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2025-11-26 14:34

EP.230 話し上手になりたい! 言語化スキルより大事なこととは?

「いつも会話の途中でさえぎられてしまう」というお悩みに。今夜は人気ポッドキャスト『ゆる言語ラジオ』で知られる水野太貴さんの『会話の0.2秒を言語学する』(新潮社)をご紹介します。マーガレット・サッチャーでさえ、会話をさえぎられることに悩んでいた(かもしれない)。会話の間合いの難しさとは?


<今夜の勝手に貸出カード>

・水野太貴さんの『会話の0.2秒を言語学する』(新潮社) https://amzn.to/48iGW8w


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サマリー

このエピソードでは、会話におけるターンテイキングや話し方のスキル向上について考察されています。特に、水野大輝さんの著書『会話の0.2秒を言語学する』を通じて、会話が成立する迅速さや自己表現の技術が焦点となります。また、会話の難しさとその背後にあるコミュニケーションの技術について探求されています。言語化スキルの重要性よりも、微細なノンバーバルコミュニケーションが実際にはより大切であることが強調されています。

話し方の悩み
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
今晩は第230夜を迎えました。今夜のお便りをご紹介します。
ペンネームさちねこさんから頂きました。バタやんさんこんにちは。こんにちは。
私は入社3年目の20代女です。昔から飲み会や複数人の打ち合わせなどで、まだ自分が話し終わっていないうちに、人に会話を取られてしまうことが多く、
帰ってからもやもやしてしまいます。私の話がちゃんとまとまっていないから、ダラダラしてしまって、
それってこういうことでしょ?と途中で要約されてしまったり、あと何々と言えば?と言って話を取られてしまったり、
そういうことを言いたかったわけじゃないんだけどなぁと思うけれども、諦めてしまうことが多いです。
バタやんさんは、ポッドキャストでいつもお話が上手で、ずっと最後まで聞いてしまいます。正直羨ましいです。
何か努力されていることはありますか?おすすめの本や参考にされた本があれば教えてください。と頂きました。
ありがとうございます。まず話が上手と言っていただいてすごく嬉しいですね。
いやーそうですね、これはそんなことないですよと謙遜せずに、あえて受け止めさせていただくのは秘密がありまして、
話すのは得意じゃないんですけれども、書くのはね、割と得意とも言わないけど、割と好きなんですね。
だから話すのは得意じゃないけど、書いたらマシなので、書いてから喋るっていう風にしています。
このマヤドクだけじゃなくて、例えば最近だと、乾杯の挨拶とか、締めの挨拶とか、開会の挨拶とか、
何かこう、役職がつくと、そういうオフィシャルな会で挨拶をしなきゃいけないっていう機会が結構ありまして、
そういうのも全部全部原稿を書いています。実は本当にアドリブ力がなくて苦手なんですよね。
急に振られると困っちゃうんですけど、前もって言ってもらっていたら、最近はAIなんかもありますんで、ちょっとAIに叩き台を作ってもらって、
そこにちょっと自分っぽさを足してみたいにして、いかに原稿を用意しておくかっていうのをやっています。
皆さんもお気づきだと思うんですけど、私は割と話し方がゆっくりなので、途中でカットインされてしまったり、
話し終わらないうちに、自分のターンをいつの間にか取られてしまっているっていうことはね、とてもよくあります。
だから幸猫さんの気持ちがすごくよくわかりました。
話がまとまってなくて、何が言いたいのってイラっとされたのかなとか、本当に言いたかったことに結局今日はたどり着けなかったなとかって、
帰ってからよく落ち込んだりもしますね。 だから今日は一緒に大作を解明していきたいと思います。
会話の0.2秒
今夜の勝手に貸し出しカードは、水野大輝さんの会話の0.2秒を言語学するという本にしました。
水野大輝さんという方はですね、ポッドキャスト界では超有名人ですね。 大人気番組ゆる言語ラジオの中の人なんですね。
