広島市在住のシャオヘイが、飲食店と顧客の間にある様々な課題や問題に対する僕の考えや、特定の料理についてお話します。
その他には個人的な体験や経験なども。
ぜチャンネル登録をお願いします!
このポッドキャストは未認証のため、最新エピソードのみ表示されます。
快食ボイス720・高いものが欲しいわけじゃない──お金は「応援」の道具である
はじめに──「お金の使い道がなくなってきている」というポスト Xで「お金の使い道がなくなってきている」というポストを見かけた。 これがなかなかの反響で、インプレッションは1,000万超。相当読まれている。 このポストが指摘しているのは、単なる節約論ではない。 「お金があっても、体験の差がつきにくい時代になった」という感覚だ。 https://x.com/gatigatitv/status/2018271357159838100 --- スマホも車も、もう差がつかない たとえばスマホ。 どんなに最高級のiPhoneを買っても、アメリカ大統領が使っているiPhoneと、僕が使っているiPhoneの本質的な違いはほとんどない。 バージョンは違っても、できることはだいたい同じだ。 車も同様。 「安全に目的地まで移動する」という目的だけを考えれば、僕が乗っている軽四で何の問題もない。 日本で普通に働いていれば、中古車を含めて車が買えないという状況は、少なくとも珍しい。 映画もそうだ。 100万円払わないと観られない名作映画など存在しない。 今やNetflixやAmazon Primeがあれば、名作は等しく観られる。 つまり、お金の多寡によって、経験の質が劇的に変わる場面が減ってきているのである。 --- 高級料理は「情報」を食べているのか このポストで面白かったのは、食事の話だ。 5万円のミシュラン三つ星の和食に行ったけれど、薄味で大して美味しくなかった。 高級料理とは、「〇〇産」「今日獲れた」「何時間熟成」といったストーリーを聞くためにお金を払っているのではないか──そんな皮肉が書かれていた。 これは意地悪な言い方ではあるが、一部は本質を突いている。 ワインの話も同じだ。 10万円のワインと1万円のワインに、10倍の価値の差があるかと言われれば、そんなことはない。 ワインは開けてからの時間、変化の過程、温度、文脈など、評価軸が多い飲み物だ。 それを無視してにビールのように「ポンと開けてグビグビ飲む」なら、違いが分からなくても不思議ではない。 --- 限界効用低減という、経済学的な視点 ここで思い出されるのが、経済学でいう限界効用低減の法則である。 一単位あたりの満足度は、消費を重ねるほど下がっていく、という考え方だ。 このポストの書き手は、「すべてがコモディティ化した現代で、なぜお金が必要なのか」という問いを立て、最終的にこう結論づけている。 お金は自由を買うために使うのが、いちばん価値が高い。 これはこれで、一つの真実だと思う。 --- 僕は高いものを、あまり必要としていない ただし、これはあくまで一つの切り取り方だ。 僕自身の話をすれば、高い車はいらないし、ドレッシーな服も必要ない。 住まいも今の賃貸で十分だ。 自分で買って食べる食材も、普段は決して高いものではない。 Xを見ている人は知っていると思うが、僕は「高いから買う」ことはほとんどしない。 買うのは、この値段でこの内容は素晴らしいと思えるものだけだ。 --- 価値に気づかれていないものは、安い 多くの人がその価値に気づいていないものは、たいてい安い。 そして、そういうものこそ、僕は紹介する意味があると思っている。 最近よくポストしている「チヌ(黒鯛)」がまさにそうだ。 今、驚くほど美味しい。 それなのに「えー?チヌでしょ?」という扱いをされて、値段は安い。 市場価値(値段)とは、旨いか旨くないかではなく、多くの買い手の認識で決まる。 ここに、お金の面白さがある。 --- お金は「応援できるツール」である ここからが、僕の視点だ。 僕にとってお金とは、誰かを応援できるツールである。 お金がなければ、応援したくてもできない。 お金があれば、いろんな人を応援できる。 ロールス・ロイスが好きなら、買うことで応援する。 レストランが好きなら、通うことで応援する。 魚屋が頑張っていると思えば、そこで魚を買う。 僕の場合は、さらに「ここは美味しいですよ」と発信することで、応援の幅が広がる。 --- お金は「投票権」に似ている お金は、ある意味で投票権のようなものだ。 政治の選挙では一人一票だが、お金を多く持っている人は、それだけ多くの「票」を持っている。 コンビニでお金を使えば、コンビニを応援していることになる。 チェーン店やフランチャイズは、規模の経済という意味で本当にすごい。 ただ、僕が応援したいのはそこではない。 僕が応援したいのは、広島で頑張っている個人の飲食店であり、飲食店という文化そのものだ。 --- 推し活としてのお金 僕は決してお金持ちではない。 高級店に頻繁に行けるわけでもない。 それでも、他にあまりお金を使わない分「食べること」には比較的お金を使っている。 これは僕にとって、推し活なのだ。 お金をたくさん持っているということは、 自らの価値観に基づいて、様々な推し活ができるツールを持っている、ということでもある。 --- おわりに──自由の先に、何を残すのか お金は抽象的な概念だ。 紙幣という形も取るが、本質的にはただの数字であり「変換可能性」にこそ価値がある。 自由を買うこともできる。 だが、自由を得たあとに何をするのか、という問いが必ず残る。 誰かを応援する。 残ってほしいものを、続いてほしいものを支える。 僕はそこに、お金を介した、人間的な関係があると思っている。 --- stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。 https://stand.fm/channels/664b04d7316143a77174b611
快食ボイス719・「グランメゾン・パリ」を観て、いちばんの衝撃は「屋号」だった
はじめに──話題作を今さら初視聴してみた 今回は、Amazon Prime Videoで配信されている映画「グランメゾン・パリ」を観たので、感想を整理しておこうと思う。 この作品は、かつてドラマとして放送された「グランメゾン東京」の流れを汲む映画であり、「東京で三つ星を獲得したチームが、次はパリで三つ星を目指す」という物語だ。 パリでは二つ星止まりだったところから、さまざまな紆余曲折を経て三つ星に到達する、というのが大枠のストーリーだ。 --- 木村拓哉さんという俳優と「不機嫌マネジメント」 正直に言えば、僕はこれまで木村拓哉さんの出演作を積極的に観てこなかった。 理由は単純で、テレビ画面越しに見る彼が、いつも不機嫌そうだからだ。 不機嫌であることによって周囲をコントロールする——いわゆる「不機嫌マネジメント」は、人間関係における一つの手法ではあるが、決して健全なものではない。 実は僕自身も、若い頃にはその傾向があった。 理不尽な出来事に遭遇しても指摘せず、ただ不機嫌になり、距離を取ることでやり過ごす。 そうした態度を徐々に改めてきたという自覚がある。 だからこそ、他人がそれをやっているのを見ると、どうしても気分が良くならない。 「人の振り見て我が振り直せ」とは、まさにこのことだろう。 そんな理由から敬遠していたが、評判もよく、あちこちで話題になっていたため、今回ようやく腰を上げて観てみた。 --- いちばんの衝撃は「グランメゾン」が屋号だったこと 映画を観て、まず驚いたのはここである。 「グランメゾン・パリ」「グランメゾン・東京」というのは、作品タイトルではなく、レストランの屋号だったのだ。 これは正直、かなりの違和感があった。 たとえば銀座に「一流料亭・東京」という店があったらどう思うだろうか。 あるいは京都に「老舗割烹・京都」という店があったら、首を傾げないだろうか。 少なくとも、日本人の感性ではまず出てこない命名だと思う。 それだけに、観るまでこの事実に気づかなかった僕は、かなり驚いたし「みんな違和感を覚えないのだろうか」と不思議にも感じた。 この屋号こそが、結果的にこの映画でいちばん心に残った要素だった。 --- 映画としては王道中の王道 物語の構造自体は、きわめてトラディショナルである。 - 挫折から始まり - ドタバタとした危機が続き - ギリギリの状況をチャンスに変え - 感動的なフィナーレを迎える いわゆる「ど定番」のプロットだ。 そのため、正直に言えば先が読めすぎるところもあり、「もう分かっている展開だな」と感じる場面も少なくなかった。 