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2025-09-17 14:55

EP222.ミスリードがお見事な海外ミステリー。怒涛の展開にラストまで駆け抜けて!

今夜は、私が最近夢中になって読んだ海外ミステリーを2作品、ご紹介します。どんな人におすすめかも私なりにマッチングしてみます。

<今夜の勝手に貸出カード>

・『ハウスメイド』フリーダ・マクファデンさん著、高橋知子さん訳(ハヤカワ文庫)https://amzn.to/46Cgirk

・『眠れるアンナ・O』マシューブレイクさん著、池田真紀子さん訳(新潮文庫)https://amzn.to/46nhfTg


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サマリー

今回のエピソードでは、海外のミステリー小説『ハウスメイド』と『眠れるアンナ王』を紹介しています。特に『ハウスメイド』は、主人公であるミリーが逆境を乗り越える姿と独特な世界観が魅力的です。一方、『眠れるアンナ王』は、犯罪心理学者が暗い過去を抱えるアンナを救う物語です。このエピソードでは、イギリス文学のミステリー小説『眠れるアンナ』についても語っています。物語の中で、主人公アンナの動機や背景が描かれ、最後まで緊張感が持続する展開が魅力となっています。

ハウスメイドの紹介
真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、第222話を迎えました。
今夜はお便りのご紹介はお休みで、
最近私が夢中になって読んだ海外ミステリーを2作品ご紹介したいと思います。
それぞれどんな方にお勧めしたいか、どんな方が楽しめそうかを合わせて、
私なりにマッチングしてみたいと思います。
まず1冊目は、早川文庫から出ています。
ハウスメイドです。
フリーダ・マクファデンさん著、高橋智子さん役です。
最近出たばかりでして、SNSの私のタイムラインの中では、
かなり話題になっていた何人かの方が投稿されていたので、買ってみました。
ざっとあらすじを紹介すると、
喧嘩持ちのヒロインミリーは、身分を偽って隠して立派なお家で、
ハウスメイドの仕事を得ます。
最初に面接に訪れた時は、ものすごい素敵なお家だなって思ったんだけど、
2度目にあなたを雇いますって言われてから行ってみたら、
なんとゴミ屋敷みたいな荒れっぷりで、
台所にはいつのか分からない洗い物が山積みになってたりして、ぎょっとするんですけど、
彼女は、ミリーは家がなくて、車上生活、車で寝泊まりをしているような生活だったので、
そのハウスメイドのお仕事は、住み込みで働かせてもらえるっていうのもあって、
ありがたいし、なんとかやってみよう、何でもできます、何でもやりますみたいな感じで、
料理も洗濯もお掃除も何でもやりますっていう風にして、
ウィンチェスター家というね、その雇い主の家に入り込む、潜り込むことができたんです。
ところがですね、雇い主のそのウィンチェスター家の妻のニーナは、
言動がちょっとトンチキというかおかしいし、
娘のセシリアは超生意気なんですよ。
娘はピーナッツアレルギーだって言ったよねとか、
そのニーナに突然キレられたりするんですけど、
いやいや聞いてないし、みたいな感じなんですが、聞いてませんとも言えず、
2人から理不尽ない、自明みたいなのを受けるんです。
与えられたお部屋も、住み込みで与えられたお部屋も、
鍵が外からしかかけられない、すごい狭い屋根裏部屋で、
いやあんなにたくさん他にね、素敵な部屋があるのにと思うけど、
まあでもそのミリーは全家物であるっていう後ろ暗さと、
車上でね泊まりするよりはマシ、足を伸ばして寝れるだけマシっていうところで、
まあなんとか我慢してやっていくんですね。
こう言ってしまうとちょっとチープというかゴミカルな話なのかなと思っちゃいますけれども、
この小説の魅力はですね、ヒロインミリーのややシニカルだけれども前向きな、
たくましいっていうところにとても魅力を感じますね。
そして登場人物の中で唯一優しくて素敵なのはその家の旦那さんアンドリューなんですね。
見た目もかっこよくて、いじめられてしまっている、
理不尽なことを言われているミリーに対しても優しくて、
