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2025-06-30 26:12

#28-1 AIは動物福祉を向上するか?スマート畜産のリスク・データ蓄積の可能性 -「AIを使って動物を助ける方法?」 竹下昌志さん

今年2月1日に開催された、動物倫理かいぎ創立記念イベントの発表内容を、登壇者ご本人にシェアしていただく新シリーズ!

第一弾のゲストは、名古屋大学大学院情報学研究科の竹下昌志さん。 AIと動物倫理の双方を専門とする竹下さんの発表テーマは「AIを使って動物を助ける方法?」です🤖

Part1では、AIと動物福祉という切り口から、スマート畜産やデータ取得による福祉向上の可能性・リスク、さらには行政や法制度の役割まで、じっくりお話しいただきました。


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Summary

このエピソードでは、AI技術が動物福祉にどのように寄与するか、特にスマート畜産技術を通じての影響について議論されています。竹下昌志さんはAIの使用方法やデータ収集の可能性、さらに動物と人間の関わりについて検証しています。AI技術が動物福祉を向上させる可能性とスマート畜産のリスクについて、竹下昌志さんが議論しています。特に、データ蓄積の重要性や日本の動物産業における制度的課題が取り上げられています。

ポッドキャストの概要と登壇者の紹介
さあ始まりました、なんでも倫理ラジオです。このポッドキャストは、動物と倫理と哲学のメディア、ASがお送りします。進行は私、村田です。よろしくお願いします。
はい、今回は今年の2月1日に開催された動物倫理の学会の動物倫理会議の創立記念イベントでの発表を、登壇者の方にそれぞれ紹介していただこうということで、第1回目は名古屋大学で研究されている竹下昌志さんに来ていただいております。
発表当時は北海道大学だったと思いますが、名古屋ですね。このポッドキャストでメンバーをフルネームで紹介するのは初めてなんじゃないかと思って、ちょっとそわそわするんですが、
一応今までもポッドキャストにご登場いただいている竹下さんと同一人物ということで、大丈夫でしょうか。
はい、大丈夫です。
今日はよろしくお願いします。
はい、お願いします。
はい、聞き役としてもう一人、今日はゆりみさんに来ていただいてます。
はい、お願いします。
はい、ということで、今日の本題に入っていきたいと思いますが、
竹下さんのご発表のテーマは、AIを使って動物を助ける方法ですね。
まずこのテーマを選んだ理由だったり、ご自身の研究とのつながりみたいなところを軽くお聞きしてもいいでしょうか。
はい、私はその3月まで北海道大学で学生として研究していて、4月から名古屋大に移って研究員として、学生卒業して晴れてようやく職業としてちゃんと研究者になれたんですけど、
ずっと3月の北海道までは、基本的に私の専門はAI研究と動物倫理学の研究、人文系と理系の研究を両方するみたいな研究をしていました。
その中でも特に私が注目していたのは、AIがどういうふうに人間以外の動物に対して影響を及ぼすのか、みたいなところを中心に検討していて、
特に私はその中でも、最近皆さんよく使っているChatGPTとか、そういう我々の言語、自然言語っていうんですけど、それを扱うようなAIの中に、
どういった種差別、その動物に対する差別的な偏見であったりとか、表現であったり、概念であったりっていうのが含まれているのか、みたいなことを分析するような研究をしていて、
その発展型として、AI一般がどういうふうに人間以外の動物に関わるのか、みたいなところで関心を持って研究をしています。
ありがとうございます。今、生成AI、再生期というか、ここからもっとなのかもしれないですけど、めちゃめちゃ話題でホットなトピックかなと思います。
今日は、生成AIと、大事なテーマである動物、その2つを結びつけて、お話し聞いていければなと思います。
では早速、内容の方、入っていきたいんですが、4つのテーマに分かれてますかね。
4つ。まず、それぞれが何かご紹介いただいていいでしょうか。
まず、AIって意外とどういうふうに動物と関わるのかっていうのが知られていないと思うんですけど、
実は将来の話ではなくて、今現にAIと動物っていろんな接点があります。
私が今年の2月の発表のときに触れたのは、大きくは動物福祉というところと、都市動物であったり野生動物であったりというところと、
あとはAIを使った、間接的にこれは動物と関わるという点ですけど、教育活動とか啓蒙活動、アクティビズムとかにどう活用できるかみたいなところ。
