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2025-01-28 10:00

heldio #192. アルファベット最後の文字の発音はゼッドかズィーか?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #アルファベット #英米差
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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる素朴な疑問は、アルファベット最後の文字の発音はゼッドかズィーか
という気になる疑問です。 皆さん、ABCの歌を歌うときに、最後に来るのはOPQRSTUVWXYZ
と言いますかね。それともZと言いますかね。 あるいは単体であの文字が現れたときの読み方はZなのかZなのか
という問題ですね。これもちろん両方通じると言えば通じます。 一般的に言われているのはイギリス英語ではZ
Zという言い方で、アメリカ英語ではZっていうことですね。 日本語の文脈で英語を話しているわけではなく、日本語のあくまで文脈であの文字を呼ぶ
ときにはZということが多いんではないですかね。 日本語として使う場合にはまずZ、だけれども英語を話すときには、あの昨今ではですね
アメリカ英語の勢いというのが日本の英語学習、英語教育でも強いので、これZと読むことになっているというふうに使い分ける人もいるかもしれません。
ただ元々は先ほど述べたようにイギリス英語でZ、そしてアメリカ英語でZというA、B差ですね。 この違いが元になっているということなんですね。
さあなぜこの2つ、このA、Bで差があるんだろうかと言い方の違いがあるんだろうか。 もちろんA、Bの間には文法から語彙から発音から色々と違いがあるということは知られていますし
そういった例の一つに過ぎないといえば過ぎないんですが、ここにも何か理由があるんではないかということで探ってみたいと思うんですね。
英語の歴史を振り返ってみたいと思います。 英語のアルファベットというのは元々はローマンアルファベットというようにローマ字ですね。
ローマで使っていた文字を借り受けたものです。 さらにそのローマはさらに遡ってギリシャ語のアルファベットですね。
アルファ、ベータ、ガンマってやつです。 あれに遡ります。さらに言うとまた元原初のアルファベットを遡るんですが、とりあえずギリシャ語から始めたいと思いますね。
これの第6文字目。 アルファ、ビータ、ギャンマ、デルタ、エプシロン、ゼータ。
これですね。この第6文字目がいわゆるゼータという形でZに相当する。 後にZとして受け継がれていくものなんですね。
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これはギリシャ語の話で第6文字目にあるわけなんですが、 これが実はラテン語にラテン文字になっていく際にですね、
ラテン語でこのZという音が基本的になかったので必要とされなかったんですね、この文字が。 なのでローマ人、ローマの言葉であるラテン語を喋っていたローマ人はこの
ゼータですね、ギリシャ語の第6番目の文字を取り入れなかったんですね。不要だからっていうことです。 ところが後にギリシャ語からたくさん単語を釈用するようになって、ギリシャ語を綴る必要に迫られた時に、
やっぱりギリシャには当たり前のようにあるゼータ、 これがないと不便だということで再び取り戻して使うようになった。
ところが1回捨てたものを改めて取り直したので、 第6番目に入れる隙がなかったと言いますかね。しょうがないのでもう既に固まっていた
ローマ字のアルファベットの最後に付け加える形で、 最後の文字になったという、そういう経緯があるんですね。
ですので今英語でもアルファベットの最後の文字ということになっているわけですね。
さあこの文字は英語に入ってですね、ローマ字が アルファベットがセットで英語に入ってきたと。
英語に入ってきた当初、小英語の時代はZですね。 この最後の文字はほとんど使われなかったんですね。
ところが中英語になってノルマン征服の後、これが使われるようになっていきます。 そしてその頃以来ですね、ずっと発音はZできたんです。
これZetaっていうのがギリシャ語でのこの文字の名前ですよね。 なのでそれにほど近いZedと綴るようなZという発音が当初からですね、
有声だったということなんですね。これがずっと続きます。 時は流れて17世紀ぐらいになりますね。
そしてこの17世紀前後ですかね、1600年ぐらいまでにはですね、 他にこのZという読み方とは別にですね、近いんですがZadという発音とかZardという発音とか、
あるいはこのもともとのZetaが二音節ですよね。 この二音節の元の発音から発展したと考えられる
Izardという言い方とかですね、Ezodという言い方とか、いろいろなこの二音節バージョンというのも生まれてたんですね。
つまりZが有声であるとはいえ、いろんな形が実はあったということなんですね。 そしてこの有声だったZにもう一つですね、
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新しい形が、新しい発音の仕方が付け加わります。 これかなり人工的に付け加わったっていう感じなんですが、音声学者が新しい発音をですね、
いわば発明したと言ってもいいと思うんですね。 1619年にこのアレクサンダー・ゲオですね、この人がですね、ロゴノミア・アングリカという、
英語に関する本ですね、英語に関する文法などを記した本というのを書きますが、 その時にですね、この最後の文字に対してAzという発音、これを与えたんですね。
Azです。 同様にですね、ほどなくして1633年に今度はチャールズ・バトラーという人が、
The English Grammar、まさに英文法という本の中で、今度はZという発音を提示したわけです。 つまりずっとZでやってきたところに、この17世紀前半になって、
AzとかZという異なる発音の仕方がですね、中は人工的に生まれたということになります。 例えば、Azっていうのはどこから来たかというと、他にももちろんSっていうのがあります。
Fっていうのもありますね。 つまりAで始まって、その当該のシーンが来るというものはありますし、
他に、このチャールズ・バトラーという人が発明した、もう一個の提示した発音としてZっていうのがありますが、これも想像つくと思うんですが、他にもアルファベットで当該のシーンにEという母音をつけることで、
例えばB、C、D、G、P、T、Zというのがありますが、これと同列にですね、この最後の文字もZでいいじゃないかというふうに、異形、異なる発音として、このZとかAzとかZ、こういったものが出てきたってことなんですね。
さあ、イギリスでこういう新しい発音も含めて、いろんな発音が聞かれました。 ただ、最終的にはZが優勢であり続け、現代に至るのが、これがイギリスっていうことなんですね。
さあ、この17世紀前半というのは、面白いことに、ちょうどイギリスが北米に植民地を作って、アメリカに英語が移植され、そしてアメリカ英語がこれから発展していくよという時期にあたりますね。
この時期にイギリスで、そのZ、Az、Zみたいな言い方が複数行われてたってことですよね。 この複数、並存して行われている状況が、そのまんまアメリカにも移植されます。
つまり初期のアメリカでは、イギリスで優勢だったZももちろん行われていましたし、一方で新しく出たZみたいなものも、やはり発音されてたってことですね。
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そして面白いのは、その後のアメリカにおける英語の歴史において、標準的なものとして選ばれたのは、イギリスでは優勢だったZの方ではなく、新しく生み出された、つまりBとかCとかD、これに倣って生み出されたZという発音ですね。
こっちの方が、どういうわけか優勢になってしまったということなんですね。 なので、もともとイギリスではずっとZが優勢だったということは変わりません。
そして、そこからずれた形で、アメリカ英語でZっていうのが発明されたかというと、そうではなくて、イギリス内で実は発明されてたんです。
そしてZとZが一緒にアメリカに移植され、その後に標準化したのがアメリカではZの方だった。
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