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2024-06-26 15:10

気持ちがふさがって不安なとき、身体が心地いいと思うものに判断を預けてみる

今夜の勝手に貸出カードは、ファン・ボルムさん著、牧野美加さん訳の『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』です。お待たせしました。ようやくのご紹介です。優しい距離感と踏み込みすぎない会話。休みながら前へ進む物語。この本は、私にとってのここ数年のMost of 癒され本です。
<他に紹介した本>
『図書館のお夜食』原田ひ香さん
『不完全な司書』青木海青子さん

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真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。こんばんは、KODANSHAのバタやんこと川端です。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、水曜日の夜に、ホッとできて明日が楽しみになるをテーマに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
第176夜を迎えました。今夜のお便りご紹介します。ペンネームそのまんまさんからいただきました。
初めまして。いつも楽しく聞いています。昨年の夏、私は大好きな母を亡くしました。帰宅の時には病院の駐車場に車を止め、いつでも対応できるようにしていました。
夜は体力をできるだけ保てるように車の中で待機していました。そんな不安な気持ちに押しつぶされそうなとき、バタやんさんの穏やかでゆったりした雰囲気の声にとても救われました。
バタやんさんが紹介している作家さんの中で、寺千春名さん、綾瀬丸さん、高瀬潤子さんなどを読みました。日常の中で感じる気持ちの細やかな表現が好きです。
気持ちがふさがって不安なとき、気持ちがホッとできるような本があったら紹介いただきたいです。よろしくお願いします。といただきました。
ありがとうございます。そうでしたか。心からお悔やみ申し上げます。そんな中で聞いてくださって、そしていろいろ本も読んでくださったんですね。そのまんまさんとはお好みが合いそうです。
さて、今夜の勝手に貸し出しカードはファンボルムさん著、牧野美香さん役の「ようこそ、ふなむどう書店へ」にしました。
お待たせしました。ようやくのご紹介です。この本はですね、ここ数年の私にとって、モースト癒され本、ヒーリングブックと思っています。
今日こうやってご紹介しようと思って、改めて最初から読み返してみたんですけど、すごいんですよ、癒され方。ページをめくるたびにみたいな感じで、癒された結果、自分って疲れてたんだなぁ、緊張状態にあったんだなぁって、逆に実感してしまうくらいです。
休むと疲れていることに気づいたり、食べ始めるとお腹空いてたことに気づくみたいな感じでしょうか。
どうして、どこがそんな風な気持ちにさせてくれるんだろうっていうのは、あらすじと共に解説、この後していきたいと思います。
ようこそ、ふなむどう書店への主人公40話。会社を辞めてソウル市内の住宅街に小さな書店を開いたばかりの新米女書店店主なんです。
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その書店がふなむどう書店で、その書店を舞台にアルバイトに応募に来た人、お客さん、コーヒー業者の人、イベントに登壇してくれた作家さんなどなどが行き交う日々を40話のエピソードで綴った小説になっています。
書店や図書館を舞台にした小説とかエッセイっていうのは結構ありますよね。そこに訪れる人は何らか傷ついたり人生に悩んでいる人で、その人が本を勧める立場の主人公、書店員さんだったり、図書館の師匠の方だったりっていう主人公と出会って、本と出会い、気持ちを回復していく心温まる物語って少なくないじゃないですか。
だから私ちょっとそういう設定だっていう時点ですごく警戒してしまうっていうか、そう簡単には感動させられないぞって身構えてしまうんですよ。すごい好きなんです、好きなんです、そういう話が。だからこそこの真夜中の読書会おしゃべりな聴取室だってそういうコンセプトですしね。
