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2021-08-04 11:25

真夏の暑い午後にクーラーの効いた部屋で読みたい本【第69夜】

予定のない夏休み、クーラーの効いた部屋でじっくり読みたい本をテーマにセレクトしました。今日の勝手に貸出カード:『外は夏』キム・エラン(著)、古川綾子(翻訳)/『あたしたち、海へ』井上荒野/『森は知っている』吉田修一/『太陽は動かない』吉田修一/『太陽の棘』原田マハ/『旅する練習』乗代雄介。みなさんの夏のおすすめ本はなんですか?


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みもれ真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAウェブマガジンみもれ編集部のバタやんこと河童です。
おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになる、をテーマに、皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
さて、第69夜を迎えました、今夜のお便りをご紹介します。
ペンネームアルトさんさんからいただきました。いつも楽しみにしています。ありがとうございます。
書店に夏の読書コーナーができると、つい立ち止まってしまいます。昔読んだ本でももう一度手に取りたくなります。
夏の読書って特別に感じます。バタやんさんは夏になると読みたくなる本はありますか?といただきました。
そうですね、確かに秋の夜長、読書の秋って一般的には言いますけれども、実際には夏の読書の方が印象が強いかもしれないなぁってお手紙を読んで思いました。
夏休みの読書感想文の思い出とかからね、始まって旅先で読む本だったり、予定のない夏休みに家のソファーでゴロゴロ読む本だったり、
暑くてどこへも行きたくない日にクーラーの効いた部屋で読む本、読みたい本を今日は何冊かご紹介していきたいと思います。
最初の勝手に貸し出しカードは、キム・エランさんの外は夏にしました。
外は夏ってタイトル通りですけれども、水色の海辺なのかな、プールなのかな、非常に美しい爽やかな表紙に惹かれて、
この夏休みに私読もうと思って最近買った本なんです。
夏休みを待ちきれず1話だけ先に読んじゃったんですけど、短編集なんですよ。韓国の小説の短編集ですね。
最初の1編は立冬というタイトルで、あれ夏じゃないじゃんって感じですね、冬なんですけど、
奥さんが夜中に汚れた壁紙を貼り直そうって急に言い出すっていうところから始まります。
どんなお話かこの後ご紹介していきたいと思います。
壁紙を貼り直そうって言い出す妻と主人公の間には4歳の息子がいて、ある日保育園のバスがバックした時に轢かれて死んでしまうという痛ましい事故で息子を亡くしているんですね。
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つい最近日本でも保育園のバスの中で熱中症で亡くなってしまったという事件がありましたけれども、
この本の中の保育園側の対応なんかもこの小説の一つの肝であったりします。
奥さんの方は怒りに震えるというより全てに気力を失ってしまっているような状態なんですね。
壁紙を貼り替えようって急に言い出して夫婦で二人作業をしていたら、あるものを見つけるんです。
このラストはもう泣けて泣けてしょうがなかったですね。
悲しいお話ではあるのでこんな言い方をしたらあれなんですが、泣いたらとてもデトックスした気がしました。
物語にフィクションに没頭して、一目も気にせずボロボロ泣いたりしたのいつ以来だろうって思って、
このポッドキャストを聞いてくださっている方も、私最後に泣いたのいつだっけなっていう方が今いらっしゃったら、
泣くのも夏休みの時間の使い方としていいかもしれないです。
この本は泣ける本ですみたいに紹介するのはちょっと違うかなと思うんですけれども、
短編のいずれも喪失、何かを失った人の物語なんですね。
夏の日差しのように明るい話ではないんですけれども、独語に清涼感があります。
さて今日他の本もいろいろご紹介していきたいと思っています。
夏におすすめしたい本、続いては原田マハさんの太陽のトゲです。
これは戦後間もない沖縄舞台にした原田さんお得意のアート小説ですね。
アメリカ人の軍医さんが主人公で、沖縄の画家たちが暮らす集落があって、
