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2020-11-15 15:22

#125 異色の漫画家諸星大二郎氏が,漫画家の中の漫画家と言われるわけ【漫画回】

漫画回というのがあたらしくできましたね。
漫勉neoで放送された諸星大二郎さんの執筆状況を見られるという,垂涎の回。
まさか,あの絵のメイキングが見られるなんて・・・
そして,度肝を抜かれたその描き方とは・・?

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Lyustyleの知的迷走ラジオ、第125回目の今日は漫画回です。諸星大二郎氏のことについて、あれこれお話をしたいと思います。
諸星大二郎という漫画家、ご存知ですか? 今の方にはあまり馴染みがないかと思うんですが、しかし、今でもコアなファンをずっと抱えていらっしゃる漫画家さんなんですよね。
漫画家の中の漫画家と言われている方で、数ある漫画家さんたちが本当にリスペクトしている方のようですね。
なぜこんなことを言うかというと、この間、木曜日の夜ですか、マンベネオってあるんですよ。
矢原とかの漫画を描かれた浦沢さんが司会をされて、普段見られない漫画家さんの漫画、執筆部屋に入って執筆の様子を見ながら、いろいろ語るという、とてもファン垂涎の番組があるんですけど、
その時にお出になりまして、その特集がありまして、その中で浦沢さんが言われていたんですね。
漫画家の中の漫画家と言って、漫画家がリスペクトしているということで、本人ご本人びっくりしていらっしゃったんですけれども、僕もびっくりしたんですよね。
あ、ここまでこのディープな、コアというか深いニッチな分野のお話を描かれる異色の漫画家と僕は思っていたんでね。
その方々は漫画家の皆さんからリスペクトされているとしてですね、すごいことだというふうにちょっと思ったんですね。
僕も本当に大好きな方なんでね。
誰だよと思われる方がいらっしゃるかもしれないんですが、1970年代の中頃以降ですね、週刊少年ジャンプに連載された異色ホラーとかね、異色SF、古代SFとかね、古代の様々な宗教とか、歴史とかね、
そういうものとあとSFを織り混ぜたようなですね、非常に広大なスケールで描く、本当にそんなことがあったんじゃないかっていうようなことをね、思うような、そういう歴史を加味したような作品なんですね。
古代のね、大和武が現代に転生したっていうようなテーマで、それをずっとですね、本当に見続ける武之内のスクネっていうね、千何百年も前に実在した人物なんですけれども、彼が本当に彼の転生をずっと見続けてるんですよ。
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あの、途中でネタバレするとね、古代のコールドスリープの技法を使いながらね、途中途中で中に入りながら、途中で転生してくる大和武の見事をずっと置いていくんですが、そのような中に出てくる、本当自然にね、それらが描かれていくんで、本当にそういうことがあってるんじゃないかってね、思うぐらいのものがあってですね。
まあ、そういうようなお話を書かれる方なんですね。
あとそれが終わった後は、今度は孔子暗黒伝っていう、今度は中国の似たようなお話でね、これがまた通廷しているっていうかですね、全部繋がっているんですね、この日本の孔子暗黒神話とかとね。
まあ、それらの絵柄はね、なんかね、ちょっと暗いですよ。
暗いけどね、非常に魅力のある絵ではありますね。
暗黒神話とか諸星大次郎とかでね、Googleでググってみられるとね、「はあ、見たことあるなあ。」って思われるかもしれませんね。
まあ、それとか、決してそのいわゆる上手い絵ではないなと思われるかもしれませんね。
まあ、そのような漫画家さんで、もう非常にこれがね、当時ジャンプにこれが連載されていたとはね、思えないような内容ですね。
それなりに人気があったから、ジャンプにずっと連載をされていました。
僕たちもですね、もう本当に、暗黒神話の頃は僕はまだ中学じゃなかったっけ、高校になるかならないかの頃だったのかな。
本当にそこに出てくる古墳とかね、行って中見たかったですもんね。
まあ、そういうような方と時代背景ということでね、お話ししました。
で、そのね、諸星大次郎さん、改めてね、この間、弁を見まして、
