広島市在住のシャオヘイが、飲食店と顧客の間にある様々な課題や問題に対する僕の考えや、特定の料理についてお話します。
その他には個人的な体験や経験なども。
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快食ボイス826・なぜ外国人に日本の料理が絶賛されるのか気づいた
日本の料理はこの20年でそんなに変わっていない 今、日本料理が外国の人たちにめちゃめちゃ受けている。 「日本の料理最高」とSNSで言われている。 でも僕からすると、日本の料理はこの20年、そんなに変わっていない。 トップレベルの店はいろいろ進化しているけれど、町場の料理はずっと変わらず美味しかった。 もちろん年々少しずつは良くなっている。 僕が20代の頃、30年前は今から考えると驚くほど不味い店もあったけれど、今はもうそんな店はほとんど残っていない。 情報が民主化されたことにより閉店してしまったのだ。 つまり、日本の料理は昔からずっと美味しかった。 「和食」という狭い意味ではなく、我が国の料理という意味での日本の料理は、基本的にずっと美味しかったのだ。 だとすれば、最近になって外国の人たちが急にベタ褒めし始めたのは、料理が変わったからではなくて、受け止め方が変わったからではないか。 今日はそういう、学術的な裏付けのない、僕のフィーリングの話をしてみたい。 --- 保守とリベラルは、本能と理性の話だと思う 政治の話だと思わないでほしいのだけれど、「右」と「左」という言葉がある。 右は保守、左はリベラルと言われる。 この本質はどこにあるのかというと、保守というのは人間の生き物としての本能、野生的な感覚に近いところにあると僕は思っている。 弱いものは叩いていい、強いものが総取りしていい、力の強い男性の方が優位であるべきだ、というのはかなり動物的な発想だ。 これに対してリベラルは、その本能をどう克服するかという話になる。 資本主義が生まれた頃、万人の万人に対する闘争状態だと指摘したのはたしかホッブズだったと思うけれど、我々はその野生動物的な状態を克服しなければならない、人間はもっと理性的な生き物なのだから理性に則って生きるべきだ、というのがリベラルの発想だ。 男女で差別をするのはおかしい、生まれながらの貧困がそのまま固定されるのはフェアではない。 そういう感覚だ。 こうしたリベラリズムは一時期、世界的にかなり強く支持されていた。 オバマさんの頃のアメリカなどは正にそうだった。 それが今、トランプさんの時代になって、もっと本能的な方向に振れている。 これはアメリカだけでなく、ヨーロッパでも日本でも同じような流れがあると思う。 --- 15年前のレストランは、みんな「意識高い系」だった 実はレストランの世界も同じだった。 15年ほど前、僕が当時読んでいた本を今読み返しているのだけれど、ニューヨークの一流シェフたちが口にしていたのは、グリーン化、ローカリズム、サステナブル、オーガニック、エアルーム(伝統品種)、フェアトレードといった言葉だった。 生産地を買い叩かず、エネルギーと水を節約する、メニューは再生紙で、食器や椅子は地元アーティストの作品を使い、生ゴミはコンポストで堆肥にして、スタッフのユニフォームは古着を使う。 そういうレストランのあり方が、リベラルな価値観そのものとして流行していた。 このような考え方が、当時の最先端レストランにとっては看板のようなものだった。 日本はこの流れにあまり乗らなかった。 ずっと「美味しくて安いことが一番大切じゃないか」という考え方を続けていた。 トップレストランはそういう思想的な取り組みをやっていたけれど、多くの店は「お客さんにそれ、関係なくない?再生可能な容器だとか、土に還る素材だとか、そんなことを言ってみても響かないよね」というスタンスだった。 だから当時は、これだけ美味しいものを作る力があるのに、世界のあり方に意識を持たない日本の料理人、というふうに見られていたかもしれない。 --- 世界が本能側に振れて、日本料理が輝きだした でも、世界全体がリベラルな感覚から、だんだん本能的な方へ寄っていくと、話が変わってくる。 