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真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと川端です。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになる
をテーマにおすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
第153夜を迎えました今夜のお便りご紹介します。
ペンネームYKBさんからいただきました。
こんにちは、はじめまして。最近バタやんさんのポッドキャストに出会い、日々聞き漁っています。
家庭でちょっと事件があり、どんよりした気持ちでいたので、バタやんさんの声を聞くのが一日の小さな喜びになっています。
過去の回で感情をフラットに保っておきたいというお話、とても共感しました。
バタやんさんもそういうタイプだったのか、と欲要のないラジオに共感を持つということもとても納得しました。
私の夫は私と真逆で感情の起伏が激しく、周りと衝突しやすく、わげく送曲性障害になってしまいました。
はじめはそんな夫を支えられるのは私しかいないと夫の心に向き合いたいと思っていました。
バタやんさんがよくご紹介されている心理系の本もとても参考になりそうだなと思いながら、
でもきっと、読んでしまったら夫の心の動きを理解できて、自分までしんどくなってしまいそうで怖いです。
最近、夫と距離を置きたいと思ってしまっているのは、相手の感情の起伏に振り回されたくない、自分のフラットな感情を守りたいという気持ちからかと気づかれました。
そんな私に、と言ったら難しいかもしれませんが、どんよりした気持ちから目をそらすことができるようなおすすめの本があれば教えてください。
といただきました。お便りありがとうございます。それはそれは大変ですね。
YKBさんに何かご紹介したいなとずっと考えていまして、少し変化球がいいのか直球がいいのか、全然関係ない目をそらすようなことができる小説がいいか、
心理系の本は辛くなってしまうかもしれないというふうに書かれていたのですごく悩んだんですけれども、
でもあえて直球を選ぶことにしました。今夜の勝手に貸し出しカードは伊藤恵美さんのカウンセラーはこんなセルフケアをやってきたにしました。
臨床心理師でカウンセラーの伊藤恵美さんが自ら実践しているセルフケアの方法をまとめた本なんですね。
これまで私もいくつかご紹介してきた精神医学やメンタルヘルス系の本は主にプロの立場から心の病の症状を紹介したり、
心のケアのメソッドを紹介するようなものが多かったんですけれども、この本はケアをする側の人のケアの話なんですね。
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これってすごく必要そうなのに意外となかったテーマの本だなぁと思いました。
伊藤先生はカウンセリングの中でもスキーマ療法というのをやっていらして、スキーマ療法について説明するとちょっと長くなっちゃいそうなので、
お伝えしますが、皆さんもチャイルドモードとかアダルトモードとかそういうワードは聞いたことある方もいらっしゃるかもしれません。
過去のトラウマとか幼い頃、両親との関係なんかに踏み込んで自分を縛っているもの、自分の考え方の癖みたいなものですかね、に触れるような療法みたいなんですね。
カウンセラーの側もある程度自己開示をしながら、自分の話もしながら対話で掘り下げていくみたいな手法も取られるそうなんです。
なので、そう聞いただけで大変そうだなと思って、そのカウンセラーの側、伊藤先生の側がすごく消耗しそう、心の体力を奪われそうな手法、療法だなって思いました。
持ってかれちゃったりしないのかなって。だからきっとカウンセラー側のセルフケアってすごく必要そうですよね。
この本にはセルフケアのメソッドがいくつも出てきます。
余すことなくという筆コミになってますが、本当それは嘘じゃないって感じです。
私が一番ヘェーって思ったのは、ジェットコースターに乗るっていう話が出てきます。
今日はそこから解説していきたいと思います。
伊藤先生は怖がりらしいんですけどね、あえてジェットコースターに乗るっていうメソッドをやってみるっていうのを紹介されているんですよ。
これはエクスポージャーという認知行動療法の手法の一つだそうです。
日本語だと暴露療法っていうらしくて驚々しい名前ですね。
暴露療法って簡単に言うと苦手なもの、怖いものにあえて自分を晒すっていう、ちょっとショック療法的な療法なんでしょうかね。
例えば高いところが怖いとか、人前で話すのが苦手とか、そういう縮こまっちゃいそうなところへポンと自分をあえて放り込んでみるみたいな感じでしょうか。
この本から解説を読んでみます。
晒すことによって生じる恐怖心や不安感や不安感にも自分を晒し、それらのネガティブな感情をそのまま感じようとします。
この辺はマインドフルネスとも重なりますね。
エクスポージャーをしているうちに、あるいはエクスポージャーを繰り返しているうちに、私たちは晒すことに慣れていき、ネガティブな感情に耐えられるようになり、場合によってはネガティブな感情のピークが徐々に弱まっていきますとあります。