また、「チームで頑張れば乗り越えられる」「みんなで力を合わせれば勝てる」という描写も、日本的で分かりやすい反面、かなりステレオタイプではある。 --- 料理とフランスという舞台への違和感 料理の発想や内容についても、僕個人としては強く感心することはなかった。 ミシュランやフランス料理に関する本をそれなりに読んできた身としては、「これで三つ星は無理だろう」と感じる部分がどうしても出てくる。 さらに言えば、フランスという国の文脈が十分に活かされているかという点にも疑問が残った。 フランスは移民の多い社会であり、映画内にもアフリカ系の登場人物が描かれている。 しかし「この店でなければならなかった理由」が、料理や思想として十分に描かれていたかというと、やや弱い印象を受けた。 もちろん、これは僕が面倒くさい観客であるがゆえの感想でもある。 --- それでも、最後はやはり感動する とはいえ、ラストシーンではしっかりと感動してしまった。 これは否定できない。 木村拓哉さんの演技も、ここにきて効いてくる。 ずっと抑えた、不機嫌にも見える演技を積み重ねてきたからこそ、終盤の静かな表情が強く響く。 その点においては、やはり一流の俳優だと感じた。 --- おわりに──気軽なエンタメとしてなら十分 総じて言えば「グランメゾン・パリ」は非常に分かりやすい映画だった。 王道のプロットに忠実で、安心して観られるエンターテインメントだ。 「心に深く残る一本か」と問われると、それはない。 しかし、レストランという世界をざっくり理解する入口として、あるいは気軽に楽しむ映画としては、十分に役割を果たしていると思う。 フレンチの料理人を目指す人や、食の世界に興味を持つきっかけになるのであれば、それはそれで価値がある。 僕の感想はレストラン好きに「必見」ではないが「ライトな視聴に向く映画」——そんな一本だった。 --- stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。 https://stand.fm/channels/664b04d7316143a77174b611
快食ボイス717・SNSは誰のためにあるのか、という当たり前の話
はじめに──ワタリガニを食べに行った話から 今回は本題に入る前に、少しヨタ話から始めたい。 先日、ワタリガニを食べに行った。 僕は普段、魚屋で魚介を買うことが多いので、正直に言えば「刺身を食べに店へ行きたい」と思うことはあまりない。 その店でしか成立しない仕立てをしてくれるなら話は別だが、そうでなければ「それなら自分でやれるな」と思ってしまうことが多い。 だが、エビやカニといった甲殻類は別である。 ここであらためて、活かしの重要性を痛感した。 --- 活かしが効く食材、効かない食材 活かしとは、生け簀や水槽で生かした状態のまま保つことを指す。 魚屋に並ぶ魚介は、運がよければギリギリ生きていることもあるが、多くは半死半生、もしくはすでに死んでいる。 魚の場合、生け簀で泳がせておくことには限界もあるし、活け造りのような提供方法を、僕はおいしいと思わない。 残酷さもあるし、今の時代、生け簀を持つ店自体が減っているのも自然な流れだと思う。 だが、甲殻類は違う。 --- カニは「生きている」ことに意味がある カニは、必ず加熱前に〆る。 これはアニマルウェルフェアの観点もあるが、実利的な理由も大きい。 カニには「自切(じせつ)」という性質があり、生きたまま湯に入れると、ストレスで脚を落としてしまう。 すると、その断面から湯が入り、水っぽくなってしまうのだ。 だからこそ、一瞬で〆てから蒸す、あるいは茹でる。 これができるかどうかで、仕上がりは決定的に変わる。 --- 瀬戸内のワタリガニが、今年は当たりだ 今年は、瀬戸内海のワタリガニが比較的よく獲れている。 例年より少し安い……とはいえ、もちろん安くはない。 今は2月。 メスが内子を持っていて、とにかくうまい。 カニ酢など一切不要。 身をほじって、そのまま食べるだけで成立する。 しかも驚いたのは、手がまったく臭くならないことだ。 普通なら、食べ終わったあとにおしぼりで何度も拭きたくなるものだが、それすら必要ない。 ベタつきも、匂いもない。 生きている個体を、すぐに〆て調理する。 この条件が、ここまで結果に出る食材は、そう多くない。 --- どこで食べられるのか、という話 「それ、どこで食べられるんだ?」と思われるだろう。 2月7日(土)昼から、RCCの「ひな壇団」で、その店が紹介される。 メインは別の料理だが、今話しているワタリガニも食べることができる。 実は撮影中、僕はほんの一口しか食べられなかった。 あまりにも悔しかったので、今回あらためて予約して食べに行ったのだ。 それくらい、おいしい。 --- ここから本題──「やっていない店」に振られる話 さて、ここからが本題である。 最近、立て続けに2度、店を訪ねたら営業していなかったということがあった。 どちらの店もInstagramをやっており、事前に確認して行っている。 にもかかわらず、店の前に行くと「臨時休業」と貼り紙があるだけ。 これは、正直かなり困る。 --- SNSをやる目的は何なのか 昔は僕のように遠方の飲食店にわざわざ訪れる人は少なかったが、今や、飲食店をを紹介するインスタグラマーは山ほどいて、僕と同じような行動をとっている。 SNSの目的は、店を知ってもらうことだけではない。 無駄足を踏ませないこと これも、極めて重要な役割だ。 急な事情が起こるのは仕方がない。 体調不良もあるし、事故だってある。 だが、だからこそSNSがある。 情報を出していれば、来る側は必ず確認する。 それをしないというのは「SNSをやっている意味がない」と言ってもいい。 --- 味が良くても、紹介できない店がある 今回振られた店のひとつは、味が良いことを知っている。 それでも僕は、「もう行かなくてもいいかな」と思っている。 なぜなら、そういう店は必ずまた同じことをやるからだ。 そして、もし僕がテレビで紹介したとしても、同じことが起きる。 遠方から、時間と交通費をかけて来たが「やっていなかった」としよう。 これは、視聴者にとって強烈にネガティブな体験になる。 理屈の上ではその店の責任だ。 だが感情としては、「紹介した側」にも矛先が向く。 それは、人間として自然な反応だと思う。 --- 営業日を守れない店は、社会人としてどうなのか 完全予約制なら話は別だ。 予約がある以上、店も責任を持つ。 万が一の事態が起きたとしても、電話番号がある、SNSがある。 連絡手段はいくらでもある。 これは、飲食店に限った話ではない。 サラリーマンでも同じだ。 アポをすっぽかす人間が、信用されるだろうか。 会社に行ったら誰もいない、何の説明もない。 そんな取引先があれば、普通は距離を置く。 一事が万事だろう。 --- SNSは「集客ツール」ではなく「関係構築ツール」だ SNSは、自分が気持ちのいいことを書く場所ではない。 本当は書きたくないことも、書かなければならない。 それは、これから来てくれるかもしれない人との関係を、少しでも良くするためだ。 取引先との約束を守ることができなければ、長く社会と関わりを続けることは難しい。 僕は、そう考えている。 --- stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。 https://stand.fm/channels/664b04d7316143a77174b611
快食ボイス716・わくわくする料理を食べたいし、わくわくする食材を調理したい
はじめに──「わくわくする瞬間」というお題から noteのお題に#わくわくする瞬間というものがあった。 今回はそれに乗っかって、僕なりの「わくわく」について少し書いてみたい。 テーマはごくシンプルで、食材の話だ。 --- わくわくしないものは、なるべく買わない 僕が普段、買い物をするときにざっくり決めていることがある。 それは、わくわくしないものは、できるだけ買わないということだ。 「あ、これいいな」 「食べてみたいな」 そう思えるものを選ぶようにしている。 義務で買わない、というのがポイントだ。 --- 江田島で出会った、地物のタコ 先日、ロケで江田島に一日行っていた。 その合間に、えたじま〜れ(産直市)に立ち寄る時間ができた。 建物の横のテントでは魚介が並んでいて、メバルや〆鯖もあったが、僕の目を引いたのはタコだった。 瀬戸内海のマダコは、今やかなり高価である。 それが、茹でた足一本で340円ほど。 しかも、茹でてあった。 保冷剤もない状況だったので刺身は避け「茹でダコなら問題ない」と判断して購入した。 