安くて美味しいことを重視するというのは、まさに本能的な価値観だ。 オーガニックじゃない、サステナブルじゃない、と価値判断していた人たちが、そうしたリベラリズムを取り払ってみると、日本の料理はめちゃくちゃ安くて美味しいということに気づき始めたのではないか。 日本は戦後からずっと、安くて美味しいを追求してきた。 世界中から食材を輸入できるだけの経済力があり、それを評価する繊細な味覚もある。 料理人からすれば面倒くさいかもしれないけれど、その繊細な感性に応え続けてきたのが日本のレストランだ。 この20年変わっていない日本の料理が、今になって世界中から絶賛されているのは、サステナブルだフェアトレードだと小難しいことを言っている国のレストランよりも、そんなことを一言も言わずにこれだけ安くて美味しくてボリュームがある方が結局は強い、という一周回った評価の仕方に、世界がようやく戻ってきたからではないかと思う。 15年前だったら「意識が低い」と断じられていたかもしれないその姿勢が、今はむしろ最高の評価を受けている。 安くて美味しくてボリュームがある。 生き物としての本能からすれば、それは当たり前に最高のことのはずだ。 これは本当に学術的な裏付けのある話ではなくて、僕の身体感覚から言っていることなので、見当違いだと思ったらぜひ遠慮なく反証してほしい。 なぜ見当違いなのかというところまで含めてきっちり指摘してもらえると、僕自身の勉強にもなる。 15年前の雑誌を読みながら、レストランのトレンドもここまで変わるんだな、そしてそれは政治とも無縁ではいられないんだなと、あらためて感じた話でした。 --- stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。 https://stand.fm/channels/664b04d7316143a77174b611
快食ボイス825・傘と靴が優秀であれば雨の日は快適に過ごせる
最近の雨は、しとしと降らない 今日もすごい雨が降った。 明日は午前中だけ降って午後は落ち着くらしいが、週末はまた降るという予報だ。 梅雨だから雨が降るのは当然だが「降り方」そのものが変わってきている。 本来の梅雨というのは、いつまでもしとしとと降り続けて、地面がじっとりしている感じのものだった。 僕が子供の頃の梅雨はまさにそれだった。 ところが今は、東南アジアを旅行しているのかと思うような降り方が普通になってきている。 旅行中に何度か経験したスコールに近い。 晴れていたはずの空が急に暗くなって、あっという間に道路が川のようになる。 夕方にドーッとまとまって降る、あの感じだ。 今日は夕方どころか、昼間からその調子だった。 こういう降り方になってくると、雨具の選び方が本当に大事になる。 傘一本、靴一足の選び方で、雨の日の快適さがまるで変わってくる。 今日はずっと使ってきた雨具について、まとめて書いてみようと思う。 --- 長傘とジャンプ傘、そして逆折れ傘の10年 普通の長傘も持っている。 ただ大きくて持ち歩きにくいので、行きも帰りも確実に雨で、しかも車を使わない日にしか出番がない。 車で移動する日はジャンプ傘を使っている。 2カ所で折れる構造で、ボタンを押すとパッと開き、押すとシュッと閉じる。 長傘は車の乗り降りのときにドアに引っかかってうまく閉じられないので、これが本当に助かる。 片手で荷物を持っているときなど、傘を閉じるのに手間取ること自体がストレスになるので、ワンタッチで開閉できるというのは地味だが大きい利点だ。 以前は、開いたときに先端が広がり、閉じると濡れた面が内側にくる「逆折れ傘」を10年ほど使っていた。 傘自体が自立するのは良かったし、車内に水滴が落ちにくいのも便利だった。 ただ構造的にどうも弱く、開閉を繰り返すうちにあちこちがたついてくる。 加えて、濡れた部分が内側にたまる分、乾きにくいという弱点もあった。 10年使い続けてさすがに買い替え時だと感じ、今は2段階に折れる、折りたたみに近いタイプに替えて車用にしている。 車と傘の相性は、結局乗り降りのしやすさで決まるのだと思う。 