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2023-01-04 16:12

歳を重ねると優しくなるのか、怖く厳しくなっていくのか【第118夜】

今夜の勝手に貸出カード/『破果(はか)』ク・ビョンモ(著)、小山内園子(訳)

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真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと川端です。
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室では、
水曜日の夜にホッとできて、明日が楽しみになる、をテーマに
おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
さて、今年最初のお便りをご紹介します。
あっこあっこさんからいただきました。
バタやんさん、こんにちは。こんにちは。
ミモレの髪型の記事でバタやんさんを知り、ポッドキャストを聞き始めました。
ミモレは離れてしまったけれど、再会してくださってとてもうれしいです。
ありがとうございます。
私は美容師をしています。
お店に新しく入ってきた新人さんの教育係のようなものをしているのですが、
価値観の違いというか、世代による考え方の違いにどう対応していいかすごく悩ましいです。
彼女はすぐにこれは何の意味があるんですかと聞いてきたり、
言っていたことをやらなかったりする割に、お休みや休憩時間はしっかり主張してきます。
ある日、別のスタッフに私のことをキレキャラと呼んでいるのを知ってしまい、
頭が真っ白になりました。
それ以来、常連のお客さんに慣れ慣れしい口を聞いていたり、
鏡越しに見える彼女の動きにイライラしてしまい、そんな私にも疲れてしまいます。
そんな私に何かスカッとする小説があれば教えてくださいといただきました。
ありがとうございます。
なるほど、キレたくもなりますよね。
こちらの本、どこかで絶対紹介しようと思ってたんですけれども、
あっこあっこさんのメッセージを読んで、
ぜひあっこあっこさんに読んでほしいと思ってご紹介できて嬉しいです。
今日の勝手に貸し出しカードは、
くびょんもさん、ちょ。
幼い園子さん役のハカです。
破れる果実の果と書いてハカと読むんですね。
これはもうめちゃくちゃ面白かった。
今年のベストブックだわ。
まだ1月4日だけどベストブックと言ってしまって大丈夫だろうか。
いや、いいと思うわ。
このお話はですね、60代の女殺し屋のお話なんですね。
帯にはノワールかけるおばあちゃんって書いてあって、
老女の手元と言いますか、真っ赤なネイルをした、
そしてちょっと怪我をしているっぽい手元のアップの写真が想定になっていまして、
めちゃくちゃインパクトがあります。
美容室とかで出されたらギョッとすると思う。
なんでこの本をあっこあっこさんに勧めたいと思ったのかは、
今日の後半にお話します。
まずはどんな小説かご紹介していきたいと思います。
03:13
墓の主人公はチョガク。
爪の角と書いてチョガクと読むんですね。
チョガクは60代の女性でプロの殺し屋、その道45年の超すご腕なんですよ。
ご夫人版ファブルですね。
テイストはダークですが、ちょっとコミカルな部分もありつつ、
アクションシーンもあってスリリングです。
本当漫画みたいだし、
でも決して読みやすいタイプの小説文章ではないんですよ。
役者の跡書きがついてまして、
幼い園子さんが、著者のぐびょんもさんは、
読みやすくて分かりやすい文章にあえて距離を取る作家、
というふうに説明されてるんですけど、
本当そうで一気読みできる感じの本ではないですね。
お勧めしといてなんですが、
この読みにくさを残しながらリーダビリティを落とさない、
という幼いさんの役が素晴らしいなと思ったんですけど、
ちょっと読んでみたいと思います。
冒頭、著学がどんな女性か、
どんな見なりで町に馴染んでいるかという描写の部分なんですけれども、
ちょっと長いですが読みますね。
身のこなしや人相、服装は強い印象を残すほどではないが、
電車の中の数多いる老人の取り分け一人に、
普通の人が束の間以上の視線を向けるとすれば、
それはきっとその老人が最高尾の車両から
順に集めてきた腰の束を胸にかき抱きつつ、
ひょっとしたら誰かが新聞紙を置き忘れているかもしれないと
網棚の上を漁り、そのせいでつり革につかまった乗客たちの肩に
ぶつかりまくってるとか、
