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2024-05-08 15:04

最近、夢中になって読んだノンフィクション2冊

今夜の勝手に貸出カードは2冊です。
1冊目は、デイヴィット・グランさん著、倉田真木さん訳の『絶海: 英国船ウェイジャー号の地獄』。
そしてもう1冊は、ウ・ソックンさん著、古川綾子さん訳の『降りられない船 セウォル号沈没事故からみた韓国』です。
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真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと河童です。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、
水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになるおテーマに
おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
第172話を迎えました、今夜のお便りご紹介します。
ペンネーム、りょうきちさんからいただきました。
バタやんさん、こんにちは。いつも楽しく聞いています。
このポッドキャストを聞き始めてから、千早あかねさんや
津村きっ子さん、高瀬潤子さんなど、自分ではきっと
手に取らなかったであろう小説にたくさん出会って、
読書の幅が広がってとてもうれしいです。ありがとうございます。
僕はもともとは小説をあまり読んできておらず、
誰かの手記や実際の事件の真相に迫ったノンフィクションなどを
学生ぐらいの頃はよく読んでいました。
バタやんさんはノンフィクションは読みますか?
もし読まれるようでしたら、最近読んで面白かった本があれば教えてください。
といただきました。ありがとうございます。
実際の事件や犯罪、社会問題などについて掘り下げた
ジャーナリスティックなノンフィクションもの、あるいはルポルタージュとかですね、
嫌いじゃないですよ、私も。好きですね、割と。
ただ気分にもよりますし、取り上げる事件や事故によっては
辛すぎて読めないというか、投げ出してしまう途中で
ちょっと無理かもってなっちゃうこともあったりしますがね。
さて、最近読んだオススメを今日は2冊ご紹介したいと思います。
今夜の勝手に貸し出しカード、1冊目はデビッド・グランさん著
クラタ・マキさん役の絶海英国船ウィージャー号の地獄という本です。
もうね、タイトルで地獄って言っちゃってますからね、壮絶系です、こちらは。
そしてもう1冊はウ・クッソンさん著
古川綾子さん役の降りられない船、セオル号沈没事故から見た韓国という本です。
2冊とも水難事故、船の事故について書かれたノンフィクションです。
でも全然タイプが違うんですよ、それでちょっと2冊同時にご紹介したいなと思いました。
では一つずつどんな本か、実際に起こった事件のどんな真相に迫った本なのか解説していきたいと思います。
1冊目、デビッド・グランの絶海英国船ウィージャー号の地獄はですね
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1740年頃にイギリスのウィージャー号という船が嵐に回れて漂流してしまうんですね。
この船は乗組が250人も乗れる大きな船でスペインの船を追うというミッションがあるわけなんですけど
海軍とかそういう船乗りのプロたちじゃなくて
いろんなバックグラウンドを持った寄せ集めの乗組で構成されてまして
素人みたいな人もいっぱいいたみたいなんですね。
ナンパしてしまう前から衛生状態も良くなくてチフスとか海欠病とか
いろんな病気にかかって亡くなってしまったり
喧嘩したり逃げ出したりでどんどん人が減っていくんですね。
わずかに生き残った船員たちは船ごと嵐に翻弄されて暗礁に乗り上げて
最終的には近くの無人島に漂着するんです。
その後奇跡の生還を果たすわけなんですけれども
その奇跡の生還の生存者たちは一躍英雄となるかと思いきや
実はその漂流している間に仲間割れを起こして
殺し合いとか壮絶なことがいろいろありまして
ということが分かって裁判にかけられるんですね。
この本はこの船旅と無人島漂着っていう冒険談的な部分と裁判
法廷劇な部分とか両方あってものすごい読み応えのあるぎっしりとした本です。
何がすごいって1740年って今から300年弱前ですよね。
日本は徳川吉井宗八代将軍とかそんな時代なんですね。
そんな時代そんな昔に起こった出来事を
乗組員の残したメモとか日記とかそういうものをつなぎ合わせて
生き生きとしたノンフィクションに仕上げているという再現している
筆力、こういうのまさに筆力って言うんだねっていう感じで堪能しました。
だからほぼ物語という感じでもあります。
冒険談っていう言い方をさっきしましたけれども
冒険物語を読んでいるような感じでもあります。
映画を見ているみたいだなーって3時間超えの長編映画を見た
みたいなぐったり感があるんですけれども
これ本当にマーティン・スコセッシ監督とデカプリオで
映画化されることが決まっているそうで
出てくる主人公というか重要な人物が何人かいるんですけど
この中の誰の役をデカプリオがやるのかなとワクワクしながら読みました。
無人島に漂着して食料もなく水もなく極限状態で
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人がどれほど野蛮になり残酷になるかっていうところで言うと
ハエの王的なね、ハエの王は読まれた方もいらっしゃるでしょうか
もうちょっとなんかトラウマクラスで
ちゃんと最後まで読めなかったような記憶ですが
そんな感じの絶対でした。すごく面白いのでぜひ手に取ってみてください。
アメリカとかいろんな国でベストセラーになっているみたいです。
さて後半もう一冊ご紹介します。もう一冊はですね
降りられない船セオル号沈没事故から見た韓国という本です。
セオル号沈没事故はご存知、記憶にある方も多いかもしれませんね。
