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2020-04-13 12:07

【第4夜】前向きさをアピールするのと同じくらい、自分の暗さを表現してもいい

長引くコロナ自粛モードに、こんな今だからこそというポジティブなメッセージがSNSに溢れはじめた今。前向きで明るい自分を表現するのと同じくらい、暗く落ち込んだ自分も認めてあげていいんだよ。今日はそんなメッセージが心に響く『死にたいけどトッポッキが食べたい』(ペク・セヒ)をご紹介します。『82年生まれ、キム・ジヨン』のヒットに続き「K文学」=韓国の小説やエッセイが今、私たちの気持ちにフィットする理由も!

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みもれ真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAウェブマガジンみもれ編集部のバタやんこと川端です。
おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて、明日が楽しみになるおテーマに、皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
第四夜となりました。皆さんいかがお過ごしですか?
おこもりモードも長引いてきまして、こんな時おすすめの本ありますか?最近はまっている作者はいますか?といったご質問をいくつかいただいているんですが、
底抜けに明るいものがいいか、暗くてもいいのか、その方のお好みにもよるから、ちょっと悩んでまして、
今日は、私が今はまっている本についてご紹介したいと思います。
私が今はまっているのは、経文学なんですけど、経文学という言い方が一般的かどうかちょっとわからないですが、
Kポップと同じで、つまり韓国の人が書いた小説やエッセイが、今とても気持ちにフィットしています。
今日はそんな経文学の話題の一冊、「死にたいけどトッポッキは食べたい。」をご紹介したいと思います。
この本は、著者のペック・セヒさんが、気分変調性障害、打つというほど重度ではないけれども、
軽い打つ状態が続く症状に見舞われて、カウンセリングにかかっている治療の記録なんですね。
ドクターとセヒさんの対話形式で話が進んでいきます。
ペック・セヒさんは、1990年ソウル生まれの女性で、私よりは少し若いんですけど、
出版社に勤めていて、SNSの担当をしているようで、私とちょっと似たところがあるなと思います。
気分変調性障害という言葉を、この本で私は初めて知ったんですけど、
慢性的に小さい落ち込みを繰り返す症状のことのようで、
重度の打つとは違って、普通に仕事もこなしていますし、映画のサークルに入ったり、
友達とご飯に行ったりとかもしているんですね。
でも、多分、自己肯定感が非常に低くて、低いがゆえに人に影響力を与えたい、承認されたいという気持ちが強く出すぎて、
相手を苦しめて、自分も苦しくなってしまうというような、
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そういう自分への分析が、この方はすごく的確で、洞察が深くて逆感的なんですよ。その文章に結構感動しちゃいますね。
それと、このドクターの応答というか、受け答えが素晴らしいんですよ。このドクターの答えを読んでいるだけでも、自分がカウンセリングを受けたみたいな、
そんな癒され感がある本です。 ちょっといくつか読んでみますね。
職場の飲み会でみんな大変っていうことを愚痴っていて、
てひさん、著者の方も大変なんだけど、私も大変とは言えず、聞く側ばっかりになっちゃってるっていう話をしていて、
それで先生に、怒りが溜まっていますね。どうやって晴らしましょうと聞かれるんです。
私と先生の対話で進みますよ、これ。私、主任に相談してみようか悩んだんですが、その日は主任に頼まれた仕事がうまくいかなくて、
悩んだ末に午後になってからどうすればいいか聞いてみたのです。そうしたら、ものの見事に解決してくれて、感謝のあまりそれ以上は何も言えませんでした。
主任も大変ですから。先生、どうしてそんなに他人の大変さがわかるんですか。
私、ぎっくり、確かに、本当はわかっていないのかもしれない。先生、あなたも言ってみましょうよ、大変だと。
私、どうやって言えばいいかわからないです。先生、他人を見ながら学ぶんですよ。みんな大変だというのだからわかりますよね。
せひさんは大変じゃない人にまで大変でしょうと聞くような気がします。私、この時に涙が出た。私っていい子ぶってますよね。
先生、いい子なんですよ。いい子なんだから仕方がないんです。
ここまでなんですけど、なんか私はここで急にすごくぶっときて泣けました。
今日なんでこの本を紹介しようかと思ったかというと、暗い話を引きずり込みたいわけじゃないんですけど、
なんとなくこのコロナ自粛モードが長引いてきていて、こういう本をご紹介したいなと思ったんです。
