広島市在住のシャオヘイが、飲食店と顧客の間にある様々な課題や問題に対する僕の考えや、特定の料理についてお話します。
その他には個人的な体験や経験なども。
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快食ボイス693・ベストはなく、ベターを選ぶしかない時もある
はじめに 新年明けましておめでとうございます。 今回は、2026年の年明け早々に体験した、なかなかに骨の折れる帰宅の話をしてみたいと思う。 箱根駅伝を実家で見終え、凍結の情報を気にしながら福山市を出発したのが午後3時。 結果から言えば、自宅に戻るまでに約6時間を要することになった。 ただの愚痴ではなく、この出来事から感じた「判断」「経験」「選択肢」について話してみたい。 --- 天候は、途中から一気に牙をむいた 出発直後は、正直なところ拍子抜けするほど順調だった。 ところが西条インターチェンジ付近で、様子が変わる。 雪が降り始め、「これはまずいかもしれない」と思ったものの、路面にはまだ積雪がない。 迷っているうちにインターを通り過ぎてしまい、「次で降りよう」と自分に言い聞かせながら進む。 ファクトとして大切なことは、雪道の運転に慣れていないということだ。 事故経験はないが、それは「経験がない」だけでもある。 経験が乏しいのに自信を持つのは、ただの過信だ。 --- 規制と渋滞、そして選択肢の消失 志和インターチェンジにたどり着いた頃、事態はさらに悪化する。 ちょうど自分が降りたタイミングで、そこから先は冬タイヤ規制に切り替わった。 年始、帰省ラッシュ。 九州ナンバーの車が多く、当然ながら冬タイヤを履いていない。 料金所まで30分以上。 料金所を抜けても、ほとんど動かない。 下道に出ても状況は変わらず、タイヤの空転音があちこちから聞こえてくる。 「事故が起きない方がおかしい」状況だった。 --- 「進めない人」と「降りられる人」 ここで意識したのは、人によって選択肢の数が違うという事実だ。 小さな子どもがいる人。 高齢者を乗せている人。 体力に不安がある人。 そういう人たちは、どれだけ危険でも「車で進み続ける」しかない。 それは責められない。 選択肢がないのだから。 一方で、自分はどうか。 一人だし、体力があるし、雪の中を歩く経験もある。 時間はかかっても、別の手段が取れる。 だったら、自分が無理に車を路上に出し続けるべきではないと判断した。 事故を起こせば、周囲にも、緊急車両にも、さらなる迷惑をかける。 --- ベストはなく、ベターしかなかった 正解はなかったと思う。 あったのは、よりマシな選択肢だけだ。 車を置き、八本松駅まで歩く。 結果として、雪に埋もれた歩道を1時間半。 普通のランニングシューズだったため、つま先から水が入り、感覚がなくなるほど冷えた。 決して楽な判断ではない。 それでも、自分にとってはそれが「ベター」だった。 --- 6時間かけて、家に戻る 電車は止まりながらも動いてくれた。 八本松から広島市内まで、さらに2時間くらい。 バスの状況が読めなかったので、最寄り駅から再び歩く。 福山市の実家を出てから、結局自宅に着くまで約6時間。 久しぶりに「なかなかの経験」をしたと思う。 --- 経験しなければ、理解できないこと こういう出来事があると、はっきり思う。 人は、経験しないと本当には学べない。 どれだけ見聞きしても、実感を伴わなければ理解は浅いままだ。 大変ではあったが、学びは確かにあった。 もちろん、正月に能登で被災された方々の苦労に比べれば、これは取るに足らない話だ。 暖かい家で眠れること自体が、すでに恵まれている。 --- おわりに 新年早々、波乱のスタートではあった。 それでも、無事に帰宅できたことに感謝している。 凍結や規制が予想される日は、ぜひ道路情報を確認した上で行動してほしい。 「行けるかどうか」ではなく、「無理をしない選択肢があるかどうか」を考えること。 今年もいろいろあるだろうが「よりマシな選択」を積み重ねて行くことが大切だと僕は思う。 --- stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。 https://stand.fm/channels/664b04d7316143a77174b611
快食ボイス690・古い雑誌を捨てながら、過去の時間を拾っている