そして最後には動物とのコミュニケーションにおいて、AIがどういうふうに使えるかみたいな形で大きく検討しています。
教育啓蒙活動っていうところはずっと想像できるところでしたが、
他の動物コミュニケーションとか、すごいお聞きするの楽しみだなというところですが、
まず動物福祉の方から詳しくお聞きしていいでしょうか。
今、AIが動物福祉っていうところにどう関わるかっていうと、スマート畜産っていう単語で調べていただくと色々と出てくると思うんですけど、
いわゆる技術、テクノロジーを使って畜産だけではないですけど、そういった動物と関わる産業をもっと効率よくしていこうと。
そういったような流れのことをスマート畜産と言ったりするんですね。
スマート畜産っていうのは国も主導して推していて、農林水産省のページにスマート農業技術カタログっていうのが上がっていたりするぐらいには、
国が主体的となって、そうした技術を普及していこうということを率先してやっているんですね。
例えば、動物福祉、動物の幸福とか福祉のために使われることも多々あって、
例えば牛に首輪をつけるんですけど、この首輪にセンサーが入っていて、
それによって牛がどれぐらいちゃんとその餌を食べているかどうかとか、異常行動をしているかどうかとか、
そういったことを自動的にセンサーで認識して記録をとっていくみたいなことが技術的にだんだんできるようになってきたりしています。
こうしたことは畜産農家の人たちにとっては、データをすごく自動で収集できるので、
すごく効率よく動物たちはあるし、良くも悪くも管理することができるようになっているものになっています。
こういうスマート畜産の行動認識と、牛とかの行動を認識するというところにAIが使われているんですけど、
それによってAIというのがある種畜産を良くも悪くも促進しているようになっているだろうと思っています。
具体的に、これはどこか企業が、システム開発しているところがサービスを提供していて、農家さんが個別で契約してみたいな感じですよね。
農業のカタログを見ていると、大学が技術研究開発として農家と協力してやっているみたいなところもありますけど、
基本的には企業の人たちが自社製品を開発して、農家の人たちに売り込んでいるというような形になっていると思います。
なるほど。イメージは、割と大きめの畜産農家が入れるみたいな感じなんですかね。
どうなんですかね。カタログの中にも本当にいろいろなものがあってですね。
例えばセンシングといって、まさに行動を認識するというのもあるんですけど、
例えば自動で餌もやってしまうみたいな、餌やり器みたいなところとか、
あとは乳搾りとか乳牛であれば、乳搾りとかもそれをつけて自動でやるとか、
それはちょっとAIに関わっていないところも多々ありますけど、
何を自動化していくかというところによっては、
小規模なところでも大規模なところでもどっちでも使えるようなものにはなっているかなと思います。
生成AIが自動化に関わっているところだと、どういったところが問題になってくるんでしょうか。
必ずしも生成AIに限らないとは思うんですけど、
生成AIと言われるようになったのは本当にここ2年、3年ぐらいだと思うんですけど、
スマートセクション自体はもっと古くて、
AI技術ってもともとは生成ではなくて分類だったんですよね。
例えば牛の行動をセンサーで記録して、
その行動がどのカテゴリーに該当するのかというのを分類するっていうような識別AIとかいったりしますけど、
そういったAIがもともとは主流でしたし、
多分活用方法としても農家の中で農業において使いやすいのは、
そういう識別型のAIの方がメインになってくるかなとは思います。
なるほどなるほど。
そのAIがデータを学習して、こういう心拍数がこうとか、
この数値が上がってるみたいなのをもとに、
今この動物はこういう状態なんだみたいなので、
いろいろ効率化を図っていくみたいな感じなんですかね。
AI技術の課題と注意点
なるほどなるほど。
例えば今生成AIを使ってたらどうなるかっていうのを考えると、
まさにそうした識別AIによっていろいろなデータを分類して、
その牛ごとの状態把握とかにつなげていくじゃないですか。
そうしたデータをもとに、
例えば農家に対してどう具体的にアドバイスをするかみたいなところでは、
もしかしたら生成AIとかが今後使われていくようになるかもしれないですね。
なるほど。
そこのアドバイスも含めて気になりますね。
そうですね。
でも動物福祉っていう意味でいうと、
細かく把握できたら対応しやすいというか、
病気とかもすぐ見つけられやすいみたいな利点があるのかなと思いますけど、
その畜産動物にとって逆にマイナスになるんじゃないかみたいなポイントとかありますか。
はい。
良くも悪くもスマート畜産が掲げられているときって、