このとき意識したのは、メスを選ぶこと。 マダコはオスとメスで味が違い、 僕は明確にメスの方が美味しいと感じている。 帰宅後、薄くスライスして食べたが、久々に旨いタコを食べて嬉しかった。 --- 食べてみたい、という好奇心 他にも、目に留まったのが「イタリアの菜の花」と書かれた野菜だった。 名前はレッチェ・ナタリア。 見慣れない名前だが、それだけで十分にわくわくする。 僕が買い物をするときは、だいたいこんな感じだ。 魚でも野菜でも、 「これ、食べてみたいな」 「これはおいしそうだな」 そう感じたものだけを選ぶ。 --- 義務でつくる料理は、楽しくない 一人暮らしだから、そんなことが言えるんだと思われるかもしれない。 だが、家族と暮らしていてもでも同じではないか。 義務でつくる料理は、楽しくない。 「作らなくちゃいけないから作る」 そのマインドになると、途端に面倒になる。 だから僕は、そうならないように意識的にわくわくを優先している。 --- スーパーを20分うろうろする理由 いつもわくわくするものがあるわけではない。 だから探す。 魚売り場を20分うろうろすることもある。 「今日は何か、琴線に触れるものはないか」と。 産直市では、ほぼ確実に「これだ」という野菜に出会えるので嬉しい。 時間をかけるのは、無駄ではない。 --- 忙しい日は、コンビニでもいい 忙しくてスーパーに行けない日もある。 県庁時代は、まさにそうだった。 そんなときは、コンビニで十分だ。 大切なのは、その中から「少しでもわくわくするもの」を選ぶこと。 健康面が気になるなら、 スティックサラダや千切り野菜を一品足せばいい。 砂を噛むような食事は、楽しくない。 --- 外食でも「今、食べたい」を大切にする 外で食べるときも、同じことを意識している。 特に重視しているのは季節感だ。 寒い日に、冷たい料理は食べたくならない。 体が求めていないものは、美味しく感じない。 この日、昼に食べたのはスンドゥブチゲだった。 ぐつぐつ煮えたそれは、寒い日に最高だった。 もし同じ韓国料理でも、冷麺を選んでいたら、きっと後悔しただろう。 --- 好奇心は、掘り起こすもの 常に好奇心を持ち続けるのは、瑞々しい感性を保つことと同様、簡単ではない。 それでも、掘り起こすことはできる。 食材を前にして、 「どう食べようか」 「どうしたらおいしいか」 そう考えるだけで、料理は楽しくなる。 --- どうしても嫌なら、任せてもいい もし料理が本当に苦痛なら、面白がってくれる人に任せるのも一つの手だ。 普段やっていない人ほど、好奇心がある。 それが難しいなら、有名店のレトルトカレーでもいい。 有名店のラーメンでもいい。 「上に何をのせようか」 「どんな酒を合わせようか」 それだけで、少しわくわくする。 --- おわりに──食卓から、生活を豊かにする 食後の果物でもいい。 今の季節のものを楽しみにするだけでいい。 食材でも、既製品でも、弁当でも構わない。 食べるときに、気持ちが少し湧き立つこと。 それを意識するだけで、日々の生活は、少し豊かになる。 僕はそう考えている。 --- stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。 https://stand.fm/channels/664b04d7316143a77174b611
快食ボイス715・2人に1人ががんになる、の本当の意味
はじめに 昼食で入った店で、ふと耳にした会話の話だ。 それは、よくある日常会話でありながら、実はかなり危うい認識を含んだものだった。 ワンオペで店を切り盛りしている40代ほどの男性と、常連と思しき60代の男性。 前者が「今年はがん検診を受けようと思っている。家系的に心配なので」と話したところ、後者がこう返した。 「がんは遺伝なんて関係ない。何を食べているかで決まる。コンビニ弁当ばかり食べてたらすぐがんになる。YouTubeを見ろ。医者がちゃんと解説している」 それに対し、店の人は「そうですよね」「今は2人に1人ががんになりますしね」と相槌を打つ。 そのやり取りを聞きながら、僕は心の中で「まてまてまてまて!」と呟いていた。 --- 食べ物でがんになる、は本当か まず整理しておく必要がある。 「食べるものががんに関係するか」と言えば、関係はある。 これは否定しない。 