はじめに 年末でリスナーの皆様も忙しい時期なので、少し気の抜けた話がしたい。 と、自分では思っているが、AIに言わせると昨日の話も相変わらず全然緩くないと指摘された。 ここしばらく続けているのが、部屋に溜まりに溜まった本と雑誌の整理だ。 本はかなり処分が進み、本棚にも余白が生まれ、作家別に並べ直す余裕も出てきた。 問題は、最後まで残った雑誌だ。 --- 雑誌が2メートル分残っているという現実 雑誌も相当量を処分した。 それでも、平積みで横に並べると、まだおよそ2メートル分は残っている。 冊数にすれば、軽く100冊は超えているだろう。 これを一気に判断するのは難しい。 そこで今は、少しずつ読み返しながら「残すもの」と「手放すもの」を選別している。 --- トイレは、最高の選別スペースである 僕はトイレに、雑誌用の簡単なラックを置いている。 トイレは何もせずにぼーっとするには、どうにも落ち着かない。 だからこそ、ここを「仕組み化」する。 一か月もあれば、トイレにいる時間だけで一冊は読み終わる。 新しい雑誌はもう買っていないので、今はひたすら選別作業に使っている。 これは昨日話した「仕組み化」の延長線上にある。 隙間時間を、どう扱うかという話だ。 --- 隙間時間と音声配信の相性 隙間時間の活用という点では、音声配信も欠かせない存在だ。 ポッドキャスト、Spotify、Voicy。中でも一番聴いているのはVoicyである。 電車やバスでの移動時間、歩いている時間。 走っているときはさすがに音楽にするが、歩く程度なら音声配信は十分に聴ける。 車の運転中などは、むしろ最適だ。 一度で理解できない回は、二度三度と聴き直す。 長距離移動のときなどは、これ以上ない学びの時間になる。 コテンラジオのような長尺コンテンツは、特にオススメ。 正月の帰省など、移動時間が長い人には、ぜひ試してほしい。 --- 料理雑誌と、30年分の時間 僕が買い続けてきた雑誌は、「料理王国」と、その後分かれた「料理通信」。 それと「dancyu」も、創刊号から30年買い続けた。 初期の号はかなり処分したが、それでも膨大な量が残っている。 そして、今読み返してみると、やはり面白い。 7〜8年前、あるいは10年前の雑誌を読むと、当時の空気がはっきりと感じられる。 「ああ、この頃は今より景気が良かったのだな」と、今になって気づくことも多い。 --- 雑誌は「未来」を内包している 雑誌に載っているのは、取材当時の「現在」である。 しかし、今それを読む私たちは、その先の未来をすでに知っている。 掲載されていた店は、その後どうなったのか。 スターシェフは、今も活躍しているのか。 予約困難店になった店、姿を消した店、消息が分からなくなったり、亡くなった料理人。 当時の記事を読み、現在を調べ、その差分を見る。 すると、雑誌の中の物語が、時間軸を伴って立ち上がってくる。 これは、雑誌のクオリティが高いからこそできる楽しみ方だと、つくづく思う。 --- 残すという選択 最終的には、2メートル分ある雑誌を、1メートル程度まで減らせればと考えている。 それくらいなら、本棚に「雑誌のためのスペース」として残してもいい。 これから先、新しい雑誌を買うことは、もうほとんどないだろう。 だからこそ、「これは神回だ」と思える号だけを手元に残したい。 ページをめくれば、当時の空気と、自分の時間と、編集者たちの仕事が一緒に立ち上がる。 それを、たまに味わえれば、それで十分だ。 --- おわりに 雑誌文化が消えていくのは、やはり寂しい。 高校生の頃に夢中で読んだ雑誌たち、今思えば嘘も多かったが、それも含めて時代だった。 そんな悲喜こもごもを感じながら、今日も雑誌を選別している。 捨てているようで、実は時間と記憶を拾い直しているのかもしれない(トイレで💦)。 --- stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。 https://stand.fm/channels/664b04d7316143a77174b611
快食ボイス689・続けられる人は、意志が強いのではなく、脳に優しい人
はじめに 仕事納めを迎えた人も多く、ようやく「年の瀬」という実感が湧いてくる頃だ。 広島も冷え込んでおり、夜中には0度近くまで下がるらしい。 無事に、そして気持ちよく年末年始を過ごしたいので、今日は少し軽めの話をしてみたい。 --- なぜ毎日続けられるのか、という問い 快食ボイスは、気がつけば2年と少しで680回を超え、もうすぐ700回に届く。 「なぜ毎日続けられるのか」「どうして続いているのか」と聞かれることがある。 ここで重要なのは、僕が特別、意志が強いわけではない、という点だ。 むしろ逆で、意志の力をできるだけ使わないようにしている。 このライフハックが、すべての出発点である。 --- 脳は「やらない理由」を作る天才である 人間の脳は、とてもよくできている。 