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2024-06-30 11:41

#80 SF小説『サーキット・スイッチャー』の感想。SFが社会に必要な理由とは?

サーキット・スイッチャー/安野貴博

テクノロジーがもたらす光と影。
人間の感情がもたらすバグ。
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絶望カフカの何者かになりたいラジオ、この番組は元アスリートのカフカが日々の絶望と些細なヒントをお送りするラジオです。
最近の絶望は財布に穴が開いていたことです。
財布に穴が開いていまして、これって金運的にどうなんだろうって思ったりするんですが、早く買い替えたいなと思っております。
さて今回はですね、庵野隆寛さんが書かれたSF小説、サーキット・スイッチャーについてお話していきたいと思います。
庵野隆寛さんといえば、東京都知事選に立候補されている方の一人ですよね。
僕はその立候補というところをきっかけにこの小説を手に取ったわけなんですけれども、庵野さんはAIのエンジニアであり、経営者であり、東京都知事選に立候補する方であり、作家であると。
ということでこの諸著作であるサーキット・スイッチャーを、なんか面白そうだなと思って僕は手に取りました。
やっぱりSFは良いですよね。
で、一気読みしました。めっちゃ面白かったです。
その感想を含めて色々、SFってやっぱ大事だよなって改めて思ったのでその話をしていきたいと思います。
ではこのサーキット・スイッチャー、どういう物語なのかというのを、ネタバレなしで、基本的にはネタバレなしでお話していきたいと思ってます。
文庫本を僕は買ったんですけど、早川文庫ですね。
背拍子に書かれているのがですね、読みますね。
完全自動運転者が急速に普及した2029年の日本。
自動運転アルゴリズムを開発する企業の代表である坂本は、
仕事場の自動運転車内で謎の男に拘束されてしまう。
ムカンラフと名乗る衆議機関は、坂本は殺人犯であると宣言。
動画配信とともに尋問を開始する。
さらに車の走る首都高を封鎖し、
応じなければ車内に仕掛けた爆弾が爆発するというこの男の狙いとは?と書かれています。
つまり今お話したあらすじの内容をまとめるとですね、
2029年という遠い未来ではなくてちょっとみんなが想像できるような先の未来の日本において、
完全自動運転車というのが当たり前の時代になっていると。
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そしてその完全自動運転のアルゴリズムを開発する社長が何者かによって拉致をされてしまった。
そしてその何者かが坂本に対してとある要求をする。
それを飲まなければその車ごと爆破するというような展開になっているんですよね。
つまりその坂本、拉致を拘束された坂本という人物はある種天才的な人物であって、
それを取り巻く人というのもある程度技術者でありテクノロジーに卓越した人たち。
一方で警察は全然テクノロジーのことに詳しくない。
なんかその対比も描かれていましたね。
そしてその後の話は、ぜひ本を読んでくださいという形なんですが、
このカージャックだったりバスジャックだったり飛行機ジャックだったりって、
いろんな小説だったり映画だったりで語り尽くされて使い古されているお話の形態ではあるんですけれども、
やっぱりそのテクノロジーを使ってその光の部分と影の部分を描いているっていうところが面白いなと思います。
つまりどういうことかというとですね、
先ほど言った通り完全自動運転が当たり前になっている世界では圧倒的に人手不足というのは解消されますよね。
そして安全運転が当たり前になっているから事故率も減るでしょうし、
実際そういうふうな描かれ方をしているんですよね小説で。
いろんな面で光の部分はあるだろうと。
でもそれって本当に光だけなの?っていう投げかけをしているわけです。
この小説では実際に影の部分も描かれているんですよね。
それはある種二律背反的な部分としてトロッコ問題が挙げられています。
よく言うトロッコ問題っていうのはトロッコが線路に走ってますと。
そしてその分岐スイッチを自分の目の前にあったとして、
その先で分岐するAという先に1人いてBという先に2人います。
でそのトロッコはもう止められませんと。