例えば、度数の高い酒をストレートで長年飲み続ければ、咽頭がんのリスクは確実に上がる。 実際に、そうした生活習慣とがん発症の関連が強く疑われる事例は存在する。 ただし、それは「これを食べたらすぐがんになる」という話とはまったく別物である。 --- がんとは何か――コピーエラーの話 がんとは、端的に言えば細胞のコピーエラーである。 人間の体では、日々無数の細胞分裂が行われている。 その際、遺伝子情報のコピーが行われるわけだが、通常は非常に精度が高い。 しかし、 ・炎症が起きている ・細胞分裂が過剰に起きている ・加齢によってエラー率が上がる といった条件が重なると、コピーエラーが起きやすくなる。 多くのエラー細胞は、そのまま死滅する。 また、免疫システムが早期に排除する。 だが、一部が異常増殖を始めると、いわゆる「がん化」が起きる。 つまり、がんは「おかしな遺伝子コピーが、生き残ってしまった結果」なのだ。 --- 遺伝は関係ない、は乱暴すぎる この構造を考えれば明らかだが、遺伝が関係しないはずがない。 ・エラーが起きやすい体質 ・修復機構の弱さ ・特定のがんにかかりやすい素因 これらは、かなりの部分が遺伝的要素に依存する。 食べ物も関係する。 遺伝も関係する。 生活習慣も関係する。 どれか一つだけで語るのは、あまりにも雑である。 --- 保存料は「完全な悪」ではない よくある話に「保存料=がんになる」という単純化がある。 だが、保存料はそもそも食中毒を防ぐための技術である。 毒性の強い物質であれば、そもそも食品として認可されない。 もちろん、私自身も保存料たっぷりの食品を積極的に食べたいとは思わない。 しかし、保存料は「食中毒のリスク」と「添加物のリスク」のトレードオフの中で使われている。 完全な悪者ではない。 --- YouTube医療とエコーチェンバー 問題はここからだ。 YouTubeにはレコメンド機能がある。 一度、陰謀論めいた医療動画を見ると、次々と似た動画が流れてくる。 そうすると、「これが世の中の常識なのだ」という錯覚が生まれる。 いわゆるエコーチェンバーである。 しかも厄介なことに「医者が言っている」という権威が乗っかる。 だが、優れた医師はYouTubeで自説を発表しない。 学会で発表し、専門家同士で検証され、再現性が確認されたものだけが標準治療になる。 --- 標準治療とは何か 標準治療とは「このがんには、この治療法が最も生存率が高い」という、現時点での最適解である。 それは個人の体験談ではない。 サンプル数1の成功談でもない。 もし初期段階で ・民間療法 ・食事療法だけ ・怪しい理論 にすがって治療のタイミングを逃せば、取り返しがつかない。 実際、それで亡くなった有名人は何人もいる。 --- 「2人に1人ががんになる」の本当の意味 よく言われる「2人に1人ががんになる」という言葉も、誤解されやすい。 がんはコピーエラーであり、年齢とともに確率が上がる。 平均寿命が伸びた結果、がんで死ぬ人が増えたに過ぎない。 戦前は感染症。 戦後は脳血管疾患。 そして現代はがん。 これは医療の進歩の裏返しでもある。 --- 食事・塩分・リスクの話 日本の食生活は、歴史的に塩分過多になりやすい。 地域差も大きい。 ただし「塩分を極端に恐れる」のも違う。 食べる喜びをすべて削ってまで、ゼロリスクを目指すことはできない。 リスクは常に取り方の問題である。 --- 最後に――科学的に考えるということ 命に関わる話ほど、科学的に考える力が必要になる。 これは頭の良さの問題ではない。 普段から、正しい知識を自分の中にインプットしているかどうかだ。 非常時に、ゼロベースで判断できるかどうか。 それが、生死を分ける場面もある。 人生は有限で、死因は選べない。 だが、生きている時間をどう使うかは選べる。 YouTubeのトンデモ医療に時間を奪われるより、きちんと考え、きちんと食べ、きちんと生きる。 それが、今の時代における一番の養生なのではないかと、僕は思う。 --- stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。 https://stand.fm/channels/664b04d7316143a77174b611
こちらもおすすめ
@narumi のつぶやき
