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真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと川端です。
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室では、
水曜日の夜にホッとできて、明日が楽しみになる、をテーマに、
おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
第140夜を迎えました。今夜のお便りをご紹介します。
ラジオネームレモンスイさんからいただきました。
バタやんさん、こんばんは。
昨年の秋より、真夜中の読書会と出会い、
遡って聞いております。
番組のゆったりした周波数が大好きで、気持ちが落ち着きます。
ありがとうございます。
私は昨年、がんにかかり、現在も治療中です。
先日、友人から西かな子さんの
クモを読む、を読んだよ、がんのエッセイだったから、
よかったら読んでみて、とおすすめされました。
作品自体は、私も興味があり、読んでみたいと思ったのですが、
なんだか物質系にデリカシーなく
おすすめされたことに対して、もやもやしてしまいました。
相手は良かれと思って言ってくれていることですし、
私にも常に気持ちを重んぱかってほしいという態度があるのかもしれませんが、
気持ちがどうも晴れません。
うーん、なるほど。
また、日本の小説は、がんになるストーリーがとても多いと感じています。
ドラマチックに使われたり、
それが自分よりラッキーな状態にある方の感慨ストーリーだったりすると、
落ち込んだりもするのです。
以前、バタヤンさんがおすすめされていた
無人島の二人もまだ読めていません。
難しいかもわかりませんが、
こんなときにおすすめの本がありましたら教えてください。
上司が気軽にスッと差し出してくれるような感じで
教えていただけたら幸いです、といただきました。
ありがとうございます。
そうですね、難しいですね。
そのご友人ももちろん良かれと思って何でしょうけれども、
えーって思う。
もやもやする。
デリカシーないというふうに感じちゃう気持ちは
すごくわかる気がしましたね。
何でしょうね。
直線的な発想にうーんって抵抗を感じるんでしょうかね。
そんな一緒くたじゃないんだよっていうか、
そんな単純じゃないんだよって思うことは
まあありますよね。
何かこうアドバイスを求めたわけじゃないけど、
まあ旦那とでこうでみたいなことを言ったときに、
そんなのもう離婚しちゃえばいいじゃんとか、
あのこういう話あったから読んでみなよって言われて、
そういうことじゃないんだよなっていうこととかね。
まずどんな本をご紹介するか
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ちょっとすごくずっと考えていたんですけれども、
最近偶然の出会いでネガティブケイパビリティという言葉を知ったんですよ。
ケイパビリティという言葉自体も私は最近知ったんですけど、
人事系のビジネス本にまあよく出てくるんですよね。
ケイパビリティって能力力量手腕という意味でしょうか。
組織のケイパビリティとか人事部のケイパビリティが問われるとか書かれてるんですけど、
人事部自体の能力力量手腕が問われるみたいな意味でしょうか。
まあそういうマッチョなビジネス用語っぽいケイパビリティと
ネガティブっていう相反する言葉が一緒になってるの面白いなと思って興味を持って調べたんですけど、
日本語訳すると消極的能力とか消極的需要力とか訳されます。
日本では母木木宝生さんという小説家で精神科医の方が
ネガティブケイパビリティという言葉を広めた第一人者のようでして、
そんなわけで今夜の勝手に貸し出しカードは
ネガティブケイパビリティというのは一体どんな能力なのか、
なぜこの本を選んだのか解説していきたいと思います。
ネガティブケイパビリティとは事実や理由をせっかちに求めず不確実さや不思議さ、
会議の中にいられる能力、あるいはどうにも答えの出ない、
どうしようも対処のしようのない事態に耐える能力のことを指します。
もともとは詩人のジョン・キーツが発見した概念で、
何かを必死に模索して本質に到達するまでの
チューブラリンな状態に耐える力みたいなニュアンスなんですね。
キーツはシェイクスピアがネガティブケイパビリティがめっちゃ高い人と票していたらしいんですけど、
なのでそもそもは文学とか芸術の世界で生まれた言葉なんですが、
第二次世界大戦の後に精神科医の方がその言葉能力に注目をして、
再び脚光を浴びるようになったと。
精神両方の世界においてネガティブケイパビリティとは、
チューブラリンな状態に耐えた先に必ず深い発展的な理解が待ち受けていると、
確信して、耐えて、持続して生み出していくっていうね。
事実や理由をすぐ分かったなってなって、
せっかちに解決法に結びつけない能力が大事という感じでしょうか。
ついやっぱり知識とか知見で過去の経験とか、
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この人はこういうタイプね、こういうことが理由でこういう症状が出ているんで、こう対処しましょうって、
肩にはめて解決しがち、しようとしちゃいがちなところを我慢するというか、
ちゃんとここに向き合うみたいなイメージでしょうか。
逆にポジティブケイパビリティというのもあって、それは何かっていうと、
できるだけ早く答えを出して不確実不思議会議の中から脱する力、
そういう早期理解、早期問題解決、早く分かっていて、
理解して対処することが大事ってされてますよね。
基本的には教育とかビジネスの場面では分からないことを分かる、
パターン化したりマニュアル化したり整理するノウハウがあふれているわけですよね。
コロナ禍なんかはまさにそのネガティブケイパビリティが求められる事態だったのかなって私は思ったんですけど、
先行きが分からなくて不透明で不確実な中で、
忍耐力をすごく問われる状況でしたから、
その状況があって、その状況があって、
そういう状況が明けたせいか、今はネガティブケイパビリティにかける、
短絡的な問題解決とか早期解消を求める風潮に、
世の中がっていうかみんながいるんですよね。
そういう状況が明けたせいか、今はネガティブケイパビリティにかける、
短絡的な問題解決とか早期解消を求める風潮に、
