綿引周
よろしくお願いします。
むらた
早速内容に入っていきたいと思いますが、
綿引さんのご発表のタイトルは、畜産動物の状況は改善されるべきだ。ではどれくらい優先されるべきか。
効果的利他主義の観点からでしたね。
一旦このテーマを選ばれた理由とか動機を伺ってもいいでしょうか。
綿引周
効果的利他主義という、この後説明する運動があって、
それが畜産動物の福祉交渉に対して大きな影響を及ぼしている。
そのことがあまり日本だと知られていないし、
それとも効果的利他主義って何なのか、
なぜ畜産動物の問題がその中で重要視されているのかということはあまり知られていないので、
それはとりあえず動物倫理かいぎの機会を使って知ってほしいなというのが一つと、
さらにこれに関してはASのブログの記事とか書いていたりするので、
そちらも読んでもらえればと思うんですけれども、
さらにそれから進んで、畜産動物といってもいろんな種類があるので、
畜産動物が効果的利他主義の観点が重要だっただけじゃなくて、
その畜産動物のどの種類に優先されるべきなのか、
人間と動物でどっち優先するべきなのか、みたいなこともちゃんと考える必要があるわけですね。
その問いに関してはブログの中だとあまり書けていなかったので、
もう一歩踏み込んでその点も、
動物倫理かいぎの機会を使って議論を紹介しようかなと思ってこのテーマを選びました。
むらた
ありがとうございます。
私も以前、効果的利他主義についてお聞きして、その時初めて知りましたし、
その観点から言うと動物福祉の向上が優先されるっていうのも聞けて、
そういう一般的なレベルから動物の我問題に上がってくるっていうのが、
なんというか嬉しい気づきだったので、
これを機に皆さんにもリスナーの皆さんにも知っていただけたらなと思います。
細かいアプローチについてもお伺いしていければなと思います。
今回、効果的利他主義というワードが出てきましたが、
ご存じない方も多いと思うので、
まずその説明からお願いしてよろしいでしょうか。
綿引周
この言葉はですね、
もともとはゴビリアン・マーカスキルとあともう一人トビオードという人が大学院生だった時に、
自分たちもピーター・キンガーという人の論文を読んで、
事前団体に寄付をした方がいいだろうと。
でも寄付先を決めるのに、
どこの寄付先を選んだら一番効果的なのかが全然調査がないということで、
自分たちで調査をして、
それぞれの事前団体のどういうインパクトをもたらすのか調べた結果、
一番成績がいい事前団体と一番成績が悪い事前団体で、
何十倍何百倍のインパクトの差があることに気づいて、
これはもっとしっかりと調査して、
他のみんなもどうして寄付するんだったら、
ちゃんと効果を出せるところに寄付するように、
そういう調査を積んでいって、
その成果を公開していこう、みたいなことをやっていて、
それがだんだんと規模が大きくなって、
効果的利他主義センターというのができるんですね。
この効果的利他主義センターの名前を付けるときに、
いろんな候補があったんだけど、
最終的にこれがいいんじゃないかと、
投票で決まったのが効果的利他主義センターですよね。
効果的利他主義センター、効果的利他主義って、
理論から出てきた名前じゃない、というのが一つポイントで、
その当時に彼らがやっていたことを、
最もうまく代表してくれるような名前だったということが、
一つ大事なんですよね。
でも何年が経つかにつれて、
効果的利他主義主義を実践する人たちは、
一つの共通する価値観というか、
考え方みたいなものを共有して、
この運動に参加しているわけなので、
みんなが共有している価値観、考え方みたいなものを、
マッカス・キル、オックスフォードの哲学者なんですけれども、
マッカス・キルがしっかり提出しようと論文を書きました。
それは日本語で翻訳されているんですけど、
効果的利他主義主義定義みたいなものを調べると、
出てくるんじゃないかなと思うんですけど、
そこの定義に従うと、
簡単に言うと、我々使える資源、
お金とか時間とか限られているので、
そういった限られた資源を使って、
しっかり証拠と推論に基づいて、
つまり直感とか共感じゃなくて、
証拠と推論に基づいて、
なるべく身内とか同じ日本人みたいなのを引き継いで、
普遍的な観点から、
なるべく良いことをするために、
良いことを最大化するために使おうというプロジェクト、
それをすること、みたいな風に定義しています。
むらた
畜産動物の福祉工場が
その3つの観点に当てはまってくる
綿引周
そうですね
ここもいろいろデータを使って示すと
いろいろ言えるんですけど
それはブログの方を見てもらうことにして
はい
畜産動物って
現時点でも何兆も地球上にいたりして
その多くが
毎年何億何兆も殺されていて