好きだから殺さけてしまうというか、チープだったら本当にがっかりしちゃうから、そう簡単には心温まらないぞって身構えてしまうんですけれども、最近読んだこのタイプの類似する本としては原田彦さんの図書館の親職と
青木宮子さんの不完全な詩書、こちらはエッセイですけれども、すごく良かったですね。そう簡単には心温まらないぞおばさんって身構えていたのにすごく感動してしまった。ペンネームそのまんまさんも良かったらこの2冊もおすすめです。
ようこそ湘南武道書店の話に戻りますけれども、なぜこの本を読むと癒されるんだろうって考えながら読み返したんですよ。一つまず最初の、ああいいな、この本いいなって思えた箇所を読みたいと思います。
彼女はもう意思や情熱といった言葉に意味を求めないことにした。自分が頼るべきは自らを借り立てるために繰り返し唱えてきたそういう言葉ではなく、身体の感覚だということを知ったからだ。今彼女がある空間を心地よいと感じるかどうかの基準はこうだ。
身体がその空間を肯定しているか、その空間では自分自身として存在しているか、その空間では自分が自分を阻害していないかという風に続くんですけれども、
割と最初の方に出てくる箇所ですが、ここでまず主人公は何かすごく緊張感のある決断とか行動とかを迫られるような状態か、職場にいて、そこから離れて、意図的に離れたのか、そうならざるを得なかったのかはこの時点ではわからないんですけれども、
自分が身体的に気持ちいいと思えるかどうかに決断を預けようという状態にたどり着いているんだということがわかるんですね。
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ひなむど書店のひゅっていう、ひーぐっていうのは休むっていう文字でもあるそうで、全体として今お休み状態にある話なんです、この本自体が。
横になって寝込んでいるようなお休みじゃなくて、活動はしているんだけれどもチャージ中っていう感じですかね。
そういう時あるよねって、借り立てるように何かしなくちゃいけなかった時から少しひーぐの状態に移る時って、人生の中で皆さんあるよねって、そういう時間も含めて冒頭から肯定される感じで進んでいくんですね。
心地いいと感じる身体の感覚、体の感覚っていう点について、ちょっと話がそれるんですけど、私の体験を話したいと思います。
私がメンタルケア心理士の資格を取った後、カウンセリングの先生にたまに通っていて、その先生が互換的に気持ちいいと思うもの何ですかって聞くんですよね、その時々には。
例えば、うもう布団が自分の体温でだんだん暖かくなっていく感じとか、ひんやりした床を裸足で踏んだ時の冷たさとか、かき氷を崩す音とか、そういう時々の気持ちいいと思うものを思い出してしゃべって、そうすると先生がその機会を意図的に増やしてくださいねって言うんですね。
ああそうか、それならすぐにできそうだと思って、その時は冬だったんですけど、私はジェラートピケのカーディガンを持っていまして、寝巻きの上に羽織るやつなんですよけど、それをおるあがりに羽織ってソファでゴロゴロしている時は気持ちいいっていう話を確かしたんですよ。
そっかそっか、私はこの手触りが好きなのかと思って、ジェラートピケの膝掛けも買って、今会社に置いているんですけど、例えばちょっとストレスのかかるメールを返さなきゃいけないとか電話しなきゃいけなかった後に、その膝掛けをサワサワすると、単純にちょっと回復するっていうか、ああ気持ちいいなってなるんですよ。
猫に癒されるとかって、うちは猫を飼ってないのでちょっと分かってなかったんですけど、初めて気持ちが分かったっていうか、単純にこうあったかくて手触りがいいものに触れるとすごくチャージされる、癒される、浄化されるんだなというふうに思いました。
皆さんもすぐできるのでよかったらやってみてください。身体的に五感で心地いいって感じるものを思い出して、なるべく細かく思い出して、その機会を増やしていくっていうやり方です。
また話が逸れてしまいましたが、ひゅなむどうに戻りましょう。
主人公のヨンジュさんは、さっき言ったように過去に何かを抱えていて、多分その前は本当はものすごくバリバリ働くタイプの人だったんでしょうけど、今はゆっくりやろうと書店の西さんもそんなに気にせずに好きなものに囲まれて、傷を癒しているような状態にあるんですね。