そこでの画家たちとの交流を描いた小説なんですけれども、実話を元にしているそうです。
原田さんの小説は代表作の楽園のカンバスみたいに、芸術の世界を主人公にした重厚な骨太なストーリーと、
本日は日柄も良くとか、星が一つ欲しいとの祈りみたいなハートウォーミングな作風と2つあるのかなと思ってるんですけど、
これは何というか、アートを主題にしながらもハートウォーミング寄りな小説な気がしました。
原田さんのどっちのタイプがお好きな方も、もし未読でしたらこの夏ぜひ読んでみてください。
さて続いては吉田秀一さんの森は知っていると太陽は動かないの2冊です。
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これ文庫になってるんですけど、シリーズなんですね。
藤原達也さんと竹内龍馬さん主演で、映画とワウワウで連ドラ化されてたんですね。知らなかったです。
私が持っている文庫は古い表紙なんですけど、新しい表紙は新しい帯がかかっていて、藤原さんと竹内さんの顔が入ったバージョンになってました。
ちょっと日本では珍しいのかな、若い青年のスパイアクションものなんですね。
スパイとか秘密を探る集団みたいなのってちょっと私もそんなに読み慣れてなかったんですけれども、
森は知っているが主人公の少年時代沖縄が舞台で甘酸っぱい恋もあり、
太陽は動かないなって本格的にエージェントとして活躍していくわけなんですが、この2作目の方が少年時代を振り返っているのかな。
少年時代、青春時代の方が私は割と好きなんですけど、しかし次から次へと大変なことがあって、ミッションがあって、
ハラハラドキドキっていうやつです。
そういう映画も小説もしばらく読んでなかったなっていう人にはすごくおすすめなので、
ぜひ2冊まとめて買って一気に読んでいただけたらと思います。
さあもうちょっと青春感の強いもので言うと、井上アレノさんの私たち海へをご紹介したいと思います。
私たち海へってこのポッドキャストで1回紹介しましたかね?
したかもしれない。井上アレノさんって熟年夫婦の奇美みたいなのを書かせたらもう博美、天下一品っていう感じなんですけど、
こういう高校生の女の子たちみたいなのも書くんだなーって思って、すごく好きな作品でいろんなところでおすすめしてるんです。
もっと読まれていい名作だと思ってます。
映画化もされてほしいなぁ。誰だろう?ドラゴン桜の南さらちゃんとか主演でやってほしいですね。
さてもう1冊ぐらい紹介できるかな?もう1冊は範代雄介さんの旅する練習です。
これも夏に読むのにいいだろうなって思っていて、
サッカーをする女の子とおじさん、おじさんって名刀寺のおじさんですという珍しいペアの小説なんですけど、その名刀寺とおじさんの2人で旅をする話なんですね。
すごく明るい話、微笑ましい2人を見守るような話かと思いきや、ちょっと意外な展開になっていくんですけど、ここはあまり言えないところです。
夏休みにソファーでゴロゴロ読んで、しみじみしたい本だなぁって思いました。
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今日は最初にご紹介したキム・エランさんの外は夏から紙フレーズをご紹介したいと思います。
夏を迎える誰かの手を今も握りしめる人話した人がいるようにあるものは変わりあるものはそのまま夏になる
言えなかった言葉や言えない言葉言ってはいけない言葉や言うべき言葉がある日人の形になって現れたりする
これは後書きのキム・エランさん著者ご自身の言葉なのですが、そうですね去年から今年にかけて失ったものや手にするはずだったけど手にできなかったもの
あるべきものが得なかったりとか色々それぞれあるかなと思うんですよね。
もうその分手にできたものもあったかもしれないし、振り返って気づけることもあったかもしれないし
アルトさんがおっしゃるように、昔読んだ本も今年の夏読むとまた印象が全然違うかもしれないですね。
素敵なリクエストをありがとうございました。
さてそろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室は皆様からのお便りをもとに色々なテーマでお話ししたり本を紹介したりしております。
みもれのサイトからお便り募集していますのでぜひご投稿ください。
また水曜日の夜にお会いしましょうおやすみなさいおやすみ
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