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なるほど。慣れてきて、あ、意外と大丈夫ってなっていくってことでしょうかね。
伊藤先生はスカイダイビングとかもやってみたりしてるんですね。
でもこれやるとすごい怖いけど達成感がある。できたっていう自己肯定感、自己効力感、万能感みたいなのが上がるんでしょうね。
若干範囲になるともありました。その辺はちょっと想像がつく感じはしますね。
スカイダイビングはさすがにハードルが高いなと思ったんですけど、その次に書いてあった絶叫マシンに乗るっていうのは私もやれそうだなと思って興味深く読みました。
富士急ハイランドに行って、近くのホテルに泊まって一泊して8回とか乗るんですって。同じジェットコースターに。
そうすると5回6回と繰り返しているうちに、もうあまりドキドキしない、無になるというか、笑けてきたりして、心が変わると体の反応も変わるんですね。
伊藤さんはもともと絶叫マシンが好きなわけじゃなくて、だからストレス発散的に好きで乗るっていう人はいっぱいいるでしょうけど、そうじゃなくて苦手だった、怖がりなタイプだったってとこがポイントなんでしょうね。
大きなものを克服したっていう達成感があるのかもしれません。
乗ってみると意外と大丈夫ってなっていくっていうね。 人は誰でも生きていれば苦手なもの、怖いもの、不安なことに直面しないといけないことがありますよね。
そういう時はエクスポージャーのチャンスが来たって思えばいいですよって書いてあって、なるほどって思いました。
この本はですね、そういうメソッドがいっぱい載っているハウツー本として期待するとちょっと違ってまして、伊藤さんご自身がなぜカウンセラーという職業を目指したのか、自伝的というかエッセイ的な要素も強い本なんです。
伊藤さんご自身がお母様の結婚生活の不幸の訴えに巻き込まれ、支配されていたと言いますか、あとうつ病、うつ状態に陥ったこともあったり、
タバコや競馬、ギャンブルの依存症だったり、ゲームの依存症だったかな、そういったこともセキララに書かれています。
ゲームセンターに通い詰めていたり、あと目から血が出そうなくらいテトリスをやっていたってあって、ちょっと面白いだと思ったんですけど、すごくわかりますね。私も何というか人疲れ、人のケア疲れみたいなした時、
スマホのアプリのゲームでリズムゲームがあるんですけど、それがすごい好きで、リズムに合わせてこう指でタップするだけのゲームなんですけど、
すごいやっちゃいますね。なんかほんと目がカピカピになってコンタクトがこぼれ落ちそうなほどやっちゃう。でもなんか無になるんですよね、それやってると。
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そんな伊藤先生もそうならそれでいいのかって思ったりして、なんかそうであってほしいなというか、感情労働を強いられる人、情緒的なやりとりが求められる人にはそういう一面もあってほしいって、
伊藤先生の話を読んで思いましたね。あと語り口が結構ユーモラスなので深刻になりすぎないと言いますか、
さらさら読めるところもいいなと思ったポイントです。 医療従事者の方や専門家としてクライアント患者さんと接するのは
言うても限られた頻度であり、週に1回とかね、1ヶ月に1回とか、あと限られた期間ではあって、家族として日々同居している人とはまた違うなとも思いますけれどもね。
でも全然みんな成人君主じゃないから、いろいろ吐き出しながら、いびつさを抱えながら、成人君主じゃない自分と折り合いをつけながら、やり過ごしてるんだなぁと思ってほっとしたんですよね、この本で。
今日はそんなカウンセラーはこんなセルフケアをやってきたから神フレーズをご紹介して終わりたいと思います。
うよ曲折ありながらも、私は私自身をどうにか助けながら生きてきたし、今もそうやって生きているんだなぁという一点につきます。
今後の人生がどういうものになるかは全く分かりませんが、安泰であってほしいとは願っていますが、そうはいかないのが人生ですね。
今後も周りの人の助けを借りながらも、できる限り自分で自分を助けていくことになるでしょう。
とありました。
ああしなきゃとか、こういうのもやってみようかなとか、ジェットコースターでも乗ってみようかなとか、いろいろ思ったけど、最後の最後まで読んでこんな風に書いてあったのを読んで、
私自身もこれまでどうにか助けながらやってこれたから、このままでも大丈夫という気持ちにもなったんですよ。
YKBさんも旦那さんをケアされながら、自分で自分をどうにか助けながらやってこられたのでしょうし、これからもできる限り自分を助けてあげてくださいねという意味を込めて、こちらの本を今日の勝手に貸し出しカードにしました。
リクエストありがとうございました。最後までお付き合いいただきありがとうございます。
さて今夜もお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室はリスナーの方からのお便りをもとにおすすめの本や漫画をご紹介しています。
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インスタグラムバタヨムからメッセージをお寄せください。
それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。