ああなんでこんな奥さんと結婚してるんだろうなぁって思うんですけど、
さてさてっていう話です。
物語の展開
今ウィンチェスター家の異常な感じ、なんか変だなっていうのが語られるのが第一章で、
そして第二章からはガラリと世界が変わって、
ありきたりな言い方をすると鈍然返しが待っています。
世界がぐるっとひっくり返ると、さてどういう見え方で第一章が見えてくるでしょうかと。
第三章まであるんですね、この話。
なんかこうずっと映画というか舞台かな、舞台を見てるみたいだなぁって感じがしていて、
第一幕、第二幕、エンディングみたいな感じです。
ウィンチェスター家のお家の中と屋根裏部屋くらいしかシーンが出てこなくて、
途中町へ出てお芝居を見に行くっていう、
ヒロインのミリーがね、お芝居をある人と見に行くというシーンがあるんですけど、
そういうちょっと大事な転換、場面転換なんであまり言わないでおきますね。
この物語はそんなヒロインのミリー、そして奥様のニーナ、娘のセシリア、
夫のアンドリューと庭師の男っていうくらいの主人公しか、
登場人物しか出てこないんですよ。
そんな風に出てくる人はちょっとシンプルで、
場面も限られたところで語られていくので、
海外翻訳者がそんなに得意じゃないとか、あまり読み慣れていないとか、
人がちょっとこんがらがってしまって、
途中で離脱しちゃいそうだなっていう人にも、
すごいこれはお勧めしやすい小説だなと思いました。
構成がシンプルだし、登場人物がはっきりくっきりしているので、
混乱して離脱する可能性が低いと思います。
サスペンスのジャンルとしては、
フーダニット、誰が一番悪いやつなのかっていう話かなと思います。
勘のいい方は結構最初の段階で気づいてしまうかもしれません。
でもその2章を終えて、さらにその先にもう一展開あるので、
最後の最後まで気を抜かずに読み切ってくださいませという感じです。
眠れるアンナ王の紹介
さて、ということでもう一冊ご紹介しましょう。
こちらは新潮文庫から出ています。
眠れるアンナ王という長編小説です。
マシューブレイクさん著、池田真希子さん役です。
こちらも先ほどと同じく8月に出たばかりなので、
今はまだ書店さんに行くと新刊の翻訳コーナーには平積みになっているぐらいじゃないでしょうか。
こっちの本はですね、眠れるアンナ王をなんで買ったかというと、
これは池田真希子さんの役だからなんですね。
池田さんはパトリシア・コーンベルの剣士官シリーズですとか、
ジェフリー・ディーバーの林間ライムシリーズなんかも役されていまして、
池田さんが役されている翻訳スリラーものならきっと面白いだろう。
きっと私も読み切れるんじゃないかなという期待をかけて買いました。
池田さんの役出する女性主人公が魅力的だからっていうのもありますし、
多少専門的な話が出てきてもきっと読めるんじゃないかなという期待もありました。
そんな眠れるアンナ王を書いた著者の方のマシューブレイクさんという人はですね、
この小説が小説としてはデビュー作だそうです。びっくりです。
元はテレビの脚本家として実績があるそうで、
この眠れるアンナ王もすでに映像化が決まっているとか、
確かに眠れるアンナのアンナ役を誰がやるといいかな、魅力的かなとか、
この物語の探偵役となる犯罪心理学者のベネディクト・プリンス、ベンですね。通称ベンって書かれています。
ベネディクト・プリンスを誰がやるといいかなっていうのを想像しながら読むとさらに楽しめると思います。
どんなお話かと言いますと、20代の若者2人が殺されて、視察されてまして、
その現場の近くで彼らの仕事仲間であり、
友人でもあったアンナがナイフを手にしたまま、昏睡状態で見つかります。
容疑者状態のまま4年かな、眠り続けてしまった彼女を起こすという役に抜擢されるのが、
犯罪心理学者で無有病を研究しているベネディクト・プリンスという男なんですね。
さて、眠っている状態で犯罪を犯したら、それは罪に問われるんだろうかという大きな問いをこの小説を投げかけながら、
ミステリー小説の魅力
この小説はすごく細かく細かく区切られた章ごとに、話者が変わる、語り手が入れ替わる方式で進んでいくんですね。
これも先ほどの小説と同じで、誰が一番嘘つきなのか、フーダニットタイプのミステリーです。
これは本当に誰が殺したのか、誰が悪人なのかっていうミステリーですね。
