褒め言葉の効果
こんにちは、お聞きいただきありがとうございます。あきねです。
こちらは、ASDの息子を持ち、発達凹凸のある子どもたちの支援の仕事をしている私が、息子を通して出会った行動分析学を広めたいチャンネルです。
行動分析学には、行事による行動の強化という考え方がありまして、
例えば、誰かがある行動をしたとして、その直後にその人にとっての何かいいものが得られたり、いいことがあったりすると、
その後、またその行動が出やすくなるという考え方です。
よく、子どもが何かをした後に、すごいねとかありがとうというふうに褒めてあげると、また同じ行動をしてくれたりするというのがわかりやすいですね。
今日は、この褒め言葉が行動の後の結果として現れるだけじゃなく、行動の前、望ましい行動を起こしたい、そのきっかけにもなることがあるんだなと思ったお話です。
ある部屋に、小学校中学年ぐらいのAさんと、それからB先生がいました。
2人の間には使い終わったバケツが残ってまして、B先生はAさんに声をかけました。
Aさん、あのバケツ片付けてくれる?
普段は、なかなかその1回の声かけぐらいでは、スッとは動いてくれないAさんだったので、
B先生は、あと2回ぐらいAさんに近づきながら声をかけたらいいかなーなんて思って見ていると、
意外にもAさんはB先生の一言目でバケツの方に目をやって、なんだか動いてくれそうな雰囲気です。
あ、これいい流れだなと思ったB先生は、まだAさんがバケツを持ってないんですけれども、
わあ、Aさん助かる!ありがとう!と、高いトーンで先に褒めてしまいました。
するとAさんは、スッとそのままバケツを持って片付けてくれました。
これって、早々と褒め言葉を言わなくたって、そのまま何事もなく片付けてくれる可能性ももちろんあるんです。
なんですが、この頼み事を伝えた時点、このフラットなシーソーの真ん中みたいな位置から、
相手が、もし、嫌だ、拒否の方向にひとたび傾いてしまうと、これを反対側、つまりOKの側に傾かせることは結構難しいと思います。
Aさんは発達凹凸のある子供なのでなおさらですが、そうでなくて大人の間の頼み事であっても、
例えばCさんという方に頼み事をして、そのCさんが頼まれたことをやりたくないなぁとか、やらない理由が思い浮かんでしまった後に、
シーソーの反対側、OKの側に傾けるのは大変です。
そうなる前の人押しにフライング褒め、フライングありがとうみたいなのがあると、
シーソーがOKの方に傾きやすくなるというのがあるのではないかと思います。
いわゆる夜渡り上手な人は、もしかしたら自然とやっているのかもしれませんね。
ただ、早々と褒めると逆に、あ、やりたくない、絶対やんない、みたいに反感を買うケース、これも思い浮かびます。
さっきのバケツのAさんとB先生で言うと、
B先生が、Aさんバケツ片付けてくれると頼む。
Aさんは、あ、バケツか、とバケツに目をやる。
で、まだバケツに触れてもないのに、B先生からありがとうと言われてしまう。
その時にAさんとしては、何それ、絶対やりたくない、という風に感じてしまう。
これは、B先生がAさんから嫌われていたり、2人の間に信頼関係が全然ない状態だと十分あり得るんじゃないでしょうか。
つまり、この片付けに実際に手をつける前の褒め言葉が素直に良い方に機能するには、
A君とB先生の普段の関係性が良好であることも重要なポイントだと思うんです。
A君が過去にB先生からもらった褒め言葉が、どれだけ安心感や達成感といったポジティブな感情をもたらしてきたか、
その辺が物を言うと思います。
そのためには、褒め言葉が常に本心からのもの、信頼できるものとしてA君に受け取られている必要があります。
普段から安易に表面上だけ褒めたり、一貫性のない態度を取ったりしていれば、言葉の価値は薄れてしまいますね。
褒め言葉の逆、厳しい言葉にも全く同じことが言えると思います。
先手を打って褒めちゃうのは、普段の関わり方次第では行動の結果としての好子だけでなく、
スムーズに行動を起こすきっかけにもなり得るんだなぁと思ったお話でした。
関係性の重要性
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ABAで広がれシンプルで楽しい生き方。
今日も大事なものを大事にできる一日を。
垣根でした。