https://amzn.to/4gb1uVX --- モンベルの折り傘は、ハンバーグ1個分の重さ それとは別に、普段からとても気に入っているのがモンベルの折り傘だ。 モンベルは登山用品などを扱うアウトドアブランドで、山で使われることを想定しているだけあって、しっかりした作りをしている。 この折り傘が、とにかく軽い。 150g前後しかない。 150gというと、ランチで食べるくらいのハンバーグ1個分の重さだ。 それくらいの軽さのものを、常に仕事用のトートバッグに入れっぱなしにしている。 6本骨と8本骨があって、6本の方が軽く、8本の方が丈夫だ。 特に8本は山の強風にも耐える設計になっているそうで、風が急に強まりやすい山用に推奨されている。 街で使う分には6本で十分だ。 これから暑くなる時期には、雨と日傘を兼用できるタイプもあって、これは女性には特におすすめしたい。 カバンに入れていても重さを感じないくらいなので、季節を問わず常備しておく価値があると思う。 https://amzn.to/3SCVQ5e --- 革靴からゴアテックスのスニーカーへ 傘と同じくらい大事なのが靴だ。 県庁にいた頃は革靴でないと格好がつかなかったので、内側がゴアテックスになった革靴を2足ほど、雨の日用に使い分けていた。 1足はもう20年近く履いていて、何度も靴底を張り替え、磨いて保湿してを繰り返している。 丁寧に手入れをすれば、革靴は20年は平気で持つものだと実感している。 ただ、革靴で雨の日を過ごすのは正直かなり手間がかかる。 防水スプレー、汚れ落とし、保湿、クリーム塗り、内側がゴアテックスでもそれだけのメンテナンスは変わらない。 それを毎回やるのは、忙しい日が続くとどうしても面倒に感じてしまう。 そこで勧めたいのが、ゴアテックスのスニーカーだ。 僕もASICSのものを1足持っている。 最近はスーツやスラックスにスニーカーを合わせる人も増えているし、女性ならなおさらだろう。 見た目は普通のスニーカーなので、晴れの日に履いても違和感がなく、今日はもしかしたら帰りに降られるかもしれない、というくらいの日でも気軽に履いていける。 長靴だと晴れた日の行き帰りで浮いてしまうが、その心配がないのがいい。 ゴアテックスは内側の湿気は外に出しつつ、外からの水は防ぐ素材なので、蒸れないし水も入ってこない。 長靴は蒸れることが多いので、快適さで言えばゴアテックスのほうが上だと感じている。 購入したときは1万5千円くらいだったと思うが、今は1万2千円ほどで買えるようで、1足あれば5年ほどは十分に持つ。 グリップもしっかり効くので、雨で滑りやすい道でも安心感がある。 雨の日に足元を気にせずに済むというのは、地味だがとても大きい安心材料だ。 https://amzn.to/4y4Oqbk 傘も靴も、雨の日にしか出番のない道具だからこそ、案外選び方を見直さないまま何年も同じものを使い続けてしまいがちだ。 ただ今年みたいにスコール的な降り方が増えてくると、軽くて機能的な道具に切り替えておくだけで、雨の日の気持ちの負担がかなり軽くなる。 傘は開閉のしやすさと軽さ、靴は防水性と見た目の両立、この2点だけ意識しておけば十分だと思う。 よろしければぜひ。 --- stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。 https://stand.fm/channels/664b04d7316143a77174b611
快食ボイス822・イタリアンの料理人が麻婆豆腐を作るくらいのことを今やるべき
大人気店に客がいなかった 昼飯を食べたあと、近くまで来たからと馴染みの店の覗いてみると客がいない。 それなら挨拶だけしとこうと思って店に入った。 平日はいつも客でいっぱいで、店主が一人で回しきれずにテンパっている、そういう店なのだ。 今日は土曜で、周りは製造業の工場ばかりだから休みで空いているのかな、と思った。 「お久しぶり!」と店に入ると「こっちはテレビで顔見とるけどな」とからかわれつつ、話をすると平日も客が減っているという。 メニューを見たが、値上げすらしていない。 これだけ多くの店が値上げしている中で、今でも700円あれば腹いっぱい食べられて、しかもちゃんとうまい。 