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真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと川端です。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、
水曜日の夜にほっとできて明日が楽しみになるおテーマに
おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
第173夜を迎えました今夜のお便りご紹介します。
ペンネームエルミコさんからいただきました。
バタやんさん、はじめまして。
真夜中の読書会の配信を毎回楽しく聞かせていただいています。
ご紹介していただく本を読むと、
これまで自分の知らなかった世界が広がり、
自分の選択だけではいけなかった読書の世界にも来られました。
もし、これからこれを読むよ、そして読み終えた後に
真夜読で紹介するかもしれないよという本を
教えていただくことができたら、私も読みたいです。
そして、本から得たものと、真夜中の読書会で
バタやんさんがご紹介されるときの世界を照らし合わせてみたいです。
もし可能ならば、真夜中の読書会の課題図書をお願いします。
といただきました。
ありがとうございます。
真夜中の読書会の課題図書。
すごくいいアイデアのご提案をありがとうございます。
確かにそうですよね。
先に読んでから聞けたらいいですよね。
このポッドキャストはリピーターの方がほとんどで、
そんなに新規のリスナーの方がバンバン増えていく
バズる要素がないですからね。
同じ方が一回繰り返し聞きましたと言ってくださる方も多くて、
なんでかなって思ってたら、最初聞いて面白そうだなと思って
その本を借りたり買ったりしてくださって、
読み終わってからもう一回聞くとまた違う印象になると
送ってきてくれた方もいまして、なるほどと思って。
私の読み方とか説明の仕方に共感する。
そうそうそうだよね、そこねってなる場合もあるでしょうし、
いやーそうかな、そうは思わなかったなってなることもあると思うんですよね。
2度、3度味わっていただけたら、読んでもらってから聞いてもらえるのが
私としても嬉しいです。
というわけで、今夜はこの先の真夜中の読書会で
取り上げる予定の本をご紹介します。
もうすでに読み終わっていて、この人のお便りに対して
貸し出しカードにしようって決めているのが3冊。
あと1冊はまだ私も読んでないんですけど、
多分きっと紹介するだろうなって思っているのが1冊。
合計4冊を紹介します。
いつもですね、だいたいこの方のこのリクエストに
これを紹介しようかなって決めてから、
読み返したり、話の構成を考えたり、紙フレーズを選んだりするのに
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2、3週間くらいかかるんですね。
その間に先にこれを紹介しますよってお伝えしちゃうといいアイディアですね。
お好みに合いそうなものがあれば早めにお手元に、
そして読み始めつつ聞いてもらえたら嬉しいです。
さて、そんな今夜の勝手に貸し出しカード4冊。
1冊目は新川穂立さんの女の国会です。
続いて2冊目はファンボルムさん著、マキーの美香さん役の
ようこそ、ふなむどう書店へ。
そして3冊目は岡部えつさんの怖い友達。
4冊目は金子玲介さんの死んだ山だと教室です。
いずれも小説になっております。
一気にお伝えしちゃいましたが、
それぞれどんな本かこの後解説していきたいと思います。
1冊目、新川穂立さんの女の国会は政治の世界を舞台にしたミステリーです。
新川穂立さんは元彼の異言上、
狂騒の番人と2冊連続して映像家になっており、
1991年生まれとプロフィールにありまして、
2021年デビューですけれども、
新人作家さんとはもう呼べないぐらい、
今とっても勢いのある作家さんというのが私の印象ですかね。
元弁護士でいらっしゃるんですね。
そんな新川さんは今度は女性政治家を描くということで、
これは面白くないはずないだろうと思って手に取りました。
あらすじを簡単にご紹介しますね。
国会のマドンナ、お嬢と呼ばれる女性議員が、
衣装を残して自殺したとの一報が入ります。
主人公は野党第一党の高槻香織議員。
高槻香織議員は国会の答弁とか記者会見などの振る舞い、言動から、
ふんがいおばさんと呼ばれてまして、46歳なんですけれども、
その死んだマドンナと呼ばれていた女性議員とは敵対関係にあるんですが、
自殺に疑問を持って、
死の真相を探り始めるというお話です。
高槻香織議員を中心に彼女の秘書、それから政治を追っかける記者と、
いろんな立場で国会に携わる女性たちを軸として描かれます。
ちょうどついこの間、女性政治家の発言がニュースになってましたけれども、
あって季節なんじゃないかというね、
そういう女性政治家ならではの注目のされ方の裏側とか、
それを利用する男たち、引きずり下ろそうとする男たちとか、
政治家と番記者の関係性とか、
法改正の舞台裏なんかまでをまるっとエンタメとして楽しめる作品になっています。
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あんまりしゃべりすぎちゃうと、
次紹介するときに話すことなくなっちゃうな、
このくらいにしておきましょうか。
2冊目のご紹介に入ります。
2冊目は本屋大賞翻訳部門を受賞した韓国の作品、
これはですね、タイトルにある通り書店を舞台にした長編小説です。
わけあって会社を辞めて書店を開くことにしたヒロインと、
その書店を訪れる様々な人と、
その店主と本との交流を描いた作品ですね。
その本屋さんにやってくるのは、
就活に失敗して書店のカフェ部分のアルバイトに応募してきた男の子とか、
夫の愚痴をこぼしに立ち寄るコーヒー業者の女性とか、
ネットでブログが炎上してしまった作家さんとか、
それぞれに悩みを抱えていて、
この女新米店長の主人公も、
あんまりいろんなことを上手にやれるタイプじゃなさそうで、
という話なんですけどね。
ガラス紙を読んだ段階から、
これはきっと好きなタイプだ、好きなやつだと思って、
手に取るのを避けてたんですよ。