で、まあ漫画家の中の漫画家と言われていらっしゃるんですけどね、
あの、なんかね、わかった気がしますよね。
今でもね、一切デジタルを使われないんですね。
すべて昔ながらの紙に鉛筆で下書き、
そして上から丸ペンで書いて、消しゴムでゴシゴシ消して、
で、模様のあるところはスクリーントーンを貼るという。
もうそのやり方をもうね、40年ですか、もう以上続けていらっしゃると。
一切あの間にデジタルを入れないんですけどね。
まあそういうような、昔からの技法でずっと貫いていらっしゃるということもあるだろうし、
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まあかなりお年ももう見捨てらして、70近いのかな。
まあそういう中で、現役でバリバリやられているというのもやっぱりありますしね。
で、出された作品、出された作品、全部なんかね、やっぱヒットして、
今の漫画家さんたちがね、若い頃読んでいたっていう、
胸を衰らせながら読んでいたっていうのもきっとあると思うんですが、
まあそういうこともある中で、僕がですね、今回ここでお話ししてみようと思ったのはどういうことなのかというとね、
その書き方なんですよね。
いや、書き方にね、度肝を抜かされたんです、僕ね。
何かというとですね、だいたい、いわゆる漫画って、
なんか一本の線があるじゃないですか。主線って言いますけどね。
絵を形取る一本の線。まあそれっていうのは下書きの時はね、
鉛筆で何本も何本も上から書いて重ねて重ねて、そしてこの一本の線だっていうところを見つけて、
その見つけたところをペンでしっかりなぞってですね、形を取っていくわけですね。
ですから最終的に漫画になる時には、もうこの線しかないでしょっていうようなね、
立派な一本の線で表されているわけですね。その立派な一本の線でキャラクターが描かれ、背景が描かれ。
それで僕たちも安心して、しっかりとした形のキャラクターを見て、安心して読み進めるという、
そういうことがあると思うんですが、いや全くですね、そういう書き方じゃなかったんですよ。
あのね、下書きに鉛筆でふわふわふわふわ書くじゃないですか。どこの辺かな、この線かな、この線かなって。
ペン入れの時も全く同じなんですよ。この線っていうところをきれいにペンでなぞるとかいうこと全くされてないんですよね。
もう鉛筆の動きと全く同じ動き、サッサッサッサッサッというペンの音がね、響いて、短い音なんですよ。サッサッサッサッという短い音なんですよね。
カリカリカリカリというね、あの音ですよ。スーッというような長い音じゃないんですよね。
いやこれでね、そしてあの一つの一本の線、例えば顔の輪郭とかね、一般的に漫画家さんそこきれいな線でね、一本の線で書かれますよね。
もう本当にその線が、一本の線を見つけるためにね、たくさん下にいろんな線を書いてね、そしてこの線っていうのを見つけて、もうその一本の線をしっかり書かれるわけですが、
全く同じようにですね、ペンでカリカリカリカリ何本もの線を書いてね、線を見つけていくというようなね、そういう形しているのを見て驚きましたね。
目なんかも何度も何度も上からこう書いて書いて書いて書いて、線が幾重にもなっていくんです。
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あの、幾重もの線があるキャラクターの漫画とかね、本当ね、改めて見てみると、諸星大次郎の漫画ってそうだったよなぁと思ってね、びっくりするんですよ。
漫画としては上手くないなぁみたいなことはね、僕も思ってたんですよ、昔からね。輪郭とかそれからデッサン自体もね、これでいいのかなみたいなところがあったんですが、
まあしかしそれでもね、ずっと思ってたのはね、漫画の絵というよりね、絵画だったんですよね。
絵画を見ているような。それに気づいたのは、書いている途中でその様子を見ている浦沢さんがですね、
いい絵ですねって言われたんですよ。あ、そうだった、これ絵だなぁと思ってね、改めて見ると本当に素晴らしい絵だなと思ってね。
だからね、僕らはね、きっと胸を躍らせて見てたのかなぁというような気がしたんですね。
でこの、例えばね、カリカリカリってたくさんの線で描いていく画家としてね、あの水木茂さんがおられますよね。
あの方の描くあの背景の緻密さすごいですね。あの描き方はですね、いわゆるペン画っていう絵の手法なんですよね。