そんな店が職場のすぐ近くにあったら、そりゃ通うに決まっている。 その店ですら客が減っている。 これが、僕には衝撃だった。 --- みんな、弁当箱を買い始めた なぜかと聞くと、みんな弁当に変わったのだという。 業者が届ける弁当ですらない。 弁当箱を買って、自分で詰めて持ってくる人が増えたらしい。 これは何度も言ってきたコストプッシュ型のインフレの帰結だ。 物の値段だけが上がって、手取りが増えない。 社会保険料がどんどん上がるから、増えた実感がないどころか、むしろ減っている気すらする。 僕も社会保険料と市県民税を今月末に一括で支払うが、考えると頭が痛い。 その店も、さすがに値上げしないとまずいと言っていた。 客単価750円で腹いっぱいになる料理を出していたら、そりゃ無理だ。 とはいえ、値上げすれば今残っている客まで離れかねない。 動くも地獄、動かぬも地獄、というところだろう。 --- 牛丼三社で、起きていること これだけ外食が減っているなら、定番の牛丼屋はどうなのか。 吉野家、すき家、松屋を調べてみた。 すき家は営業利益が大きく落ちている。ただ、これは2025年初めに異物混入の件があったので、そこからの落ち込みと見るのが妥当で、ひとまず別枠だろう。 吉野家も落ちている。 ところが松屋だけは落ちていない。なぜかと見に行ったら、ハンバーグ定食、トマトのチキンカレー、サムゲタン風スープ、ふわたまのうな丼と、高単価メニューをどんどん投入していた。 牛丼という土台は残しつつ、そういう一皿で客単価を上げて稼いでいるわけだ。 --- 牛丼以外で、稼いでいる 連結で見ると、すき家も吉野家も、むしろ売上は伸びている。 すき家は、はま寿司。 吉野家は海外事業と、はなまるうどん。 小麦粉は安いから、うどんはこういう厳しい時にこそ強さを発揮する。 なか卯も同じで、看板の親子丼は抜群だが、それ以外もどんどん増やしている。 牛丼専門店ではなく、中身を入れ替えていける総合店に静かに姿を変えて、収益性を保とうとしているわけだ。 つまり、お馴染みの牛丼そのものからは客が離れている。 でも、外食が嫌いになったわけではない。 みんな外食は大好きで、お金がないから行きたい店だけに絞っている、という行動変容をしているだけだ。 だとすれば、「行きたい」と思わせられるかどうか。 その流れに乗れるかどうかなのだ。 --- 思い出してもらえるか 大手町の麻婆豆腐専門店「辣辣」はいつも行列している。 味がいいのはもちろん、奥さんの仕切りが見事で回転が速い。 ときどき強めの物言いをされることもあるが、だからこそみんなテキパキ食べて、どんどん入れ替わる。 回転がいいから値上げせずに持ちこたえる、いい循環ができている。 あの奥さんのサービスは、僕はファインプレーだと思っている。 あの店は元々、段原でイタリアンをやっていて、出してみた麻婆豆腐が評判を呼び、鷹野橋に移って専門店にして化けた。 あの値段で、あの味で、しかも中毒性がある。 結局、どれだけ客に思い出してもらえるかだ。 そのためには、いろいろやってみるしかない。 --- 業態を、飛び越える 人間はどうしても過去の成功にとらわれる。 「これは昔から人気なんだ」という料理でも、潔くやめて新しい業態に切り替える。 だめならまた次をやる。 横川駅裏の「ニコイチマート」も、最初から人気店だったわけではない。 少し前に僕がnoteにあげた「江戸天」のカレー中華のレシピを「使っていいか」と聞かれたので「善吉」の鴉田さんに仁義だけ切っといてねと伝えると、もう既に店で出しているようだ。 あのフットワークの軽さだ。 ベンチャーで言うアジャイル、リーンスタートアップと同じで、小さく出して、当たらなければ作り直すか別を作る。 飲食店も起業であることに変わりはない。 同じ料理を出し続けて客が来ないのは、やはり厳しい。 突拍子もないものを、突然やってみる。 イタリアンの料理人が麻婆豆腐を作るくらいのことだ。 当てにいくのではなく、とにかく数をやってみる。 何が当たるかはわからないのだから。 松屋が牛丼屋なのにサムゲタンを出すくらいの、「俺は和食の料理人だ」「いや、フレンチだ」という枠すら飛び越えるアグレッシブさ。 今は、景気が戻るまで生き残れるかどうかの戦いに、もう入っている。 なりふり構わず、それくらいのことをやっていく必要があるのだと思う。 --- stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。 https://stand.fm/channels/664b04d7316143a77174b611
