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2024-08-14 07:43

003 生徒の目標と先生の目標は違う。

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国語の授業で目標設定は大事ですよね。目標設定でいつも私が問題として意識していることをお話しします。

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みなさん、こんにちは。このチャンネルは、国語の授業についてのあれこれを、パーソナリティの黒瀬直美がつぶやく、という番組です。よろしくお願いします。
今日は、授業で生徒の目標と先生の目標は違うんじゃないかな、というお話です。
みなさん、目標をどうやって立てていますか。私は、まず、生徒がどうやったら、どういう目標にしたら夢中になるんだろうか、ということをまず考えて目標を立てます。
その時に、じゃあこの目標達成に向けて、国語としてつけさせたい力は何なんだろう、と思って目標を立てています。
じゃあ具体的にある例を出してお話ししたいと思います。 高校2年生の個展に、源氏物語若紫というところがあります。
ここは、永遠の憧れの女性、藤坪の女王にずっとかなわぬ恋をしている光源氏が、藤坪の女王にそっくりな若紫という少女を見染めるところです。
藤坪の女王にそっくりな若紫ちゃんを見て、光源氏は思わず自分の憧れる女性と、思いを遂げられないという、自分のこの状況に思わず涙を流すというシーンなんですけれど、
この場所について、私が県立高校に勤めている時に、ある先生の授業があるというので、申し込んで
見に行きました。 そしたら、黒板のところに書かれていた目標は、光源氏の心情を読み取ろうというものでした。
私としては、この目標は実は違和感があるんですよね。 光源氏の心情を読み取ろうというのは、スキルです。
どうやったら心情が読み取れるのかな。 そのためにどういうふうな読みをしたらいいのかなっていうのは、これはスキル、いわゆるコンピテンシーというところに関わるところですよね。
私立能力というところに関わるわけですね。 現在、学習指導要領ではコンテンツベースから何を学ぶかというところじゃなくて、
どのように、どうやってそのスキルを身につけるかというコンピテンシーベースへと移行していると言われてるんですけれど、
皆さんここでちょっと考えてみてください。 光源氏の心情を読み取ろうという目標を掲げて、生徒は
一生懸命にあるいは夢中になれるでしょうか。 少なくとも私が教えてきた、
あんまり学力の高くない生徒たくさん教えてきたんですけど、 この目標では、「はぁ?」っていう感じになったと思います。
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私が目標を立てるとしたら、なぜ光源氏は涙がこぼれちゃったんだろう。
わかる? こういうふうな感じで目標を立てると思うんですよね。
あんまりお勉強のできない生徒でもお話は大好きですから、 光源氏ってプレーボーイって思ってたんだけど、なんで泣いてるの?っていう感じで、
なぜ泣いてるのか、興味・関心を掻き立てられて、この話を読もうとすると思うんです。 なので私が目標を立てるとしたら、なぜ光源氏は
涙像を吊るっていう状態になったんでしょう?って立てるんですね。 皆さんはどうでしょうか。
で、私はなぜ光源氏は泣いてるかっていうところで、 場面の状況設定ですとか、人物関係ですとか、
それから光源氏の行動からどういうことがわかるかっていうことを分析しながら、 黒板で授業を展開していくと思います。
そして最後に、なんで光源氏は泣いたのかっていうところが、 生徒が分かればいいわけですよね。
その授業を通して、じゃあ心情を読み取るためにはどういうふうなことが必要なのかっていうのが、
身についていくのが先生の目標だと思うんです。 こんなふうに目標は二重構造になっていると思うんですよね。
生徒は夢中になって、こういう問題を解決したい、 謎を解きたいと思うわけです。
生徒にとって解決したい目標、夢中になれる目標を、 夢中になって生徒が取り組んでいくその中で、
先生は身につけさせたいスキル、身につけさせたい認識の変化、
身につけさせたい主体的に取り組む態度、 それを横糸のように通すことによって、
生徒が夢中になって解決する中でスキルが身についていく。 このように目標は二重構造になっていると私は思っています。
コンテンツベースからコンピテンシーベースへっていうふうに言われてるんですけれど、 コンピテンシーを先に立てると、
生徒は夢中になりにくい生徒が多いと思うんです。 知的好奇心学びに向かっている生徒は、おそらくコンピテンシーベースでも
主体的に取り組むことでしょう。 しかし私は、
なぜ光源氏は涙が出たのかなっていうふうに尋ねた方が主体的になれる生徒を たくさん見てきました。
光源氏の心情を読み取ろうでは夢中にならない生徒、たくさんいると思っています。 生徒を主体的に学ばせる、主体的に取り組むということを眼目に置きながら、
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コンピテンシーベースを前面に出してしまうと、生徒は主体的にならないというジレンマが起きるのではないかなって思うのが、
私自身の目標に対する考え方です。
じゃあ、光源氏の心情を読み取ろうというコンピテンシーはどうやって身につけさせるんですか?
自覚させるんですか?という質問もあると思います。 私は生徒が学習を振り返るときに
自覚すればいいんじゃないかな。 例えば、
なんで光源氏は涙図を写るというのがわかったのか。それは、例えば、この助動詞に着目してしっかり読んだからだとか、
人物同士の関係をしっかり把握しただとか、その時になって初めて、ああ、こういうふうなことをしっかり学ばないと深く読めないんだなっていうふうなことを
生徒が振り返るときに、自覚したときに、初めて生きて働く力になるんじゃないかなと思っています。
今日は目標についてお話ししました。 目標は二重構造になっています。私が教わっている
セラヒロアキ先生は、目標の二重構造過論というものを唱えていらっしゃいます。 皆さん、目標について私の考えを聞いていただきありがとうございました。
それではまたお会いいたしましょう。
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