小説の概要とテーマ
このチャンネルは、介護業界・福祉業界で約20年働き、現役のケアマネージャーである私、やまと ゆきが介護の話や、自身で作ったノート、ライフデザインノートのお話をさせていただくチャンネルです。
おはようございます。やまと ゆきです。
今日は、とある小説についてお話させていただきたいと思います。
この小説を読んで、あなたはどう思いますか?
今回ご紹介する小説は、日経保史新一章第4回受賞作品集の中にある優秀賞東京エレクトロン賞を受賞された沢秀明さんの『パーフェクトケア』です。
この小説は、同じく小説が好きな作家さんに教えていただきました。
パーフェクトケア、こちらのお話の内容を少しお伝えします。
ある時代のある場所、とある博士がおいしそうに野菜を作っている。
だけども、そこはもう、いろいろな技術が発達し、野菜でさえ農家がなくなって人工的に作る世界になっていました。
その世界で、とある一つの老婆が現れます。
その人は自分のこともわからず、徘徊をし、娘が片時も目を離せない状態でした。
そこで一人の男性が声をかけます。
私が作った施設でお母様を見ましょうか、と。
そこからは、介護を受ける母側の視点が始まります。
優しい木漏れ日が入ってくる部屋。
怒らない娘。
物をどのように食べてもにっこりと笑っている娘。
娘の友人が部屋に来て、いろんな時代の話をしてくれる。
そして、自分が言っていることを何も失礼せずに、その娘も娘の友達も聞いてくれている。
穏やかな環境。とてつもなく温かい環境。
だけど本当は、この世界は作られたバーチャル世界であった。
バーチャル世界に人間の意識を飛ばし、体は完全なロボットが解除をする。
排泄も栄養もコントロールされている。
寝たきりの状態になる。
そして、その女性の娘が男性に電話をかけた。
今、うちの母は亡くなりませんでしたか、と。
今、うちの母は亡くなりませんでしたか、と。
ちょうどその時に、女性の心拍が停止したというのを連絡するところでした。
女性はその男性に言います。
本当にこれでよかったんでしょうか。
私は母を捨てた白状な娘であったんではないでしょうか。
男性は言います。
子供が親の介護をして生活が立ち行かなくなることは、自然の節理に反している。
だけども、その言葉を発したが後、娘は電話を切りました。
その言葉を受けて、男性はずっと心の中に何かしこりが残っています。
本当にこれでよかったのか、どうなんだろうか。
そして物語は最後のシーンへと移っていきます。
この最後のシーンは結構ゾクッとするので、皆さん実際に見ていただいた方がいいかなと思っています。
親子の関係と介護の問題
ホントというサイトで、無料で見れるようになっておりますので、登録は必要なんですけれども、
他の星新一章の作品も見れるようになっておりますので、
短編で結構楽しい、面白い小説がたくさんありますので、見ていただくことをお勧めします。
このお話を聞いて、皆さんどう思いました。
近く、このお話は本当になるかもしれないと思った方もいらっしゃるかもしれません。
この世界が良い悪いではなく、
この男性が言っていたように、子供が親の介護をすることで、子供の生活が立ち行かなくなる。
それは自然の摂理に反している。
確かにそうだよなと思う反面、
それらに対して適切なケアができているのかなということも思っています。
このバーチャルな世界での自分たちが生きていくことに関しては、
どうなのかな、現実的にどうなのかなというふうは思ったりはするんですけれども、
何が幸せなのか。
バーチャルで優しい娘と地域の人に見守られて、
本当は寝たきりであるけれども、それは幸せなのだろうか。
現実でずっと娘と一緒にいたら、この小説でもあったんですけれども、
もしかしたら取り返しがつかないことを娘はしてしまったのではないかというところも出てきました。
すごい難しい問題だと思います。
私自身はどうだろうと思ったときに、
私はこの生活をもしかしたら望むかもしれないと思いました。
いろんな自分の母のことを見てきたりですとか、
自分の子供のことを考えたりすると、
子供にはやっぱり心配をかけたくない、迷惑をかけたくない、
そう思う親も多いのではないでしょうか。
もちろん、子供を産んで育てたんだから、私たちの面倒は見るべきという風に思っている方が多いというのも重々承知しています。
だけれども、生まれてきてその子の一生というのは、
親はもう関与しないというか、その子がどう生きていくのかを見守るのが親の責務だと思っているので、
私たちの面倒まで見てもらおうなんて私は思っていません。
そして、この施設がもしできたら、私はそのときどう思ってどう判断するのか、
もしかしたらそんなに遠くない未来のお話かもしれません。
5年後、10年後、そして私がきっと介護を受けるのは40年、50年後、
そのときにはどのように世界が変わっていくのか、
悲観的な思いではなく、私は少し楽しみを込めてどういう風に変わっていくのかなというのを見続けていきたいと思っています。
皆さんの感想もお知らせいただけたら嬉しいです。
そして私はこの作品をもってもう一つゾッとしたことがあります。
この話の中でも、介護をしているのは娘だったということです。
もしかしたらわかりやすくとか、意図もなくそういう風に書かれているのかもしれません。
これは作者さんに対しての意見等ではなく、皆さんの価値観についてもお伺いしたいというところになります。
なんとなくこういう話って、女性がメインで介護をしているという風な作品が多くありませんか。
それはなぜでしょうか。
私はこの問題にも少しずつお話をしていきたいと思っています。
今日は、保史審議受賞作品、パーフェクトケアのお話をさせていただきました。
概要欄に小説のリンクを貼っておきますので、よければ見てください。
そして、見ての感想をお知らせいただけたらと思います。
今日が皆さんにとって素晴らしい一日になりますように。
それではまた次回。