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2021-07-21 13:45

連休にじっくり読みたい最新ミステリー3選【第67夜】

出かける予定も人と会う予定もなく、連休も夏休みも家でのんびり過ごそうと思っている方へ。じっくり読みたいおすすめ最新ミステリー3作品をご紹介します。「いじめ」「AI」「ジェンダー不平等」「被災と貧困」など考えさせられることもたくさん……。今夜の勝手に貸出カード/『月下のサクラ』柚月裕子/『原因において自由な物語』五十嵐律人/『護られなかった者たちへ』中山七里


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ミモレ真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAウェブマガジンミモレ編集部のバタやんこと河童です。
おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになるをテーマに、
皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
さて、第67夜をお届けします。
今夜はですね、オリンピック連休スペシャルということで、
なんだかこの動きのとりづらい連休をどうしましょうと思っているあなたへ、
連休中にじっくり読みたいミステリー本をご紹介していきたいと思います。
私自身がこの連休にゆっくり読もうと思って、ちょっと読みかけなんですけれども、
大事にとってある本をご紹介したいと思います。
まだ読み終わってない本を紹介するという、また傍聴に出てみました。
まず最初は、いがらしりつとさんの、原因において自由な物語です。
これは奥付に2021年7月14日発売とありますから、出たばっかりですね。
真っ黒い表紙のね、編み込みをした髪の毛の女の人か女の子なのか、
顔の上にドクロが乗っているみたいな、見るからに不穏な表紙ですね。
この不穏さが最初に手に取った時からあふれているんですけど、
ハードカバーの単行本の書籍って、カバーがあって開くときれいな色の厚紙みたいな、色紙みたいなのが最初にあるじゃないですか。
あれを見返しと言うんですが、見返しがあって、扉があって、そこにタイトルが書いてあって、
次のページから字の紙、白い紙が始まりますよね。
さらに薄紙みたいなのが挟まっている、古い本だとそんな本も結構ありますけど、
本文が始まる白い紙になってからもう一回扉があって、タイトルがあって、裏に想定が誰々とか、表紙の写真が出典がどことか書いてあるじゃないですか。
目次があって本文が、本編が始まるっていう、本編が始まるまで意外とページ数があるんですよね。
それがこの原因において、自由な物語は、見返しがあって扉があって、次のページから目次が始まるっていう、分かります?
普段読み慣れている本より助走が短いから、え、もう飛ぶの?みたいな感じになるんですけど、
なんか危ないところとも走っているらしいっていう、よく分からない状況からこの話が始まるんですよ。
だからわざとなのかなと思ったんですけど、この助走の短い本の作りが、まだ心の準備ができていないよってつんのめりそうになるのをね、
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今もし皆さんの家に単行本が何かあったら手に取ってみてください。
意外とこの始まるまでにページ数があるんだなっていうのを共有したいです。
原因において自由な物語はどういう話なんだっていうのは、この後にお話したいと思います。
原因において自由な物語の主人公は二階堂紡ぎという人気作家なんですね。
彼にはある秘密があって、でもこれを書くとその秘密がばれてしまう。
でも書かなくちゃと思っているという話のようなんですね。
ようなんですねっていうのは、私もまだ途中までしか読んでないから、オビとアマゾンに書いてあった通りなんですけど、
書き出しから少し進んでわかったこと、この小説が面白そうだなって思ったポイントは、いじめ、SFミステリーの掛け合わせのようなんですね。
フリーランニングっていう、なんて説明したらいいのかな、忍者みたいに足場の悪そうなところが高い位置にある細いところを走っているようなゲームがどうも流行っているらしいということと、
顔面偏差値が測れるアプリが流行っているとか、ややSF的というか、今現実のこの社会という設定ではない架空の設定があるミステリーなんだなっていうところです。
そして今まさに話題のいじめが物語のキーになっています。
いがらしさんの前作の法廷遊戯の時も思いましたけど、大学生の会話がね、心地よくテンポよく、こういう感じなんだな、今の子たちみたいなところも楽しくて、スイスイと読めてしまいそうです。
そろそろ次を行きますね。次はですね、ゆずきゆう子さんの月下の桜です。
ゆずきゆう子さんの月下の桜はですね、ゆずきさんの桜といえば、ピンときた方はすごいです。パタヤンのクオカードをお送りしたい。ないけどそんなのね、そうなんですよ。
口ない桜に続く桜シリーズなんですね。シリーズだったんかいって感じですけど、インタビューを読んだらシリーズ化するつもりはなくて、でも出版社さんからのリクエストでシリーズになったそうで、私としては嬉しいです。
主人公の泉さんは、前作では県警の広報担当の事務職員だったんですけど、今回の月下の桜では晴れて警察官として採用されて、刑事になっているんですね。
