1. FM八ヶ岳 湧き水のほとり
  2. 2026/07/06 湧き水のほとり #1..
2026/07/06 湧き水のほとり #123 森川義信「高館」「衢路」
2026-07-11 14:30

2026/07/06 湧き水のほとり #123 森川義信「高館」「衢路」

感想

まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!

サマリー

この放送では、詩人・森川義信の作品を紹介します。16歳で書かれた「高立」では、源義経ゆかりの地から眺めた北上川の景色と旅の寂寥感が描かれています。続いて19歳で書かれた「黒」では、都会の孤独や過去への郷愁、そして未来への希望がボードレールへのオマージュと共に表現されています。

オープニングと森川義信の紹介
湧き水のほとり
FM八ヶ岳をお聞きのみなさん。 各種インターネットからお聞きのみなさん。
ご機嫌いかがですか。開運小天です。
ここからの15分間は、聞く読書の番組 湧き水のほとりの時間です。
児童文学や昔懐かしい物語、さまざまな文豪の短編などを少しずつ読ませていただきます。
おいしいお水を召し上がりながら、ひと息ついてくださいね。
本日は詩人である森川義信の作品を読んでいきます。
作者の森川義信は、1918年、大正7年、香川県で生まれました。
中学時代から詩を書き、早稲田大学第二高等学院へ進む者の中退、
20歳の頃、早稲田の仲間たちと共に、
詩と評論の同人誌、アレッチを創刊するなど、数々の作品を発表し、
現代史という文学が世に広まる先駆け的活動をしていましたが、
第二次世界大戦が始まり、兵隊として召集された1年後、
昭和17年にビルマ戦線で亡くなりました。
同人誌アレッチを一緒に作った詩人、
綾川信夫が戦後に発表した詩作品、
死んだ男の中に登場するMは森川義信のことを指していることでも知られています。
たった24年の生涯に残された少ない作品の中から、いくつか読んでみたいと思います。
詩「高立」の朗読
それでは、森川義信が16歳の時に書いた作品、高立を読んでみましょう。
この作品は、詩人である松尾馬匠が、奥の細道にも記録したように、
岩手県平泉町にて源義経が建てこもった高立に登り、
北上川の雄大な景色を眺めたその同じ風景を、
森川義信も眺めた時の思いが表現されています。
高立 七月の旅の思い出
森川義信
高立に登りてみれば、小ぬか雨、煙て寒く、
口かけし家のほとりの高き木に泣く蝉悲し、
苔かおる古き木により、その昔の人をしのべど、
木々に吹く風も淋しく、消えてゆく思いはかなし、
遠山の淡く煙て、北上は北の果てより、
その昔の夢を語らず、うねうねとうねりて流る、
ふるさとを遠く離れて、旅に見る夢やとかなし、
追いしげる草木のみどりに吹く風寒し、
1934年、昭和9年、森川義信作、
高立 七月の旅の思い出でした。
詩「黒」の朗読
それでは次の作品を読んでみましょう。
日本および世界中に影響を与えたフランスの詩人、
シャルル・ボードレールの作品を好んでいた、
19歳の森川が都会での暮らしの中の孤独を描いた作品、
黒を読んでみましょう。
黒とは四方八方へ通じている別れ道、交差点のことです。
森川義信
友よ、覚えているだろうか、
青いネクタイを軽く巻いた船乗りのように、
さんざめく街を、さまようた夜のことを。
鳩羽色のペンキの香りが強かったね。
二人はオレンジの波に揺られたね。
お前も少女のように胸が痛かったんだろう。
友よ、あの夜の街は新しい連絡船だったよ。
窓という窓の明かりがパリーより美しかったのを、
昨日の虹のように僕は思い出せるんだ。
それからまた、
お前の手のひらと言葉と人々が、
ブランデーのように温かく燃えたことも、
お前は知らないだろう。
僕が重い足を宿命のように引きずって、
今日も昨日のように街の夜をうなだれて、
ユダヤ人のようにほっつき歩いていることを。
影のように冷たい霧を額に感じて、
僕ははっ、街角に立ち止まってしまうのだ。
そして、僕が自分の胸近く聞いたものは、
かぐわしい昨日の歌声ではなかったのだ。
それは昨日の窓からあふれるものは、
踏みにじられた花束の握手だったのだ。
やがて霧は僕の肋骨を埋めてしまう。
僕は灰色の黒にじっと佇んだまま、
小鳥のように昨日の歌を呼ぼうとする。
いや一生懸命で明日の歌を探そうとする。
ボードレールよ、ボードレールよ、からの限り、
僕の心は手を振るのだったが泣く。
昆命の中を一人こうとする。
1937年、昭和12年、
森川義信作、黒でした。
エンディングとリスナーへの呼びかけ
聴いていただけました曲は、
トークアフタートークプロデュース、
フレンチトーストフィーチャリングスノーでした。
お聴きいただきありがとうございました。
番組では皆様からのリクエストや感想をお待ちしております。
FM八ヶ岳のホームページの問い合わせフォーム、
またはスマートフォンアプリレディモのメッセージ欄からお寄せいただけます。
お送りしましたのは、開運商店でした。
この後もFM八ヶ岳でお楽しみください。
本日もいい塩梅に過ごせますように。
またお会いしましょう。
14:30

コメント

スクロール