2014年の4月に韓国で起こったフェリー船の沈没事故ですね。
それからちょうど10年になるわけなんですね。
こちらも死者300人を超える大きな大きな事故で
しかもその多くが修学旅行の高校生だったということで
大変痛ましい悲しい事故でしたね。
さらにその船がどんどん海へと沈んでいく様子が
斜めになって沈んでいく様子が生中継というか映像で残ってましてね
そのインパクトがありましたし
あとなんかパンツ一丁、パンツ一丁というか
ズボンを脱いだ船長の船長服を脱いだ状態の船長が
我先に逃げ出して救助ボートに乗る姿も映像で流れてきて
それもなんかこう脳裏にとても焼き付く事故でしたね。
この後いろんなことがどんどん発覚していくわけなんですけど
最初に全員救助されましたっていう誤報が流れたりとか
海上警察があまり機能しておらず
もうすぐそこまで来たのに
助けずに引き返したっていうことがあったりとか
パクックネ大統領ですよね
何をしてたんだ空白の7時間があるっていうことが分かっていたり
いろいろ不可解なことが出てきて
政治的な大きな問題へと発展した事故だったんですよね
私もちょっとその政治的な背景はよく分かってなかったんですけれども
最近韓国小説をいろいろ読んだりドラマを見たりするようになって
セオル語異語文学と呼ばれるジャンルがあったり
セオル語沈没事故というものがものすごく大きな影響を与えて
作家さんとかアーティストたちにも大きな影を落とした事故だったんだな
っていうのを思うところがありました
さてこの降りられない船という本はですね
経済学者のウ・ソックンさんという方が
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この事故の裏にある国家的な問題点に迫った本なんですね
2014年に願公されていまして
だから事故があった割とすぐ直後に書かれた本なんですね
この本で初めて知った事実で一番私が衝撃を受けたのは
なぜ高校の修学旅行をフェリーに行ったのかっていう
チェジュ島に行くんですけどチェジュ島は飛行機で行ってもいいわけで
でも飛行機じゃなくてフェリーで行くべしっていうのを
実は国が圧戦していた推奨していたっていう話が出てくるんですよ
船の方が安いからっていう意味じゃなくて
LCCとかなら飛行機の方が実は安いくらいだったりして
でも高校生の修学旅行は船を使ってねっていう公文書が
全国の教育庁へ送られてるんですよね
そこにはクルーズ産業と政治家の癒着が原因となっているようなんですよね
この本は事故直後に書かれた本なので
そこから色々また新たに明らかになったこともあるでしょうし
パク・クネ政権は倒れましたし
ドキュメンタリー映画とか映像も作られたりしていますしね
事実真実に迫るという意味では
一冊一冊で全部わかるよってタイプの本ではないんですけれども
私がこの本に非常に惹かれた
一気に読んでしまった理由としては
すごい感情的なんですよ
めっちゃ怒ってるのこの著者の方が
怒りに任せて書いてるみたいなところもところどころあって
話もこの事件だけじゃない色んなところに話も飛びますし
ただそこがすごく面白いっていうか
新しい発見だったんですよ
こんなに感情的に書いていいんだノンフィクションって
レポルタージュってと思って
なんかこう日本のノンフィクションって
ともするとあまり著者の感情は載せずに
どっちかに偏りすぎず客観的にとにかく淡々と書く
真実だけを映しとるのが良しとされる感じもあったりするじゃないですか
最初に紹介したゼッカイの方は
古い話だということもあって
ほぼ完全に物語に消化してしまっていて
でも善悪の判断は読者に委ねるよっていうスタンスなんですね
降りられない船の方はひでえ話だよって
こいつもこいつもこいつも悪みたいな
陰徳退出とか責任逃れとか
政治家に対して悪ばかりと怒っているんですね
そこが面白かったな
面白いっていう表現が適切かわからないんですけれども
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今日はそんな降りられない船から
カビフレーズをご紹介して終わりたいと思います
つまりセボル号の参上きっかけに
自身が責任を取る任務から抜け出す
責任を免除するシステムを作っているのだ
これがまさに韓国で起こっている
三次便乗型資本主義の様相だ
これだけではない問題が発生したついでに
以前からやりたかったことを一緒に処理する事態も起きているとあります
三次便乗型資本主義ってすごい言葉ですよね
この何をしたのかということについては
ぜひ本を読んだり関連する記事なんかを見ていただけたり
と思うんですけれども
パククネ政権が事故の資料を改ざんしてたとか
事故発生後に安全保障国家の安全法案の危機管理の基本方針を書き換えていた
違う方針にしていたっていうこととかね
いろんなことが出てくるんですね
この辺りちゃんと起こるって大事だなと
この本を読んで思ったりしましたね
300人の尊い命は戻っては来ないですけれども
悲劇は偶然の悲劇三次ではなくて
裏で手を引くいろんな人のせいで起こった人災に近いことであったんだっていうのを
この本を読んだりこの本を読んで
それに関連する記事をいろいろ見たりして
考えさせられましたが
こういう本をすぐに出版するっていうことも大事だなと思いましたし
改めてこれが日本語で日本で読めてありがたいなと思った本でした
ぜっかいとこちらの降りられない船と
ぜひ合わせてお読みいただけたら嬉しいです
リクエストありがとうございました
ノンフィクション本もまたご紹介したいなと思います
さてそろそろお時間になってしまいました
真夜中の読書会おしゃべりな図書室は
皆様からの感想やリクエストをお待ちしています
インスタグラムのアカウントバタヨムから
ぜひメッセージをお送りください
それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう
おやすみなさい
おやすみ
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