紫の水玉模様がプリント染めされたバルーンパンツに
健康シューズといういでたちで、
乗り込むや否や絞りたてのごま油だの生姜だのの匂いが
プンプンしている大包みを、
明らかに通行の邪魔になるような場所にどすんと下ろし、
その脇にわざとらしく座り込んで
ああつらいつらいとうめき声をあげ、
結局座っていたうちの誰かが
気にも今にも気絶せんばかりの身を起こしてやって、
席を譲らざるを得なくなるからだ。
はたまたそういうのとは逆に、
老年女性によく見られるパーマヘアーのショートカットではなく、
帽子もなし、腰まで届くストレートのシルバーヘアーの高齢者が、
お年寄りの顔面にありがちなシミワを粉でザザッと隠し、
震えのきた手で必死に引いたガタガタのアイラインに、
ご丁寧にも唇には真っ赤なティントを塗っていたり、
パステルカラーのミニドレスに身を包んでいたりなどしたら、
それこそ見物。
長時間、下手したらその女性が校舎するまで視線を釘付けにすることだろう。
06:01
前者がその存在だけでも即人々を不愉快にさせるとすれば、
校舎は現実的な不調和がこちらを倒幕させるわけだが、
二つのうちどちらであれ、あまり深く関わりたくないという一点では一致している。
と、ここまで1ページばかり一気に畳みかけるんですけれども、
諸学はその前者でも校舎でもどっちでもないという話なんですね。
ステレオタイプな韓国のおばあさん像なんでしょうか。
それをいくつか提示して、どのタイプでもなくて、
諸学は強要があって尊敬され得る年長者らしい風貌で、
一般的な中3階級の老人、核やアランって思わせるタイプの女性だというふうに書いてあるんですけれども、
こんなふうにわざとすごい遠回りして寄り道してたどり着くみたいな書き方が随所に見られる独特な文体の方ですね。
そこがちょっとお好み分かれるところかもしれないですけれども、
ユニークで面白いなって私はすごく魅了されました。
そんな見た目は上品なご夫人で、キレッキレの殺し屋の諸学さんなんですけど、
年を重ねたせいで、かつてほどの制裁を書いているわけなんですよ。
そこがちょっと面白いんですけど、拳銃の腕が落ちたとかそういうことではなくて、またもちろん体力的なところ落ちてるんですが、
仕事に向かう途中に人を助けちゃったりとか、犬を飼い始めたりとか、
どれだけ苦痛少なく殺せるかを考えるようになったりとか、
そういうふうに若い頃は多分あまり気にしてなかった優しさみたいなものが出てきちゃって、
そのせいで危ない目に遭うわけなんですね。
この本のクライマックスは最後の30ページぐらいのところですね。
ちょっと詳しく喋ってしまうので、読んでから聞きたい人はここで止めてくださいね。
最後の30ページぐらいでですね。
女の子が人質に取られているという状態で、廃墟に一人女学が一人で乗り込んでいくんですね。
そこに何人敵がいるのか、どこから出てくるかわかんないっていう状態で、
屈強な男性が次々と襲ってくるんだけど、女学がめっちゃ強いんですよ。
ど派手なアクションシーンをこんなふうにテキストだけでワクワクさせる見せ方ができるんだっていうことにすごく感動しました。
そういう意味でなんか新しい感じがしたんですけどね。
ちょっとそれも一箇所ぐらい読んでみましょうか。
彼女って呼ばれているのは女学のことで、業者って呼ばれる男性が出てくるんです。
09:04
業者は敵に雇われた殺し屋のことを示しています。
銃弾は腹部の大動脈を貫通したらしく、海底に合わせ大量の血液が螺旋状にほとばしり、業者の体は彼女の足に当たって止まる。
下の業者が新たな銃を抜いて発射しようとした瞬間、彼女は身をひるがえしてジャンパーを抜くとそれを放り投げ、相手の視界を遮ったところで引き金を引く。
ジャンパーを貫いた弾丸が彼の頭に打ち込まれる。
ジャンパーを拾い上げて再び袖を通すと、彼女は素早く一回に目をやる。
業者の手に握られていた銃が落ちている。
頭を打ち抜かれた業者は動かない。
すごいこのジャンパーを使ったアクション、映像で見たいなーって思いましたけど、
これは実写化してほしいって熱望する声がこの作品すでに韓国でも上がっているそうで、
著学を誰がやるのか、そしてちょっと若い時の話も回想シーンというか出てくるんですけど、
著学の若い頃を誰がやるかっていう話が盛り上がっているそうです。
韓国ドラマ業界ならきっと相当な完成度でこのアクションシーンとダークな世界観を仕上げてくれるはずと期待しちゃいます。
というわけで、全然あこあこさんのお悩みから話が離れてしまったんですけれども、