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でもおそらく仕事ができる人だったところが垣間見えて、たわしを作るイベントをやったり、これかわいいなと思ったんですけど、トークイベントをやったり、コラムを書いたり、インタビュアーとしても優秀さが垣間見えます。
そのおかげで作家さんと文章講座的なイベントをやることになり、そして心の交流みたいなのが作家さんとの間に生まれるんですけどね、この辺りもすごくいい話です。
この辺のヨンジュさんの死後的な女性の部分と、過去に何か新しき繊細さ、危うさの部分が絶妙で、絶妙に魅力的なヒロインなんですよ。
彼女がどんな雰囲気の女性なのか、あんまり詳しく書かれてないんですけど、一箇所予想を描写したところがあって、そこが好きなのでちょっと読みますね。
彼女は程よい厚さの黄緑色の丸首シャツにカーキ色の腰丈カーディガンを羽織り、くぶ丈のジーンズを履いていた。
靴は見るからに履きやすそうな白いスニーカー。客の後ろ姿を見送っていたヨンジュは、スーの姿に気づくと彼に笑いかけた。
好きってなりましたね。
この洋服の感じもいいじゃないですか。程よい厚さの丸首のシャツは黄緑色で、その上にカーキ色、似たようなグラデーションカラーの長い丈のカーディガンを羽織っていて、短いジーンズに靴は白いスニーカーっていう本屋さん。いいですよね。
日本の俳優さん、女優さんがやるとしたら誰がヨンジュをやるといいだろうなってこの描写を読みながら考えてたんですけど、長崎博美さんとか、いや、もうちょっとぬるっと背が高い女性のイメージなのかな。
背が高くて猫背みたいな、本棚に、別に台に乗らなくても手が届きそうなスラリとした人の方が似合うかな。
こないだ異国日記を映画で見たんですけど、その時の荒垣結衣さんの長いシャツを羽織ったりしてるようなスタイリングがまさにそんな感じ、ヨンジュさんみたいな感じかもしれないと思ったりしました。
さて、そろそろ今日の紙フレーズをご紹介したいと思います。
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私はこの箇所すごく腑に落ちて、この話はどういう話の流れかっていうと、こないだまで書店でいろんなイベントをやったりしてすごく忙しくて緊張度8だったと。
でも忙しいってことは繁盛してるってことだから、6より8の方がいいんじゃないのって突っ込まれたりはするんだけど、そんな緊張状態は長く続けるもんじゃないよねって結局あんまり最近本も読めてないし、精神的にもまたヨンジュさんは追い込まれてしまっているっていう話になるんですけど。
ペンネームそのまんまさんにとっても、看病されていた時は緊張度8、もしかしたら9とかの状態で、その状態から解放されるっていうことは悲しいことやおつらいことであったと思うんですけれども、でも8の状態を人ってそんなに長くは続けられないようにできているのかなってこの本を読んで思ったりしました。
この本の中でこの会話は一瞬で終わるんですね。この小説、どの会話もそうなんですけど、結論を出したり聞き出したり相手を論破したり説得したりしないんですよ。踏み込みすぎない、ちょっと手前で終わるっていうところが、それがとても心地いいなと思いまして。
何でもかんでも本音をぶつけ合ったりするのがいいわけじゃないし、優しい距離感と踏み込まなさがちょうどいいと思っています。
40話ってとても細かく分かれたエピソードの章で構成されているんですけれども、それぞれ短い短編のようにもなっているんですが、はっきりした結末みたいなところに行かない、ちょっと手前でふわっと終わる感じも毎回心地いいんですね。
そのまんまさんにも、湘南武道書店が少しの休息地、安息地になるといいなと思ってご紹介しました。リクエストありがとうございます。
さて、今夜もお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室は、リスナーの皆さんからのお便りをもとに、おすすめの本や漫画を紹介しています。
インスタグラム、バタヨムからメッセージをお寄せください。
それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
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おやすみなさい。おやすみー。
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