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真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと川端です。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになる
をテーマにおすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
第138位を迎えました。今夜のお便りご紹介します。
ペンネームゆいゆうさんからいただきました。
バタやんさんこんばんは。
こんばんは。
私はこの春から大学生になった19歳です。
おぉ、若いですね。ありがとうございます。
地方から出てきて憧れていた東京の大学に通い始めたのですが、
周りの人はみんな自分よりすごく頭がいいし洗練されていて、何をしても負けているなと感じてしまいます。
あまり気が合うと思える子もいなくて、表面的には仲良くしていますが、
私の服がダサいとか、LINEのスタンプの使い方が変とか、陰でバカにしているんじゃないかと
かんぐってしまいます。そんな自分も嫌になります。
そういったモヤモヤをした気持ちの時におすすめの本があったら教えてください。
またバタやんさんはどんな大学生でしたか?といただきました。
ありがとうございます。
そうですね。いつもはすごくわかりますって言ってしまうんですけど、
今日はちょっと逆のことを言う感じになっちゃうんですが、私は東京生まれの東京育ちでして、
都内のミッション系の高校から都内にある大学に入って、どちらも割とフォトジェニックな校舎、
校庭だったので、
ドラマの撮影とか、雑誌の撮影とかによく使われるような、ロケにね、使われるような感じで、
芸能人の人がいたりとかするのもよくあって、
自慢じゃないんですけど、都会オブ都会学生生活だったんですよね。
だから、ゆゆさんに簡単にわかるわかるっていう、
言えない立場だなって思いながら読んだんですけれども、もしかしたらゆゆさんにプレッシャーを与える側だったかもしれないなと思いながらお手紙を読みました。
私が高校生の時は90年代半ばぐらいだったので、いわゆる女子高生ブームだったんですね。
ルーズソックスとかコギャルとか、アムロナミエさんが同世代で、
制服最強みたいな感じで、平日の放課後も土日も制服でいれば、ブランディングがあったって感じだったんですよね。
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だけど大学生になって制服を脱いだら、ただの人っていう感じがすごくしたというか、
さらにいろんな日本全国から来ている人たちの中には、この大学で、この学部でこういうことを学びたいとか、東京でこういう仕事をしたいからこういうことを学びたいみたいな、目的意識がはっきりしている子も結構いて、
そういうことに衝撃を受けたっていうかショックを受けたんですよね。
大学になるまでのお洒落って、私もお洒落は大好きだったんですけど、制服の中のお洒落って、ルーズソックスとスカートのバランスがどうとか、
ニットとシャツとリボンの結び方がどうとか、そんな範疇じゃないですか、でも私服になって大学生になったら、桁外れなセンスのある人に出会ったりとかして、
ああ、こういう世界もあるんだって思いましたし、
なんで何が言いたかったかっていうと、悠悠さんが感じられているようなコンプレックスとかカルチャーショックみたいなのは、東京組は東京組で感じていて、
やっぱり自分より勉強ができる人がこんなにいっぱいいるんだなとか、お洒落がどうとか前髪がどうとかメイクがどうとかいうこと、
よりももっともっと大事なことを世の中に対してやっていきたいと考えている人がいるとかに出会って、結構私自身は殴られたような衝撃を受けましたね。
4月に入って、今6月末なんで、まだ2、3ヶ月しか経ってないですから、きっとお互いまだ鎧を着ているっていうか、腹を見せてない部分があって、
もう少し経って本音が見える巣が出てくると、気の合う人も見つかるんじゃないかなと思ったりしました。
そんな今夜の勝手に貸し出しカードは、ソメイタメヒトさんの「めちゃくちゃ」という小説にしました。
どんな小説なのかご紹介していきたいと思います。
「めちゃくちゃ」という小説は書き下ろしの長編です。一言で言うと悲劇が重なると喜劇になるタイプと私は思っていまして、この悲劇、最悪な出来事が次から次へと起こって思いがけない方向に進んでいって、
あまりに酷くてだんだん笑い明けてくるっていうタイプの小説が私すごく好きなんですよね。このタイプの代表作といえば奥田秀夫さんの最悪でしょうか。
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奥田秀夫さんの最悪邪魔無理という3部作がですね、この悲劇が喜劇タイプの最高峰と思っているんですけれども、破滅的な群像劇ですね。
それぞれ別の悩みとか問題を抱えた主人公がどんどんと負のサイクルに入っていくといいますか、その問題を解決しようとしたり、そこから逃げたり隠したりしようとするが故に悪い方を悪い方へと進んでいってしまい、
最後別々だった同時進行で進んでいた3人の物語が一色たになるというタイプの小説なんですけど、めちゃくちゃもそういうタイプになっています。
めちゃくちゃの主人公は1人目は30代の独身OL三岡さん、2人目は新学高校に通う男子高校生のレオ君です。
3人目は地方の老朽化したラブホテルを経営するもいちさん、この三岡さん最初の方はマッチングアプリを始めていい感じの外国人男性と出会うんですけど、これがねロマンス詐欺、国際ロマンス詐欺なんですよ。
国際ロマンス詐欺ってどういうものかと簡単に説明すると、外国人の方でルックスが結構良くて、SNSとかマッチングアプリ上にアップしている写真を見ると、お家がどうも結構豪華なお金持ちそうで、グルーザーとか持ってたり、すごいゴージャスな家に住んでたりして、熱烈にくどいてくるんですよね。
