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真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと川端です。
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室では、
水曜日の夜にほっとできて明日が楽しみになる、
をテーマに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
こんばんは、お久しぶりです。お元気でしたか?
約半年ぶりの配信となりました。
今年の6月に見漏れ編集部から総務局人事部というところに移動になりまして、
配信を少しお休みしていました。
仕事が変わった直後は、なかなか気持ちが落ち着かなくて、
小説も頭に入っていかないような、ふわふわした感じだったんですけど、
ようやくちょっと日常のペースをつかんできたこともあり、
最近はむしろ読書した方がよく眠れるなという感じで、
毎日いろんな本を読んでいます。
皆さんと共有したい本がすごく溜まってきたので、
またこちらの配信を再開したいという気持ちがむくむくと湧いてきて、
リターンズとしてリスタートすることにしました。
改めてよろしくお願いします。
さて、ではでは早速ですが、今夜のお便りをご紹介します。
配信をお休みしていた間にインスタのメッセージでいただきました。
ひじはぜさんからいただきました。
今年の3月に転職をしました。
自分のキャリアのために望んだ転職でしたが、
実際に仕事を始めてみると大変なこともたくさんあり、
自分のダメなところや苦手な部分を痛感する日々です。
たまに周りの人からの少々きつい言葉に涙が出そうな気持ちになることも、
心が折れそうと思った時にまた明日も頑張ろうとふんわり思える本はありますでしょうか?
といただきました。ありがとうございます。
仕事の内容は学びも多く興味深いのでと、はじはずさんが書いていらっしゃって、
修行と思い、何とか気持ちを維持して奮闘していますと書かれていました。
私も転職ではないんですけどね、同じ会社ですけど転職に近い異動なので、
これまであまり向き合わなかった苦手なところを痛感しながら、
修行と思ってやっています。
ひじはせさんへ、今日の勝手に貸し出しカードは、
あ、勝手に貸し出しカード、久しぶりですね。緊張する。
今日の勝手に貸し出しカードは、豚さと子さんの文にあたるにしました。
この本は読んだ瞬間から真夜中の読書会で喋りたいなーって思って温めてました。
多分本が好きな、読書が好きなこの番組を聞いてくださっている方は、
お好きな方が多いんじゃないでしょうか。
キュンとする本です。
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もうお嫁になった方も多いかもですけれども、
どんな本か、そしてなんで転職したばかりのひじはせさんに
おすすめしたいって思ったのか、後半に続けたいと思います。
文にあたるは人気後世者の豚さと子さんのエッセイ本です。
後世者さん、後世さんって後段者では後越さんということが多いですが、
この本はある本から数行引用があって、そこから関連して
豚さんのお話や考えが広がっていくっていう構成になっています。
豚さんご自身が後世を担当された本もあれば、
後世や文章にまつわる一節を引っ張ってきているところもあって、
その引っ張ってきている本が三つの桃さんとか川上美恵子さんとか村上春樹さん、
三谷幸喜さんなどなど、その歌詞を読むだけでもかなり読み応えがあって楽しいです。
引用された元の本も読んでみたくなるから、
読み返すたびに無限に読みたい本が見つかってしまう、
無限地獄本と私は思いました。
そんなわけで、読書好きさん、本好きさんにはキュンポイントの多い本なんですけれども、
お仕事エッセイとしてもすごく味わい深い本でした。
構成者とはどういう仕事かっていう話が何度も出てくるんですよね。
私が印象に残ったのは、構成の仕事が向いていると思っている人は向いていないっていう話と、
原点方式の仕事だっていう話ですね。
逆転満点が前提で、そこから点数を引かれる一方、
ファインプレーで挽回する、逆転するっていうことができない仕事だと。
確かに、編集とか営業の仕事は、
たとえミスをして失点を犯しても、ファインプレーで挽回するってことができたりするなと思って、
構成が素晴らしかったって読者からコメントが来るとかいうことはあまりないし、
構成さんが素晴らしいから本が売れるってことでもない、
何も気づかれないことがベストみたいな仕事だっていうようなことが書いてあって、
なるほどと思ったんですよ。
私が今いる総務の仕事もそういうところはあるかもしれないですね。
自分たちの仕事の存在感が出ない方がうまくいってる証拠みたいな。
じゃあ何にプライドを持って仕事をすればいいのかっていう話なんですけど、
文にあたるの帯に中の一節が引用されてまして、
私もここがすごく好きな一節なので、ちょっと読みますね。
構成者にとっては100冊のうちの1冊でも、読者にとっては人生で唯一の一冊だと思う。
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読者にとっては人生で唯一の一冊になるかもしれない。
誰かにとっては無数の本の中の一冊に過ぎないとしても、
別の誰かにとってはかけがえのない一冊なのだとあります。
先ほどの向いてると思っている人は向いていないっていう話ともつながるかもしれないんですけど、
たくさんのことをこなしていくとやっぱりだんだん慣れてくるし自信もついてくるので、
向いてるって思ってきそうな気もしますが、ずっと向いてないって思ってるぐらいの方が向いてるみたいなことだったりするのかなと思ったりしました。
このお仕事の境地、何を大切にするか、何を大事に仕事を選択していくのかっていう話で、
へぇと思った箇所をもう一つ読みたいと思います。
仕事ってね、それが家事でもスーパーのレジ打ちでも、
例えばデイトレードでも肉体労働でも何でもいいの。
種類でもなければ結果を出すとか出さないとかそういうものでもないの。
結果なんて運もあるし、そんなものいくらでも変わるもの。
これは川上美恵子さんの全て真夜中の恋人たちという小説の一節をムタさんが引用されているんですけれども、
ここに出てくる主人公は後世の仕事をされている人なんですけど、
