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2024-02-14 13:55

真剣だからこそ。私たちは人を傷つけたり、傷ついたりする

今夜の勝手に貸出カードは、東畑開人さんの『ふつうの相談』です。
私がいま漫画が読めなくなってしまっていることについてと、傷ついた自分を認めることの難しさについて。本気で向き合うと、ときに頓珍漢なことを言ってしまう。
(今日はあんまり話がまとまってないです)


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真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室〜へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと川端です。
真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室では、
水曜日の夜に、ほっとできて明日が楽しみになる、
おテーマに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
第165夜となりました。
今夜はお便りのご紹介はお休みです。
本当は、漫画を紹介しようって先週お伝えした通り、
読み返してみたり、この作品がいいかなって思ってたやつが何個かあったんですけど、
何だかどうも漫画が頭に入ってこないと言いますか、
読めない感じ、目は追ってるんだけど、
集中できないっていう状態になっていて、
それはなんでかなっていうと、ニュースでご覧になって、
ご存知の方も多いかもしれないんですけど、
セクシー田中さんっていうドラマにもなった作品の漫画家さんが亡くなられたということがあって、
それをXで見たんですけど、すごいショックを受けてまして、
漫画は読めないくらいに自分がショックを受けてるってことに結構びっくりしたっていうか、
ついどうしてもそのことを考えちゃうんですよね、この数日。
講談社もたくさんの漫画作品が映像化、ドラマ化されていますから、
でも私自身は直接そういう仕事に関わったことはないので、
漫画編集者をやったことも監修とか映像化の仕事をしたこともないから、
憶測で知った顔で多くを語ることはしたくはないんですけれども、
誰が悪いとかネットがどうだとかね、
ただ、どうして今日はそれを喋ろうと思ったかっていうと、
純粋にすごい落ち込んじゃったんですよ。
無念、無念の一言では済まされないですけど、
ドラマも漫画も好きだったから、セクシー田中さんのね、
きなみさんもメルルもすごく良かったしっていうことを、
考えれば考えるほど悲しい気持ちになって、
でもきっともっともっと近くで携われ、携わっていらっしゃった方は、
すごく傷ついていると思うんですよね。
そういうことを想像すると胸が苦しいですね。
だから今日の勝手に貸し出しカードは、
自分に処方する初めての貸し出しカード、
そんな時の自分に差し出したい本をご紹介したいと思います。
今夜の勝手に貸し出しカードは、
遠畑海斗さんの普通の相談にしました。
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どんな本か、どんなところに癒されたのか、
ご紹介したいと思います。
遠畑海斗さんの普通の相談は、
人が人を支えるとはどういうことか、
心の回復はいかにして可能になるのかを、
普通の相談が果たす役割を通じて、
解明しよう、解説しようという試みの本です。
本ですと言い切りましたが、
私はそういう本だなというふうに解釈しました。
普通の相談というのは、
何か悩み事があったり落ち込むことがあったり、
腹が立つことがあったりしたら、
まず臨床心理師に相談しに行こうとか、
何とか療法を受けようと考えるというのは稀で、
まずは身近な人にこんなことあってさ、
とかこれこれこういうことあってひどくないとかって、
しゃべりますよね、家族とか友達とか、
仕事関係の人とかに、
その中で癒されたり回復したり、
傷が完全に感知はしないけど、
流院が下がるみたいな形で、
ちょっとごまかされたりすることも多いわけですよね。
この本はそういった素人と専門家、
素人と専門家というのは心理師とかお医者さんとか、
ソーシャルワーカーみたいな人ですね。
専門家が受ける普通の相談と、
素人が受ける普通の相談を通じて、
心の傷が癒されたり治ったりするっていうのは、
どういうことかっていうのを論じた論文なんですよね。
論文、もともとが専門家に向けて書かれた、
論文をベースにまとめている本なので、
結構専門的な書き方が多くてですね、
読みやすいかっていうと、
正直言うとそんなことはないです。
私も一冊通して読了できてなくて、
パラパラといろんなところから読み始めたり、
つまみ食いのように読んでいます。
その分、読むたびに発見があったり、
前は理解できなかったことが、
今日読むと理解できるみたいな、
すごく発見の多い本だなというふうに思っています。
専門家向けに書かれた論文って言ったんですけど、
でも対象は専門家だけではなくて、
人の役に立ちたいとか、
気持ちに寄り添いたいって思っている人全てが、
対象になる、参考になる本じゃないかなと思います。
普通の相談とタイトルにありますが、
普通って何だろう、そもそもね、
普通って何だろうっていう、
それに対する答えが書いてある箇所が、
この本の中にあって、
とても好きなので、
そこをちょっと読みますね。
普通には人を抑圧する面と、
心を開放する面の両方があるのが重要である。
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普通にしなさいと言われると苦しいが、
そんなことされたら、
普通は傷つくよと言われると助かる。
普通には包摂と排除の両方が含まれている。