よくできすぎていて、「やらなくていい理由」をいくらでも生み出してしまう。 今日はジムに行くべきか、それとも外を走るべきか。 そう考え始めた瞬間、脳はストレスを感じ、決断を先延ばしにし、やらないための理屈を量産し始める。 これは怠惰でも性格でもない。 脳の仕様なのだ。 --- 「やるかどうか」を考えない、という発想 ではどうするか。 答えは単純だ。 やるか、やらないかを脳に考えさせない。 歯磨きをするときに、「今日は歯を磨くべきか、それともやめるべきか」とは考えない。 考えるのは「いつ磨くか」というタイミングだけである。 ジムも、英語学習も、発信も、すべて同じだ。 「基本的に毎日やる」と決めてしまえば、脳が考えるのはタイミングだけになる。 今やるか。 1時間後にやるか。 風呂の後か、寝る前か。 それだけでいい。 --- 意志力は、有限な資源である 意志決定には、大きなエネルギーが要る。 しかもその量は、無限ではない。 仮に一日の意志力が100だとしよう。 「歯磨きをするかどうか」で30使ってしまえば、残りは70しかない。 だからこそ、どうでもいい決断は、最初から排除する。 --- なぜ成功者は服を決め打ちするのか マーク・ザッカーバーグは、いつも同じようなフーディーを着ている。 スティーブ・ジョブズは、ジーンズとタートルネックだった。 彼らは服装に悩みたくなかったのだ。 服一つ決めるのにも、決断のリソースが削られることを知っていたからである。 優秀な人ほど「決めなくていいこと」を徹底的に減らす。 --- 快食ボイスも、ただの仕組みである 快食ボイスも「基本的に毎日やる」と決めている。 やるかどうかは考えない。 考えるのは、「いつ録るか」だけだ。 もちろん、疲れている日や、気持ちが落ち込んでいる日は、やらないこともある。 だが、その日はどこか気持ちが悪い。 歯磨きをせずに寝てしまった夜のような感覚が残る。 この「気持ち悪さ」が生まれたら、勝ちだ。 --- 英語学習で体験した「自動運転」 昔、NHKの英会話入門を何年も続けたことがある。 自分の車の中では英会話入門のカセットテープ以外をかけないと決めていたので、1ヶ月ずっと聞くことになる。 集中して聞かなくてもいい。 信号待ちの間、自然と耳に入る。 それで十分。 仕組みに乗せてしまえば、努力は不要になる。 --- 習慣化の正体は「優しさ」 習慣化とは、根性論ではない。 自分の脳に対する、最大限の配慮である。 最初に一度だけ決める。 あとは、自動運転に任せる。 頑張らない。 気合を入れない。 意志力に期待しない。 それが、いちばん長く続く。 --- 新年に向けて もうすぐ新年だ。 何かを始めようとしている人も多いだろう。 そのときは、ぜひこう考えてほしい。 「やるかどうか」ではなく「いつやるか」だけを考える。 そのための仕組みを作り、脳を楽にしてやる。 仕組み化が成功すれば、あとは続けるだけ。 一度、回せるようになると、コツが掴めると、大概のことは継続できるようになるよ。 --- stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。 https://stand.fm/channels/664b04d7316143a77174b611
快食ボイス687・なぜ日本人はクリスマスにケンタッキーを食べるのか
先日、若い女子アナに「シャオヘイさん、クリスマスってどうされるんですか?」と聞かれた。 「いや、もう普通の日だよ。おっさんになると関係ないんだよ」と答えたところ、 「えっ、チキンとか食べないんですか?」と返された。 食べない……のだが、あとから考えてみると、「どこそこの鶏がおいしいよ」くらいの気の利いたことを 教えてあげればよかったのかもしれない。 若い世代にとって、クリスマスはまだそれなりに大事なイベントなのだろう。 そんなやりとりをきっかけに、今日はこの「クリスマス」という行事について少し整理してみたい。 --- 12月25日は本当にイエスの誕生日なのか まず前提から言うと、イエス・キリストが12月25日に生まれたとは、聖書には書いていない。 実際の誕生日は、分かっていない。 分からないが、12月25日ということにした。 これが正確な言い方である。 キリスト教が世界宗教へと拡大していく大きな転機となったのが、ローマ帝国の公認・国教化であった。 ただしローマ帝国には、もともと自前の宗教があった。 ギリシャ神話の流れを汲みつつ、日本の神道にも少し似た、自然発生的な多神信仰である。 その中心にあったのが、太陽神であった。 --- 冬至と「太陽の復活」 12月25日前後は、冬至に近い時期だ。 この時期は、夜が最も長くなり、そこを境に、少しずつ昼が長くなっていく。 