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真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと川端です。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、水曜日の夜に
ホッとできて明日が楽しみになる、をテーマに
おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
第155夜を迎えました。
今夜はお便りのご紹介はお休みで、
最近私の一押し本を勝手に紹介するコーナーです。
今日の勝手に貸し出しカードは、
久平茂さん著、幼い園子さん役の
四輪人の食卓という本にしました。
この本と出会ったいきさつからお話ししてもいいでしょうか。
つい先週末にですね、Kブックフェスティバルと
東京アートブックフェアという
2つのブックイベントに行ってきたんですね。
Kブックフェスティバルは韓国のブックフェア、
韓国の小説とか、韓国語の本とか、
韓国の本を扱ったブックフェアで、
東京アートブックフェアは、
東京都現代美術館で開催された
ビジュアルブックとかエディトリアルデザインブックフェアでした。
行ってよかったなぁってすごく思って、
すごい楽しかったんですよ。
一人で行ったんですけど、ちょっと学園祭的な感じがすると言いますか、
みんなが小さなブースを出していて、
それぞれのブースで本を選んだり、
出展者の方と話をしながら本を買うっていう、
経験自体がすごい楽しいなって思いました。
どちらもちょっと残念ながら会期が終わってしまったので、
皆さんもぜひどうぞっていうタイミングじゃなくなっちゃったんですけど、
皆さんも何か気になったフェスとかフェアがあれば、
本に限らずですけれども、行った方がいいと思いますっていう話です。
っていうのは、私どこかちょっとイベントに対して知り込みしていたところがあって、
年とともに億劫になっていたというのもあるんですけど、
文学フリマとか神保町の古本市とか、
行ってみたいなとか面白そうって思っても、
結局行かずにSNSを見て、
こんな感じだったな、結構人来てたんだな、行けばよかったなとかっていつも思うんですけど、
なんで知り込みしちゃうかっていうと、
特にブックフェス的なイベントの場合、
私は知っている人に会ったら気まずいなみたいな変な自意識があって、
他の出版社の方で知り合いに会う機会もあるし、
交談社の同じ会社の人に会うかもしれないですし、
顔出しでSNSをやったり、
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ポッドキャストをやったりしているので、
タヤンさんですよねって声をかけていただくこともあって、
すごい光栄だし嬉しいんですけど、
ポッドキャスト聞いてますとか言っていただけると、
でもなんかつまらないリアクションをして、
がっかりさせたら嫌だなとか先に考えちゃうっていう、
関係ないですけど、
誕生日のサプライズとかがすごく苦手で、
昔からリアクションがうまくできなかったらどうしようって考えて、
誕生日の日は会社に行くのが嫌だったりしましたね。
結構盛大なサプライズをするしきたりがある編集部にいたこともあって、
嬉しいんですけど、なんか出てきそう、ケーキが出てきそうな気配がすると、
すごく困惑するっていう、
そういう同じような方いらっしゃるでしょうか。
ちょっと話がそれちゃいましたけれども、
こういう本関係のイベントは、
なんかちょっと自意識をこじらせがちと言いますか、
昔は普通に好きな作家さんの新刊サイン会とか、
読書とか行ってたんですけどね、
最近も行きますけれども、
列に並んでると、
高台車の川端さんですよねって話しかけていただくときもあって、
なんかバレてしまったみたいな気恥ずかしさがありますね。
別にコソコソする必要ないんですけどね、
堂々とサイン会並んだらいいんですけど、
知ってる人に会ったら恥ずかしいなとか思ってしまう。
そんなことはうじゅうじ気にせずに、
気になったイベントには行ったほうがいいなと思いました。
年とともに腰が重くなっていたことを反省した次第です。
そんな経営ブックフェスでですね、
久美雄毛さんの四輪寺の食卓を見つけまして、
おお!と思って、
久美雄毛さんは以前にこのポッドキャストでもご紹介した
墓の人です。
殺し屋のおばあちゃんがめちゃくちゃ活躍する話です。
久美雄毛さんの小説が他にも翻訳されているって知らなくて、
これは買わなくちゃと思って、
これくださいってレジに持って行ったら、
ブースの方が多分出版社の書士寒寒坊さんの方だと思うんですけど、
墓は読まれたんですかって、
あ、そうですそうですって、
これもすっごい面白いですよ、楽しんでくださいねって
お釣りと一緒に渡してもらったんですよ。
すごく面白いですよって言いながら、
墓を買う、言われながら墓を買うっていいなと思って、
すごく感動してしまいました。
四輪陣の植卓とはどんなお話かご紹介していきたいと思います。
四輪陣の植卓の舞台は、
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韓国の都心から少し離れた場所にある
国が建築した集合住宅なんですね。
そこは国家の少子化対策の一環で作られた共同住宅で、
入居10年以内に子供を3人もおけるという条件付きで入居が許可されるんです。
格安で結構いい条件のお家に入れるということで、
