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真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと川端です。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになるをテーマに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
第139夜を迎えました。今夜はお便りのご紹介はお休みをして、最近私が読んで感銘を受けた本をご紹介したいと思います。
今夜の勝手に勝手に貸し出しカードは、ユン・ウンデさんの聞くこと話すこと、人が本当のことを口にする時にしました。
聞くこと話すことはどんな本かと言いますと、インタビュアーでライターのユン・ウンデさんが、映画監督の浜口隆介さんや、
浜口さんはドライブマイカーの監督の方ですね。それから琉球大学の植間陽子さん。植間さんは本屋大賞のノンフィクション賞を受賞した海をあげるなどの著者の方ですが、
沖縄の少年少女の飛行などを研究されてまして、夜の街で働く少女たちの声なんかを聞いていらっしゃる方ですね。
そんな浜口監督や植間さんに、人が本当のことを口にする瞬間について、ユンさんが聞いていらっしゃる本なんです。
上手に話すとか、ちゃんと聞くって本当に難しくて、どうやったらうまく人の話を聞けるのかとか、思ったことをちゃんと話せるんでしょうかとかって、
著者のユン雲手さんはインタビューのプロだからということで、いろんな業界の方から質問されるそうなんですね。
それに対する答えがまず秀逸で、あーなるほどってすごく思ったので、今日はまずその話からしたいと思います。
どうやったらうまく人の話を聞けるのか、思ったことをちゃんと話せるのかという質問に対してですね、ユン雲手さんはうまく聞くの、うまくって何ですか、ちゃんとって何ですかと聞き返すって言うんですね。
そう言われると回答に困りますよね。詰まっちゃうっていうか、うまくって言うとなんだか上手にいいとこ取りしてやろうみたいな根担があるようにも受け取れるし、
ちゃんとってことはちゃんとしてない、正解じゃないものがある前提みたいな感じでもありますよね。
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そういうことを考え始めると本当のことって人はなかなか他人に言わないんじゃないかとか、そもそも自分自身が本当のことなんて言葉にできっこないんじゃないかとか、
言葉として見つかってないんじゃないかとか思っちゃうわけですよ。しかしそうやって結論を私も結構先に決めたがってしまうんですけど、それじゃダメですね。
それでも浜口監督や上間さんがどうやってアプローチをしているのかっていう話がここには書かれているんですね。
読んでいきましょう。浜口監督は東日本大震災をテーマにしたドキュメンタリー映画を撮られているんですね。
そこでたくさんの方、被災者とひとまとめにするのもどうかという話もありますけれども、たくさんの方たちに体験を聞いていらっしゃるんですけど、その言葉として書かれているのが、
聞かれているという感覚が、人が何がしかの自分自身を表現することの基盤になる、あなたのことを聞きたい、あなた自身に価値があるからですというスタンスで接することで、その人自身が発露するように感じました。
信じられる声、少なくとも今この場で、この関係性の中で信じられるものをたくさん聞いた気がしました。
なるほどーと思って、この信じられる声、信じられるものをたくさん聞くって、すごくいい言葉ですよね。本当のことを言ってるとか、いい話聞いたとかいうことじゃなくて、これは信じられるものだって思えるって多分あるんだろうなぁと思ったりして。
で、植間さんの方ですけれども、植間さんの言葉としては、植間さんは沖縄でね、辛い体験をされた少女、少年少女たちの話をたくさん聞いてらっしゃるんですけれども、そこでこんな風におっしゃってます。
暴力の体験って言葉を奪うので、本当に話せなくなるし、みんなと違うものになってしまったという感情を持たされるので、暴力自体が言葉を奪うんですよね。
加えて、暴力が小さい時からなので、それは語れない。いちいち感情で傷ついていたら持たないもので、なんでもないことという風に処理するし、言葉はその時には付随しないんですよね。だから本当に話せないとあります。
いちいち感情で傷ついていたら持たないので、なんでもないことという風に封印しちゃう、処理しちゃうというのもあるし、そもそも言葉で説明できるほどの年齢に達していない時に、暴力を体験するとそうなのかって思いましたけれども、
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本当にのた打ち回るような経験というのをした人は自分の体験を表す言葉を持たないという風に別のところでおっしゃっていて、これについてユンウンデさんが、
本当にのた打ち回るような経験というのをした人は自分を表す言葉を持たないとせずに、経験と体験を分けていると。のた打ち回るような経験をした人は自分の体験を表す言葉を持たないという風に経験と体験と言い分けているんですね。