つまり、 太陽が復活する時期 太陽の力が再び増していく時期 なのだ。 太陽がなければ寒い。 作物も育たない。 命そのものに直結する存在だ。 そのため、この時期は世界各地で太陽に関する祭りが行われてきた。 ローマでも、サトゥルナリア祭や「太陽の誕生日」のような行事があった。 そこでキリスト教を普及したい人たちは考えた。 「これからは、キリストこそが我々の太陽である」 そうやって、土着の信仰の上に、キリストの誕生を重ねた。 それが、12月25日という日付なのだ。 --- なぜクリスマスにごちそうを食べるのか クリスマスの前、約4週間はアドベント(待降節)と呼ばれる。 これは、イエス・キリストの誕生を待ちわびる期間であり、本来は節制と祈りの時期である。 贅沢は控え、心を整え、その反動として迎えるのが生誕祭だ。 だからこそ、その日はごちそうを食べる。 そこで選ばれたのが、ガチョウだった。 --- なぜガチョウなのか ガチョウは家畜として、少し特殊な立ち位置にある。 - 鶏は卵を産む - 牛は乳を出す 一方、ガチョウは肉と羽毛が主目的である。 しかも、 - 秋の収穫期に落ち穂を食べて勝手に太る - 放し飼いでも育つ - 秋が一番太っている - 卵は産むが、食用としての価値は低い つまり、潰しやすく、ごちそうにしやすい家畜だった。 ガチョウは都合が良かったのだ。 --- アメリカで七面鳥に変わる この習慣がアメリカに渡ると、ガチョウは七面鳥(ターキー)に置き換わる。 七面鳥はアメリカ固有種で、 - 体が大きい - 食べ応えがある - 基本的に食用 ディケンズの『クリスマス・キャロル』で、改心したスクルージが大きな七面鳥を貧しい家に送る場面があるが、ああした描写もこの流れを後押しした。 こうして、「クリスマス=ターキー」が定着していく。 --- では、なぜ日本はチキンなのか 日本には、七面鳥を食べる文化がない。 - 自生していない - そこまで美味しい肉でもない - 大きなオーブンが家庭にない その隙間に入り込んだのが、ケンタッキーフライドチキンだ。 1970年代、「クリスマスはチキンで祝おう」というキャンペーンが始まった。 結果、日本のクリスマスはほぼ「ケンタッキーの日」になった。 これはもう、宗教ではなくマーケティングの勝利である。 --- サンタクロースもまた戦略の産物である サンタクロースの原型は、4世紀頃の聖人、セント・ニコラウスだ。 貧しい家の娘たちを救うため、煙突から金貨を投げ入れ、それがたまたま靴下に入った――という逸話が、 「靴下にプレゼント」の由来とされる。 このニコラウスは、 - 東ローマ帝国 - オランダ(シンタクラース) - アメリカ という経路をたどり、名前も姿も変化する。 そして、赤い服で太った陽気なおじいさんという現在のイメージを決定づけたのが、コカ・コーラの広告戦略だと言われている。 ここにもまた、極めて洗練された「作られた物語」がある。 --- クリスマスは巨大な装置である こうして見ていくと、クリスマスという日は、 - 宗教 - 文化 - 季節 - 商業 - マーケティング それらが何層にも重なって作られた、巨大な装置だということが分かる。 夢がないと言う人がいるかもしれない。 だが、人が救われ、前向きになり、誰かを思いやるきっかけになるなら、それでいいのではないか。 宗教とは、もともとそういう側面を持つものだ。 --- おわりに というわけで、今年もまた「普通の日」がやってくる。 チキンを食べる人も、食べない人も、信じる人も、信じない人も。 それぞれの距離感で、それぞれの12月25日を過ごせばいい。 メリークリスマス! --- stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。 https://stand.fm/channels/664b04d7316143a77174b611
快食ボイス686・無宗教だと思っていた僕が、実は信仰していたもの