なんとか最高に可愛いとか綺麗だとか、あなたに出会えて神様からの最高のプレゼントだとか、言葉を重ねて重ねてくどいてきて、ちょっといい人でもあって、そういうふうにして距離を縮めてきた結果、
どこかで家族にちょっと不幸な出来事が起こったり、自分の会社の経営が失敗したり、投資に失敗したりという理由で、ちょっと小さなお金を養駄ってほしいって頼まれたりして、それがどんどんエスカレートしていくみたいなことが多いんですかね。
なんかその写真の世界とか実際にあったりもしてるから、信じざるを得ない状況になるっていうことと、ものすごいアイラブユー的なことを言ってくれるっていうことで、結構信じちゃうんじゃないかなと思ったりしますけれども、そんな美穂子さんと、そしてレオくんはですね、すごく勉強ができるはずだったんだけど、
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超新学校の高校の中だと、中の下に甘んじてしまうというか、そこまで泣かず飛ばずなんですよね。しかもこの小説場はコロナ禍なんですけど、コロナ禍で学校も自宅待機になっていて、宿題がどっさり出て、家で勉強するってなって、ちょっとくすぶってしまっているんですよ。
そんな時に中学の同級生で不良っぽいことするようになって、そこから世界が一変して、悪の道へ転がるように落ちていくわけなんです。美穂子さんは、自身が経営するラブホテルは、コロナ禍の持続化給付金の対象外でして、この辺の宿泊施設と持続化給付金の対象が対象じゃないかとかの感じが、私もあんまり思っていないんですけど。
昔ながらのラブホテルっていうのは、持続化給付金の対象外なんですね。なのでお客さんも少ない上に、補助もなくて経営が悪化していて、何とか手を打たなくちゃと、クーポン券みたいなことを考えたりとか、いろいろ手を打とうとするんですけど、
その中でちょっとこう、悪いやり方に手を出してしまって、というような感じなんですね。3人ともに共通しているのは、コロナ禍でいろんなことが押し込められて、自由を奪われて、お金の稼ぎ方とか、人との出会い方とか、その結果として真っ当じゃない方向に行ってしまったっていうね。
なんかこう、ズルをしたいとか楽をしたいとか思っているわけじゃないのに、どうにもならなくてどうしたらいいのよってなって、そして3人とももともと全然悪い人でもないし、悪巧みを考えてたわけじゃないんですけど、真っ当にあってもどうにもならないから、まあちょっとなら大丈夫だろう、ここまではきっと大丈夫って言ってるうちに取り返しがない、つかない状態になってしまうという話なんです。
3人の話は同時進行で進んでいくスタイルになってまして、パラレルで進んでいくんですけど、最後一緒くたになるんですね。そこからがちょっと笑っちゃうぐらいひどくて、タイトル通りむちゃくちゃなんです。ある意味爽快な最後のクライマックスをぜひ楽しみに読んでみてください。
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ユーユーさんに何でこれを勧めたかと言いますと、何かはっきりとした悩みの原因だったり、はっきり嫌いな人っていうのがいるわけじゃないんだけど、うつうつとした気持ちとか、うっせきしたもやのような気持ちがあるときって、あんまり綺麗事を読んでも入ってこないし、
完全懲悪の物語も嘘っぽく感じちゃうかもしれないなと思って、こんなタイプの小説を選んでみました。あまりにひどい展開を読んで、スカッとするっていう、逆に笑けてきちゃうみたいなのもいいかなと思ったのでした。さて、今日はこの本から神フレーズをご紹介します。
コロナ禍になって以来、世の中全体がうつうつしているじゃない。人と喋るな、表に出るなって、やっぱり無理が生じるんだと思う。私たちって結局、一人じゃ生きていけない生き物じゃない。それでもみんな我慢、我慢、我慢で頑張ってきたけど、一向に出口が見えないから限界に達しちゃったのよ。そうなると、どこかに必ずシワ寄せが出るの。見えたぎった鍋から悪が出るみたいなね。
とありました。コロナ禍になって以来、我慢、我慢で頑張ってきたけど、やっぱりっていうのは、今結構紛失している時期なのかもしれないですね。
ユイユイさんが周りの方に対して洗練されてるなとか、いろいろこなれてるなって見えるかもしれないんですけど、今、大学1年生ってことですよね。今、大学3、4年生とか先輩にあたる人たちは、超フルコロナ禍、フルコロナ禍って言うとあれですけど、フルオンライン授業だったりとかしたかもしれないですし、
バイトとかもあまりできなかったり、飲み会とかもそんなにできなかった大学生活を送ってきた先輩たちが多いはずですから、ユイユイさんから見て、いろいろこなれてそうに見えても、実はあまり経験できていないことがいっぱいあるかもしれないですよということを伝えたかったんです。
なんで、今はちょっと気が合わないなとか、違うなとか、みんなはいろいろ経験豊富でこなれてるなって思えるかもしれないですけど、もう少し経ったらそうでもないってこともバレてくると思いますし、これから先一緒の思い出を作っていかれたらいいなって思いました。
はい、今日はめちゃくちゃをご紹介させていただきました。
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すいません、今日なんかちょっと声が枯れていて、先週風邪をひいてしまって、もう全然大丈夫なんですけど、鼻声というか風声で失礼いたしました。また来週からもお会いできればと思っております。
さて、今夜もお時間になってしまいました。
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それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。