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操作支援分析センターっていう監視カメラと映像を分析するような職種のようなんですけど、知的労働と思いきや冒頭から泉さん追跡した犯人を逃したと思ったら襲われたりして、どの部署でもどういう職種でも警察で女の人が働くって大変そうだなって思っちゃいました。
ドラマ箱詰め見てますか?私も楽しみにしてるんですけど、交番勤務も大変なんだなって思いますよね。
ゆずきさんといえば、孤老の地とか男臭い社会、世界の話も魅力的ですけれども、こういう男社会の中の女性が、どう信頼を組織の中で得て仲間として認めてもらって発言権を得ていくのか、みたいなところもいいですよね。
さて最後3冊目をご紹介します。3冊目は中山七里さんの守られなかった者たちへです。
中山七里さんの守られなかった者たちへは、今年の10月に佐藤武さん主演で映画化ということで、最新の今本屋さんに並んでいる単行本はカバーが佐藤武さんと安倍博士さんのバージョンになってますね。
連続がし殺人事件があって、それと関係ありそうだぞと捜査船に浮かび上がってくるトネ役を佐藤武さんが演じるんですね。
その容疑者を追い詰めていく刑事を安倍博士さんがやれるということなので、非常に楽しみな映画です。
事件が起こっているのは仙台で、東日本大震災から10年生活保護制度の欠陥がともこの悲劇の歪みを生んでいるようです。
映画だとサザンオールスターズが主題歌を務めるそうで、これは泣くの必死だなって感じですよね。
あらすじだけで結構辛そうですけれども、中山さんといえばやっぱり論伝返しがすごいっていうイメージがあって、
重いヘビーなテーマを扱ってもやっぱりちょっとエンタメの面白さがね、楽しみな作家さんですね。
最後怒涛のようにいろんなことが判明していって、敵と味方がひっくり返ったりとか、そんなイメージです。
その中に社会派の重いテーマをどんと中心に置いてくるのが、いつもすごいなと思っています。
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例えばハーメルンの誘拐は子宮頸癌のワクチン問題だったかな。
カインの傲慢は貧困と臓器売買の話だったり、社会問題の背景と経緯を、
ふわっと問題そうなことは知っているけど、詳しくはあまりどこでどう問題なのか分かっていなかったみたいなことが、
物語の事件の解決の謎解きに織り混ぜて、中山さんの作品を読むことでそういう知識を与えてくれる。
中山さんは次は何をテーマに選んでくるんだろうと、
それは私たちもちゃんと向き合わなきゃと思わせてくれる作家さんだなぁと思っています。
さて今夜の紙フレーズは、最初にご紹介した伊賀良市立とさんの原因において自由な物語からお届けしたいと思います。
私の小説で救えるのかわからない。でもきっかけなら与えられるかもしれない。
きっかけ。考えるきっかけ。前を向くきっかけ。助けを求めるきっかけ。
私は小説を通じてその橋渡しがしたい。
この昨今のオリンピックで出てきたいじめ問題とか、あれはいじめってレベルの話じゃないですけれどもね、
いじめをしたことも見て見ぬふりをしたことも一回もないよっていう人もいないんじゃないかと思ったりもして、自分を含めてですけど、
いじめをなくす、完全になくすってことが不可能だったとしても物語とか、それこそ音楽とか気づきやきっかけになる力はあるんじゃないかなと思ったりしました。
この本には顔面偏差、AIで測ればアプリみたいなのが出てきたり、そのレベルが一緒の人をマッチングするみたいなアプリが出てくるんですけど、
そういうことって多分技術的にはできるけど倫理的にどうなのかなってことで実現、実装してないことって世の中にいっぱいあるんだろうなと想像しているんですね。
今ビルに入ったりお店に入ったりするときに体温が自動的で表示される機械があったりするじゃないですか、ピコって。
こんな風にいろんなことが勝手に録画されて計測されてピコって数字が映像に出てくるみたいなことって、やろうと思えば体温以外にもいろいろできちゃうんだろうなと思ったりして、
この人はどの種類のワクチンを打ったとか打ってないとかもそのうち自動で表示されるようになるかもしれないですよね。
どこからどこまでが必要な区別、識別で、どこからが差別なのか、差別を助長するような識別なのかとか、難しいですよね。
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どこかのスタートアップ企業がお金儲けのためにやろうと思えばできちゃう人間の数値か、数値の表示するみたいな機能を倫理的にやるべきじゃないのではみたいな判断を、
果たして誰がするのか、誰ができるのか、人の何かを数値化するっていうこと、どんなことが起こり得るのか、数値化した後にね、それがいじめを助長したりするかもしれないし、
差別を生んだりするかもしれないとかってやっぱり想像力が必要ですよね。
そういう意味でフィクションって大事だなっていうことを考えたりしました。
連休の方も、そうでない方も、このステイホーム続く夏を、楽しい読書の夏をお過ごしいただけたらと思っています。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
また、真夜中の読書会、おしゃべりな図書室はこんな感じで、皆さんからのお便りをもとにしながら、いろいろなテーマでお話ししたり、本を紹介したりしています。
MIMOREのサイトからお便り募集しているので、ぜひご投稿ください。
また来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。
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