後半ではこの本をご紹介したいと思った理由と、また紙フレーズをご紹介したいと思います。
なんとなくこのコロナ自粛モードが長引いてきて、今を前向きに捉えようとか、こんな時にできることは何かみたいなポジティブなメッセージがまた今SNSとかに溢れているじゃないですか。
芸能人の人たちがいろいろ発信してくれたり、ありがたいなと思うし、私もついそういうことを記事に書いちゃったりもしてるんですけど、
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でもまたそのポジティブプレッシャーみたいなのに押しつぶされそうになるというか、そんなに簡単に気持ちを切り替えられないよって思ってる自分もいるっていうね。
ちょっと一番ショックだったのはこのコロナ関連で、パフュームの東京ドームのライブのチケットを持ってたんですよ。
当日に中止が発表されて、私もそろそろ会社を出ようかなと思って、ライブTシャツに着替えようとトイレに行こうかなっていうぐらいのタイミングで、
友人からLINEが来て、それで知ったんですけど、その時のショックをショックだって思わないで受け止めたっていうか、しょうがないよね、永断だよねって思ったっていうことなんですけど、
その後さらにいろんなイベントも中止になりましたし、仕事上のイベントだったり撮影も飛んだり、
中止とか延期の決断を迫られるみたいなことがたくさん打ち寄せてきて、その度にしょうがないよねと懸命な判断だと思います。
じゃあ次どうするか考えましょうみたいな、そういうクールな自分が、あんなに準備してたのにって、ちょっと泣きたいような気分の自分を押し込めちゃうっていうかね、
そういう時期を過ごしていたので、そんな時にこの本が結構スッと心に入ってきてくれて、やっぱりショックなことはショックだったと自覚すべきだったなと思いました。
なんかそれってなかったことにしようとしすぎると、蓄積していってしまう気がして、この本はすごく紙フレーズがたくさんあるので、
読み上げたいところがいっぱいあるんですけど、ベクセヒさんの冒頭の部分から一つ紙フレーズをご紹介します。
今日一日が完璧な一日とまではいかなくても、大丈夫と言える一日になると信じること。
一日中憂鬱でも小さなことで一度ぐらいを笑うことができるのが生きることだと信じること。
また自分の明るさを表現するのと同じように、暗さを表現することもとても自然な行為なのだと知ることができた。
私は私だけのやり方でアートをする。邪心を捨てて誰かの心に真摯に寄り添えたらと思う。
これはこの本の初め人のところに書かれた文章なんですけれども、今日はちょっとしんみりしちゃいましたが、本の想定もポップで可愛いですし、
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この人がトッポッキがとにかく大好きなんだなっていうところにクスッとしたりとかするところもあって、
韓国の女の人と感覚がちょっと違うなって思うところもあれば似たところもあって、それも面白いです。
これが日本の出版社に勤める日本人の30歳の女の人の話だったら、こんなふうにスッと読めなかったかもしれないなと思ったりしました。
ちょうどちょうナムジュさんの82年生まれキムジオンが日本でも10万本を超えるベストセラーになって、
韓国の小説とかエッセイが注目されるようになって、本屋さんにコーナーもできてたりしますけれども、
その82年生まれキムジオンを訳した日本の韓国語翻訳家の一人者である斉藤麻里子さんが監修した
韓国フェミニリズム日本っていう本がありまして、斉藤さんと翻訳家の大野須幸子さんの対談が載ってるんですね。
キムジオンっていうのは82年に生まれた一番多い名前らしいんですが、日本だと佐藤裕子になるんですって。
82年生まれ佐藤裕子っていう本だったら、ここまでヒットしなかったかもしれないって2人が話していて、面白いなと思って、
そのある種の異国のファンタジーが入ってるから、これは私の物語だって思えるんじゃないかっていう話なんですけど、
確かにこの死にたいけどトッポッキは食べたい、そういう部分があるなと思いました。
ちょっと感覚が違うなと思うところもあるから、読める、面白いって思えるっていうのは、韓国ドラマとか韓国の音楽に心を揺さぶられるっていうのと似てるのかもしれないですね。
さて、来週は趣を変えてリクエストの多かった角田光雄さんのスペシャルナイトをやりたいと思っています。
皆さんの好きな角田作品も教えてください。さて、そろそろいいお時間になってしまいました。
お時間になってしまいまして、本をご紹介したいと思いますが、本をご紹介したいなと思ったらコメント欄などで教えていただけると嬉しいです。
本をご紹介したいなと思ったらコメント欄などで教えていただけると嬉しいです。
ありがとうございました。良い夜をおやすみなさい。
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