快食ボイス820・マーラータンという健康の仮面をかぶった背徳料理
おすすめを聞かれて、答えに詰まった 今日「マラータンってどこがいいですかね」と聞かれ、答えに詰まった。 僕は今のマラータンという形態にあまり魅力を感じていない。だからどこがおいしいかと言われても、積極的に食べ歩いていないので答えようがない。紹介するなら落ち着いてからかな、というのが本音だ。 この料理が面白いのは、日本への入り方だ。中国からの直輸入ではなくて、韓国経由なのだ。2019年に韓国でK-POPアイドル発信のブームが起きて、そこから日本に来ている。だから日本のマラータンの店にはトッポギなんかが置いてある。トッポギは中国にない食材だから、韓国経由だというのがすごくわかりやすい。 中国料理店が潰れる中で、なぜマラータンだけ伸びるのか 今、飲食店はどこも厳しい。仕入れ値は上がっているのに、客の給料は増えていない。正確には給料が増えても社会保険料で持っていかれるから、可処分所得が増えていない。客は皆、生活防衛をしていて、外食は真っ先に削られる。中国料理店もどんどん閉店している。 なのに、マラータンだけは伸びている。この1、2年で一気に増えた。よく言われるのは「ヘルシーだから」だ。自分で具材を選べるから、野菜をたくさん摂ればヘルシー、というのは確かに一理ある。しかし、身も蓋もない言い方をすると、情弱ビジネスに近いと僕は考えている。 春雨も練り物も、健康のトリックだ まず春雨。低カロリーだと言われるが、半分はトリックだ。乾燥状態だと100gで糖質83g、ほとんど乾燥パスタと変わらない炭水化物の塊だ。茹でると水を吸って膨らむから、100gあたりのカロリーは低く見える。でも乾燥重量で言えばパスタと同じ。要するにブヨブヨに茹でたパスタと変わらない。水分が多いだけで、満足感を得るにはそれなりの量を食べないといけない。 それから、あのカラフルな練り物。あれが非常に多い。なぜかというと、冷凍できて流通が楽だからだ。肉も冷凍スライス、野菜は冷凍に向かないから増やせない。でも練り物は、日本製であっても増粘剤やらいろんな添加物が多い。魚だから油脂が少なくて健康的と思うかもしれないが、練り物のような魚肉加工品は、そんなに身体にいいものではない。 薬膳という名のお化粧 スープも「薬膳」「漢方」と歌うけれど、ぶっちゃけカレーのスパイスと同じようなものだ。本来の薬膳なら、その人の症状に合わせて用意するべきだろう。誰が食べても体にいい薬なんてない。風邪薬を健康なときに飲んでも意味がないのと同じで、薬理作用があるものを健康なときに摂るのは、言い方をきつくすれば毒だ。漢方にも劇薬はたくさんある。 つまり、いくら食べても健康に影響がないということは、薬理効果もないということ。なんとなく体に良さそうな雰囲気をまとっているだけだ。本当に効くと言ったら薬事法違反になる。サプリメントなら薬品的な効果を謳った瞬間にアウトだけれど、食品の、特に薬膳という言葉はまだ規制が入っていない。そのグレーゾーンをうまく突いている。 実際のスープも、ちゃんと豚骨や牛骨から出汁をとっている店もあるにはあるが、セントラルキッチンから来た底料(ていりょう)をお湯や牛乳で溶いて作っている店がほとんどのようだ。油も塩もしっかり使う。結局、ラーメンとそんなに変わらない。ラーメンは男性が背徳的に好むものとして語られるけれど、栄養構成は大して変わらないのだ。 女性向けの二郎、という見立て 要するにマラータンは、ラーメンに健康と薬膳のお化粧をして、女性向けに仕立て直した料理だと僕は見ている。「女性向けの二郎」という言い方を聞いたことがあるが、言い得て妙だ。二郎だってもやしとキャベツはけっこう食べられるし、麺を減らせる店もある。