はじめに 今日は、僕が長年聴き続けているポッドキャスト「コテンラジオ」番外編についての話だ。 歴史を面白く学ぶ番組として有名なコテンラジオだが、今回は少し毛色が違っていた。 LINEヤフーの会長である川邊健太郎さんが登場し、「推し活」という現代的なテーマを語っていたのである。 https://podcasts.apple.com/jp/podcast/%E7%95%AA%E5%A4%96%E7%B7%A8-130-%E6%8E%A8%E3%81%97%E6%B4%BB%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C-%E5%A4%89%E5%8C%96%E3%81%A8%E7%86%B1%E7%8B%82%E3%81%8C%E7%B4%A1%E3%81%90%E3%83%8F%E3%83%AD%E3%83%97%E3%83%AD%E7%95%8C%E9%9A%88-%E3%82%B2%E3%82%B9%E3%83%88-line%E3%83%A4%E3%83%95%E3%83%BC%E4%BC%9A%E9%95%B7-%E5%B7%9D%E9%82%8A%E5%81%A5%E5%A4%AA%E9%83%8E%E6%B0%8F/id1450522865?i=1000742235094 これが、驚くほど僕の中に深く刺さった。 --- アイドルに無関心な人生 正直に言うと、僕はアイドル文化にほとんど関心がない。 嫌いでも否定的でもない。 ただ無関心なのだ。 有名な言葉に「好きの反対は嫌いではなく、無関心である」というものがあるが、まさにそれだ。 アイドルの名前を出されても、聞いたことがあるような、ないような、その程度である。 疑似恋愛も経験してこなかった。 唯一それらしきものがあったとすれば、風の谷のナウシカのナウシカくらいだ。 つか、それは二次元だ。 そんな僕が「推し活」の話に強く惹き込まれたのだから、不思議なものだ。 --- 推し活を宗教で説明するという発明 川邊さんは、推し活を「宗教的な構造」で説明した。 たとえば、「イエス推し」「釈迦推し」かつての人々も、そんな感覚で信仰を選んでいたのではないか、という話である。 これが、ものすごくわかりやすかった。 僕は宗教という枠組みに強い関心を持っている。 最近、釈迦について書いたように、宗教が人間の行動や価値観をどう形づくるかには、以前から興味がある。 だからこそ、この説明は「腑に落ちる」というより、「ズドンと来た」。 https://note.com/xiaohei/n/nb07ad4e8b8ba --- パウロ的立場という自己定義 さらに印象的だったのが、川邊さん自身が「自分はパウロ的立場だ」と語っていた点だ。 イエスの十二使徒の中で、唯一イエスに直接会ったことのない人物、パウロ。 しかし彼こそが、キリスト教を世界宗教へと拡張する上で、決定的な役割を果たした。 「自分はその役割に近い」と語る姿に、自己認識の正確さを感じた。 --- 僕は何も推していないのか? この話を聞いて、ふと思った。 僕は、何も推していない、空虚な人間なのではないか、と。 しかし、よく考えてみると、答えはすぐに出た。 僕はずっと推し活をしている。 それは――広島の飲食店だ。 --- 個人ではなく、箱を推す 僕がやっているのは、特定の誰か(特定の店)を推す行為ではない。 広島の飲食店という「箱」全体を推している。 いわゆる「箱推し」である。 誰がどこで修業し、どこで独立し、どこで衝突し、何を生み出したのか。 汁なし担々麺の歴史を構造的に語ったのも、その一例だ。 https://www.youtube.com/watch?v=GUYzMuy90Mw 表の歴史と裏の歴史。 語られる物語と、語られない物語。 それらすべてを含めて、僕は推している。 --- 食べに行くことは、礼拝なのか 店だけではない。 食材を作る人、運ぶ人、支える人も含めて、僕は推している。 時間も、熱量も、リソースも、注ぎ込んでいる。 そう考えたとき、気づいてしまった。 これはもう、一つの宗教なのではないか、と。 神殿はない。 経典も、教祖も、教義も存在しない。 だが、僕にとっての礼拝ははっきりしている。 飲食店に足を運び、食べることだ。 --- 無宗教だと思っていたが、違った 僕は長い間、自分は無宗教だと思っていた。 しかし、それは違った。 僕は「広島の食文化」という対象を信仰している。 身近だからこそ、推している。 身近なアイドルを推すのと、本質的には何も変わらない。 --- おわりに コテンラジオは、今回も深いインサイトをくれた。 推し活を宗教という枠組みで捉えることで、世界の見え方が一段階クリアになった。 このテーマは、もう少し考え続けてみたい。 宗教とは何か。 信仰とは何か。 そして、自分は何を推して生きているのか。 川邊健太郎さんの回は、難しい話は一切ない。 ただ、面白く、そして深い。 ぜひ聴いてみてほしい。 --- stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。 https://stand.fm/channels/664b04d7316143a77174b611
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