とあります。
さらに続けますと、
クライアントは得てして普通を見失いがちである、
苦悩の中にいて孤立している時には、
共同性や社会性が失われ、
実際の現実よりも厳しい普通を想像してしまう。
だから臨床課が現実的な普通を補うことは、
クライアントが社会と再接続していくのに役立つ。
普通の相談では普通が処方されるのである。
とあります。
そうか、普通って処方できるもんなんだねと、
納得したんですよね。
普通が処方されることによる効果っていうのは、
私はすごくわかりますね。
最初に言った落ち込んでいる理由とかを、
例えば誰かに話したとしたら、
ここで今初めて話したんで、
誰にも喋ってなかったんですけど、
そんなことで落ち込んでるのとか、
理由は関係なくないとか言われたら、
まあそっか、私はちょっと普通じゃないのか、
まあそうだよね、関係ないのにそんな引きずる、
勝手に落ち込んで変だなとかって思ってしまうけど、
いやー普通にショックだよねって言われると、
普通にって間違った日本語ですけど、
癒される感じはあるわけですよね。
そのことで引きずって漫画とか読めなくなるの、
普通だよって言われると救われると言いますか。
この本の中に、最後に中断十箇条っていう、
遠畑先生が若い心理師に向けて書いた手紙が収録されているんです。
中断っていうのはどういうことかというと、
ケースの中断、つまりクライアントさんが
カウンセリングに来なくなることを中断というようなんですね。
それって心理師の側からするとショックなこと、
ある種の失敗というかショックな出来事みたいなんですね。
そりゃそうですよね。
なんかまずいこと言ったのかとか、
傷つけてしまったのかなと思ったりもするし、
これ以上通ってもしょうがないとか、
この人と話してもしょうがないって思われたのかもしれないとか、
大変なお仕事だなってまず思いましたけど、
そういうことってクライアントと心理師の関係じゃなくても、
身近な関係でもありますよね。
仕事上でも家族とか友人とか、
近しい人、相談を受けるぐらいに近しい人だと思っていた人が
疎遠になってしまったり、
あるきっかけであちらから一方的に関係を遮断されたり、
断絶しちゃったりとか、
なんか悪いこと言ったかなとか、
こちらは寄り添う気持ちがあったのに、
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向こうに拒絶されてしまったら、
もっとうまいこと言えたんじゃないかとか、
あの言い方はまずかったかなと後悔することはあったりして、
私は立場上、今の仕事上ではめっちゃあるんですよ、
そういうことが後悔することだらけというか、
もっと何かいい言葉が、もっといい返しがあったんじゃないかとか、
すごいあっさりした、ありがとうございましたみたいな返事だと、
もう相談しても意味ないなって思ったのかなって深読みしたりとか勝手に、
そういうことを感じたことがある全ての人に読んでほしい、
この10箇条を思っています。
10個全部読むと長くなってしまいますし、
それはぜひこの本を買ったり借りたりして読んでくださいねってことで、
私が一番グッと来ている1箇条を、
今日は紙フレーズとしてご紹介したいと思います。
これはクライアントと先生、心理師という関係性における仕事の難しさを書いている箇所ではあるんですけど、
こういうことって普通の相談、つまり親子とか、
あとは先輩後輩の関係とか、友達とか、そういうことでも起こりますよね。
忘れないでほしいのだ。
君はこの仕事を真面目にやろうとしているからこそ、
こういう傷ついたり傷つけたりしちゃったんだっていうことがこの章には書いてあるんですけど、
それすごく私は納得したというか、
どうでもよかったら深入りしないから傷つけもしないし、
こちらも傷つかないわけですよね。
真剣にどうにかしてあげたい。
力になってあげたいというふうに思うから、
トンチンカンな結果になっちゃったり、
踏み込みすぎて傷つけたり、
そういうことじゃないっていう、
違うっていうふうに思われてしまったりっていうのがあるのかなと思ったりしました。
この章のタイトルは、
私たちは傷つけてしまうこともあるっていう第7条なんですけど、
私たちは傷つけてしまうこともあるっていい言葉だなぁと思って、
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傷つけてしまうことがあるっていうのは大前提で知ってるだけで、
ちょっと癒される、許される感じが、
逆説的ですけどあるなぁと思いました。
この章の最後はですね、
君がこの危機を何とか乗り越えられることを祈っている。
それじゃあ今日も早く寝るんだよというふうに締めくくられています。
もし今これを聞いてくださっている方の中で、
今何か悩んでいたり悩んでいることを受け止める側で、
自分の無力さとか、
無念な気持ちを抱えたりしている人がいるとするならば、
ぜひ温かいお風呂に入って早く寝るんだよっていう、
この戸畑さんの言葉をお届けしたいなと思います。
これも最後まで聞く前に一緒に寝落ちしてもらえたらありがたいです。
来週は本読んで何か紹介できるかなぁ。
無理のない範囲で、
またいつか漫画を楽しくご紹介したいなと思っています。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございます。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室は、
皆様からの感想やリクエストをお待ちしています。
インスタグラムのアカウントバタヨムから、
ぜひメッセージをお送りください。
それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。
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