まだ写真術がない時代に、まあ新聞に載せる写真は写し絵だったわけで、
まあ印刷するわけですからね、あのエッチングの技法を使ってね、あの、彫っていくわけですよ。
でその時に線をたくさん重ねてその線で濃淡を作ったり模様を作ったりしながら、一見本物じゃないのって思われるような絵を描く技術。
そういうような技術からねペン画がこう生まれていっているんですが、もうあの水木茂さんの絵って写真、これ白黒写真じゃないと思われるような緻密な絵がありますよね。
よく見たら線が重ねて描いてあるという。まあねそれに近いんですがそれとも違う。
水木茂さんの場合はあのキャラクターはきちっとした一本の線がもうちゃんと形作られてますね。
水木茂さんの方はもうそこ自体がぼかしている。ぼやけているというかね。
その番組の中ではね、あのそのようにこう本当の線というのをわざと描いてないんじゃないかというようなことをね言われてました。
そこにリアリティがあるんじゃないかと。わざとね残していると。あの本当じゃ、きちっと固めたものじゃない部分を残しているからそこにリアリティがあるんじゃないかっていうようなね。
僕もね、なんかねそれすごくわかる気がしますね。なんかね漁師論を思い出したんですよ。
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漁師もね、なんかほら核の周りに電子が回っているというようなイメージがあるじゃないですかね。
あれは単なるイメージであって、そこに本当にそれがあるわけじゃないんで。まあ電子がそこに出現する確率というのをずっと表していくと雲みたいになって、その雲というのが
回っているようなね、周りにあるようなイメージでそこにあるっぽいよっていうのが、あの電子が回っているようなね、いわゆる原子雲というもののようですよね。
漁師の考え方っていうのは、確率でそこに存在する確率で表されていくんでね。なんかそれを思い出しましたね。
もうあのきちっとした線でそこにあるという形で、なんですかそこにピタッと縫い付けるっていうかね。
いうではなくて、まあそこにこんなのがありそうだよみたいなね。
こう話してて思い出したんですけど、レオナルド・ダ・ヴィンチのモナリザの手法なんかがそうですよね。考えてみればね。
スフマートって言って、顔の輪郭と背景と明確に分けずにスーッと溶かす込むような形でされている技法をね、ダ・ヴィンチは見出したんですかね。スフマートっていうね。
あれもそうですよね。輪郭を取ることでそこに封じ込めないっていうか、そこで生き生きしている感じを出すというのか。
なんかそういうとこで繋がってくるような気持ちがしました。全然関係ないとこから話を持ってくるとね、昨日の会で話したジョン・レノンなんですけどね。
なんでジョン・レノンと漫画家が繋がるのっていうところなんですが、そのジョン・レノンの魅力っていうのはね、やっぱり同じようなところなんですよ。
未完成の完成っていうか、彼が出しているものっていうのの魅力的な曲っていうのはね、これ未完成じゃないのっていうようなね、結構あるんですね。
きちっと仕上げてしまわない。きちっと仕上げてしまわないところで終わってる。そこになんかね、すごいなんか広がりとかそういうのを感じるんですね。
似たようなものを感じました。いや決して諸星大次郎さんの絵が未完成と言ってるわけじゃなくて、最終的に絵として封じ込めないで残しているところですよね。そういうのがあの線に現れているなというふうに思いました。
はい、いかがだったでしょうか。まさかですね、諸星大次郎のことを話しているとこんなに時間が経っているとはね、14分超えてしまってましたね。
本当6、7分で終わるんじゃないかなと思ったらね、話しているうちにやっぱりね、いろんなことと繋がってきますよね。水木しぎれさんぐらいまで僕は話そうと思ってたんですけど、まさかダビンチが出てくるとは思わなかったし、ジョン・レノンが出てくるとは思わなかったですね。
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話すっていうことはね、面白いですね。言語化するっていうのはね。それではまたリュウスタイルでした。
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