栄養構成で言えば、実はそんなに変わらない。 女性が一人でも食べたいものを選べる、というニーズは、社会進出とともに生まれた良い流れだし、それ自体はポジティブだ。マラータンは自分で具材をチョイスできるのが良さでもある。構造としてはサブウェイに近い。健康的なチョイスもできますよ、という選択肢が用意されているだけで、選ぶ中身次第ではいくらでも背徳的になる。それをラーメン的な仕掛けで成立させたのが、マラータンの上手なところだ。 ただ、客が具材を取れば取るほど店は儲かる。健康に良いというのは、客を呼ぶための仮面に過ぎない。マラータンには一人で野菜が摂れる食事、という繰り返し使える役割があるから、タピオカミルクティーのように完全に消えはしないと思うが、店が増えすぎているので淘汰はされるだろう。そしておそらく生き残るのは、本気で健康を追い求めて薄味と低カロリーを貫く店ではない。生き残るのは、健康そうな見た目を保ちつつ、中身はちゃんとおいしく、食べ応えがあり、また食べたくなる店だろう。 マラータンを健康食として語るのは、半分間違っている。あれは健康の仮面をかぶった背徳料理だ。上手に騙してくれるのを求めているならそれでいい。でも、賢い消費者になった方がいいですよ、とは言っておく。昨日も同じことを語った気がするけれど。 --- stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。 https://stand.fm/channels/664b04d7316143a77174b611
快食ボイス819・話題の店に行こうと思った時点で、市場の養分になりつつある
ダイヤモンドオンラインで見つけた、奇妙な仕事 ダイヤモンドオンラインに、タイミーを使ってスキマバイトをするライターの体験記が連載されている。 その中に「食事記事作成支援業務」という仕事があって、これがなかなか興味深かった。 全部無料で読めるので、よかったら読んでみてほしい。 https://diamond.jp/articles/-/392740 仕事の中身はこうだ。 指定された店のいくつかから自分で選んで、1件2千円以内で食事をする。 料理の写真を1品あたり20〜30枚撮り、最低300文字程度のレビューをiPhoneのメモに書く。 とにかくいいことだけを書く。 2時間で2件回って、時給と領収書分が払われる。 自分のアカウントで投稿するわけではない。 書いた内容は依頼主へ渡される。 1件2千円というのは、けっこう厳しい。 突き出しが出る店なら、生ビール1杯頼んだらもう一品しか頼めない。 しかもこの人が行ったのは全部夜の店だったらしい。 昼ならまだしも、夜でこの予算はなかなかしんどいだろうなと思いながら読んでいた。 --- あの不自然な星5は、こうして作られていた で、このレビューと写真がどう使われるか。 業者が作ったPR用のアカウント、実際の人間が紐づいていない架空のアカウントから、大量に投下されるのだそうだ。 これでやっと腑に落ちた。 広島でも、Googleマップを見ていると猛烈に投稿されている店がいくつもある。 具体的に挙げられるくらいだ。 昔はフェイクアカウントに「星5」とだけ付けたような雑なものが多かったが、最近はだんだん手が込んできて、写真付きで何件も投稿してある。 専用の人を雇って元ネタを集め、それらしい記事を量産していたわけだ。 実際に行っていないと書けないディテールを、あの300文字から抽出していたのだろう。 誰かが星2や星3を付けても、星5を5、5、5、5とぶわーっと積み上げれば平均点は上がる。 結局は物量で点数を作る。 食べログはこれができなくなったはずだが、Googleマップはまだできてしまう。 --- 点数が怪しい店の、見分け方 投稿件数をよく見てほしい。 歴史のある店はそこそこ件数が付く。 でも、できてまだ間もないのに異様にコメントが多い店は、何か理由がある。 レビューの獲得件数には目安がある。 小規模な店なら年間100件付けば珍しいくらい。 そこそこ客数の多い中規模で200件、繁華街や観光地の大規模店・チェーン店で年間250件以上。 