第一の目的はあくまでもその畜産をもっと円滑に運営していって、
例えば利益を上げていくみたいなところが焦点には当たっているんですね。
あんまり動物福祉っていうのがメインに据えられることはなくて、
スマート畜産とかを推しているような機関、
企業とか団体とかのホームページとかで見てみると、
スマート農業とかスマート技術とかの目的で動物福祉が上がっていないことが時々あるんですね。
そういうのを見ていると、あくまでもこうした技術っていうのは動物のために使われているんじゃなくて、
人間のために基本的には使われているだろうと。
副作用的に間接的に動物福祉に貢献することもあるとは思うんですよね。
例えばまさに異常行動のちゃんと記録を取ることによって、
農家が見落としていた異常行動とかがあるかもしれないので、
そういうのを見つけることによって、ちゃんとその牛の福祉とか、
牛だけじゃないですけど、その動物たちの福祉をちゃんと改善できるかもしれないですけど、
あくまでも主目的はどうしても動物のためではないというのは考えておかなきゃいけない問題かなと思います。
なんか想像できますよね、今の工場畜産で。
別に便利なAIとか出てきて、それを畜産動物たちの健康のために、
その純粋な気持ちでっていうのはないんだろうなっていうのはありますね。
他のメインの目的は、
例えば品質を良くするみたいなこととか、
あとはある意味費用対効果が一番高い状態で出荷できるようにするとか、
そういう感じのことなんですかね。
そうですね。
例えば乳牛にしても、肉にされる動物達にしても、
いわゆる質を上げるためにそうした技術を使うとか、
福祉レベルが上がれば当然それによって、
よくも悪くも本当においしくなる可能性もあるので、
そういったことに使われるし、
その餌やり頻度とかも適切に管理して、
動物がちゃんと食べてるかっていうのをトラックすれば、
記録をとって管理していけば、
その分生産物の質を上げることができるみたいなものもあれば、
生産効率そのものも向上させることも目的とされているし、
そうしたことによって引いては売り上げを上げていく。
それによって農家たちが抱えている経済的に困難だというのは、
よく知られていると思いますけど、
そうした経営課題とかを解決するというところは、
基本的には上げられるかなと。
例えばスマート地区産によって自動化がどんどん進んでいけば、
それだけ人件費とかも抑えていくこともできるので、
そうしたところでも基本的には農家にとっての経済的・経営的な問題の解決に
つなげていくことが目的になっているかなと思います。
スマート地区産で竹下さんが求めてくださっている内容とかを確認する限りは、
やっぱり品質の良さとか利益が最優先なので、
そこと福祉がどのくらいつながるのかとか、
それを目的でデータを取得したときに見落とされる点とか、
人が配置されなくなったら余計見えなくなることとかがあるのかなと
ちょっと気になっています。
まさに自動化とかによって、
工場地区産になっている時点で動物との触れ合いも何もないんですけど、
でももっとその頻度が下がってしまって、
AIと動物福祉
本当に動物と触れ合う機会がめちゃめちゃ少ない中で
地区産を運営していくみたいなことになるだろうと思うんですね。
それが良いのか悪いのか、
私は正直自分は地区産農家に関わったことがないのでわからないですけど、
従来であれば一定程度動物たちに対しての知識とかノウハウとかが
多分継承されていったと思うんですけど、
自動化されることによってそういうのも多分なくなっていく可能性もあるし、
それはひいては動物福祉に逆に効果になってしまう可能性もありますよね。
そうですね。
人が見ない、人の目に頼らないっていう意味で、
逆に見る人が違うことによって面倒を見る質が左右されてしまうみたいなのは
逆に防げるのかなという気もしますけど、
ちょっと難しいですね。
前に地区産農家を見学しに行ったことがあって、
農業経済の授業で見に行った時があって、
そこは割と小規模にやってて、
従業員さんが毎日面倒を見て、
撮影まで見守るみたいな感じなんですけど、
下振りっていうのは動物にとって全く良い状態ではない。
ほとんど死にかけというか臓器が腐るレベルまで脂肪が蓄積されるみたいなことがあって、
品質と動物の健康っていうのが、
日本の肉のマーケットにおいて矛盾するところが多いのかなっていうのは思ったりしてました。
そうすると確かに品質が向上するっていうのは必ずしも福祉につながらないっていう感じです。
結構マイナスな点というか、
スマートチェックさん動物にとって不安な点がいろいろ出てきましたが、
逆にスマートチェックさんではなくAIを使って福祉を向上していける可能性みたいなのはどう考えてますか?