Aという道とBという道どっちにスイッチを切りますかっていう答えが出ない問題ではあるんですけれども、
実際に完全自動運転車が普及したときにこのトロッコ問題というのは避けては通れないだろうっていうような投げかけがされているんですよね。
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そして本の中ではある人にとっては光かもしれないものがある人にとっては影になる。
でも全体幸福として光って何なんだろう。
あるいは影って何なんだろう。
そして主人公にとっての光とは何なんだろうということを追体験するような形で見ていくわけです。
そこで僕は単純にこのSF小説、SF映画というのを楽しんでいるわけなんですけれども、
社会にとってこういうSFというジャンルが必要だなと思う理由がありまして、
それはやっぱりこの影の部分をリアルに描く。
そしてそれが何らか未来の私たちにとって抑止の働きを持つということだと思うんですよね。
それはSFの一つの意義だなっていうふうに思うわけです。
つまり何が言いたいかというとですね、仮に完全自動運転車が普及したという時に、
いいことばかりではなさそうだなってことは何となく私たちにも想像ができる。
でも、じゃあ実際にどんなデメリットがあるのかというのを完全に説明できる人っておそらくいないと思うんですよね。
あるいは超現場に近いエンジニアだったり技術者の方は想像がつくかもしれない。
でもこのSF作家が物語を通してなるかもしれない負の側面だったり、
ある種その負の側面だと思われなかった何か、
そうですね、良いと思われていたことが回り回ってディストピアを作り上げる。
そんな世界観を物語の形に落とし込むことによって、僕たちが想像力を働かすことができると思うんです。
だから完全自動運転車が普及すればいいな、でも何か悪いことが起きそうな気がすると漠然に思っていたことから、
例えばこのサーキットスイッチャーを読むことによって、
あ、なるほど、確かに完全自動運転車あったらいいけれども、
あった先にこういう問題が発生するのかということがありありと想像ができる。
まあこれはあくまで一つの見方であって、
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それ以外にもあるかもしれないし、そのデメリットを上回るメリットがあるかもしれない。
そういうことだと思うんですよね。
だから想像力がより豊かになるっていうことが僕は言えるんじゃないかなと思ってます。
それがSFの意義だし、SFが世界に必要な理由だなって思うんですよね。
まあ単純にエンタメとしてももちろん楽しいんですけれども。
まあそれを改めて感じた小説でしたね。
ここから先は余談になりますが、
冒頭に申しました通り、この庵野さん、著者の庵野さん、都知事選に立候補されてまして、
まあおそらくその都知事にはなられないのではないかなと、
ちょっと得票率的にはちょっと難しいのではないかなと個人的には思っていますが、
この庵野さんが立候補した意味というのは、
まあ少なからずあるなって僕は思いました。
なぜなら彼が立候補することによって、
このSF的世界観っていうのは、まあ少なくとも僕には届いたんですよね。
このサーキットスイッチャーを通じて。
彼が公約として掲げていることだったり、まあ議論するしますよね、いろんな方と。
でそれを通じて彼が思い描くような、SFに近いようなテクノロジーの世界、
テクノロジーを使った世界のあり方の正の側面と負の側面を、
みんながまた議論しようとする、したくなるということにおいて、
彼が立候補した意義は、もう少なからず今の時点であるのかなって思いますし、
まあ仮に都知事にならなかったとしても、
彼の今後の動向に注目したいなと個人的には思ったりしました。
と言いつつ、僕は都民ではないので、そもそも選挙権もないですし、
都知事に彼がふさわしいかどうかは、またそれは別の問題だなって思ったりはします。
まあでもSFはね、まあ理屈抜きにいいですよ。
サーキットスイッチは本当におすすめ、面白かったのでぜひ読んでみてください。
というわけで今回は以上になります。最後までお聞きくださりありがとうございました。ではまた。
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