変わる変わる、話者が変わる、主人公が変わる中で、誰が信用できない語り手なのかというのが一番面白いところであります。
この本はですね、どういう人におすすめかというと、クラシックなミステリー好きの方におすすめしたいですね。
ハウスメイド、さっきお伝えしたハウスメイドはアメリカの小説なんですけど、こちらはイギリス文学、イギリスの小説でして、
主人公のベネディックとベンがヒッチコック好きであるという描写があるんですけど、
エドガーランポーとかアガサクリスティとか、そういったイギリス名作、サスペンスミステリーが大好きみたいな人にはきっと楽しんでもらえる。
そして著者のマッシュブレイクさんはきっとすごく好きなんだろうなっていうのが滲み出ている作品です。
話は非常にシンプルでして、アンナを目覚めさせようっていう、目覚めさせなくちゃっていうことと、寝てる間に本当に殺したのっていう、それだけなんですよ。
それで引っ張る、一長編、飽きさせないのはすごいなと思いました。
どうしてかなと思ったんですけど、ものすごく一つの章が短いんですね。
続きが気になる感じで、ひゅって終わる。
次、場面が転換されて、人が変わる、話者が変わって、視点が変わって、
これは本当テレビドラマ的だなって思いました。
CMに入る前と後みたいな感じで、ひゅって変わっていきます。
だからお芝居っぽいハウスメイドと、そのテレビドラマ、CMが入るタイプのテレビドラマっぽいアンナと、脚本の作りが全然違うみたいな感じがして面白かったです。
眠れるアンナも終盤で、ああそういうことだったのねってなるんですけど、
なってからがまたもうひとひねり、二ひねりありますので、最後まで気を抜かずに突き進んで読んでみてください。
アンナの背景と動機
さて今日はそんな眠れるアンナの方から紙フレーズをご紹介したいと思います。
アンナは15分の名声のためなら人たって殺しかねない子よねって、注目されたいという欲求が強かったの。
あの子が目標にしたのは優秀な書き手になることではなかった。偉大な書き手になることだった。とあります。
ちょっと背景を説明しますと、アンナは若きジャーナリストと言いますか、若者向けのメディアを立ち上げた企業家なんですね。
20代で。殺された2人はそのメディアを一緒にやっていた仲間なんですよ。
就職がうまくいかなかったごまかしに起業する社会的高い志みたいなのを掲げて、意味あるように見せるって手があるよねみたいな説明の下りがこの本の中にあったかな。
アンナ自身はご両親が政治家と投資家でして、2人とも世間的に成功していて、だからお金に困って就職する必要はなかったんだけど、
何か自分の生きる意味、傾倒するものっていうのが必要だったのかもしれないですね。
この中に何に傾倒していたかっていうのが出てくるんで、それはちょっと読んでみてください。
そんなアンナを私はとても魅力的に感じましたけれども、どうでしょうか。
お嬢が15分の名声を得るために有名になったり注目されるためにやらかしたことだったのでしょうか。
はい、さてどちらかでも、もし興味を持たれた方はぜひ読んでみてください。
ちょっと今日はリクエストお休みしちゃいましたが、リクエスト自体は本当はすごく取り上げたいなと思っているのが何個かあるんですけど、
この本でいいかなっていう、ちょっと決めてる本があるけど、この本でいいかなっていうのを最後まで読み返してみてからじゃないとと思っていて、
なので少しだけお待ちください。
けどリクエストじゃなくても、これ読みましたとかだけでもとても励みになるので、
もし真夜読ききっかけで読んだ本、予約した本なんかがあればぜひ教えてください。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、リスナーの方からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介しています。
リクエストはインスタグラムのアカウントバタヨムからお寄せください。
お届けしたのは講談社のバタヤンこと川端理恵でした。
また水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。
おやすみ。
14:55

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