世の中がっていうかみんなが生きすぎているんじゃないかなって、
ちょっと気になってもいます。
こいつはダメだってなったらすぐ外すっていうか罰をつける。
絶対反対ってなったらすぐ返させるとかね。
例えが正しいか分からないですけど、
マイナンバーカードとかジェンダーレストイレとかの問題も、
いい面も悪い面もあるし、
立場によっていろんな側面もあると思うんですけど、
そういうふうに自体は複雑なはずなのに、
割って善悪を決めつけて、
白か黒かやるかやらないかみたいになっちゃう傾向が、
ちょっとあるんじゃないかなって危惧しています。
実際世の中の多くの問題とかって、
すぐに理解して迅速に解決できないことばかりではありますけどね。
でもネガティブ・ケイパビリティっていう言葉は、
耐えるばかりっていう、辛抱する能力ばかりじゃなくて、
この本に書いたってすごくいいな、なるほどって私が思ったのは、
ネガティブ・ケイパビリティは諦めるってことじゃないんですよ。
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今は変えられないとしても、
その不確実な状態に努力して耐えて、
希望を見出していく態度、
未来に希望をする能力っていうのも含めて、
ネガティブ・ケイパビリティなんですって。
母キギさんは精神科医のお医者さんだから、
ご自身がというより患者さんと一緒に、
不確実な状況に対して根気よく向き合いながら、
一緒に希望を見出していくっていうのが、
お医者さんとしてのケイパビリティ、能力だっていう意味なんだと思うんですけどね。
じゃあ私もネガティブ・ケイパビリティを身につけたいわ、
伸ばしたいわって思ったら、
どうしたら身につくんですかって聞きたくなっちゃうんですけど、
そうやってすぐに答えを求めること自体が、
すでにネガティブ・ケイパビリティに反する。
だからそういう概念があるんだな、あるんだねっていうことを、
心に留めておけばいいだけですよと、母・木木先生はおっしゃってました。
今日はこの本から紙フレーズをご紹介したいと思います。
すると、50歳ぐらいの精神科教授は、
治せないかもしれませんが、トリートメントはできますと答えたのです。
私はあっと目から鱗が落ちた感じがしました。
これはですね、著者がインドネシアの精神科病院を訪れた際に言われた、
教授に言われた言葉なんですね。
著者は医学生の頃からトリートメントという言葉を何千回も聞いて口にしてきたけど、
それは治療、治す行為としてのトリートメントという言葉だったと。
でもそのインドネシアの先生が言うトリートメントは、
美容室で行うトリートメント、ヘアトリートメントの意味のトリートメントだった、
だなという理解なんですよね。
髪の毛って伸びた髪が傷んでたり、毛先が傷んだりした時って、
実際には補修とか、CMでは言いますけど、元に戻ることないわけですよね。
それ以上痛まないようにケアをするっていうのはトリートメントであると。
これは精神病、精神疾患の話で、精神的な疾患って感知するっていう言い方は、
治癒する、感知するっていう言い方はしないで、
肝界、肝腰の肝に溶けると書いて肝界ですが、肝界っていう言い方をしますけれども、
私も精神心理カウンセラーの資格の勉強をしてた時に初めて知ったんですが、
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言い回しを。
がんにおける肝界とはまた少し意味合いが違うかもしれないです。
精神的な疾患ってスペクトラム、度合いがグラデーションのようになっていて、
精神領域における肝界っていう言葉は、症状があまり出ていなくて、
支障をきたしていない状態、ゾーンにいるみたいなイメージですかね。
だから、なんていうか、私がその言葉を初めて知った時に、
世の中の多くの問題とか、辛い状況とか、人間関係で苦しかったりすることとかって、
理由とか原因がはっきりわかっていて、それを取り除けば、
はい、元通りとか、何か解決法があって、それをやれば謝るとかね、
そういうことをすれば、完全に問題がなかった状態に戻るということはほとんどなくて、
マックス良くなっても肝界状態っていうか、
日常生活に支障をきたしていないゾーンにいるっていうぐらいなんじゃないかなというふうに思ったりしましたね。
痛んだ心の傷も消すことはできないから、トリートメントするっていうね、
おっしゃる通り、本当、自分でトリートメントし続けるっていうことが大事で、
もし自分じゃなくて第三者的な立場だったとしたら、完全にわかってあげることはできないけど、
トリートメントするよっていう気持ちで寄り添うっていうことが大事なのかなと思ったりしました。
ちょっとレモンスインさんの思い描いていたお話というか、お勧めする本とずれてしまった、
違ってしまったかもしれないんですけど、ネガティブ・ケイパビリティという概念をご紹介させていただきました。
治療とかケアという話に偏ってしまったんですけど、もともとは芸術の世界で生まれた言葉というのもあって、
何でもわかりやすく分かろうとしないっていう意味では、小説を読むとか映画を見るとかお芝居を見るとか、絵を見るとか音楽を聞くとか、
そういう時もネガティブ・ケイパビリティという能力ってすごい意味があるっていう話でもあるんですよね。
全部が全部意味があって、意味がわかるものばかり摂取しようとしなくてもいいのかなっていう、
意味わからんわーわからんわーっていうわからんなりにそのまま受け止めればいいのかなって。
だから普段はあんまり興味ない、興味持ったことないようなジャンルの映画とかドラマを見るとか絵を見るとか、
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そういうのもネガティブ・ケイパビリティを育てるのにいいのかもしれないですね。
あ、いやいや、いかんいかん。
そうやってすぐにハウツーに落とし込んじゃダメっていうのがネガティブ・ケイパビリティなのでした。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございます。
レモンスイさん、リクエストありがとうございました。
またこれからも聞いてください。
さて、今夜もお時間になってしまいました。
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それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。