これを超えてくる場合は、何かキャンペーンをやっていることが多い。 投稿してくれたら飲み物サービス、というやつだ。 最近はこれがエスカレートして、投稿画面を店員に見せたら特典がもらえる、という形まで出てきた。 こうなると、特典が欲しいから星1や星2は付けられない。 「実際は違うんだけどな」と思いながら、自分が今得をするほうを選んで星5を付ける。 ここで効いてくるのが、自分の評価がこの社会にとってプラスかマイナスか、なんてことを考えない人たちの存在だ。 今の自分が得をするかどうかしか見ていないから、本当は違うと思いつつ、それでも星5を付ける。 それを見て店に行った人がどんな思いをするかは、視野に入っていない。 そういう人たちを上手に釣り上げて、点数を作る。 だんだん巧妙になっている。 --- 話題になってるから行ってみるという巧妙な罠 怪しいなと思ったら、行かないのが一番だ。 巻き込まれなくて済む。 つまり「今話題の店だから行ってみよう」と思った時点で、もう巻き込まれている。 話題の店というのは、話題(アテンション)を作ることが基本だからだ。 うまく話題を作っているなと見えた瞬間に、距離を取る。 ワールドカップみたいな熱狂で、巻き込まれること自体が楽しいものもあるけれど、飲食店でそれをやると痛い目を見やすい。 快食ボイス810・「ふざけるな」と書かれたインスタ画像に引っ張られる、アテンションエコノミーの教科書みたいな開店劇でも詳しく語っている。 店の側も、話題で来た客はどうせすぐ離れると分かっているから、粗末に扱っても構わないと考える。 話題(アテンション)が作り出された店に、話題だから行き、粗末に扱われ、また次の話題の店を訪れる。 これはあまり賢い消費者ではない。 話題になっていなくても良いものを出している店を探すほうが、ずっと楽しい。 念のため書いておくと、僕がテレビで紹介して話題になる店は別だ。 店から何ももらっていないし、いい店がいい状態で続いてほしいから紹介しているだけだ。 --- イノセントでは騙される イノセントな消費者が良いものが得られる、そんな世の中ではなくなった。 飲食店なら、騙されても1食分、せいぜい数千円で済む。 けれどこの構造は、もっと大きな詐欺や投資話にもそのまま当てはまる。 イノセントな消費者は騙されない、という平和な時代はもう終わった。 飲食店だろうが投資話だろうが、儲かるビジネスだろうが、知らなければ騙される。 騙されないためには、学ぶしかない。 とにかく勉強して、賢い消費者になっておく。 イノセントであることが美徳だった時代は過ぎ、学ばない人は刈り取られて養分にされる。 そういう時代に、もう入っているのだと思う。 --- stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。 https://stand.fm/channels/664b04d7316143a77174b611
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ポッドキャストプラットフォーム「LISTEN」や、GPSトラッキングサービス「IBUKI」、物件メディア「物件ファン」、京都の宿とコワーキング施設「UNKNOWN KYOTO」を運営する近藤淳也(jkondo)が、朝の散歩をしたりしながら、日々の出来事や考えたことを語ります。
IBUKI STATION
ここはアウトドア向けGPSトラッキング「IBUKI」にまつわる人々が集まる場所。 トレイルラン、登山、冒険、ランニング、自転車、ロゲイニング、、 スタイルは数あれど、共通しているのは自然を楽しみ、そして人とのつながりも楽しむ姿勢。 自然を目一杯楽しみ、苦しみながら、人と接する喜びにも気付く。 アウトドアを満喫するみなさんが、ほっとできるIBUKI STATIONです。 IBUKI https://ibuki.run/ 近藤淳也 IBUKIを提供する株式会社OND代表。ポッドキャストプラットフォーム「LISTEN」も展開 桑原佑輔 OND所属。IBUKI事業担当営業・テクニカルディレクター 中川和美 OND所属。IBUKI担当。トレイルランナー