声低おじさんの独り言です。 たまにゲストも呼んだりします。
桃山商事
コミュニケーション、男性性、恋愛、人間関係、ジェンダー、ケア、孤独、性欲、会社、友情、老い……メンバーがその時々で気になったテーマを1つ設定して、モヤモヤを言語化していくNEOな座談Podcastです。2011〜2016年「二軍ラジオ」(ApplePodcast)、2017〜2024年「恋愛よももやまばなし」(ニコ生→Podcast)を配信していました。清田隆之(文筆業)、森田(会社員)、ワッコ(会社員)、さとう(会社員)の4人でお届けします。
jkondoの朝の散歩
ポッドキャストプラットフォーム「LISTEN」や、GPSトラッキングサービス「IBUKI」、物件メディア「物件ファン」、京都の宿とコワーキング施設「UNKNOWN KYOTO」を運営する近藤淳也(jkondo)が、朝の散歩をしたりしながら、日々の出来事や考えたことを語ります。
上坂あゆ美の「私より先に丁寧に暮らすな」
歌人・エッセイストの上坂あゆ美(+京都の僧侶・鵜飼ヨシキ)による雑談配信。人生の呪いからファミレスの好きなメニューの話まで幅広くお届け。 【初めての方におすすめ回】 #30 お菓子が人間だったら誰と付き合いたいか真剣に考える https://open.spotify.com/episode/751EzuNXjpgP2i53P7OtX7?si=XxN2eddURsas_JWE6KFu-A #163 恋愛ってマーージでクソだと思っている人の話 https://open.spotify.com/episode/1WgeglhRT5GQfqzkBO2bNF?si=1l0b2OBlTJq ▼ご意見ご感想は #よりすな ▼お悩みや質問はコチラまで https://forms.gle/1bqryhYcDWt334jZ7 ▼番組公式SNS https://x.com/yori_suna ▼番組へのお問い合わせはコチラまで yorisuna24@gmail.com ▼ポッドキャストの書き起こしサービス「LISTEN」はこちら https://listen.style/p/yorisuna?Egq5AoBB
楽しいラジオ「ドングリFM」
都内IT系の2人が話すポッドキャスト番組です。最近話題のニュース、日常に役立つ面白ネタなどを話します。国内・海外のIT事情に興味ある人にオススメの内容になっています。 ・お便りは https://goo.gl/p38JVb まで ・詳しいリンクはこちら https://linktr.ee/dongurifm ・リスナーコミュニティ「裏ドングリ」は以下からどうぞ https://community.camp-fire.jp/projects/view/206637 https://donguri.fm/membership/join BGMと最後の締めの曲はフリーBGM・音楽素材「 http://musmus.main.jp 」より。
近藤淳也のアンノウンラジオ
株式会社はてな創業者であり現在もITの第一線で働く近藤淳也が、京都の宿UNKNOWN KYOTOにやって来る「好きなことを仕事にしている人」を深堀りすることで、世の中の多様な仕事やキャリア、生き方・働き方を「リアルな実例」として紐解いていきます。 . 【ホスト:近藤淳也】 株式会社OND代表取締役社長、株式会社はてな取締役、UNKNOWN KYOTO支配人、NPO法人滋賀一周トレイル代表理事、トレイルランナー。 2001年に「はてなブログ」「はてなブックマーク」などを運営する株式会社はてなを創業、2011年にマザーズにて上場。その後2017年に株式会社ONDを設立し、現在もITの第一線で働く。 株式会社OND: https://ond-inc.com/ . 【UNKNOWN KYOTO】 築100年を超える元遊郭建築を改装し、仕事もできて暮らせる宿に。コワーキングやオフィスを併設することで、宿泊として来られる方と京都を拠点に働く方が交わる場所になっています。 1泊の観光目的の利用だけではなく、中長期滞在される方にも好評いただいています。 web: https://unknown.kyoto/ . こちらから本文を読んだりコメントが書けます! https://listen.style/p/unknownradio