都市・野生動物の保護
むらた
2点目が、都市野生動物についてですね。この点は、いかがでしょうか。
竹下
はい、まず発表の中では、例えば野生動物を保護するとか、都市動物を保護するにあたって、密猟を防ぐためにカメラを環境の中に設置して、人を自動で認識するみたいなことが実際に行われてますよとか、
あとは、都市動物保護のためにも、やっぱりカメラが基本的には街中の至る所に設置されて。その都市動物の中でも、例えば私が発表で言及したのはホグウォッチっていう団体なんですけど、そこはロンドンの団体で、
ロンドンの都市の中に住んでいるハリネズミをモニタリングして、保護活動を推進するのに使うみたいなことがされています。そういった形で、動物のために使っていこうというような動き、団体とかがあったりしてます。
むらた
この辺は、わりと動物にとってプラスにちゃんとなりそうな使われ方ですかね。
竹下
そうですね。もちろん逆の問題もいろいろあるんですけど、例えば、密猟を防ぐために使えるということは、密猟するためにもいろいろ使うことができてですね。
密猟を防ぐときには、動物を監視するのはもちろんだし、人をちゃんと認識するというのもそうなんですけど、そういったことができるAIというのは、大抵動物の認識にも使えちゃうので、密猟対象の動物をモニタリングして、いいタイミングで狩りに出ちゃうみたいなこともあると思いますし、
それこそドローンとかを使って、自動で群れを発見したりとか、そういったことにも使われたりはしてますね。
むらた
そうか。確かに、ちょっと話ずれますけど、私はプログラミングとかSE的な仕事なんですけど、最近セキュリティ対策みたいなセミナーを受けていて、
これ対策について学ぶのに使えるってことは攻撃にも使えるってことなんだなみたいなのをめちゃめちゃ実感しました。
動物を把握できるっていうことは、それを守りに行くこともできれば、狩りに行くこともできてしまうという。
竹下
スマート畜産もそうですけど、結局AI自体は人間によって使われるわけで、人間がAIをどう使うかによっては動物に有害にもなるし有益にもなるしっていうところがポイントかなとは思います。
このあと話すようなAIの動物に対しての影響も基本的には全部使い方次第では有害にもなるし有益にもなるしっていう感じかなとは思います。
むらた
本当にそうだと思います。AI自体が言い悪いとかではなく、使う側がちゃんと考えないとという。
完全自動運転車によるロードキルの問題
竹下
これは別に都市に限った話ではないですけど、私がこのセクションで言及したのはもう一個、完全自動運転車の話で、
これまだ日本ではあまり認可が下りていないですけど、そのAIを搭載した車が全自動で目的地まで連れてってくれるっていうやつで、最近日本でもトラックとかでだんだん導入されつつあるものですけど、
そういったこともですね、例えばここで問題になってくるのは私はロードキルが問題になるだろうというふうに思っていて。
現状人間が運転していたらロードキルってたくさん起こっているわけですけど、この数が完全自動運転車が導入されることによって増えるのか減るのかっていうところが当然問題になってくると思うんですね。
もちろん、完全自動運転車に搭載するカメラの認識性能なりAIの性能次第、あるいは設計次第では、動物をちゃんと認識して、それでぶつかりそうになったらブレーキするなりハンドルを切って避けるなりみたいなことを実装すればいいと思うんですけど、
私が考えるには技術者がそうするインセンティブ、そういうふうな設計をする動機づけがそんなにないだろうというふうに思っていてですね。
例えば、完全自動運転車が人身事故になった場合には法的にいろんな問題が生じるわけですよね。
例えばそれで本当に轢き殺してしまったみたいな話になれば、遺族に対しての賠償責任も問われることになるし、企業責任も問われるようになってくるだろうし、さまざまな問題が生じるので、
そうした人身事故とか人とぶつかるってことは何がなんでも技術者としては避けなきゃいけないことになっていると思うんですね。
でも、これはおそらく大型の動物についても同じようなことが言えるだろうと思っていて。大型動物のために設計するというよりは大型動物とぶつかると車のほうが壊れてしまうこともあるので、
そういう意味では物体を認識するのと同じように大型の動物も認識するということにはなっていくと思うんですけど、
小型の動物とか、例えば猫とか小さめの猫とか鳥とかが道にいたときに、やろうと思えばそのまま轢き殺してもそんなに車のほうには損傷がないときもあるわけで。
それをちゃんと技術者側がそれを避けるように設計するような動機が多分ないだろう、あっても少ないんじゃないかなというふうに私は思っているんですね。
そういう意味でロードキルの数とかがこれより、今の現状よりも増えるのか減るのかっていうのは結構AIの完全自動運転車の技術設計次第になってくるんじゃないかなというふうに思っていて、
そうした問題を取り上げたりしました。
むらた
法律とかでは特に動物を引いてしまったときの責任だったりとか、あるいは自動運転車を設計するときにこれは守らないといけないとか、
