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2024-07-24 09:33

heldio #4. harassment のアクセントはどこに置けばいいの?


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おはようございます。英語の歴史を研究しています。 慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった 英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。 今回取り上げる話題は、
ハラスメントのアクセントはどこに置けばいいの、という素朴な疑問です。 英単語のアクセントの位置に関する問題ですね。
この単語、日本語にもすっかり定着していまして、ハラスメントとして普段使いしますよね。 日本語としての発音は、ハラスメント。
ハラスメントということで、ラのところでピッチが上がるわけですね。 ですので、多くの日本語母語話者で英語を勉強している人はですね、英語を発音するときもこのまま
ハラスメント、ハラスメントというふうにラの部分、第二音節にアクセントを置くというのが自然なように思われるかもしれません。
実際、この発音はですね、優勢ではあるんですね。 状況を見てみますと、アメリカ英語ではですね、このハラスメントというのが圧倒的に優勢です。
ある統計によりますと、87%がハラスメントという発音です。 残りの13%という少数派が、実はハラスメント、ハラスメントという発音をします。
つまり、両方可能と言えば可能。 ただし、ハラスメントの方が一般的ということがわかります。
ところがですね、イギリス英語に移りますと、この分布が逆転します。 イギリス英語では、ハラスメントの方が多いんですね。
統計によりますと、これは68%という3分の2強がですね、ハラスメント。 そして32%少数派がハラスメントということになります。
つまり両方言ともですね、英米の方言とも、両方の発音、どちらかにアクセントを置くというハラスメント、ハラスメント。
両方可能ではあるんですけれども、その優勢な方がですね、逆転した分布になっているということです。
アメリカ英語ではハラスメント、イギリス英語ではハラスメントの方が多数派ということです。 ここで面白いのはですね、イギリス英語ではハラスメントが多いということなんですけれども
年代別に見てみると、面白いことにですね、若年層、若い人々はハラスメントを使う傾向が強いんです。
つまり年配の方々から見るとですね、若いものはアメリカ化していると、そういうふうに見えるというか聞こえるわけですよね。
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これは非常に面白いところだと思います。 これはハラスメント、ハラスメントという名詞形だけではなく、このメントを取り除いた動詞形、嫌がらせをするという意味での
ハラス、あるいはヘラスについても全く同じ分布となっています。 英米間で優勢な方がこうとなる。
しかしイギリスの方では、若年層でアメリカ化したハラスメントとかハラスの方が流行ってきているということですね。
したがってこれはもう10年、20年、30年となると、どんどんこのイギリス英語でもですね、アメリカ的なハラスメントとかハラスが増えてくるということが予想されるということです。
さあ同じような問題なんですけれども、コントロベーシーですね。論争を意味するこの単語についても考えてみたいと思います。
これは四音節語という非常に長い単語なんですけれども、皆さんどこにアクセントを置いて発音するでしょうか。
コントロベーシーでしょうか。あるいは二音節、第二音節にアクセントを置いてコントロベーシーでしょうか。
これも実はですね、2種類の両方の発音が認められます。 アメリカとイギリスそれぞれ見てみたいと思います。
まずですね、アメリカ英語に関しては、実は第一音節にアクセントを置く、コントロベーシー。
これが事実上唯一の発音となっています。アメリカ英語においては、コントロベーシーと言っておけば間違いないということですね。
ところがイギリス英語では2通りあります。このアメリカ的なですね、コントロベーシーという第一音節に置くものもあれば、実は第二音節に置くですね、コントロベーシーという発音もあるんですね。
コントロベーシーとコントロベーシー、2つがイギリス英語では選択肢があるということです。
どちらが優勢かというとですね、イギリス英語においては、いわゆる標準的な、最も正しいとされる発音においては、これはですね、アメリカばりのコントロベーシーが正しいと言いますか、標準的とされるんですが、実際にはコントロベーシーというのも広く使われています。
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統計的に言えば、実はこのコントロベーシー、非標準的とされる発音のほうが一般的には多いということなんですね。
6対4という統計が出されています。コントロベーシーという非標準のほうが実は多くて6割、そしてコントロベーシーというほうが正しいとされていますが、これが4割ということなんですね。
ここで面白いのは、アメリカでは選択肢がないんですよね。原則として、コントロベーシーということになります。
そしてイギリスではこのコントロベーシーというのは、4割と少ないですが正しいとされているわけです。
そうすると、イギリスでは正しくないと言いますが、非標準的であるコントロベーシーという発音、コントロベーシーという第二音節にアクセントが落ちる、この発音はどこから来たのかということが話題になりますよね。
非常に面白いことに、イギリスでは一部ですが、こういう受け取られ方をしているんですね。
コントロベーシーというのは乱れた正しくない発音である。なのでこれはアメリカから来たに違いないという発音になるわけです。
ところが今まで述べてきたように、このコントロベーシーという発音はアメリカではない発音ですので、アメリカから来たわけはないんですね。
ところが乱れた発音は、大西洋の向こう側の野暮ったいアメリカ英語から来たに違いないという、ある種の偏見みたいなものがイギリスの中であって、このコントロベーシーという発音は向こうから来たに違いないというような発想になっているわけです。
これ非常に面白いですね。事実無根なわけですけれども、標準的でないものはおそらく大西洋の向こうから渡ってきた英語の発音で、本来の正しいイギリスの発音を見出しているのはアメリカであるみたいな、ある種の偏見を伴った解釈がなされているということなんですね。
第一の話題、ハラスメントの話題では、若年層がどんどんアメリカ化した発音になっているということと合わせて、このコントロベーシーの問題を見ると、非常にこれ時代面白い問題だということになります。
そもそも英単語には、このように二音節以上の単語で、どこにアクセントが落ちるのかというので、揺れを示す、両方ありうるという単語がたくさんあります。
どっちなのと、我々学習者としては、はっきり決めてもらいたいところはあるんですが、歴史的に揺れてきたということなんですね。
この揺れの原因は、実を言いますと、千年ほど歴史を遡らないと説明することができません。
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この悩ましいハラスメントか、ヘラスメントか、あるいはコントロベーシーか、コントロベーシーという発音なのかという問題は、実はある意味では千年ぐらいの歴史を擁する、非常に根の深い根本的な問題ということになります。
ではまた。
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