ではここに私はこだわりたいと書いていらっしゃって、すごいな、なるほどって思ったんですけど、無自覚な言葉遣いであったとしても、わざわざ変えているってことは何か意味があって、植間さんだからこそ言葉を持たない人の語りを聞くことができるんじゃないかという風に深掘りしていらっしゃるわけなんです。
経験と体験の違いなんですけれども、経験はそれがどんな意味を持っていたのかを問う、そして理解するっていう、それが経験で、体験は純粋に遭遇した出来事みたいな感じでしょうかね。
経験と体験が違うんだと、のた打ちもあるような経験っていうのは、体験したことに意味を見出してしまって、何かしら解釈を持って自分の中に内面化したり、分析したりした結果がのた打ちもあるような。
自分の体験っていうのは、その時遭遇した出来事、されたこと、みたいなことでしょうかね。
ユンウンデさんが、この人はあえてこの言葉を使った、こういう言い方をしないで、こういう言い回しにしたってことに意味を見出す、そこがすごいんだなって、この本を読んで思ったんですよね。
聞き逃さない。テープ起こしをしてたって、経験ってどっちも打っちゃうかもしれないし、重なる、似たような言葉が重なるようだったら、一個にしちゃおうっていう風に打ち直しちゃいかねないところを、あえて違う言葉を使ってるってことに気づくっていうね、気づかない人は気づかないと思うんですよ。
そうやって本当に聞くってこういうことなんだって、私はすごいこの本を持って納得がいったと言いますか、そういうことっていうのは、何でこの人はこういう言い方をしたのかなっていうことに思いを馳せるっていうのが本当に聞くっていうことなのかなと、言葉通り学面通り受け止めるって言い方がありますけど、
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言葉通り受け止めるだけじゃなくてね、何であえてこういう言い方をしたのかなっていうことに思いを馳せる、気づくっていうのが本当に聞くってことなのかなと思ったりしました。
ゆううねさんはインタビューセッションというものをやってらっしゃって、希望する方の話をひたすら聞くみたいなんですね。インタビューという形で。いらっしゃる方は有名人とかじゃなくて、資生の方ですが、女性が9割って書いてありました。
なるほどわかるような気もしますね。インタビューセッションって、カウンセリングとかそういうヒーリングセッションみたいなものとはまた違って、インタビューされるって確かに日常であまり経験することないですけど、ひたすら話を掘り下げてもらうってすごい良さそうだなって思いました。
そんなインタビューセッションというのをやってらっしゃる経験、流れの中から出てきた紙フレーズをご紹介して今日は終わりたいと思います。
なおのこと、初対面の私に対して誰にも言ったことがありませんが、と前置きする人がそれなりの数いるのもうなずける。
それは本当に誰かに言ったことがないというよりは、同じ話を異なる話法でこれから語るという決意のもとに言っている宣言だと理解している。
彼女たちが共感や同情を欲していないのは、最後まで話が聞き届けられた経験の少なさゆえなのだろうとあります。
この前のくだりとして、女性たちの話のシーンには怒りがあるという話が出てくるんですけど、
自分が女性というだけで受ける差別、女ではあるがその事実が自分とぴったり重なるわけでもなく、必ずしも全面的に受け入れているわけではないのに、
どうして男は勝手な女性像に期待を寄せて理想にしたり失望したりするのか。
そこには自分がいない、女であることで自分が無力だと感じる体験をせざるを得ない、そうした怒りもあると私は感じているってあるんですけど。
ちょっと今日はすごく抽象的な話になってしまいましたが、
それは私のことだなぁ、わかるなぁって思われた方は、女性に限らずですけれども、聞くこと、話すことという本をぜひ読んでいただけたらと思って今日はご紹介しました。
これ言ってもしょうがないなぁって思ったりとか、結局最後まで聞き届け、聞き入れられないって思って諦めちゃうことって結構あることだなぁと思うんですよね。
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そうした経験が積み重なると、言ってもしょうがないかって思ったりしちゃうよね。
でもきっと怒りは蓄積をしていて、言ってもしょうがないって思ったことで、さらに何というか自分自身をちょっと小さく傷つけるみたいなところがあるなぁってすごく思った本でした。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございます。
来週からはまたお便りご紹介できたらと思っています。
さて今夜もお時間になってしまいました。
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それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。