この本はその水野さんが、会話というものがどれだけ短い時間で成立しているのかっていうのを分析解説した本になっています。
タイトルにある0.2秒っていうのは、会話における発話者交代ターンテイキングと書かれているんですけど、
発話者交代ターンテイキングが起こる平均時間を示しているそうです。
その場に、例えば複数に2人でも3人でもいたとして、1人の人が喋る。
間髪入れずに次の人が喋り始めるっていうこの発話者の交代がターンテイキングですね。
これが皆さん自然にできているわけです。
会議とか飲み会みたいな場だけじゃなくて、親子とか家族内の会話、それから友達とちょっと電車の中で喋ってるとか、
あらゆるシーンでターンテイキングが1日に1会話の中でもものすごい回数行われているわけですよね。
その0.2秒がどのくらい短いかっていうと、例えばサイトを開いたりアプリを見たりとかしているそのネットで何かを調べたり、検索打ち込んでみたりして、
遅って思うまではだいたい0.4秒ぐらいと言われているそうです。
だからその半分ぐらいのスピード感で、はい次私喋る番っていうのを判断してるってことですよね。すごいことですよ。
フィラーの役割
まあそのどうやって判断をしているのか、一つ面白い論文が紹介されてました。
あの今も最近話題になっていた鉄の女と言われたマーガレット・サッチャーさんが、
私は自分はインタビューの途中でよく会話を遮られるというふうに怒っていた。怒っていたとは書いてないかったけど、
遮られるっていう認識があったわけですね。それは怒ってそうですよね。
分析をした結果、サッチャーさんには語尾が下がる時の独特な癖があって、文章の終わりに語尾が下がると人は話がひと段落したなって思うそうなんですけれども、
その下がる時の癖が独特なために、サッチャーさんご本人はまだ話が終わっていない途中なのに、相手にとっては話がひと段落しているなって思われるっていう、
そこにギャップがあったというお話なんですね。興味深いですね。興味深いですねって、私も下がる時に結構時間をかけて下がる癖があるかもしれないですね。どちらかというと、
それは興味深いですねって上がれば、例えばなんとかかんとかっていうふうに、そのままマックス立てられそうだし、興味深いですねってキュンって下がると、一回話が終わったっていうのが分かりやすいっていうことなのかもしれないです。
だから抑え切られてしまうっていうのは、自分のターンを維持する技術が足りないのかもしれないと思ったりしました。
あと、えーと、あーと、今、あとって言っちゃったけど、えーととか、あーとかっていう、そのフィラーって呼ばれる話し始めの口癖みたいなのありますよね。
あれは、この本によると話をまとめる時間稼ぎ、でも私のターンですよっていう挙手みたいなものだということかと理解しました。
あの今から私喋りますからねって言って、時間を稼ぎながら頭の中で会話をまとめている、言いたいことをまとめているということだそうです。
えーと、まあですね、あーとかって、すっごいいっぱいフィラーを言う人いますよね。政治家の方でも結構多いけど、それは俺のターンだっていうのを主張してたんですね。
だからターンテイキングされないためのディフェンスだったのかと思って面白いです。
ちょっと話がそれますけれども、話の上手い下手っていうことで言いますと、その話し始めのえっと、あーとかっていうのは、私はポッドキャストを始めて、すごく意識をして言わなくなりました。
あえて言うこともあるんですけど、訓練で上達できることだなと思って。
口癖は、録音して何度も何度も聞くっていうことで、ちょっとずつ自分の癖を知り、言ってしまいがちなその文頭と語尾の癖を変えていくっていうのは、結構直せるものだなぁと思いましたね。
だから今はAIとかがその議事録や文字起こしをしてくれるようになったので、自分が喋った言葉を文字で改めて見るっていう機会も増えまして、
そんなプレゼンテーションとか会議の文字起こしを読んでみても、私もあまり文頭にえっと、あーとかっていうのは言わなくなったなぁと思います。
これは幸猫さんも意識と訓練で上達すると思いますよ。
しかしこの本によると、自分のターンをキープするにはフィラーっていうのも悪役ではないんだなぁっていう、悪いだけでもないんだなぁと思いました。