しかも生きている間も
工場畜産といって
狭いところに大量の動物が
まるで機械のように預かれているんですよね
昔の牧場で一匹一匹手に育てられるという状態じゃなくて
狭いところで効率化をすごい追求した
生産システムの中で飼育されていて
そうすると動物の状態とか
幸福とか福祉みたいなものは
全く考慮されないで
ほぼ考慮されないで
そうすると
畜産場の中で受け入れる苦しみは大きいと
だから一個一個の動物が感じる苦しみは
すごい甚大らしい
かつ苦しみを感じる動物の数がものすごい量いる
むらた
ということで問題の規模が大きいというのが分かると
綿引周
具体的にどういう状況に置かれているかというのも
ブログの記事の方を探索してもらうと
むらた
ポッドキャストでも
ヴィーガンになるべきか
エピソード24の1で
工場畜産の生産過程について取り上げてますので
ぜひ聞いていただければなと思います
綿引周
その時コットン話したんですよね
むらた
そうですコットンさんいらっしゃってました
綿引周
あー良かった
むらた
弟が話してみたみたいに
連携プレーでありがたいです
ありがとうございます
たね
気になる方はコットンさんの情報を見てみますね
綿引周
密通をされているというのは
寄附金事前段階で寄附をする人たちの中でも
まずは人の課題に寄附金を向かってしまうし
動物に関心のある人たちに寄附をしようと思った時も
大抵は犬猫の問題に行っちゃう
という事でこれは確かに見過ごされているんだろうと
見過ごされているというのは
メディアに取り上げられているかどうかと言いましたけど
それとはまた少し別で
これまでにどれだけの資金が投入されてきたのか
というのが似たかるのが一番せっかくですね
だからもしかしたら
メディアに取り上げられていないけど
もうすでに資源がいっぱい投資されてきているような問題もあるかもしれない
なのでどれくらいの資源が投入されてきたのかという観点で見るのが大事で
その観点から言うと
やっぱり畜産動物の問題には全然寄附金も助成金も
集まっていないのが現状かなと
取り組みやすさというのは
畜産システムは人間が作ったシステムなので
どういう仕組みで動くかというのは人間はちゃんと分かっている
なので生態系の介入とかと全然比べるとめちゃくちゃやりやすいんですよね
なるほど
生態システムに手を入れようとしたら
思わぬところで影響を受けたりするので
それと比べると
畜産システムは人間が作ったもので取り組みやすいし
すでにもう欧米の方でアニマルウェフの取り組みがずっとされてきて
研究も積まれてきているので
特に日本の我々からしたら
あとは欧米の真似すればほぼいいので
ニワトリだってウタだって
自撮りは置いておいて
海外の企業が作った主権を使って育てるだけなので
全然違いないですよね
ニワトリの種類も違いがない海外のところで
だから取り組みやすいはずね
ということでもう三拍子揃っているわけです
むらた
畜産動物福祉工場
それだけ重い課題だという重いというか
重大なそうですね
だから単にその動物倫理を学んだ
学んでそれを重視している人とか
ビーガニズムに共感している人が
効果的に言った主義者の中にいるとかそういうことじゃなくて
本当にその三つの基本的な観点から判断すると
核兵器とかAIとか
それと並ぶような問題として出てくる
綿引周
そうなんですよ
先ほど出てきたEAコミュニティで最大の事前財団であるオープンフィラソロフィー
Facebookの共同創設者のダスティモスコビッズという人と
パートナーのカリツナという人が
二人で立ち上げた団体の事前財団なんですけど
この二人全然もともと動物の問題に関してあったわけじゃないんですよ
でも効果的な主義の考え方に共感して
効果的主義の観点から自分たちの財団の助成先を決めようとした時に
このフレームワークを使うとどうやら畜産の動物の問題が重要だって分かって
それで2015年から人を雇って寄付を始めたんですよね
むらた
素晴らしい 説得力が
綿引周
素晴らしいですよね
共感とかから始まる動物養護活動とかビーガリズムもいいんですけど
なんかみんながみんなちゃんと共感能力あるってじゃないのでないだろうなと
全然ないと思う
でもこうやって頭使って考えていっても
やっぱりこれ問題は重要な問題だなって分かって
実際に行動にする人もいるので
そういう人たちに対しては結構訴えかける力があったりするんじゃないかなと思っているので
たね
でもちょっと結構驚きだったのが個人的に
ここでちゃんと動物の苦痛をカウントしてくれるんだっていうのが個人的にびっくりしていて
綿引周
もちろんさっきのフレームワーク規模とか見過ごされている度合いとか取り組みやすさみたいなところって
たね
動物倫理を勉強している身としてはすごく負に落ちるし納得できるんですけど