買ってしばらく放置してまして、
これを好き避けというのかな、
好き避けって、まあ思春期みたいな、
好きになっちゃうに違いないから好きだから避けちゃうみたいなね。
そして意を決して読みましたら、
やっぱり胸をわしづかみにされてしまいました。
キュンキュンとして、線を引きたくなるような箇所がいっぱいありました。
私はあまり本に直接線を引いたり、
字を書き入れたりはしないんですけど、
付箋を貼るような箇所がたくさんある本でした。
これはまた書店員さんが選ぶ本屋大賞で、
賞を取ったのも納得の一冊ですね。
続いて3冊目は、岡部えつさんの怖い友達です。
こちらはコミカライズもされてまして、
小説版とコミカライズ版と2種類あるんですけど、
私が読んだのは小説版の原作の方です。
簡単にあらすじを説明しますと、
ブログから出てきたカリスマ、
ブログ出身のカリスマエッセーシスト、
中井留美という女性がいまして、
彼女の書く文章は読む人に寄り添って、
背中を押してくれるような前向きな文章で、
程よくネガティブな自己開示なんかもあったりして、
中高年女性の圧倒的な支持を得ていて、
オンラインサロンをやったり、
著者もすごく売れてるんですね。
なんだけど、すごいファンですって浸水しているような人もいれば、
あの人は悪魔だっていう人もいるという感じで、
この小説は中井留美という人の周りの人、
16人の証言で構成されているんですね。
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これはいわゆる私の大好きな独白形式、
一人称スタイルで和者が称ごとにどんどん入れ替わっていくスタイルです。
なかなかにテクニカルな構成になっております。
その証言、各人の証言の間に、
中井留美のブログ記事だったり、
ルミンが書いた文章が挟まるんですね。
証言ではこう言われているけれども、
ルミンが書くとこうなるっていうね。
いやもう全然わかんないなーっていう、
本当のことを言っているのはどっちなんだ。
いやルミンはいい人なのか、嘘つきなのか。
このテクニカルな構成にはもう一つ仕掛けがあるんですけれども、
それは今日はまだ言わないでおきましょう。
解説の時に撮っておきたいと思います。
さて最後の一冊は、私もまだ読んでないんですけれども、
金子玲介さんの「死んだ山田と教室」という小説です。
これは高段社から5月15日かな、14日かな。
発売になったばっかりでして、自社製品なんですけれども、
発売前から社内で話題になっていたので、
気になっていて、社内でよく本の話をする先輩とか、
文芸の部署の社員がいるんですけれども、
川端さん、山田は読みましたかと、
死んだ山田はもう読んだかっていろんな人に聞かれるから、
なんとか発売前にプルーフという冊子の状態で読みたいなと思ってたんですけど、
ちょっといろいろ躊躇してた。
間に合わせて結局発売になって、やっと普通に買って読もうとしているところです。
あらすじをざっくり言うと、
クラスの人気者だった高校生の山田くんが、
飲酒運転の車に轢かれて死んでしまうんですね。
悲しみに暮れる教室に山田の声が聞こえてきて、
山田くんの魂はどうやらスピーカーに憑依してしまったようでというお話です。
メフィスト賞受賞作の青春小説になってまして、
ちょうど本屋大賞は成るせ天下を取りに行くが大変盛り上がっていますし、
池井戸純司さんの新刊箱根駅伝の上下感も読まなくちゃと思っているところで、
今ちょっと私自身も世の中的にも青春小説への気持ちが盛り上がっているのかもしれないですね。
さて今日はその4冊の中から、
ようこそふなむろ書店から紙フレーズをご紹介して終わりたいと思います。
四十は何かを探すために本を読むことが多かった。
だが毎回自分の探し物が明確な状態で最初のページを開くわけではない。
数十ページほど読んでようやく、
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私はこういう物語を探していたんだなと気づくことも多かったとあります。
そうなんですよね。
読み始めてあるいは読み終えてから、
私は最近こういうものを読みたかったんだって気づくことは多くて、
さっき言ったこういう青春小説を読みたかったのかとか、
遠のいていたんだなということに気づくかもしれないですし、
女の国会みたいなある種の完全懲悪、悪区が裁かれてスカッとする女が乗し上がるサクセスストーリーみたいなのを読みたかった、
欲してたんだっていうところもあり、
あるいはふなむろ書店みたいな優しい話に癒されたいか、
怖い友達のような女同士の影のマウントの取り合いみたいなのに逆に救われる、
ああこういう人いるよねって思って救われたいっていうこともあるでしょうしね、
こういう本を読みたいと思って読み始めたんだけど、
ちょっと違ったなって思う時もありますしね。
野田英樹さんが新しい舞台、お芝居のパンフレットに書かれたんですけれども、
ちょっとうろ覚えですが、
その劇場に入った時と出てきた時と世界が変わるくらいのものを届けるべしっていうようなことを書いてらして、
見る前と後では世の中の見え方が変わるとか、ある感情への理解が深まるとか、
そういう意味でしょうかね。
入る前と出てきてからは別の人になるぐらいのものを生み出す意気込みを持つべきだみたいな話だったと記憶してるんですけど、
本や漫画もそういうところはありますよね。
読み始める前と後はやっぱりちょっと変わってる。
同じようでいて理解できることが増えていたり、何かに諦めがついたり、心の引き出しが整理されるような感じはあります。
皆さんにとってそんな本をこれからもご紹介できたらいいなと思ってます。
4冊のうち気になったものがあれば読んで待っていていただけたら嬉しいです。
えみこさん、良いリクエストありがとうございました。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室は皆様からの感想やリクエストをお待ちしています。
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それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。