なんでこの本を紹介したかったかっていうと、著学がネイルサロンに行くシーンがあるんですよ。
ここも超大事なシーンなので、読んでから聞きたいなっていう人はここで撮っておいてほしいんですが、
この著学がネイルショップに行って、新人の若いネイリストさん、見習いみたいな子が担当することになるんですね。
多分あこあこさんの後輩みたいな感じで下働きを嫌がって権利を結構はっきり主張してくるタイプの子なんですよ。
ちょっと著学に対しても失礼な対応ぶりしたりするんで、都会のサロン慣れしてないおばあちゃんと思って逮捕したら、
この人ものすごい殺し屋だから気をつけてって読んでるこっちはね、ちょっと物言いに気をつけなさいよって超ドキドキするんですけど、
そんなシーンから今日は神フレーズをご紹介して終わりたいと思います。
この世で一番偉そうだったこの新人の唯一の長所が他者の不幸に共感できる能力ならこのままそばに置き、
一人前になるまで育ててみてもいいとあえて笑顔を作って答えた。
はい、この後この店長、サロンの委員長が何て言うかは読まれる方にとっておくことにしますわ。
12:07
このシーンね、私結構思いがけずすごい泣いちゃったんですよね。
まあ、ネイルと髪、美容室はまたちょっと違うとは思うんですけども、
少し共通するところがあるのかもしれないっていうのは、
この人の様子を変えるって結構大きいことだよなって思ったりして、
今私インスタで美容師さんのアカウントを結構フォローしてるんですけど、
最近リールっていうんですかね、動画でビフォーアフターを載せている美容師さんが結構全国にいっぱいいらっしゃって、
一個二個いいねを押したらなんかタイムラインがそればっかりになっちゃったんで、
すごい見ちゃうんですけど、ずっと見てられますね。
髪を切る前と切った後のビフォーアフターが一方の短い動画になってるやつなんですけど、
みんなすごい明るい顔になるんですよね。
ショートとかボブとかにバッサリ切るとみんな可愛くなるかっていうと、
前の長い髪の方が似合ってたのになって思う人もいなくはないですけど、
でもやっぱりなんか髪を切るってすごいことだし、
エフェクトとかかけなくてもなんかキラキラってポワって顔が明るくなるから、
やっぱすごいお仕事だなぁと思って。
殺し屋と美容師を同列で語るのはどうかと思いますけれども、
失敗が許されない重責っていう意味では結構トップクラスの職業ですよね。
自分の手で他人の容姿を変えるっていう意味でも大きいなぁと思って。
ネイルは気に入らなかったら落としたりもできるし、
数週間の命だからみたいな話がこの小説の中で出てくるんですけどね。
髪型ももちろん伸びますし、もう1回切ったり色を変えたりするのも簡単だけど、
割と一発勝負っていうかね、感じがしますよね。
その新人さんももしかしたらリールとか作るのは上手かもしれないから、
こうやってビフォーアフターのインスタ見て、
全国からいろんなお客さんいらっしゃるんだろうなぁと思って、
面白いなぁと見ています。
さて、その子ももしかしたらお客さんに喜んでもらうとか、
常連のお客さんをがっかりさせないって結構なプレッシャーだと思うんですけど、
そういうのに直面するうちに、才能以外の部分、下準備とか書作の丁寧さとか、
技術とかセンスとか能力以外のところがすごく大事ってことに気づくかもしれないなぁと思ったりして、
勝手にね、アッコアッコさんが厳しく言ってたことの意味が、
だんだん勝手に気づくんじゃないでしょうかと思ったりしましたし、
15:03
美容師さんって本当に尊いお仕事だなぁと敬意を込めて、
心から応援しております。
もし気になったら是非、ハカ読んでみていただけたら嬉しいです。
結構怖いシーンもあるんで、少し心して読んでください。
最後のシーンまで来ると、ちょっとスカッとできるといいなと思ってご紹介しました。
リクエストありがとうございました。
そろそろお時間になってしまいました。
今夜も最後までお付き合いいただきありがとうございます。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室は、リスナーの方からのお便りをもとに、
おすすめの本や漫画をご紹介しています。
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それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみー。
16:12

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