そもそも関係ない人って別にそれをカウントすらしないというか
こともあるかなと思っているんですけど
なんかよくぞ注目しましたねっていう
ちょっとどこ見てない感じなんですけどびっくりです
綿引周
やっぱりこれが結構冒頭で話していた
効果的座主義の定義に関わるところで
効果的座主義の定義が善を最大化すること
善を最大化するためにどこに自分の資源を使ったらいいのかっていうのを
ちゃんと真剣に考えるっていうことじゃないですか
善は何かっていうことは
いろんな立場あるけれどもやっぱりどの立場にとっても福祉っていうのが
福祉っていうのはやっぱりいいことだろうと
動物にとって動物の福祉が上がることつまり動物の性能状態が向上することっていうのは
動物にとっていいことだろうし
人間にとっても福祉
人間の福祉が向上するってことはそのように人にとっていいことだろうということは
むらた
結構どの立場からも合意同意できるところなんですよね
綿引周
なので
効果的座主義のアイデアにカリテナとダティーモスカビーツが共感したって言った場合
彼らはつまりちゃんと証拠とか調査とか推論に基づいて
福祉を含む善を最大化するのがやっぱりいいだろうと
なんか経済的な合理性とか
敷地率とかそういうものを増やすとかってことじゃなくて
最終目標やっぱりこの善福祉を含む善を最大化するために
自分たちは希望するんだっていうことに共感したわけです
そう考えたときに動物が生きてて
その動物たちの性っていうのが良かったり悪かったりするっていうのは
これは結構ほぼ否定し難いじゃないですか
特に畜産動物しか飼われていない哺乳動物
彼らが生きていて
ケージで閉じ込められたらその性は悪いだろうし
もっとケージから解放されて自由に動き回っていたほうがそれは良い性だろうと
つまり彼らはその福祉が良いとか悪いとか
その福祉を向上することしないってことが問題になるような存在であるっていうのは
結構そういうふうに考えていくと自然と出てくる結論というかなんです
たね
徹底的にデータに基づいてるっていう姿勢があるからこそ
変に動物みたいな
綿引周
動物より人間じゃんみたいなところがある意味逆になかったんだろうなって思って
たね
軽視しがちじゃないですか
普通って言うとおかしいですけど
社会にいる感覚直感として
そこは否定したくなっちゃう気持ちってあると思うんですよ
普通に消費してる側からすると
ただそこでこの効果的で満たした主義っていう考え方が
データとかそういうところにむしろすごい徹底的に基づこうって思ってるからこそ
綿引周
そうだねここはでかいねって認められた
ところが理解できました
動物に関してはもう人間の偏見種差別っていうのがすごい強いので
本当に証拠とか推論じゃなくて
気持ちベースでやってたらこう言われなかった可能性すごく大きいですよね
だからそういう限界を突破できるポテンシャルがあるのではないかということですね
さっき畜産動物が意識とか性を持つ
福祉を持つ主体であり得るっていうのは確実みたいな言い方をした気がするんですけど
実はそこを我々の持っている証拠に照らすと
70%くらいサイランキャンは意識を持つみたいな
想定をフィラストロフィーして
70%だとしても70%の確率意識を持つんだったらやっぱり軽重にした方がいいなみたいな
判断をしてるんですよね
むらた
70%の可能性で意識を持ってるって推測できるっていうことですか
綿引周
そうです彼らはそうしてるって感じですね
だから彼らが集めた証拠に照らすと
少なくとも70%は意識を持っていると言える
70%の確率で持っていると言える
ここの鶏が
だとすると
ここの時にあったイタイチの計算があると思うんですけど
意識を持っている確率70%と意識を持っていた場合に
ケージに閉じ込めた場合に
鶏が受け入れる苦痛の程度と掛け合わせて
このケージから解放することによって
イタイチとしてどれくらいの苦しみを取り除けるのかみたいなのを計算して
身につもりを推定を出して判断しています
なのでちょっとさっき言う自分の言い方だと
結構安易に
いや鶏は意識あるから確実だから否定できないから
彼らの福祉を考慮してるんだって言い方をしたんですけど
正確に言うともっと慎重なアプローチをとっている感じです
それでもやっぱりこう受けたら
すごいな
むらた
徹底的に根拠ベースで
計算とかそういうのベースで
すごいな
綿引周
すごいですよね
そこもかって思いました
むらた
ちょっと今
動物より人の方が直感的に優先されがちみたいな話ありましたが
それに関連して
効果的に福祉を向上していくにあたって
異なる種の間で福祉を考えるってなった時に
ちゃんと判断していけるんでしょうか
綿引周
これが自分の発表の中での2つ目のテーマだったんですけど
むらた
話はまだ続きますが
この続きは次回にお送りします