すごくたくさん応募があるんですけれども、
そこに4組の夫婦が入居してきます。
専業主婦の奥さんですでに子供が2人いる夫婦もいれば、
奥さんの方が働いていて旦那さんが主婦ですという人もいます。
奥さんはイラストレーターをしているという人もいたり、
それぞれ価値観とか家族環境はバラバラなんですね。
でも安めにいい広い部屋に住めるというメリットがあって集まっている。
その集合住宅共同生活の真ん中に表題にもなっている大きな植卓があるんですよ。
大きい1枚板のテーブルでしょうか。
4人の家族、4家族が子供も含めて全員座ってもまだ余裕があるぐらいの
でかいでかいテーブルがあってそこが面白いんですけど、
半分シェアハウスのような個別の居住空間はあるんですけど、
ちょっと共同生活っぽいこともできますよという風になっているみたいなんですね。
この小説の冒頭はその大きな大きなテーブルに4家族が集まって
なんとなく自己紹介というか
ウェルカムパーティー的な探り探り、距離を詰めていく緊張感ある感じからスタートします。
先に入居していたらしい家族と後から入ってきた家族がいるみたいなんですけど、
イラストレーターの奥さんは忙しいからって来なかったりして、
なんでちょっと顔出せないのっていう不穏な空気が流れたりします。
しかしこの人たちと暮らしていくんだから仲良くしなくちゃいけないという緊張感があるわけですよ。
絶妙な入りだなと思って冒頭からすごい引き込まれちゃったんですけど、
グビョンモさんの墓はその殺し屋のノワール小説で
全然違うなってこのママ友達のタワマン文学的なものを書けるなんて
なんて幅広い作家さんなんでしょうと思いましたね。
同じ設定で角田光雄さんか桐野夏夫さんが書いていたとしてもしっくりきそうな感じの小説です。
この不穏なウェルカムパーティーから始まりまして、
無理やりの共同生活、共同体を描いていくわけなんですよね。
子どもたちはみんなで一緒に育てていこうよっていう雰囲気になるんですけど、
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しかしずっとじわじわと息苦しいんですよ。
いい条件の家に住めたんだから何とかうまくやっていかなきゃってそれぞれ思ってるんだけど、
子どもたちにもいい環境のはずって思い込もうとするけど、
それぞれ無理をしたり我慢をしたりしているからずっとじわじわ息苦しいんですよね。
そしてその4家族の夫婦ともにみんなちょっとずつ嫌なやつなんですよ。
そこがリアルだなと思いました。
私だったら頭筋とかいろいろ無駄になってしまってもいいから出ていきたいなって思っちゃいそうですけど、
子どもにとってはいい環境だよなって思ったりするとなかなか難しいんですかね。
今日はこの本の役者、幼い園子さんの後書きから紙フレーズを紹介して終わりたいと思います。
食卓って大きくなればなるほど真ん中に広がるのは空白なんです。
いくら皿で埋めたとて、実際にはその皿に手を伸ばすことも難しい巨大な食卓。
確かに言われてみれば食卓が大きいほどに親密さを失われ、微妙な緊張感と形式ばった雰囲気に支配されるだろう。
着席者が一堂に返し、自分たちはうまくいっている、いい関係だと確認するための装置。
決して動かすことのできない巨大な食卓が、このお色せの共同生活の疑問を象徴している。
この食卓って大きくなればなるほど真ん中に広がるのは空白なんです。
と言ったのが著者の久平茂さんで、それを解説している、この作品自体の解説をしている箇所なんですけど、
確かにその微妙な緊張感と形式ばった雰囲気に支配される機械って時々あって、
自分たちはうまくいっている、いい関係だと確認するための場、会みたいなのってありますよね。
そういった、まあちょっと自分が所属しているコミュニティに若干の違和感を持っているとか、
逃げ出したい気持ちを抱えているという方は是非読んでみていただきたいなと思います。
すごくお勧めです。
2つのブックフェアで、またいろんな本を買ったので、どこかでご紹介したいなと思っています。
気になったイベントに思い切って行ってみた方がいいっていう強盗の話に関連してなんですけど、
先日ミモレのイベントに久しぶりに出る機会がありまして、出演する方で出させてもらう機会があって、
真夜中の読書会のリスナーの方も来てくださってたんですよ。
何人かしか、何人かしかお話はできなかったんですけど、
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リスナーの方に直接お会いする機会ってなかったので、すごく嬉しかったですね。
いつも一人で喋ってるんで、誰かが聞いてくれるっていうのがいまいち信じられないというような気持ちでいて、
本当にいたっていう感じでした。
だからまたちょっとリアルのイベントはやれたらいいなって思いました。
今日は少し個人的な話をいっぱいしてしまいましたね。すみません。
またリクエストお待ちしています。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございます。
さて、今夜もお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室は、リスナーの方からのお便りをもとに、
おすすめの本や漫画を紹介しています。
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それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。