もちろんスマートチェックさんそのものを動物福祉のために使うことっていうのはできるわけなので、
本来はそう使ってほしいわけですよね。
なのでそれは必ずできることだと思います。
まさにそのAIとかは行動とかから健康状態を分類したり識別したりすることが、
人間以上に24時間それが可能になるわけなので、
それは結構まさに人では難しいところで、ちゃんと動物福祉を改善していくということにもつなげていけるんじゃないかなって思います。
なるほどなるほど。
客観的なデータを取得していけるということで、
福祉の悪さの指摘にもつなげられそうな感じがしますね。
発表の中でデータを取るために法制と行政の重要性っていうのも研究されてましたけど、
これはどういったことでしょう。
従来、これは畜産に限って話ではないんですけど、
日本の動物産業、いろいろなものを含めてですね、
動物産業ってデータがとにかく取られてないんですね。
例えば、それは何よりも法規制が別にないので、
例えば、有名かどうかわかんないんですけど、
実験動物とかの場合って、日本国内で使用されている実験動物ってわかんないんですよね。
政府統計がないんですよ。
あとは、畜産においても、
よく動物倫理の問題になっているのは、
鶏のバタリーケージだったりとか、豚の妊娠ストールだったりとか、
そういったその飼育環境の問題点って挙げられると思うんですけど、
そういったことがどれぐらいの普及率なのか、
どれぐらいの割合でバタリーケージが採用されているのかみたいなことについても、
基本的には政府統計、公式の統計はなくてですね、
どこかの団体とかが、畜産の形でアンケート調査をして、
それでデータを取ってくるしかない状態になっていて、
現状そうしたデータがほとんど揃ってないんですね。
それを一定程度、実はスマート畜産って改善できるところがあるんじゃないかなというふうに思っていて、
まさに異常行動とかの回数をちゃんと認識するみたいなことができるようになってくるんだったら、
そうしたデータを蓄積するデータベースみたいなものがあれば、
日本全体での動物福祉レベルみたいなことを測ることにつなげていけると思うんですよ。
それをするためには、やっぱりそもそもそうしたデータをちゃんと保存しておくデータベースも必要になってくるし、
何かしら正式な基準を何か引いて、これについてちゃんと分類できるようなAIによって、
データをためていくみたいなこととかにもつなげていけると思うんですけど、
そのためには法制度行政の重要性というのが限りになってくるんじゃないかなというふうに思っています。
確かにデータないイメージはありますね。
バタリーケージの数とか飼育密度とか、
そうですね。調べてみると採用している農家の数は分かってもとか、
結局どういう状況なのか見えてくるデータはないみたいなイメージですね。
それをスマート畜産で、AIで改善できたらいいですけど。
なんかそれで言うと、ペット産業とかにも導入される兆しとかあるんですかね。
いっぱいブリーディングするじゃないですか。
売る前に病気になった子は商品としてちょっと分け合いみたいな感じになっちゃうから、
猫カフェとか保護施設とかに送られるケースもあるって聞いたことあるんですけど。
正直私はブリーディングとかそっちの方に関してAIがどう使われているのかっていうのは詳しくないんですけど、
ペット産業っていうと、ペットテック市場っていうのが最近上がってきてて、
典型的には見守りロボットみたいなのがあると思うんですよね。
ああいう形で自動でカメラで、保護者が家にいないときにペットがどういうふうに行動しているのかとか、
餌を自動でやったりとか、時にはスマホとかを使って話しかけるとかそういったことがあると思うんですけど、
ペット産業で私が知っているのはそういうペットテック市場の方で、
むしろ飼い主たちがそういった技術を買って、
自分のペットと触れ合い合わせる、インタラクションさせる、相互作用させるみたいなのはあるかなと思います。
なるほど。
割と動物の犬とか猫のためになっているっていう感じではあるんですね。
そうですね。そっちの方はさすがにやっぱり保護者が犬とかを大事にしているんでね。
それはそういう使い方がされているだろうということも期待したいですけどね。
動物福祉についてはこんなところで。
データと制度の重要性
2点目が都市野生動物についてですね。この点はいかがでしょうか。
まず発表の中では、例えば野生動物を保護するとか都市動物を保護するにあたって、密漁を防ぐためにカメラを…
話はまだ続きますが、この続きは次回にお送りします。またお会いしましょう。
26:12

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