コミュニケーションの難しさ
あのえっと、うんとかなのか、えっとなのか、その最初の言葉によってこの人は内容について悩んでいるのか、伝え方について悩んでいるのか、言うか言わないか悩んでいるのかっていうのを相手、こちらも想像できるっていうことなんですよね。
だから立派なコミュニケーションの一つなんだなと思いました。
その他にも、そのフィラーの他にも、ちょっと身を乗り出したかな、体がやや前傾になったかなとか、息を吸ったとか、本当に微妙な微妙な動きで、この人話し始めるぞっていうのをお互いに勘づいてターンを渡している、ボールを回し合っているっていうことなんですね。
すごいことだなぁと思いまして、だからこの本に書いてあって、確かにと思って面白かったのは、ズーム飲み、オンライン飲み会が流行らなかった。
コロナの時はね、流行りましたけれども、あまり継続してやろうってなってない理由というのが書いてあって、
確かにこの0.2秒とかで判断しているとしたら、オンラインのタイムラグっていうのは、それを妨げになりますし、微妙な仕草とか、息を吸ったなとかっていうのが読み取れないから、ストレスですよね、あれって。
やっぱりあれはリアルな会話とは全く別のコミュニケーションですね。
電話ともメールとも違うオンラインの会話っていう特別なジャンルでしょうか。
さてさて、この本は幸猫さんにご紹介したものの、具体的に会話が上手になるハウツーが書いてあるみたいなわけではなくてですね、
なぜ会話が難しいかということをいろんな角度から書いている本なんです。
だから私たちはとても難しいことをやってるんだなっていうのを改めて客観的に知る、それによって励まされるっていう感じの本でした。
さて今日はこの会話の0.2秒を言語学するという本から紙フレーズをご紹介したいと思います。
そしてその中には現状を解決していない問題もかなりある。
いくたの天才が生涯をかけて立ち向かってもなお、言語化されていない。
のに僕たちは毎日難なく実行できている奇妙な現象はいくらでもあるのだ。
言語学の本を読むと自分が言語化できている知識がいかにわずかで、そして自分の言語化スキルがいかに乏しいかを痛感することができる。
言語学とは言語化に対する過剰な信頼を相対化できる学問なのである、とあります。
なるほど、いやこの本にもあるんですが今はまさに言語化ブームですよね。
少し前に言われていたコミュ力とかより、むしろなんか言語化の方が高尚な能力のように言われている気もします。
でも言語化できないものには価値がないかというとそんなことはなくて、
私たちは言語、言語化以外の多くのことではコミュニケーション、意思疎通を図っているということがよくわかる本でした。
自分がいかに会話が上手になるかっていうハウツーが載っている本じゃないと言いましたけれども、
でもその自分が喋るターンじゃない時に、この人喋りたそうにしているなとか、
何て言おうか、あるいは言うか言うまいかすごく悩んでいる人なんだなとか、
ずっとこの人は自分のターンを待っているのかもしれないとか、
たくさんの情報をキャッチアップして会話が回っていくのを観察する技術みたいなのは、
もしかすると高めることができるんじゃないかなと思ったりして、
そうなってくると、喋った側の人が気持ちよく、
サッチャーさんみたいに、なんでまだ私の話終わってないのにっていう気持ちにさせることなく、
会話を楽しむようなことができれば、それはそれで会話が上手ってことなんじゃないかと思ったりしました。
はい、リクエストありがとうございました。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、
リスナーの方からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介しています。
リクエストはインスタグラムのアカウント、バタヨムからお寄せください。
お届けしたのは、講談社のバタヤンこと川端理恵でした。
また水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。
おやすみ。
14:34

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