その人が友達にフリーランスになることを勧めるっていう小説の下りがあって、
そこをまたムタさんが引用されてまして、そのセリフが抜き出されています。
私はね、信頼できる仕事をする人が好きなのという、
こう言っちゃうとなんだかまるきり時代錯誤のバカみたいなんだけどと自嘲しながらも、
自分の人生において仕事というものをどんなふうに捉えていて、
それに対してどれだけ敬意を払っているかが気になってしまうのだというところを引用されていて、
そうかなるほどと思って、そうか、敬意かと思ったんですよ。
何にどのくらい敬意を持っているかっていうのが、
似ている人と仕事をしたいっていう、それが信頼できる仕事である人だっていうふうな話なんですけど、
確かにどれだけ敬意を払っているか、敬意の対象とか量が似ている人とは仕事ができるなと思って、
細かいところでは意見が割れたとしても、そこが一緒だったらできるし、
向かっている方向が同じでも、そこが違う人とはやっぱりちょっと合わないなってなっちゃうのかなって思ったりしました。
この本、文にあたるは、隅から隅まで文に対する敬意で溢れているから、何度も読みたくなっちゃうんだなと思ったりしたわけです。
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さて、この本から紙フレーズを紹介して終わりにしたいと思います。
10年前を振り返ると、カンナを描けたがる恒星をしていました。
手にオハを整え、説明を補い、文の前後を入れ替えて、誰にとっても読みやすく分かりやすい文章にすることが恒星の仕事という気負いがあった。
そういう恒星を出過ぎた鉛筆と呼ぶのだと、後読みの先輩に教わりました。
はい、こちらのカンナを描けたがると出過ぎた鉛筆という言葉について少しだけ補足をしたいと思うんですけれども、
カンナを描けたみたいにっていう比喩は、もともとは翻訳家の岸本幸子さんの言葉だそうなんです。
これを同じく翻訳家の柴田基行さんがある講座で使っておっしゃっていて、
悪文と言われるような文章をカンナを書けたみたいに綺麗にしちゃいけないっていうお話が印象的だったっていうのを、
村上晴樹さんが翻訳に関する本の中で語っていたっていうことで、
偉大なる翻訳家の的良詩家みたいな、この人の言葉をいいなって思った人が引用したのをさらに引用して、
それを村上さんがまた引用しているっていう箇所でした。
鉛筆っていうのに関して少し補足しますと、
講演手さんがここを直した方がいいですよって指摘するのは2種類あって、
明らかに間違っている事実と違うとか、誤字脱字みたいなものは赤色で修正が入って、
直した方がいいのではあってますかっていう念のための示唆は鉛筆で指摘が入るんです。
これはちょっと新聞か雑誌かとかによって違うかもしれないんですけど、少なくとも講談者はそういうふうな区分けになってまして、
鉛筆の方は編集者とか著者の判断で消す、つまりこのままでいいですって無視するケースもあるんですよね。
文芸書は割と著者の意向を優先することもあるかと思うんですけど、私がこれまでやっていた女性誌とかノンフィクション実用ジャンルの記事は、
鉛筆でも後世さんの指摘が最もだっていうことで修正することが多かったように思いますね。
さっき後世のお仕事ってあまり表立って褒められたり感謝されない仕事みたいな話をちらっとしましたけど、
後世さんのファインプレーにマジありがとう危なかったって思うことは、気づいてくれて感謝することは数え切れないほどありましたね。
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それを直接伝えたことはなかったな、この場を借りてお伝えしたいです。
鉛筆って絶妙だなと思いまして、直した方がいいと思うけど直さなくてもいい。
直さなくてもいいけど、判断は任すけど直した方がいいと思っているっていう意思表示じゃないですか。
だから文章に限らずいろんなことにおいてこの鉛筆にあたることっていっぱいありますよね。
後輩とか若い子とかの仕事ぶりに対して直さなくてもいいけど直した方がいいよって気づいちゃったらすごく言いたくなるんだけど、
これは出過ぎた鉛筆かなって思うようになりました。このムタさんのエッセイを読んでから。
このままでいいって結果的にその子が思ったとしても指摘を受けたっていう事実は残っちゃうわけじゃないですか。
だからカンナを描けるようにツルツルにしようとしなくてもいいのかもって思い直したりして。
私自身も自分自身にカンナを描けすぎちゃうところがあって、ご相談をしてくださった、メッセージを送ってくださったひじはせさんももしかしたらそうなんじゃないかなって。
もっとこうすればとかもっとこうできるはずとか思うこともあるけれども、自分自身に出過ぎた鉛筆を入れないようにしてもいいんじゃないかなと。
気づいちゃったけどあんまりいい出来じゃなかったなって気づいちゃったけどスルーすることも一つありかもしれないですね。
私自身も自分にあんまりカンナを描けすぎないようにしようって思いました。
ひじはせさんメッセージありがとうございました。
一つお伝えしなきゃいけないんですが、これまではここで紹介した本を実際にリクエストしてくださった方にお送りしてたんですよ。
ちゃんと一冊新品のものをお送りしてました。
だけど私が編集部じゃなくなっちゃった関係で、個人情報、住所とか電話番号とかを安全に管理する手段が今ちょっとなくなってしまって、
私が直接SNSとかで本名だったり住所を聞いたりするのもあんまりよろしくないかなということで、今回から本のご紹介のみにとどめさせていただくことにしました。
もし気になったら、よかったら手に取ってみていただけたら嬉しいです。
また今後は番組に関するお便りだったり、リクエストはインスタグラムのアカウントバタヨムのDMでお受けいたします。
取り上げてほしい本だったり、番組の感想などぜひお寄せいただけたら嬉しいです。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
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今夜も最後までお付き合いいただきありがとうございます。
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それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみー。