、必ずだいたい出るという音なんですね。
なので、この音の音色ですね、ここを引き分けることができれば、私たちでもですね、つまりネイティブでなくてもですね、これはアメリカ英語系なのか、イギリス英語系なのかということは、非常に簡単に判別できるということになります。
さあ、この R の発音なんですが、アメリカでは典型的に、この R と巻き舌というか反り舌、これが非常によく響きますよね。独特なこもった音色になりますね。
例えば、art, star, for という、R という音ですね。
これがイギリス英語では基本的にはですね、出ないんですね、このこもった音が。
単純に、art, star, for というふうに、日本語で言えば、あるいは書けばですね、カタカナのアーとかオーと伸ばすような音で、この R の独特な音色っていうのが、イギリス英語では聞こえないということなんですね。
これ、例えばですね、アルファベットの18文字目、つまり OPQ の後に来るですね、今日話題にしているあのアルファベットなんですが、あれ単体で発音すると、アメリカ英語では当然、R という音で、この R ではないんですが、独特の音色が聞こえます。
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しかし、イギリス英語ではですね、これがアーとなります。単にアーですね。いつまで経っても、この R の何らかの響きが出てこないっていうことなんですね。
イギリス英語に慣れてないとですね、スペルアウトしたときにアーと言われるんですが、はてこんなアルファベットの文字あったっけなと。
I と A はあるけれども、アーなんてあったっけなということになるわけですね。
これは、いわゆる R のことなわけですよね。
もちろんイギリス英語でも、その次にですね、母音が来ると、文の中で母音がくれば、その R の響きが出てきます。
例えば、You are ですが、その後に、a student っていうのが続けば、You are a student っていう風に、You are a student となって、アメリカ英語と大差ない形になりますが、
単体の場合、次に何も続かない場合ですね、Are they students? に対して、Yes, they are って言うと、これアメリカ英語ですが、Are they students? に対して、Yes, they are
とすれば、イギリス英語ということになります。
さあ、このようにですね、R の響きが反った形、巻いた形で出るのがアメリカ英語で、出ないのがイギリス英語っていうのが、一応ですね、単純化して文法を述べるとこういうことです。
細かく言うと、実はアメリカ方言、イギリス方言によっても、この R が出たり出なかったりっていうのはあるわけなんですけれども、
ここで話を単純化して、標準的なアメリカ英語と標準的なイギリス英語。
R の響きが出るのがアメリカですね。
それに対して、出ないのがブリティッシュというかイングリッシュというふうに考えておきたいと思います。
さて、ではなぜこのような英米差、発音の英米差が出るのかというところですね。
ここで英語詞が出てきます。
よく考えてみますと、例えばですね、B 動詞の R を考えても、A-R-E っていうふうに、ちゃんと R の文字が含まれてるわけですよね。
これ、イギリス英語もアメリカ英語も関係なく、続きは一緒ですから、A-R-E です。
他に星を表す star も S-T-A-R ですよね。
それから for、4 を表す for だって F-O-U-R っていうふうに、
両方ともですね、両方のイギリス英語、アメリカ英語ともに R の文字は見えるわけです。
文字はあるのに、イギリスでは発音しない。アメリカではちゃんとこれを発音するということになっているんですね。
これはどういうことかということです。
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まず大原則としてですね、つづり字っていうのは古い英語の発音を指すということが非常に多いです。
現代の英語の発音を示すというよりは、実は古い英語の発音をしっかり示しているということが多いんですね。
例えば、夜を表す night、N-Y-G-H-T。
GH って何だと、これは全く音に反映されてないじゃないか、というかもしれませんが、
昔の英語ではこれに、っていうふうにきちんと発音があったんですね。
このように昔の発音をなぜか表してしまっているのが英語のつづりなんですね。
とすると、先ほど述べたですね、A-R-Eの B 動詞の R にしろ、星のスターにしろ、4を表す 4 にしろですね。
R が文字として書かれている、つづりとしてあるっていうことは、昔は発音されたってことなんですね。
昔といえば、イギリス英語のことです。
アメリカ英語というのは、17世紀以降の話ですから、それより前はですね、すべて英語といえばイギリスの英語に決まっているわけですね。
その時から R はあるんです。
つまりイギリス英語でも、ちゃんと文字通り、つづり字通り、R は発音されたということになるんですね。
かつては、R は巻き舌というより、いわゆるベランメチョンの R って発音だったとされますが、
例えば、アルトだったり、アールだったり、スターだったり、フォールだったりしたわけですね。
これが17世紀以降、アメリカに持ち込まれました。
当然、もともと R があった時代のイギリスの発音が、そのまま植民地であるアメリカに持ち越されたので、アメリカにもこの R の発音を込みで移植されたということです。
この段階では、イギリスでもアメリカでも変わらず、もともとの通り R があったわけですね。
スターとかフォールって言ってたわけです。両方で。
ところがですね、17世紀にアメリカに入植して、その後18世紀半ばぐらいです。
今から250年ぐらい前、イギリスで言えば産業革命前夜ぐらいですね。
この時代にロンドンで、この5末の R ですね。
スターとかフォーとかアーとか、この R の音色が消えてしまうという変化、音の消失なんですが、これが起こったんです。
ロンドン付近で。
そしてこれが流行してですね、この R を発音しないという個性質が、いわばロンドン付近で流行して、さらにロンドンから少しずつ地方にも伝播していった。
イギリス全土ではありませんが、いわゆるイングランドのかなり多くの地域が、このように R が書かれるのに発音されないというような、新しい発音の流行に染まっていったということなんですね。
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ところが何千キロも離れたアメリカでは、そんな流行はなかなか伝わらず、昔ながらの R の発音がきちっと響いている。
スター、フォー、アーということですね。ということなんです。
つまりアメリカの発音の方が、実は古いオリジナルの英語の発音をきちっと残しているということになります。
そして本家本元であるイギリスの方が、250年前にロンドン中心とした発音の流行によって、この R を発音しないという性質を獲得したということになります。
これは意外なのではないでしょうか。
ではまた。
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