そういう取り締まりだったりっていうのはあんまり進んでないっていう感じなんですかね。
竹下
そうですね。私が知る限りではその法的な強制力のある規制があるわけではないんじゃないかなとは思うんですけど。
ゆりみ
私もちょっとだけ事前に調べたら、もし動物を引いてしまったらどうなるのみたいな車検の車の事故に関するページを見たら、
まず轢いてしまったら警察に連絡しましょうみたいな。
もし生きてたら動物の保護の団体か病院に連れて行きましょうみたいな。
死んでたら脇に避けて、他の車が引っかかってまた事故るみたいなのをなくしましょうみたいなことが書いてあって、
ただ、別に死んだからといって何か責任が問われるわけではなくて、
それがペットとか誰かの収容物だったら賠償っていうことになるけど、
基本は特に何も罪に問われない。
ケースによっては、ぶつかった時に車にできた損傷とかに保険が降りる。
そこに保険が降りるので、それで治せるよみたいなことだけ書いてあって、
誰の収容物でもない動物とぶつかることは特に罪に問われてないという感じかなと思ってます。
むらた
なるほど。このままだと、あまり自動運転車は非ヒト動物の事故っていうのは考慮して設計されるっていうことはなかなか難しそうっていう。
竹下
うーん。技術者の良心とか企業の良心に頼っていくことになっちゃうと思うんですよね。
例えば特定の地域においては、保護しなきゃいけない動物とかがいるときがあったり、
よく出現するっていうのが分かっている地域とかはあるので、
そういうところでは設計したりみたいな動きは当然ある。
そういう動物を避けるようにとかブレーキかけるような設計とかはされてるっていうのは目にしたことがあるんですけど、
法的にそれが求められているわけではない。
強制力があるわけじゃないというのは結構でかいポイントなんじゃないかなって思います。
ゆりみ
小さい動物って言っても、動物によっては動き方が違うと思うんですけど、
自動で判別するってなったら結構いろんなパターンを入れる感じなんですかね。
竹下
どうなんですかね、それ難しいですよね。
どうやって設計してもいいかよく分からないですけど。(笑)
ゆりみ
ざっくり登録するんやったら、
希少な動物を避けるためにいろんな動物が避けられるとかあったら嬉しいですけどね。
あとは市街地とかは結構鳩とかいるじゃないですか。
人を全然怖がらないとかそんな感じでうろちょろしてるから、
鳩をむちゃくちゃ殺すんじゃないかっていう気はしてます。
むらた
やばいですね、たしかに自動運転車とかのCMでうっすらとした記憶でのイメージですけど、
人がいたらこういうふうに認識して停止しますみたいな映像の中にたまに犬とかはいった気がするんですよね。
だけど、鳩とかは絶対出てこないだろうなっていうか、
想定してるイメージ湧かないですよね。
動物種類多すぎるし、どうなるんだろうっていう感じですね。
ゆりみ
どうなんですかね。
でも最終的にはもし赤ん坊がヨチヨチしてったらほぼ…(笑)
竹下
赤ん坊道路でヨチヨチしてるっていう問題がありそうですね。(笑)
ゆりみ
そういうケースがあっても罪に問われますよね多分。
赤ん坊が信号を無視してたからだとか言えないですよね。
むらた
確かに。(笑)
それはさすがに自動運転設計した人も問題になってきそうですもんね。
赤ちゃんサイズの動物はどうにか避けられる設計になっていると信じたいですが。
設計によってはロードキルを減らせるかも
竹下
原理的には人間よりもいい性能で動物を轢き殺さないようにできると思ってて。
自動車の運転って
運転席からしか見えない。
それによって死角がいっぱい生まれるみたいなことが教習所に行ったら散々教えられると思うんですけど。
むらた
あのコーンは見えないでしょとか。
ゆりみ
教習所のあの動画はまじでひどいけど。
すごいところから絶対避けられへんやつ出てくる。
竹下
人からは見えないことって結構ある。
特に小さい動物だったら本当にその下の方にいると本当にわかんないわけですけど。
AIだったら別に自動車のいろんな周りにカメラ設置しておけばいいわけで。
それによって自動車の設計されているAIからは死角ってなくせるはずだし、
もっと人間以上に動物の認識に優れたように設計することもできるはずなんで。
本当はロードキルの数とかってAIで使うことで減らせるんじゃないかなって私は思っているんですけど。
それもやっぱり設計次第ってことになってくるのかなとは思います。
むらた
そうですね。
あとはもっと上の権力みたいな法律とかが介入していって
考慮しないとダメですよみたいになったら、
全ての動物が考慮されるようになったら望ましいですが、
現在はちょっと設計者次第になっちゃうんじゃないかというところですね。
竹下
はい。
むらた
という感じで、都市・野生動物について
伺いました。
続いて3点目が教育啓蒙活動への応用ですね。
竹下
ここでようやく生成AIがいっぱい活用できるところが来るんですけど。
むらた
話はまだ続きますが、この続きは次回にお送りします。
またお会いしましょう。